マイホームの老朽化や、家族構成・ライフスタイルの変化にともなって、リフォームを検討する人も多いでしょう。しかし、リフォーム内容によっては多くの資金が必要で、自己資金だけでは足りないことも。そんなときに選択肢のひとつとして検討したいのがリフォームローンです。今回は、リフォームローンがどのような商品で、どこでどのように申し込めばいいのかなど、リフォームローンについて詳しくご紹介します。
マイホームの増改築や修理、バスやキッチンの設備機器交換など、リフォームの際に利用できるのが「リフォームローン」です。マイホームの新築工事には利用できません。
リフォームの費用は工事の内容によって異なり、大がかりな工事となると数百万円、時には1000万円を超える費用がかかるケースもあります。そのため、希望のプランを実現するためには、リフォームローンを上手に活用することも必要です。
住宅ローンを利用してリフォームをすることもできますが、リフォームローンと住宅ローンにはさまざまな違いがあります。
リフォームローン | 住宅ローン | |
---|---|---|
担保提供 | 不要のプランあり | 必要(自宅を担保として提供するのが一般的) |
初期費用 | 不要(一部、必要なローン商品あり) | 必要(抵当権設定費用など) |
手続き | 審査期間が最短数日で手続きも簡素 | 審査期間が最短1~2週間で手続きが煩雑 |
借入限度額 | 10万円~1000万円程度など | 100万円~最大1億円など |
金利 | 約2%~5% | 約1%~2.5% |
借入期間 | 1年~15年など短い | 最長35年など長い |
以上のことを踏まえると、借入期間が短く、また、借入金額が少ないほど、リフォームローンを利用するメリットが大きくなります。
リフォームローンは銀行や信用金庫、JA、ネットバンキング、信販系など企業と提携したリフォームクレジットローンなど、さまざまな金融機関で取り扱っています。ホームページ等で金利や諸費用など、融資の条件を比較してみましょう。
【フラット35(リフォーム一体型)】 | 銀行などの金融機関のリフォームローン (担保不要プラン) |
信販系のリフォームクレジットローン | |
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担保提供 | 必要 | 不要 | 不要 |
初期費用 | 必要 ・抵当権設定費用など ・融資手数料など |
不要 | 不要 |
手続き | 審査期間が最短1~2週間で手続きが煩雑 | 審査期間が最短数日で手続きも簡素 | 審査期間が最短数日で手続きも簡素 金融機関よりも審査に通りやすい |
借入限度額 | 100万円~8000万円 | 10万円~1000万円など | 10万円~1000万円など |
金利 | 約1%~2% | 約2%~5% | 約2%~5% 加盟店(リフォーム会社)によって異なる 金融機関よりやや高め |
借入期間 | 15年~35年 | 1年~15年など短い | 1年~15年など短い |
また、多くの金融機関が、取引の内容に応じた優遇金利を用意しています。次の項目に当てはまる場合は、取引のある金融機関にリフォームローンの優遇金利のあるなしを忘れずに確認しておきましょう。
・すでに住宅ローンを利用している
・給料振り込みをしている
・公共料金を口座振替で支払っている人など
リフォームローンには、リフォームするマイホームを担保に入れる「有担保タイプ」と、担保がいらない「無担保タイプ」があり、それぞれ次のような特徴があります。
有担保タイプ | 無担保タイプ | |
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借入限度額 | 10万円~2000万円など | 10万円~1000万円など |
借入期間 | 1年~35年など長め | 1年~15年など短め |
金利 | 約1%~4%で、無担保より低め | 約2%~5%で有担保より高め |
初期費用 | 必要 ・抵当権設定費用など |
不要 |
有担保タイプは、住宅ローンのように「借入限度額が大きい」「借入期間が長い」「金利が住宅ローン並みに低い」といった特徴があります。多くの借り入れが必要な人は有担保タイプを、借り入れが少ない方は無担保タイプを、リフォーム計画に合わせて選ぶといいでしょう。なお、有担保タイプのリフォームローンを提供していない金融機関では、「リフォームにも使える住宅ローン」として提供しているケースがあります。借り入れが多い人は、住宅ローンでリフォーム資金を借りられるのかもチェックしておきましょう。
リフォームローンの金利は、市場金利にあわせて金利が変動する「変動金利タイプ」と、契約時の金利が返済終了まで変わらない「固定金利タイプ」に大きく分けられます。どちらのタイプを選べばいいのかは一概には言えません。それぞれの特徴をよく理解して、自分の返済プランにあったタイプを選ぶといいでしょう。
なお、返済期間が長めのリフォームローンの場合、契約当初の数年間が固定金利で、その後は変動金利となる「固定金利期間選択タイプ」が用意されていることがあります。返済総額や返済プランを比較したうえで、選択肢に加えるといいでしょう。
リフォームローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。
元金均等返済は返済総額を抑えられるためお得に感じますが、返済のしやすさでは元利均等返済のほうが勝っています。返済方法を選ぶ場合には、完済までの返済総額と月々の返済額をシミュレーションしてもらい、ムリなく返済を続けられる方法を選ぶといいでしょう。
中古住宅や中古マンションを購入してリフォームをする人のために、マイホームの購入費用とリフォーム費用をまとめて借りられるローンも用意されています。
住宅ローンとリフォームローンを別々に申し込むと、2つのローンを返済しなければなりませんが、ローンを1つにまとめると返済計画を立てやすくなります。さらに、リフォームローンより金利が安くなるというメリットもあるため、選択肢に入れておきたいところです。
また、【フラット35】にも、リフォーム費用をまとめて借りられるプランがあります。あわせて検討するといいかもしれません。
中古住宅を購入してリフォームする場合に利用できるのが「【フラット35(リフォーム一体型)】」です。住宅金融支援機構が定める【フラット35】の技術基準を満たさないため、【フラット35】が利用できない中古住宅でも、リフォーム工事で基準を満たせば【フラット35】が使えるようになります。
中古住宅を購入し、性能向上リフォーム(省エネ性や耐震性など、住宅の性能を一定以上向上させるリフォーム工事)などを行う場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度です。住宅事業者から、性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する場合にも利用できます。2021年3月31日までの申込受付分に適用され、予算金額に達すると受付が終了します。
省エネ性、耐震性など質の高い住宅を取得する場合に、【フラット35】の借入金利を一定期間引き下げる制度が【フラット35】Sで、中古住宅を購入して性能向上リフォームなどを行う場合にも利用できます。2020年12月末までの申込受付分に適用され、予算金額に達すると受付が終了します。
リフォームをした場合には、条件によって減税になるケースがあります。主な制度について、いくつかご紹介します。
一定の条件のもと省エネ改修工事をした場合には、リフォーム費用の一定額が減税されます。
一定の条件のもと住宅耐震改修工事をした場合には、リフォーム費用の一定額が減税されます。
返済期間5年以上のリフォームローンなどを利用して、バリアフリーや省エネ工事など一定要件を満たすリフォームをした場合に減税されます。
返済期間10年以上の住宅ローンなどを利用し、一定のリフォームを行った場合に減税されます。
詳しくは、SUUMO「リフォーム減税」にてご紹介 しています。
リフォームローンにはたくさんの商品があり、多くの金融機関からさまざまな商品が提供されています。ご自身のリフォーム計画に合わせて、ふさわしいプランを探してみましょう。
リフォームローンはマイホームの増改築や修理、バスやキッチンの設備交換など、リフォームの際に利用でき、中古住宅を購入してリフォームをする人のため、マイホームの購入費用とリフォーム費用をまとめて借りられるローンも用意されている
リフォームローンは住宅ローンよりも金利は高めだが手続きが簡単で、融資期間が短く融資額も少ない場合には住宅ローンよりも使いやすい
リフォームローンには変動金利タイプと固定金利タイプ、有担保タイプと無担保タイプなどさまざまなタイプがある