新築と中古の建物や設備の違いは、「新しい・古い」だけではない。さまざまな技術の発展により、建物や設備の「性能」にも違いがあるのだ。
新築と中古の建物構造や設備はどこが違うのか。一戸建ては、中古でもリフォームによって新築と同程度の住まいの実現が可能なので、ここではマンションについて、建物の安全性や、水まわり設備など住み心地を左右するポイントを比べよう。
1981年以前の中古は、耐震診断の有無をチェックしよう
1981年6月に建築基準法の耐震基準が変更になり、それ以降に建築確認を受けて建てられた中古住宅は、マンション・一戸建てともに、「震度6強~7(阪神・淡路大震災と同程度)の地震では倒壊せず、震度5強程度の地震では損傷しない」強度で建てられている。それ以前に建てられた住宅を検討する場合は、耐震診断や耐震改修をして、現在の基準を満たす強度になっているか確認することが大切だ。
さらに、新築マンションや、築20年以内の中古のなかには、地震の揺れを抑える免震構造などを採用する物件もある。また、最近は、居住者用の防災倉庫を用意する新築マンションも増えている。
セキュリティ対策は「新築マンション」が充実
マンションは、新築・中古ともに、セキュリティの充実した物件を探しやすい。特に、新築マンションは、オートロックシステムを、エントランスとエレベーターなど複数の場所に設置する「多重セキュリティ」など、最新の防犯対策をとる物件が多く見られる。また、中古マンションでも、築年の新しい物件を中心に、オートロックや宅配ボックス、玄関多重セキュリティのしくみの二重鍵、TVモニター付きインターホン、防犯カメ ラなどの防犯設備の付いた物件を探すことができる。
リフォームで変えられない「新築マンション」の開放感
新築マンションは、リビングの柱や梁を外に出す「アウトフレーム工法」を採用する物件が多い。また、リビングの天井高は2m45cm以上、バルコニーの奥行きは2m以上が標準だ。このほか、窓の高さや幅も大きくとっているため、明るく開放的なリビングで過ごすことができる。中古は、築20年以内であれば、このような物件を探すことが可能。それ以前に建てられた物件は、天井高2m40cm以下、バルコニーの奥行きは1m50cm以下、窓の高さも新築より20cm~30cm低い物件が多い。
水まわり設備などは、中古でもリフォームで変えられる
新築マンションでは、空間をスッキリさせ、家事効率をよくする設備を水まわりに導入する物件が多く見られる。例えば、水を貯めるタンクがない「タンクレストイレ」や、浴槽へのお湯張りがスイッチひとつでできる「オートバス」、洗濯物を浴室に干せる「浴室乾燥機」などだ。また、バスルームも、新築や築15年以内の中古物件の3LDKでは「14cm×18cm」の広さが多いが、それ以前の物件はサイズがひと回り狭くなる。こういった設備は、中古でもリフォームで取り付けることが可能だが、性能の高い設備や大がかりな工事を伴う場合は価格も高めなので、事前に費用を確認することが大切だ。
また、新築マンションに多い「ディスポーザー(キッチンの生ゴミを排水口で粉砕して流す設備)」のように、リフォームでは取り付けられない設備もある。
中古を選ぶときは、リフォームに制限がないか確認を
中古マンションのなかには、管理規約に「リフォームの制限」が設けられている物件や、間取り変更などが難しい建物構造の物件もある。また、古い物件のなかには、現在とは電気容量(アンペア)や水圧が異なるものも見られる。
このため、中古を買ってリフォームする場合は、「浴室の広さや水まわりの位置を変えたい」、「フローリングの床にしたい」「間取りを変更したい」など、リフォーム内容を不動産会社に伝え、希望通りにできるか調べてもらおう。管理規約を見せてもらって、自分で確かめたりリフォーム会社に見てもらうとより確実だ。また、電気容量や水圧は現在の水準と同じにできるか確認することも大切だ。
建物構造や設備は、「新築」のほうが充実している。ただし中古でも、築年が新しいものなら新築と同じような構造・設備の物件を探すことが可能だ。一方、築年が古い中古を買ってリフォームする場合は、リフォームに制限がないかを管理組合に確認したうえで、その内容や費用面まで考えて、購入するかどうかを決めよう。