便利な住宅設備を採用することで、毎日の家事はラクになる。さらに、家族のライフステージの特性を知り、それに適した設備を選べば、家事の負担が一層減って暮らしにゆとりが生まれるだろう。今回は、子育て世帯の設備選びの優先ポイントをまとめてみた。
子どもが小さいうちは目が離せないため、家事に専念しにくい時期。いたずらやけがなどにも注意が必要だ。
「乳幼児期は、親が安心して家事を行えるような設備選びが大事。危険の多いキッチンは、チャイルドロック機能やつり元に手を挟まない配慮のある扉を採用。調理中でもリビングに目が届くレイアウトがオススメです」
また、手洗いなどのしつけやトイレトレーニングも必要な時期。すぐに対応できるように、サニタリーとキッチンの位置を近くするなど、動線面の工夫も有効だ。
子どもの成長に伴いモノの量も増える。「玄関に土間続きの広めの収納を設けベビーカーや外遊びのオモチャなどをしまいましょう」。あえて居室のスペースを1畳減らしてでも、その分を収納に回す。結果的にモノが外にあふれず家の中がかえって片付きやすくなる。
子どもの様子がいつでもわかるように、キッチンからリビングダイニングが見渡せるようなレイアウトがオススメ。料理や後片付けをしながら、常に目が配れるようにしておこう。
キッチンまわりは危険がいっぱい。ドッキリ・ヒヤリを防ぐために、チャイルドロックなど安全機能のついた加熱機器を選びたい。IH クッキングヒーターは火を使わない点が安心だ。
落書きなどのいたずらは創造性の表れでもあり、頭ごなしに怒りたくないもの。ならばいっそ落書きOK な壁を設けるのも手。消しやすい素材の壁紙や建材が出ている。
食べ物や泥で汚れた服や布おむつの予洗いなど、子育て期は洗面ボウルが大活躍。さまざまな用途に活用できる、大きめのボウルを選ぼう。汚れのつきにくい素材や形状なら手入れもラクだ。
子どもが小さいうちは一緒に入浴するのが普通。親子で同時に入れる浴槽なら、湯冷めの心配も少ない。浴槽内に段差のついたタイプはベンチになり、大人が半身浴をする際にも便利だ。
トイレトレーニングのときは、間に合わない、加減がわからないなどで失敗しがち。トイレの床を清潔に保つために、汚れがつきにくく掃除しやすい素材を選ぶと、親のストレスも減る。
リビングダイニングの片隅に壁付け型の手洗い器を設けると便利。「わざわざ洗面所に行かなくても済むので、手洗いのしつけがしやすく、洗い物のお手伝いを教えることもできます。キッチンから目が届く位置にしましょう」
ベビーカーやバギー、子どもの外遊び道具やスポーツ用品は、広めの玄関収納に収めるのがベスト。土間続きの収納なら土や砂などの汚れがついても掃除がラクだ。
パーツの組み合わせでさまざまなモノの収納に対応できる玄関収納。折り戸で大きく開くので、ベビーカーなどの取り出しもラク。●パナソニック「クロークボックス」
料理、洗濯などを同時に行うとき、ぐるりと回れる回遊型だと家事効率がアップする。キッチンと洗面所は近くに配置しリビングや廊下と双方向から行き来できるようにすると、子どもの様子を見やすく安心というメリットも。
お話を伺った方
アトリエ雲 代表 竹岡美智子さん
設計事務所、住宅メーカーなどを経て、1991年に「アトリエ雲」を設立。女性の立場から、住みやすさ、快適さを追求した住宅の新築・リフォームの設計を手がける
2016年07月26日 住まいの設備を選ぶ本 2016秋より転載