付ける?付けない? マンションに表札は必要か?

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エントランスやメールボックス、そして玄関ドア周辺にある表札。家主や居住する家族を知らせる「家の顔」だ。郵便や宅配便などの誤配送を防いでくれるものでもある。でも、最近では防犯意識もあって全戸が表札を出しているわけではないという。はたして表札って必要なのだろうか?またトレンドはあるのだろうか。

▼お話を伺った専門家
マンション管理士 市川貴久氏

市川貴久マンション管理士事務所代表。数多くのマンションの顧問業務を行い、東京都防災・建築まちづくりセンターマンション管理アドバイザー、東京都マンション管理士会新宿支部事務局長などを務める。個人情報管理主任者や防災士などの資格を持つマンション管理のスペシャリスト。

そもそもマンションに表札は必要?

一戸建てと違い部屋番号が明記されているマンションだけに、郵便物の誤配の心配は少ないのでは?それよりも防犯の方が気になるという人も。

防災観点から名前の周知はしたほうがいい

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そもそも表札の文化自体は欧米ではほとんどみられず、日本特有のモノとのこと。明治初期の郵便制度の発達で広まりだしたという。「プライバシー重視の観点もあって、欧米に表札の慣習はありません。では郵便物などはどうやって届けられるのかというと、通り(アベニュー)に住所が表記されていて、プラス番地と合わせて位置を特定します。日本は区画整備の歴史の違いから住居表示が地理的な位置と紐づいておらず、表札が必要になるというわけです」

ただ、マンションの場合、部屋番号さえ分かれば誤配の心配はほとんどない。そんな日本のマンションで、表札を出す・出さないの割合はどうなのだろう。「マンション内で表札を出す位置は、各戸玄関ドア周辺と1階メールボックスの2カ所です。前者は築年数の浅いマンションでみると、『ほとんど表札を出していない』が約60%という調査結果もあります(※2012年マンションコミュニティ研究会調べ)。1階メールボックスは玄関ドア周辺よりも表記率が高い傾向です。表札を出さないという人からは、プライバシーを守りたい、ややこしい営業訪問がイヤという理由が聞かれます。管理組合で特別なルールがない限り表札を出す・出さないは基本的に個人の自由ですが、私は出しておいたほうがいいと思います」(市川さん)。

「理由は災害時の自身や家族の安全を守るためです。管理会社や消防、さらに隣戸の方などが安否を確認する際に、名前が分からないと声をかけにくくなり、最悪の場合、それで安否確認が遅れてしまうことも考えられます。災害時の被害を軽減するには、マンション自体の防災システムはもちろんですが、マンション内のコミュニティが何より重要です。表札を出さないでいると、自身の存在がはっきりしないことから、災害時の援護を受けにくくしてしまいます」

マンションで表札を出している割合
ほとんど出している 38.40%
2/3程度 19.90%
半数程度 13.20%
1/3程度 9.30%
ごく少数 15.20%
無回答 4.00%

※出典:マンションコミュニティ研究会「表札等に関するアンケート調査概要版」(2012年)

マンションの資産価値に表札が関係?

昨今購入時に重視する人が多い、マンションの資産価値。表札を出す・出さないも実は長い目で見ると関連してくるという。

良好なコミュニティ形成の第一歩に

表札は出すだけで、マンションの資産価値の構成要素にもなるという。「資産価値の試算のひとつが、良好なコミュニティが築かれているかどうかです。マンション住人の参画意識が強ければ結果的に良好な全体管理につながりますからね。表札は同じマンションに住む人の名前を知らせるコミュニティツールの一つになります。想像がつくと思いますが、なんという名前か分からない人が隣に住んでいるのは不安ですし、たとえ本人にその気持ちがなくても、出せない理由が何かあるのか、声をかけてほしくないのか、などといらぬ不安を与えてしまいかねません。そして、事実、コミュニティ活動が盛んなマンションほど、多くの住戸で表札を出しています。あいさつや声掛けひとつでも、名前が分かったほうが声をかけやすいですし、会話も弾みやすいのは自明ですよね。そうした小さなつながりが同じマンションに住む人同士のコミュニティを生み出し、良好な管理につながる。この積み重ねが資産価値の維持や向上にもつながります」

表札で個性を演出?どんな種類がある?

“家の顔”になる表札。せっかく付けるならどんな種類があるのか知っておきたい。また、個性の表現や運気を取り込むアイテムにもなる?

表札は「共用部」! 変更は管理規約の確認が必須

一般的に新築マンションで表札を選ぶタイミングは、購入時のオプション相談会。素材や色、名前の書体などを、オプションの種類によって無償/有償から選ぶことが多いと覚えておこう。「一概にこれがトレンドというのは難しいですが、やはりシンプルモダンなデザインで、形は横長の長方形が多い印象ですね。形状やデザインは物件のコンセプトに沿ってデベロッパー側が決めているので、それが最も全体と調和しているのだと思います」とのこと。セレクトできる中から、じっくり好みを選んで決めよう。気を付けたいのが入居後に変更することだという。

「表札は住戸外、つまり共用部に位置しています。共用部は基本的に個人の趣向で変更することができません。表札といえども管理規約や入居時の誓約事項で指定されていることもあるので、変更したい場合はこれらへの確認が欠かせません。また、共用部ということで不燃素材であることは重要です。つまり紙片や木片など燃える素材を使うことは避けるべきでしょう」

とはいえ、せっかくのマイホームだから、ちょっとでも個性を表現したい。そんな人は、表札まわりに工夫するといいかもしれない。「例えばハロウィンやクリスマスなど季節のイベント時に市販のアイテムを表札や一時的に玄関まわりにデコレーションするケースを良く見ます。またアルコーブ+門扉がある住戸であれば、門扉まわりに『welcome』ボードなどを飾る人も見かけますね」

またちょっと面白い視点としては風水的な観点も。風水業界では、表札は、家族の幸せや成功を祈願して掲げる縁起物と言われている。表札のない家は「家主が不在」ということになり、いくら家の中をきれいにしていても、幸運を取り込めないという説や、名前を彫るスタイルの表札は、墓石を連想させるとして避けられる傾向も。気になる人は調べてみるといいだろう。

イラスト
主な表札の素材例

・ステンレス(ヘアライン加工)
・樹脂プレート
・アイアン
・アクリル

公開日 2017年12月05日
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