ルーフバルコニーのある暮らし。BBQ、ドッグラン、ガーデニング…できること・できないことをプロが解説

最終更新日 2023年03月28日
ルーフバルコニーのある暮らし。BBQ、ドッグラン、ガーデニング…できること・できないことをプロが解説

名前はよく聞くけれども、実際に住んでいる人はそれほど多くない『ルーフバルコニー』付きのマンション。最上階あたりに設置されていることが多い『ルーフバルコニー』付きマンションに住んでみたくなったら、まずはその魅力やメリット・デメリットを知っておきませんか?ハコリノベのチーフコーディネーター 小西昌子さんにお話を伺いました。

「ルーフバルコニー」ってどんな場所?使い方は?

ルーフバルコニーとは、下階の屋根(ルーフ)を床として利用したバルコニーのこと。屋根がないので明るく開放的で、一般的なベランダやバルコニーより広い場合が多いことが特徴です。

高さのあるマンションは、日影規制や北側斜線制限という規制をクリアするために、主に北の部分を階段状にすることで隣り合った土地に日陰が大きくできないようにしますが、その階段状の部分をルーフバルコニーとして利用することが多いため、最上階あたりによく見られます。傾斜地に建てられたマンションでは、各階につくられることもあります。

下階の屋根の上が床になるのがルーフバルコニー
ルーフバルコニー付きマンションの写真
屋根がないのが特徴で、広々として明るく開放的。建物の外観に大きな影響を与える存在でもある(画像提供/PIXTA)

ルーフバルコニーは普通のバルコニーやベランダとは違う?

まずは、マンションにある、ほかの屋外スペースとの違いを確認しておきましょう。

●バルコニー
住戸の外壁から外にせり出していて、屋根や庇(ひさし)がないスペースのこと。バルコニーに屋根や庇(ひさし)がついたものがベランダになる。

●ルーフバルコニー
バルコニーのうち、下階の屋根(ルーフ)を床として利用したもの。最上階周辺に、通常のベランダやバルコニーよりも広くつくられることが多い。

●屋上テラス
ルーフバルコニーとほぼ同じ意味だが、住戸のない屋上につくられる場合を屋上テラスと呼ぶ。戸建てでつくられることが多い。

マンションの屋外スペースは形状によって名前が異なる
マンションの屋外スペースの種類と名称イラスト
ルーフバルコニーはマンションの中でも限られた戸数しかつくれない

ルーフバルコニーのメリットや魅力とは?

ルーフバルコニーがあるマンションの魅力をまとめてみましょう。

・屋根がないので、圧倒的な開放感がある
室内から外を見たときに空まで視界が広がり、気持ちまでのびやかに。また、三面が開けたルーフバルコニーでは180度のワイドな眺望が得られる。

・上階の屋根によって日差しが遮られることがない
天窓と同じように、横からの日差しだけでなく真上からの日差しを、季節や方角にかかわらずたっぷり得ることができる。

・通常のベランダやバルコニーよりも広いことが多い
下階の屋根を床として活用するため、他の部屋のベランダよりも大きい場合が多い。広い屋外空間を自分たちだけで使うことができる。

・希少性が高い分、資産価値につながりやすい
ルーフバルコニーがあるマンション自体がそもそも少ない上、あってもたくさんの戸数のうちのごくわずか。供給過多になりにくく、外観的にもよく目立つため、一般的なマンションよりも買い手がつきやすい可能性が高い。

ルーフバルコニーは、「屋根がない広めのベランダ」であり「広めのバルコニー」。「何ができるか」は一般的なベランダやバルコニーと同じですが、屋根がないことや面積が広いことで楽しみ方に違いが生まれます。

「室内の専有面積以外に、自分たちだけで使える大きな空間が得られる、という点が一番のメリットといえるでしょう。窓からつながる場合は、室内空間がそのまま延長したような広がりと開放感が得られます。また、ルーフバルコニー付きマンションは数が限定されるので、それだけ希少価値もあります」(小西さん)

屋根がない分日当たりがよく、十分な日射が必要な植物もよく育つ
ルーフバルコニーでガーデニングや日光浴を楽しむイメージ写真
一般的なベランダやバルコニーでもガーデニングや家庭菜園は楽しめるが、日当たりに恵まれたルーフバルコニーなら育成可能な植物のバリエーションが広がる(画像提供/PIXTA)

ルーフバルコニーのデメリットや注意点も知っておこう

ルーフバルコニーのデメリットは?

こんな素敵な空間なら広ければ広いほどいいのではないか、という気になるもの。しかし、デメリットもいくつかはあります。

●広さに応じて毎月の使用料が必要になる
ルーフバルコニーは、ベランダや1階の専用庭と同じように専用使用料が発生します。広さにもより、月額数百円~1000円前後程度の少額である場合がほとんどとはいえ、年単位になると負担に感じるかもしれません。

●修理修繕は自費負担ではないが、掃除は必要
屋根がないので雨風が吹き込み、チリやほこりがたまりやすいため、ベランダよりも頻繁な掃除が必要になります。排水口が詰まってしまうと、ルーフバルコニー全体が大きなプール状態になってしまいます。人工芝やウッドデッキを敷く場合は特に、ゴミがたまっていないかこまめにチェックしましょう。

●周辺から見られやすい場合が多い
屋根がないオープンな空間になるので、バルコニーに出ると意外に周囲から「丸見え」になることがあります。プライバシーが心配な場合は、柵の高さや形状に注意が必要です。

●風の被害を受けやすく、照り返しも強い
ルーフバルコニーは一般的なバルコニーやベランダよりも風の影響を受けやすいため、強風や台風の日には外に置いてあるものが風で飛ばされないように注意が必要です。また、コンクリートの広い床は照り返しも強くなります。

「ルーフバルコニーが大きいと『広すぎて持て余す』という方も割合にいらっしゃいます。活用できなければ、『ただ掃除の手間とコストだけが増えるだけの場所』になりかねません。また、上層階が多いこともあり、思っている以上に風の影響を受けます。風水害が増えている昨今は特に使い方に注意が必要です」(小西さん)

ルーフバルコニーで「できること」「できないこと」

ルーフバルコニーできること

それではルーフバルコニーで「できること」は何でしょうか。基本的には、ほかの住戸のベランダやバルコニーと同じ。つまり「そのマンションの規約で禁止されていないこと」です。しかし、屋根がなく、広さがあることで、普通のベランダやバルコニーとはまた異なる使い方ができるようになります。一般的にできることをまとめてみました。

  • 直射日光の下で、ガーデニングや家庭菜園ができる
  • 朝焼けや夕暮れ、夜景など、大空の景色を鑑賞できる
  • 太陽光で水を温かくした上でプール遊びが楽しめる
  • 簡易式のテントやハンモックでキャンプ気分が味わえる
  • 折り畳み式のテーブルセットを広げてお茶会が楽しめる
  • 視界が広いので、地域の花火や虹などが見やすくなる
  • 洗濯物や布団を、太陽光の下で広々と干せる(禁止しているマンションもある)

火を使わない飲食については問題ないので軽食やお茶会が楽しめます。また、子どものプール遊びやシャボン玉なども禁止されていないことが多いよう。外の空気を気軽に味わえるセカンドリビングのように活用してはいかがでしょうか。映える写真も撮りやすいですよ。

「広さがある分、洗濯物やふとんは干しやすくなります。『おうち時間』が以前よりも大切にされるようになったこともあり、『ちょっと出るだけで気軽に開放感が味わえる空間』があることのメリットは大きいでしょう」(小西さん)

屋根がなく広いルーフバルコニーで得られる開放感は大きい
ルーフバルコニーで花火鑑賞を楽しむ家族のイメージイラスト
ルーフバルコニーなら、ワイドなパノラマが楽しめる可能性大

ルーフバルコニーでできないこと

「自分たちだけで使える、日当たりのいい広い屋外スペースがある」と思うと、「あれもしたい、これもしたい!」と夢が膨らむもの。では、ルーフバルコニーで実際にできないことは何でしょうか?

ルーフバルコニーはマンションの共有スペースになるので、どんな使い方ができるかはマンションの規約によって定められています。禁止事項は物件ごとに異なりますが、よくある禁止事項には例えばこのようなものがあります。

  • もともとの形状を変える
  • BBQや喫煙で煙・ニオイを発生させる
  • 大人数や大声で歓談する
  • 裸になる
  • ペットを飼う
  • 火を使う、など。

BBQはもちろん、花火などの火を使うことはほぼすべてのマンションで禁止されています。騒音の原因になるボール遊びや、大きな音で音楽を聴くこと、道具を落としてしまいかねないゴルフの素振りなどは禁止されている場合がほとんどです。床が下階の屋根になっているので、ドタドタ走り回ったりすれば騒音や振動で迷惑をかける可能性があります。

「ペット可」のマンションでも飼育は室内に限られるため、バルコニーでのブラッシングは禁止されている場合が多く、ドッグランのように走り回らせることも難しいでしょう。「庭があればBBQができる!」「広いバルコニーをドッグランにできる!」などと思い込んで購入し、入居後に「実はできない」ことがわかってがっかりすることがないように、契約前に規約をしっかり確認しておきましょう。

「ルーフバルコニーは風が強いので、物置を置く際には固定したくなりますが、『もともとの形状を変えることができない』ので、『躯体に穴を開けることになる』ような固定はできません。また、大規模修繕工事の際には、設置したものをすべて撤去する必要があり、いろいろ置いてしまうと大変なことになります。簡単に取り外せる、例えば木製の目隠しや人工芝などは、風で飛んでいってしまう可能性も考えておきましょう。また、水やりやプール遊びの際には、階下の洗濯物などをぬらしてしまわないように注意が必要です」(小西さん)

周囲に迷惑をかけることは基本的に禁止されている
ルーフバルコニーでの禁止例のイメージイラスト
床の下は居室になるため、騒音にも注意が必要

賃貸契約や購入する際に気をつけることは?

メリット・デメリットを知った上で「ルーフバルコニー付き住戸に住みたい!」と思ったときには、どんな点に気をつけて物件を選べばいいでしょうか?

「ルーフバルコニーがリビングに面していればいいのですが、あまり使わない部屋に面していたり、掃き出し窓でつながっていなかったりすると、出入りが面倒で使いにくくなります。『ルーフバルコニーがある!』というだけでなく、部屋とのつながり方にも注意して物件を選びましょう。風が強いなどの注意点はありますが、ルーフバルコニーというプラスαの空間を使いこなせれば、ほかの部屋では味わえない優雅な時間が楽しめるはずです」(小西さん)

ルーフバルコニーは部屋とのつながり方で使い勝手が左右される
ルーフバルコニーの写真
ルーフバルコニーは、リビングのようなよく使う部屋に面していると活用しやすくなる。広さや向きだけでなくアクセスも確認しよう(画像提供/PIXTA)

ルーフバルコニーがあれば毎日がこんなに充実!実際の暮らしをご紹介

「実際にどのようなルーフバルコニーがあって、どんなふうに暮らしているのか」が気になりますよね。ハコリノベでリフォームされたルーフバルコニー付きのマンションの例をご紹介いただきました。

中庭のようなルーフバルコニーを、リビング空間とつなげて暮らす(大阪府M邸)

ビンテージのデザイナーズマンションを購入し、生まれ育った海外の内装デザインテイストにフルリノベーションされたMさん。M邸のルーフバルコニーはリビングのすぐ隣にあり、戸境壁で隣戸からの視線が入らないつくりになっています。リビングのワイドサッシを開くと、DIYで敷き詰めた幾何学模様のタイルが異国情緒を演出するおしゃれなアウトドア空間がオープン。テーブルを置けば、そこはもう一つのリビング。日差しと外気を浴びながら、ゆったりとした時間を楽しまれています。

ルーフバルコニーが、室内にもたっぷりの日差しを届けてくれる
ルーフバルコニーの事例
LDとキッチンの間にある大きな梁と柱をリフォーム時にアーチ型の間仕切り壁に装飾。さらに、幾何学模様のタイルやデザイン性のあるパーケットフローリングを採り入れて、ヨーロピアンカジュアルな空間に。外国の路地のような、明るく楽しいルーフバルコニーとなった(画像提供/ハコリノベ)
ルーフバルコニーの間取り
(画像提供/ハコリノベ)
ルーフバルコニーのイメージ

ルーフバルコニーで、わが家の『おうち時間』をもっと豊かにしよう

毎日の生活に絶対に必要ではないけれども、あれば暮らしに彩りを与えてくれるルーフバルコニー。活用シーンをいくつかご紹介します。

夏の夜は夕涼みに、冬は星空観賞にぴったり

周囲に建物があるルーフバルコニーでも、夜なら周囲の視線も気にせずに過ごせます。日当たりの良さを活かして、太陽光充電式の照明器具でライトアップするのもオススメ。

ライトアップしたルーフバルコニーの写真
(画像提供/PIXTA)

爽やかな季節は最高のテレワークスペースに

春や秋の過ごしやすい季節は、机と椅子を持ち出してテレワークスペースに。心地よい外気の中なら、リラックスしながら仕事をこなせそうです。

ルーフバルコニーにテーブル&チェアを出してくつろぐ写真
(画像提供/PIXTA)

外気の下での、健康的なワークアウトに

ヨガマットを敷けばプライベートジムに変身!わざわざ公園に出かけなくても、外気を浴びながらのワークアウトが気軽に楽しめます。

ルーフバルコニーでヨガをする例
(画像提供/PIXTA)

屋外用の軽量テーブル&チェアを置いて、セカンドリビングに

リビングと掃き出し窓でつながるルーフバルコニーなら、毎日のようにピクニック気分が楽しめそう。必要なときだけ出し入れできる、軽量のアウトドア用家具がオススメです。

ルーフバルコニーで軽食を楽しむ夫婦の写真
(画像提供/PIXTA)

存在感のあるルーフバルコニー付きマンションに憧れる人も多いもの。実際に使う際には注意が必要な点もありますが、開放感やラグジュアリー感はやはり格別!メリット・デメリットを理解した上で、上手に住みこなしてみませんか?

まとめ

ルーフバルコニーとは、下階の屋根が床になったバルコニーのこと

「何ができるか」はそのマンションの規約次第。BBQやペットの飼育は基本的にNG

風が強いので、何かを設置する際には飛ばないように&すぐに片付けられる配慮が必要

屋根がなく、一般のベランダやバルコニーより広いことが多いので、開放感は抜群

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取材・文/伊東美佳 イラスト/もり谷ゆみ
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