いま、住まいはどう選べばよいか? vol.1 地盤・エリア…立地はどう選ぶ?

シリーズ 震災以後の住まい探し いま、住まいはどう選べばよいか?

1.立地選び、なにがポイント?

災害に強い立地を選ぶ、3つのポイント

災害に強い住まいを選ぶ際に、まずチェックしておきたいのが立地だ。立地といっても駅からの距離などではなく、地盤の強さや水害のリスク、避難のしやすさといった条件になる。これらは住宅の広告などを見ても分からないが、公的なホームページなどから自分で調べることは可能だ。その際、チェックしておきたいポイントは3つある。

■地震のゆれやすさ
まず確認したいのは、その住宅がどんな土地の上に建つ(あるいは建っている)のかということだ。地盤の固い土地なら地震の揺れは比較的小さく、軟弱な土地なら揺れやすくなる。「土地条件図という地図や、国土交通省のHPから地形分類図を見れば、その土地が台地なのか低地なのか、あるいは埋立地なのかといったことが分かります。海や川のそばの低地は地盤が軟弱なケースが一般的です」と話すのは、地盤調査などを手がけるジオテック宅地調査部の曽根圭一さんだ。

■津波、洪水、液状化…水害の起こりやすさ
津波や洪水、液状化といった水害は、海や川のそば、埋立地などでリスクが高まる。これらのリスクの度合いは各自治体がハザードマプを公表しており、国土交通省のHPにポータルサイトがある。「自治体によって想定している地震が異なるので、リスクの高い地域で必ず災害が発生するとは限りませんが、目安にはなるでしょう」(曽根さん)

■建物の密集度、道路の広さなどの街並み
いざ大地震などが発生したときに、木造の建物が密集していて火災が広がりやすくないか、道路が狭くて消防や救助の妨げにならないか、避難場所が近くにあるか、といった点も災害リスクに影響する。災害に強い街並みかどうかは、実際にその地域を見てみればある程度は推察できるが、各自治体で災害危険度などの情報を公開しているケースもある。

建物の密集度合いや道路の幅などは、災害時の危険度を大きく左右する
建物の密集度合いや道路の幅などは、災害時の危険度を大きく左右する

2.物件選びのポイントと対処方法

地盤の強さを見定めよう

地盤の強さや災害のリスクはマップなどである程度チェックは可能だが、個別の住宅地の状況まで把握するのは難しい。具体的にその土地を買うかどうかを決めるにあたっては、やはり専門会社などに調査を依頼するのが安心だ。どこにどのような調査を依頼すればいいのか、費用はいくらぐらいかかるのだろうか。

■地盤調査の結果を見せてもらおう
地盤の調査はマンションなど大規模な建物では大がかりなボーリング調査が行われるが、一戸建ての場合はスウェーデン式サウンディング試験と呼ばれる比較的簡易な調査がほとんどだ。「建売住宅などは調査結果を見せてもらい、説明を受けましょう。調査していない物件はリスクが高いので避けたほうが無難です。注文住宅などでは自分で地盤調査会社に依頼も可能で、費用は5万~8万円程度です」(曽根さん)

■中古住宅は傾いていないかをチェック
中古住宅の場合、調査結果が不明なケースも多い。その場合は「下げ振り」と呼ばれる器具などで柱や壁の傾きを自分で調べることは可能だ。「築10年程度経った住宅で傾きがなければ、基礎が斜めに沈む”不同沈下(ふとうちんか)”のリスクは小さいといえるでしょう」(曽根さん)。より万全を期すなら、ホームインスペクターと呼ばれる専門家などに依頼すれば、数万円程度で調査してもらえる。

糸で垂らして柱などの垂直を測る「下げ振り」は、ホームセンターなどで1000円前後で買える
糸で垂らして柱などの垂直を測る「下げ振り」は、ホームセンターなどで1000円前後で買える

物件の「安全性」について、自分で調べ、聞くという視点を持とう

調査の結果、地盤が軟弱だと判定される場合もある。だからといって、その土地を買ってはいけないわけではない。軟弱な地盤でも対策を施すことによって災害のリスクを低くしたり、保証や保険によって安心な住まいを実現することは可能だ。ここでは地盤補強工事と地盤保証・保険についてみてみよう。

■地盤補強工事とは?
軟弱な地盤でも、補強工事を行うことで住宅の基礎を安定させ、不同沈下や液状化の被害を防ぐことができる。工事の種類は主に右図のような3種類に分かれ、軟弱地盤の深さなどにより工法を選択することになる。「表層改良工法やジオコラム工法はセメントと土を混ぜて地盤を改良する方法で、地下5m程度までの工事なら80万円程度で可能です。地下10m程度まで杭を打つ鋼管杭工法は150万円程度かかりますが、谷地などセメントが固まりづらい土地でも安心して家が建てられます」(曽根さん)

図3.主な地盤補強工事(ジオテックHPより)
図.主な地盤補強工事(ジオテックHPより)

■地盤保証や地盤保険付きならさらに安心
2009年10月からスタートした住宅瑕疵担保履行法により、すべての新築住宅には10年間の欠陥を保証することが売主などに義務づけられた。だが、地盤が原因で建物が傾いた場合などは対象にならないケースもある。その点、地盤保証や地盤保険の付いた住宅なら万一の場合も安心だ。保険料は5万円程度、保証料はその半額程度で、売主などが負担する。「地盤保険は金融庁管轄の損害保険会社が扱っており、仮に地盤調査会社や保険会社が倒産しても保険金が下りるので安心度が高いといえるでしょう」(曽根さん)

図4.住宅・地盤に関する保証・保険制度
図.住宅・地盤に関する保証・保険制度
編集長メッセージ
物件の「安全性」について、自分で調べ、聞くという視点を持とう
震災以降、マスコミの方々から多く聞かれるのが、家を買う際の心境の変化です。
注文住宅の検討者でみると、耐震性を重視する方が2010年4月は55%だったのに対して2011年4月は87%、 アフターサービスや保証を重視する方も同じく30%に対して49%と、いずれも大きく増加しています。一方で外観や内観などの重視度は減少しており、家を買う方の意識は、「デザイン性重視」から「安全性重視」へと変化しています。
このような、物件の本質的な部分に目が向く変化は、良いことだと思います。人生で最も高価な買い物を、「見た目」と「価格」だけで判断するのはおすすめできません。家は資産であり、人が快適に安心して過ごす大切な空間です。そのためには「耐震」、「耐久」などの安心、そして「断熱」「省エネ」などの快適性の性能面をチェックした上で決断すべきものと考えます。
日本の不動産取引は、契約するまで消費者の費用負担は一切ありません。実はこれは当たり前ではないんです。たとえば欧米では図面をおこせばお金がかかり、検査にもお金がかかります。「安心」は本来、タダで手に入るものではないのです。
自分で調べ、聞き、時にはお金をかけて第三者に検査・チェックしてもらう??これからの住まい選びには、そのような視点をぜひ持っていただきたいと思います。
取材・文/大森広司(オイコス)
公開日 2011年07月13日
最終更新日 2017年07月13日
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