SUUMO(スーモ)は、住宅・不動産購入をサポートする情報サイトです。
近年、新築ではなく、中古一戸建てを購入してリノベーションするという選択肢が広がってきている。そこで、戸建てのリノベーションのメリット・デメリットや費用の目安、物件購入の際に注意するポイントなど、押さえておくべきポイントをご紹介。中古物件購入+リノベーションを多数手掛けるリビタに話を伺った。
戸建てリノベーションでは、築古で老朽化した戸建ての躯体を活かしながら、住まい手のライフスタイルに合わせて内装・外装などを取り替えることで新たな価値を生み出すことができる。間取りプランや内装のデザインはもちろん、屋根や外壁、サッシなど外観も変えられるので、基本的に注文住宅のように自由なプランニングが可能だ。中古戸建ての場合、庭の木々を活かして、入居したときから住みこなした味のある雰囲気を楽しめるのも魅力。既存の建物がある分、プランのイメージをしやすい点も利点だ。
また、戸建てリノベーションの場合、新築ではなかなか出てこない利便性の高い好立地の物件が、中古で売りに出されることも。また、物件を選ぶ際に、事前に住戸からの眺望や日当たりの状況が確認できるのもメリット。隣家との距離感や窓の位置などを確認しておくことで、プランニングイメージがつかみやすい。躯体を活かしながら使用することから、廃材が少なく済み、エコにもつながる。
・マンションよりもプランニングの自由度が高い
・庭の植栽をそのまま引き継げるので、入居時から住みこなした雰囲気を楽しめる
・利便性の高い立地の物件を見つけられることも
・廃材が少なく済むケースも多く、エコにもつながる

一方、戸建てリノベーションのデメリットとしては、マンションのリノベーションに比べて費用が高くなるということが挙げられる。工事が外観や耐震・断熱の補強などに及ぶ場合は、注文住宅と同じくらいの費用になることも。また、構造面などの補強なども含めると新築戸建てとトータルでかかるコストは変わらない場合もあるので、リノベーションだからといって低コストになるわけではないので注意しよう。
プランニングについては、戸建ての場合は現状の間取図を入手することが難しいケースが多く、ない場合には内見して図面を起こす必要がある。工事に入ってから構造部分で予想外のことが発覚することもある。また、断熱の補強をした場合でも、四方が外気に接しているため、断熱性はマンションより劣ることも念頭に置いておこう。
中古戸建ては中古マンションに比べ物件の供給数が少ないため、物件が出てくるまでに時間がかかるケースも多いことから、入居のタイミングが決まっていると難しい場合も。期間に余裕をもって検討しよう。
・マンションに比べて費用が割高になるケースが多い。新築戸建てとも費用は変わらない可能性も
・現状の間取図が入手できないケースが多い
・構造部分の工事や断熱の補強が必要な場合は費用が割高になる
・物件の流通量が少なく、物件探しに時間がかかる場合も
戸建てをリノベーションする際に注意すべきポイントについては下記を押さえておこう。
戸建てのリノベーションの場合、大きくかかわってくるのが「工法」。構造によってリノベーションの向き・不向きがあるので、それぞれの構造の特徴について知っておくことが必要だ。木造の場合、約7割は木造軸組工法に該当するが、この工法は間取り変更しやすいため、リノベーションに適している。2×4(ツー・バイ・フォー)工法は壁式工法のため間取り変更がしづらいが、木造に比べ耐震補強の必要性がないケースが多いので、間取り変更がない場合はオススメ。認定式工法と呼ばれる各メーカー独自の工法などは変更が難しい場合もあるが、住宅メーカーの場合は物件の間取図を入手できることが多い。また、鉄筋コンクリート造(RC造)の場合は、耐震性が高く間取りの自由度が高い。

物件を検討する際には、自分たちが実現したいプランにはどのような工法が合っているかなど、設計を依頼する会社にも相談しながら探すとスムーズだ。耐震・断熱補強や大幅な間取り変更をする場合は、耐震診断士に構造的なチェックをしてもらおう。
また、築年数が古い物件の場合、再建築不可の物件があることを知っておこう。接道幅などが現行の建築基準法の基準に満たない場合やなかには違法で増築しているケースも。こうした戸建ては、住宅ローンを組むことができない場合がほとんどで、ローンが組める場合でも全額ではないため、こうした物件をリノベーションするときは基本的には現金での支払いになると考えておこう。
再建築不可物件について詳しくは下記を参考にしよう。
再建築不可物件とは? 後悔しないために知っておきたい再建築不可物件のメリット・デメリット
中古物件の購入費用に加え、リノベーションにかかる設計料や工事費などの費用も住宅ローンで借り入れることは可能だが、中古物件購入とリノベーションを同時に行う必要があるため、物件探しとプランニングは並行して進めておくと安心だ。
リノベーションは、使う材料や工事の内容・規模によって費用が変わる。戸建てリノベーションは、築年数が古くなるほど、工事内容が多くなるため、費用が多くかかるのが一般的だ。
築年数の浅い戸建ては耐震性能や断熱性能が高い。特に2000年以降に建てられた戸建ては最新の耐震基準で建てられているため、リノベーション時に構造部に手を入れる必要が少ない。築20年程度までの戸建てリノベーション費用は平均約750万~2100万円が目安だ。
一方、築20年以上の戸建てについては、壁を解体して耐震補強を行ったり、断熱したりと、構造部に手を入れなければならないケースもあるため、その分コストがかかってしまう。
築20年以上の戸建てリノベーションにかかる費用は平均約1400万~4100万円。戸建ては築年数が古くなるほどリノベーション工事が大規模になることが多く、場合によっては、建て替えに近い費用がかかることも。
したがって、築20年以前か以降かによってリノベーション工事内容が変わる一つの目安となる。それぞれのリノベーション費用の相場については、下記のとおり。
| 築20年程度まで | 築20年超 | |
|---|---|---|
| 20坪(約66m2) | 750~830 | 1400~1700 |
| 30坪(約100m2) | 1100~1200 | 2100~2500 |
| 40坪(約132m2) | 1500~1700 | 2800~3300 |
| 50坪(約165m2) | 1900~2100 | 3500~4100 |

戸建ての場合、築年数が古いと耐震補強や断熱工事を要するケースが多く、その分費用がかかる。建築基準法の耐震基準は、1981年に大きく改正され、2000年にも改正が行われた。この法改正により、壁の配置のバランス計算や木材を固定する金物などが義務づけられた。
つまり、現在の建築基準法によって建てられた築20年以内の戸建てに関しては、高い耐震性が備わっているといえる。しかし、2000年の法改正以前に建てられた戸建ては、リノベーションの際にきちんと耐震診断を行い、必要な補強を行って地震に強い家にリノベーションする必要がある。
また、耐震性と違い、断熱は義務づけではないため、古い戸建ては断熱をしていないか、していても断熱材が薄くて効果が不十分なことが多い。断熱は国が定めた住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)や建築物省エネ法などの基準に沿って行われるケースが多いが、1999年に改正された次世代省エネ基準の省エネルギー対策等級4がほぼ現行基準に近いため、断熱においても築20年以内かどうかが一つの目安となる。
この基準以前に建てられた家は、断熱不足である場合が多いため、リノベーションの際に耐震補強と合わせて断熱工事も行う必要がある。
このように、築20年を一つの目安に、築年数が古い戸建てをリノベーションする場合は、耐震補強や断熱工事を要するケースが多くなるため、その分リノベーション費用もかかる。中古物件を購入してリノベーションをする場合は、物件の築年数を確認しよう。
詳しくはこちら
一戸建てのリノベーションは耐震補強や断熱などが必要
では、どのようにすればリノベーション費用を抑えることができるのだろうか。

リフォームをすると補助金や助成金がもらえたり、減税されることがある。国の補助金以外にも、都道府県や市区町村が実施しているリフォーム補助金・助成金の制度も。
制度の内容については国や各都道府県、市区町村のホームページおよび自治体の窓口にて確認してみよう。
耐震リフォームや省エネリフォームなど、条件によってはさまざまなリフォーム減税が適用される。
また、長期優良住宅や省エネ、耐震、バリアフリーなどの工事により控除額や控除率が異なる。
さらに、贈与税が非課税になることも。親など直系尊属からリフォームの資金を贈与された場合は、500万円、省エネ、耐震、バリアフリーの一定の基準を満たすと1000万円まで非課税となる(2023年12月末の契約まで。贈与を受けた年の所得金額2000万円までが条件)。
リフォームの補助金や減税制度は併用できるものも多く、その場合は補助金額や控除額が増える。国からの補助金は、省エネなど目的が重複する場合は併用ができないが、自治体の補助金とは併用可能。また、減税制度はリフォーム減税同士で併用できる場合が多く、所得税減税と固定資産税減税も併用可能だ。
リフォーム内容によってさまざまな制度や減税を受けられるので、適用されるものをしっかり確認しよう。
そのほかに費用を抑えるためのポイントとしては、間仕切りを増やしたり、水まわりの配管移動など、大幅な間取り変更はその分工事費用がかかるため、なるべく既存の間取りを活かしてプランニングすることが重要だ。
また、家具や建具工事も造作にするとコストがかかるため、必要最低限にして既製品などを組み合わせれば、工事を減らせるためコストを抑えることができる。間取りプランを検討する際には、居室ごとに優先順位づけを行い、予算にメリハリをつけてコスト調整をしていこう。
詳しくはこちら
リノベーション費用を抑えるポイント
それでは、いくつか戸建てリノベーション実例をご紹介しよう。リノベーション内容の参考にしてほしい。既存の物件の状況や実現したいリノベーションによって、フルリノベーションと部分リノベーションなど工事の幅はさまざま。実例のプランを参考にしながら、予算のバランスを見て工事内容を検討しよう。
古家付土地として流通しており、通常であれば取り壊されてしまうはずだった築50年の建物を、現代の暮らしに合わせてリノベーション。既存の建物の良さを活かした空間を実現した。平日の日中に妻がリビングでアロマセラピーサロンができるよう、カーテンやベッドの収納を計画。また、敷地の一部にはスラックライン用の基礎を設け、敷地の余った部分も使いこなせるよう考慮している。


専有面積 76.63m2
工事内容 フルリノベーション
建物構造 木造在来工法
工事期間 4カ月
家族構成 ファミリー(夫婦+子ども2人)
かつてヨーロッパにお住まいだったときに古いアパートメントをリノベーションした家で暮らしていた経験から、古いものと新しいものが重なり合うような雰囲気の住まいにしたいと、戸建てリノベーションを選択。もともとの建物がもつ木張りの天井や、室内の縦格子、扉、別荘のような吹抜けなどを極力活かしながら、ブルーグレーの塗装壁が印象的なインテリアに仕上げた。


専有面積 93.10m2
工事内容 部分リノベーション
建物構造 木造在来工法
工事期間 約4カ月(DIY期間含む)
家族構成 夫婦+子ども2人
フラワーアーティストとして活躍する妻の祖父から引き継いだ築47年の木造2階建てをリノベーションし、アトリエを併設して家族の生活空間と一体となった住まい。1階は玄関から続く土間は吹抜けにして妻のアトリエに。階段ホールの先にはLDKがあり、土間、階段ホール、LDKはオープンにすればワンルーム状となり開放的な空間にもなる。既存の家の古き良きディテールを効果的に活かしながら、親子4代にわたり大切に継承されている。


専有面積 144.64m2
工事内容 フルリノベーション
建物構造 木造在来工法
工事期間 約5カ月
家族構成 夫婦+子ども1人
「専有面積の50%超を自宅にすることで、住宅ローンが利用できる」という仕組みを使うことで、2Fを自宅、1Fの一部を焙煎機のあるカフェへリノベーションし、職住近接の暮らしが実現した。


専有面積 101.13m2
工事内容 フルリノベーション
建物構造 木造在来工法
工事期間 約5カ月
家族構成 夫婦+子ども1人
それぞれのライフスタイルに合った暮らしを実現できる魅力的な戸建てリノベーション。あらかじめ物件購入やプランニングでの注意点を押さえて、自分たちらしい暮らしを手に入れよう!
戸建てリノベーションはマンションと比較すると自由なプランニングが可能で、入居時から住みこなした雰囲気を楽しめる
マンションに比べて費用が割高になるケースが多い。新築戸建てとも費用は変わらない可能性も
中古物件を検討する際、自分たちが実現したいプランにはどのような工法が合っているかなど、設計を依頼する会社にも相談しながら探すとスムーズ
耐震・断熱補強や大幅な間取り変更をする場合は、耐震診断士に構造的なチェックをしてもらうと良い