窓の断熱効果をあげるには? DIYからリフォームまでを徹底解説

公開日 2018年07月27日
窓の断熱効果をあげるには? DIYからリフォームまでを徹底解説

冬寒く、夏暑い家。その原因は「窓」にあるかも。では、外の寒さや暑さの影響を受けにくい断熱性の高い窓にする方法は?自分でできるDIYやプロに頼むリフォームを紹介しましょう。断熱リフォームについてはLIXILサッシ・ドア事業部 窓リフォーム商品開発室の鷹野俊郎さんに話を聞きました。

室内の熱、いちばん多く逃げるのは窓って本当?

冬は熱が逃げ、夏は熱が入ってくる

部屋の中を快適な室温にするため、ストーブやエアコンを使いますが、建物の断熱性や気密性が低いと冬はせっかくあたためた熱が外へ逃げ、夏は外の熱が室内に影響します。熱の出入りの原因は換気のほか、屋根や床、壁、窓などが熱を伝えるため。特に割合が大きいのが「窓」です。

冬寒く夏は暑い室内は快適とはいえません。特に寒さは健康にも悪影響。「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」(2018年1月 国土交通省「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査の中間報告(第2回)」)よると、冬の室温の低い部屋で寝ていた人ほど起床時の血圧が高く、断熱リフォームを行ってあたたかな家にすると血圧が低下。室温の上昇幅が大きいほど、血圧も大きく低下する傾向が見られます。

窓からの熱の出入りを抑え、冬あたたかい家にすることは快適なだけでなく、健康を守るためにも大切なポイントとなるのです。

熱が出入りする場所は窓の割合がいちばん大きい
イラスト
平成4年省エネ基準レベルの断熱性能の住宅での計算例。冬は暖房時に熱が逃げる割合、夏は冷房時に熱が入ってくる割合の例

窓の断熱性アップ。DIYならおトクにできる?

立てかけるだけ、貼るだけの簡単DIY

できるだけコストや時間をかけずに、少しでも窓の断熱性をアップさせるなら、ホームセンターで手に入るものを使った簡単DIYを試してみるのもいいでしょう。まずは、1カ所当たり1000円台から数千円でできる方法を紹介します。

・カーテンを買い替える
今使っているカーテンが薄いものなら、厚手のカーテンに架け替えるだけでも断熱効果は上がります。床に届くくらいの長めのものならすきま風にも効果が期待できます。夏の熱を防ぐには遮熱カーテンがオススメ。ただし、カーテンを閉めている間限定の効果です。

・プラダンを立て掛ける
ホームセンターへ行くと、白っぽい半透明のプラスチックの板が売られています。これがプラスチック段ボール(通称プラダン)。ホームセンターで窓のサイズよりも少し大きめにカットしてもらい、窓の室内側に立て掛けます。外の景色が見えるように、窓の下半分を覆うだけでも効果はあります。とても手軽な方法ですが、窓の開閉がしにくいデメリットも。

・断熱シートを貼る
断熱効果のある窓用のシートがホームセンターやネット通販で売られています。窓枠にマスキングテープや両面テープで貼り付けるタイプならはがしやすく、貼り直しもラク。

イラスト
冬の断熱、夏の遮熱のどちらにも効果のあるシートやフィルムが市販されている

DIYで内窓を付けて断熱効果のある二重窓に

窓ガラスは1枚よりも2枚のほうが、ガラスにはさまれた空気層のおかげで断熱効果があります。DIYで取り付けられる簡易内窓キットが数千円から2万円程度で売られていますから、DIYでチャレンジしてみる方法も。ただし、不器用な場合、隙間ができてしまってあまり効果がないことも。また、簡易内窓キットは面材がガラスではなくポリカーボネート製のものが多いため、ガラス窓で二重にする場合に比べて断熱効果は劣ります。

イラスト
簡易的な窓を自作して設置する、内窓キットを購入して取り付けて断熱

プロに頼む窓の断熱リフォーム。どんな方法があるの?

効果が高いのは内窓の設置

DIYもいいけれど、断熱リフォームは施工の良し悪しが効果を左右します。また、仕上がりの美しさも考えればコストはかかってもプロのリフォームを検討したいもの。リフォーム会社などに頼んだ場合は、どんな窓断熱リフォームがあるのでしょう。

効果が高いのは室内側に追加する内窓。ガラスが単板のもの、複層ガラスのもの、どちらでも断熱効果は高められるそう。費用は材料と工賃を含めて窓1枚当たり約5万~12万円程度(参考価格。施工会社や窓の大きさ、ガラスの種類、施工カ所数などで金額は違います)。施工時間は1カ所につき1時間程度が目安です。
「内窓を設けることで冬の暖房だけでなく夏の冷房も効きやすくなります。また防音にも効果的。交通量の多い道路が近いなど外の音が気になる方のほか、楽器の音や子どもの声など家の中で出す音で近所に気兼ねをしたくない方などが防音のために設置されることも多いですね。ただし、古い家で、既存の窓枠と建物に隙間があると効果は落ちてしまいます。その場合は、窓ごと交換してしまったほうが効果が期待できます」(鷹野さん、以下同)

イラスト
熱伝導率が低く断熱効果、防露効果の高い樹脂製サッシの内窓「インプラス(TOSTEM)」(画像提供/LIXIL)

窓ごと交換は一戸建ての場合

断熱性・気密性の高い窓に交換する場合の費用は1枚当たり約11万~23万円程度。所要時間は1棟当たり半日程度が目安です。
「窓ごと交換のほうが、窓の開閉の際の手間が内窓よりもかからないというメリットがあります。例えば、あまり開閉をしない窓は内窓にしてコストを抑え、ベランダなど頻繁に開け閉めする大きなテラス窓は窓ごと交換するなど、窓の使い方や予算に合わせて選ぶといいでしょう」

イラスト
強度と耐久性がメリットのアルミと、断熱性と防露性がメリットの樹脂。2つの素材からなる高性能ハイブリッド窓の「リプラス(TOSTEM)」(画像提供/LIXIL)

なお、注意したいのはマンションの場合。大規模修繕で全住戸の窓を交換するケースはありますが、原則的に窓ごと交換ができるのは一戸建てのみ。内窓を付ける場合も、念のため管理組合に確認したほうがいいでしょう。

複層ガラスに変更する場合は防火地域のルールに注意

サッシはそのままでガラスを単板から複層ガラスに入れ替える方法もあります。ただし、熱伝導率が高く外の気温を室内に伝えやすいアルミ製サッシの場合は、内窓の設置や窓ごと交換よりも断熱性能は劣るとか。また、防火ガラスが必要な地域は、網入りガラスにしなければならないなどの制限も。管理組合に確認し許可を得たうえでリフォームをしましょう。

複層ガラスの構造
イラスト
中空層に乾燥空気やアルゴンガスが注入されて、熱を伝えにくくしている複層ガラス

断熱シートを買ってプロに施工してもらう。これって良いアイデア?

簡易内窓のキットや断熱シートを購入して、仕上がりがキレイになるようプロの職人さんに施工してもらう、という方法はどうなのでしょう? 内窓のキットや断熱シートの価格が安い分、コストを下げた断熱リフォームができる気もしますが、実は、職人さんに施工を依頼すると一人当たり1日数万円かかるのが一般的。費用の総額や断熱効果、施工後の保証などを考えると、リフォーム会社に依頼して内窓を付けたり、窓ごと交換をしたほうが安心です。

DIYとリフォーム、どっちを選べばいい?

断熱効果やコストを考えて決めよう

DIYとプロのリフォームのどちらを選ぶかは、コストと断熱性能のバランスがポイント。賃貸住宅の場合は、そもそも借りている人がリフォームするのは難しく、大家さんのOKが出たとしても、いずれ退去するのであればコストをかけるのはもったいないかもしれません。壁やサッシに影響がないDIYで断熱効果を上げるか、長く住む予定であれば大家さんに相談してリフォームを検討してもらうのもいいでしょう。

持ち家の場合も、築年数が古く建て替えも視野に入れているのであれば、数年間はDIYでしのぎ、建て替えの際に断熱性能の高い窓を導入するのがコスト的に良さそうです。

窓の断熱性は快適な暮らしの重要ポイント。賃貸でも持ち家でも、断熱性能をアップさせる方法はいろいろあります。あとどれくらい住むのか、近々リフォーム予定はないかなどコストと居住予定のバランスを考えてベストな選択をしましょう

関連記事リンク

お風呂のリフォーム、どれくらい費用がかかるの?
トイレのリフォーム、どれくらい費用がかかるの?
どんな増築をするかによって大違い?ケース別にみる増築工事の費用

リフォーム会社を探す
中古一戸建てを探す
中古マンションを探す
賃貸物件を探す
引越し見積もりをする
新築一戸建てを探す
注文住宅の会社を探す
新築マンションを探す
土地を探す
売却査定する
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
取材・文/田方みき イラスト/もり谷ゆみ
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る