健全なマンションコミュニティの形成方法とは?資産価値にも影響するってホント?

最終更新日 2025年10月29日
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健全なマンションコミュニティの形成方法とは?資産価値にも影響するってホント?

集合住宅であるマンションでは、年齢や暮らし方が違う人々が共に生活しています。快適な暮らしのためには、住人同士のよい関係、つまり「コミュニティ」の形成が重要です。

この記事では、コミュニティの役割や資産価値への影響、具体的なつくり方について、マンション管理士の重松秀士さんの解説を交えて分かりやすく紹介します。災害時の助け合いや日々の安心にもつながる、健全なコミュニティづくりのヒントが見つかるでしょう。

マンションコミュニティの役割とは?

マンションコミュニティとは、管理組合や自治会、町内会などを含むマンションの住人の「つながり」や「関係性」を指します。広義に捉えれば、いわゆる「お隣さん」との関わりやマンション内のママ友同士の交友などもコミュニティの一つです。マンションのコミュニティにはどういった役割があるのか、重松さんに伺いました。

マンションの維持・管理

分譲マンションの維持・管理は、管理組合が担います。マンションとしての意思決定や管理規約の改正には、住人の合意が必要です。住人同士のコミュニケーションが活発かどうかで、合意形成の取りやすさは全く異なると重松さんはいいます。

「基本的には、マンションのさまざまな方針は、組合員となる区分所有者の過半数で決議されます。しかし、管理規約の改正や改良を加えた補修には住人の3/4以上の賛成が、建替えにいたっては4/5の賛成が必要です。日頃からマンション内でコミュニケーションが取れていなければ、合意形成ができない、あるいはさまざまな意思決定が遅くなるといったデメリットが生じるでしょう」(重松さん、以下同)

災害時は自助だけでなく「共助」が大切

大地震などの災害が発生したときにまず大切なのは、自分や家族を守る「自助」です。ただ、災害発生後にライフラインが止まってしまった場合や避難を要するときには、隣人やマンションの住人同士が助け合う「共助」も必要になってきます。

「健全なコミュニティが形成されているマンションは、防災委員会などの組織が成り立っていることも少なくありません。このような組織は、平時には防災訓練や消防訓練を、災害時には安否確認などを実施します。こういった活動をしていないマンションであっても、住人同士が顔見知りで、隣に誰が住んでいるか把握しているだけでも、有事の際には助け合うことができるでしょう。コミュニティの形成は『防災』の大前提になると思いますよ」

災害時の「自助」「共助」「公助」
災害時は自助だけでなく共助も大事
災害対策にはマンション住人などが助け合う「共助」とともに「自助」「公助」も大切(イラスト/つぼいひろき)

暮らしの「彩り」を創出

マンションコミュニティにはさまざまな活動を通して暮らしに「彩り」をプラスする役割もあります。

例えば、お子さんが多いマンションでは、住人が中心となってイベントを開いたりするケースも少なくありません。こうした活動は、住人同士の交流を深めるよい機会になるでしょう。

自治体によっては、このようなコミュニティ活動を後押しする場合もあります。例えば、東京都千代田区では、マンションの管理組合などがイベントを行う際に、経費の一部を助成する制度を設けています。どのようなイベントや活動が地域のマンションで開催されているのか、自治体に問い合わせてみるのもよいでしょう。

マンションの管理組合と自治体の違い

マンションに住むと「管理組合」と「自治会(町内会)」という言葉を耳にする場合があるかもしれません。この2つは似ているように思えますが、目的や役割は大きく異なります。

ここでは、マンションの管理組合と自治体の違いを分かりやすく解説します。

マンションの管理組合とは

分譲マンションを買うと、その部屋の持ち主になった方は全員が「管理組合」の一員になります。これは自身の意思で入る・入らないを決めるのではなく、法律で定められています。

管理組合の重要な役割は、住人みんなの財産であるマンションを、将来にわたってきちんと手入れし、よい状態を保っていくことです。

例えば、廊下やエレベーターのような全員が使う場所をきれいにしたり、点検したりする活動があります。また、将来必要になる大きな修繕に備えて計画を立て、そのための費用を集めるなど、活動はさまざまです。

自治体とは

自治会と呼ばれる、地域に住む人たちによる集まりのことで、町内会と呼ばれることもあります。管理組合との一番大きな違いは、参加するかどうかを自身で決められる「任意」の集まりである点です。自治会の目的は、マンションの中だけでなく、その地域全体の暮らしをよりよく、安全なものにしていくことにあります。

例えば、子どもたちの登下校を見守るパトロールをしたり、地域の祭りや掃除を企画したり、災害に備えて防災訓練をしたりと、活動内容は多岐にわたります。

マンションのタイプ別!コミュニティの特徴

マンションは、その規模や建物の形によって、住んでいる人たちの関わり方、つまりコミュニティのあり方が変わってくる傾向があります。例えば、戸数が少ない小規模なマンションと、何百世帯もが暮らすタワーマンションとでは、住人同士の距離感も違ってくるでしょう。

ここでは、マンションのタイプごとに、コミュニティの主な特徴を紹介していきます。

小規模型

一般的に、戸数が50戸未満のマンションを小規模型と呼びます。このタイプのマンションでは、住人同士が顔見知りになりやすい一方で、コミュニティ活動はあまり活発ではない場合が少なくありません。

理由の1つとして、集会室のような住人が集まれる共用施設がないことが多い点が挙げられます。そのため、イベントなどが企画しにくく、あいさつ以上の深い付き合いには発展しにくい傾向があるようです。

地域とのつながりを持ちたい場合は、マンション内の活動にこだわらず、地域の自治会などに参加してみるのもよい選択肢となるでしょう。

中・大規模型

戸数が51戸以上の中規模や大規模マンションでは、住人同士のコミュニケーションが比較的活発になる傾向があります。多くのマンションで集会室や会議室といった共用施設が設けられており、それが住人同士の交流の場として機能するためです。

例えば、趣味のサークル活動、季節のイベントなどが開かれることもあります。全く知らない人ばかりではなく、あいさつを交わしたり、少し立ち話をしたりする関係が生まれやすい環境といえるでしょう。

程よい距離感を保ちながらも、いざというときに顔見知りがいるという安心感を得やすいのが、このタイプのマンションのコミュニティの特徴です。

団地型

複数の建物から成る団地型のマンションは、他のタイプと比べてコミュニティ活動が活発な場合が多いのが特徴です。敷地内に公園や集会所があることが多く、住人同士が自然と顔を合わせる機会に恵まれています。

そのため、昔ながらの近所付き合いのような、温かい人間関係が育まれやすい環境といえるでしょう。

一方で、長く住んでいる方が多く、住人の高齢化が進んでいる場合もあります。購入を検討する際は、コミュニティの活気とともに、将来の運営についても目を向けておくと安心です。

超高層型

タワーマンションとも呼ばれる20階以上の超高層型のマンションは、戸数が数百に及ぶため、マンション内で1つの街が形成されているようなものです。キッズルームやゲストルームといった共用施設が充実していることが多く、これらを活用したコミュニティ活動が活発に行われている可能性があります。

特に、同じ年代の子どもを持つ家族同士のつながりが生まれやすく、子育てサークルなどがある場合も少なくないでしょう。あいさつなどの日常的なコミュニケーションも盛んな傾向があります。

超高層型マンションでは、充実した共用施設があるためマンション内での交流ができる一方で、周辺地域との関わりは住人の関心度によって差が出やすいかもしれません。そのため、地域の祭りやイベントといった情報は、自身で意識して集めるとよいでしょう。

マンションコミュニティが資産価値に影響する?

2022年4月、マンション管理適正化法が施行され、新たに「管理計画認定制度」が始まりました。この制度は、管理規約や長期修繕計画などが基準を満たしているマンションが自治体から認定される仕組みです。

さらに、2025年には区分所有法などの改正が成立され、2026年4月1日から施行されます。建て替えや修繕の決議要件が緩和され、所在不明者を議決要件から外せるようになるなど、合意形成を進めやすくする動きがありました。健全なコミュニティが形成されてこそ、健全なマンションの維持・管理ができるもの。管理・維持の重要性が高まっていることで、今後はマンションコミュニティの在り方が資産価値に影響するようになることも考えられます。

「マンションは管理を買え」ってどういう意味?

マンションは、買って終わりではありません。新築時にいくら高性能で、ラグジュアリーであっても、その価値を維持していくためには適切な管理が必要です。昨今では「マンションは管理を買え」という言葉も多く聞かれるようになりました。これは「管理」が、マンションの暮らしやすさや資産価値の維持に大きく寄与するということを指します。

「マンションを購入される方の多くは、立地や広さ、間取りなどのハード面と、月々のローン返済額や管理費、修繕積立金、駐車場使用料など支払う費用ばかりに目が行きます。もちろん物件を選ぶうえでこれらも重要ではありますが、管理状況や計画も必ず見ていただきたいですね。

修繕積立金がしっかり積み立てられないマンションは、適切な時期に大規模修繕ができなくなってしまいます。これはマンションの寿命や資産価値、暮らしやすさにも直結する問題です。例えば、一戸あたり50万円しか積み立てられていないマンションと、200万円積み立てられているマンション。同等の条件であれば、資産価値が高いのは後者のマンションだといえるでしょう」

修繕積立金額でマンションの資産価値は異なることも
修繕積立金額次第で、同等の条件であってもマンションの実質的な資産価値に差が出ることも(イラスト/つぼいひろき)

日頃からコミュニケーションを取る重要性

マンションの適切な維持・管理には、まず健全なコミュニティが形成されていることが前提だと重松さんはいいます。

「潤沢な資産があるマンションの管理組合であれば、維持・管理を管理会社にほぼ一任できます。しかし、そのようなマンションはごく一部。基本的には、住人自らが方針を決め、マンションの維持・管理をしていかなければなりません。マンションには多種多様な価値観を持つ人が暮らしていますから、さまざまな意思決定には住人同士のコミュニケーションが不可欠です。日頃からコミュニケーションを取ってこそ、マンションの適切な維持・管理につながります」

「暮らしやすさ」はマンションの付加価値に

マンションの資産価値は、立地や広さ、間取り、築年数などに影響を受けます。健全なコミュニティが形成されたうえで、適切な維持・管理がなされているマンションとそうではないマンションに、価格や評価の差はあるのでしょうか?

「マンションのコミュニティや維持・管理の状況が、価格に反映されることはまだ少ないと思います。ただ近い将来、管理のよさはマンションの付加価値になっていくはずです。マンション管理の重要性は認知され始めており、法改正も進んでいることから、将来のリセールバリューを考えるのであれば確実に管理状況がよいマンションを購入するべきだと思いますよ。住み心地を考えたうえでも、まさに『マンションは管理を買え』と言えるのではないでしょうか」

事例紹介!どんなマンションコミュニティ活動があるの?

コミュニティの活動は、マンションごとに異なります。重松さんに、マンション管理士として多くのマンションコミュニティに携わる中で、印象的だった活動を伺いました。

防災意識が高い住人の呼びかけで「防災委員会」を結成

「東京都品川区のとあるマンションでは『防災委員会』が結成されています。毎月1回、会合を開き、浸水に備えて止水版(外部から建築物に水が入るのを防ぐために入れる建材)を購入して設置したり、防災訓練も欠かさず実施しています。築25年ほどのマンションですが、防災委員会ができたのは9年前。当時、防災意識の高い1人の住人の方がコミュニティに呼びかけて、徐々にマンション全体の防災意識も高くなっていったのです」

大規模災害発生後、揺れや風雨に強いマンションの住人は、基本的に在宅避難を求められます。しかし、昨今、多発するゲリラ豪雨や激甚化する台風によって、浸水被害にあうマンションは増加しています。建物が災害に強くても、停電時には水道が使えなくなってしまったり、エレベーターが止まってしまったりするリスクも。高層階に住んでいれば、高層難民になってしまう可能性もあります。

「マンションには、マンションならではの防災があります。防災委員会まで立ち上げることは容易ではありませんが、有事の際に助け合うためにも日頃から『共助』の意識を持ち、コミュニケーションを取っておくことが大切です」

防災委員会があるマンションも
防災委員会があるマンションも
有事の際に助け合うため、日頃からマンション住人でコミュニケーションを取ったり防災訓練することが大切(イラスト/つぼいひろき)

機械式駐車場の撤去で、収支が2億円以上プラスに

「私が外部理事長を務める170戸ほどのビッグコミュニティの千葉県内のマンションで、機械式駐車場約50基(100台)を撤去する合意形成へ向けて進行中です。昨今では、車離れが進んでいます。築約30年のこのマンションでは、住人も高齢になってきており、車を所有されている方が減少傾向にあります。機械式駐車場の維持には莫大な費用がかかり、築30年にもなると修繕ではなく入れ替えとなります。入れ替え時期を控え、1年かけて機械式駐車場の撤去を検討していたのです」

間もなく機械式駐車場撤去の合意形成ができる見通しとのことですが、最初から住人の皆さんが納得していたわけではなかったのだとか。「一時的にでも外部駐車場を利用しなくてはならない」「撤去には相応の費用がかかる」ということで、なかなか合意形成ができなかったそうです。

「もちろん、機械式駐車場の撤去には費用がかかります。このマンションでは、撤去後に平置きの駐車場を増設する計画で、工事中の住人の駐車場費用も管理組合が負担する予定です。それでも、向こう30年間の収支は、機械式駐車場を維持していく場合と比較して2億円以上プラスになる計算です。住人の理解が得られるよう、理事会主体でアンケートを取ったこともありました。少しずつ試算や報告を重ねていったことで、1年がかりで合意形成ができる見通しです。合意形成には、やはりコミュニケーションが不可欠。この事例においても、住人同士で話し合ったからこそ、マンションコミュニティが健全だったからこそ、合意形成の見通しが立ったものと考えています」

機械式駐車場
維持・管理に費用がかかる共用施設の一つである「機械式駐車場」の撤去で、収支がプラスになったマンションも(画像/PIXTA)

ベランダ菜園講習会

川口市とマンション管理組合、NPOの連携により発足した「川口マンションコミュニティ連絡協議会」では、マンションコミュニティ支援事業を推進しています。活動内容の1つである「ベランダ菜園セミナー」は人気が高いイベントだといいます。同セミナーでは、マンションのベランダを有効活用した家庭菜園とともに、分譲マンションのベランダの約束事について学べます。

このように、住人同士で共通の趣味を持ったり、取り組みを行ったりすることで、マンション内部の良好なコミュニケーション作りに寄与し、住人の暮らしに彩りを与える活動も見られます。

購入時に健全なマンションコミュニティが形成されているか確認するには?

マンションの立地や築年数、部屋の広さや間取りは、物件情報や現地で内覧した際に確認できます。しかし、購入前にコミュニティの様子を知ることは容易ではありません。住んでから「こんなはずでは……」と後悔することのないよう、購入前には次のような方法でマンションコミュニティの様子をできる限り把握することが大切です。

管理規約案や修繕計画をチェックする

マンションを購入する際には、マンションの管理規約や長期修繕計画などを見ることも大切です。マンションの購入を検討している人は利害関係者にあたるため、購入前にこれらの書類を閲覧できます。

「新築マンションは、分譲時に長期修繕計画や管理規約案が作成されています。ただし、実際に管理が始まるのは入居後。購入前には、どのようなコミュニティが形成されるかの推測に留まります。新築マンションを購入するうえで大事なのは、自らが良質なコミュニティ形成をしていくという意志です。

一方、中古マンションの場合は決算資料を見て、赤字になっていないか。これからどんな修繕が控えていて、それが可能な積立金があるのか。このような点を見れば、適切な維持・管理がされているマンションか判断できます。いずれにしても、不明点や疑問点があれば、不動産会社や私たちのようなマンション管理士に聞いてみるとよいと思いますよ」

共用施設・共用部を見る

マンションの共用部や共用施設も、これからの管理や健全なコミュニティが形成されているかどうかを判断するための重要な情報になると重松さんは言います。

「共用施設が多い新築マンションは、魅力的にうつるかもしれません。しかし、たくさんの施設があればいいとは一概にいえません。共用施設があっても、実際にはほとんど使われないこともあります。使われていないスペースの維持・管理にも、お金はかかります。『ほとんど使われなくなったマンション内のプールの水を抜いて維持費を削減した』『人件費・維持費が高いマンション内のコンビニを無くして自動販売機を設置した』なんて事例は山ほどあります。

中古マンションの場合、私たちがよく見るのはマンションの自転車置き場です。きれいに整理整頓されていないマンションは、管理人さんや清掃スタッフの質があまり高くないのだろうと推測できます。それと同時に、このマンションに住む人はこの状況を許してしまっているということ。もちろん、多くの住人が、共用部は整っていたほうがよいと考えているはずです。しかし、その声が届かない、反映されないということは、健全なコミュニティが形成されていない可能性が高いと言えるでしょう」

購入時にマンションコミュニティを確認する方法
住んでから後悔しないよう、購入前にどんなマンションコミュニティが形成されるか・形成されているかをできる限り把握することが大切(イラスト/つぼいひろき)

マンションコミュニティでよくある課題

マンションでの快適な暮らしを支えるコミュニティはとても重要です。しかし、年齢や考え方の違う多くの人々がともに暮らす場所だからこそ、ときには課題が生まれる場合も少なくありません。

ここからは、多くのマンションで共通して見られるコミュニティの課題をいくつか紹介します。

理事の希望者が少ない

マンションの資産価値を維持し、適切に管理していく上で、管理組合の活動を引っ張っていく「理事」の存在は欠かせません。しかし、多くのマンションで「理事のなり手がいない」という課題を抱えています。「仕事が忙しい」「責任が重そう」といった理由から、積極的に引き受けたいと考える人が少ないのが現状です。

希望者が見つからない場合、輪番制(持ち回り)で理事が決まるケースが一般的ですが、これも住人にとっては負担に感じられる場合がありますが、理事のなり手が不足すると、管理組合の活動そのものが停滞しかねません。そうなれば、必要な修繕が遅れたり、住人からの要望に対応できなかったりと、マンション全体の暮らしやすさや資産価値に影響が出る可能性もあるでしょう。

関心度の差が生まれやすい

マンションには、さまざまな暮らし方や価値観を持つ人々が住んでいます。そのため、管理組合の活動やコミュニティのイベントに積極的に参加したい人もいれば、あまり関心を持てない人もいて、住人の間で「関心度の差」が生まれやすいといえるでしょう。

この関心度の差が大きくなると、例えば大規模修繕工事の計画といった、マンション全体に関わる重要な話し合いがスムーズに進まなくなる場合があります。

また、一部の熱心な住人だけで物事が決まってしまい、他の人たちが「私たちの意見は聞いてもらえなかった」と不満を感じる原因にもなりかねません。より多くの住人が「自分たちのマンションのことだ」と関心を持てるような情報発信の工夫が求められます。

世帯の年齢層に合わせた取り組みが必要

マンションに住む人々の年齢層は、新築のときと築年数が経過する中で変化していくのが一般的です。

例えば、入居当時は子育て中の家族が中心だったマンションも、時がたつにつれて子どもが独立し、高齢の夫妻や一人暮らしの世帯が増えていきます。子育て世帯にとっては子ども向けのイベントや遊び場が重要ですが、高齢者世帯にとっては建物のバリアフリー化や住人同士の見守り活動のほうが関心が高いかもしれません。

このように、世代によってコミュニティに求めるものが異なるため、全ての世帯を満足させる取り組みを考えるのは簡単ではないでしょう。それぞれの世代のニーズをアンケートなどで把握し、特定の層に偏らない、幅広い人々が心地よく暮らせるような配慮が重要です。

マンションコミュニティ参加時の注意点とは?

マンションコミュニティの形成は、暮らしやすさや資産価値の維持に不可欠です。コミュニティには「義務」である活動と「任意」の活動があります。多様な価値観を持つ人がいることを受け入れてこそ、健全なコミュニティが形成されると重松さんは言います。

主体性を持つ

管理組合の活動は、任意ではなくマンションの所有者の義務です。率先して理事や理事長に名乗りを上げる方は多くはないと重松さんは言いますが、マンションは自分が持つ最も高額な資産であるはず。暮らしやすさや資産価値を維持するため、主体性を持ってマンションの維持・管理に携わることが大切です。

多様なコミュニケーションが必要

管理組合の活動は義務ですが、マンション内の有志で行う活動の参加は任意。マンションコミュニティの重要性は高いとはいえ、お互いの意見を尊重し、自分の価値観を押し付けないことも大切です。

「住人同士の親睦を深めようとバーベキュー大会を企画・開催してみたけれど、思ったより参加者が集まらなかった……なんてこともあります。一方で、毎年、開催する餅つき大会が大盛況というマンションも。他のマンションでうまくいったことが、自分たちのマンションでも同じようにうまくいくとは限りません。それは当然ですよね。住んでいる人が違うのですから。積極的に交流したい人もいれば、あまり関わり合いたくないと考えている人もいます」

自分に合っているか見極める

「維持・管理の状況だけでなく、コミュニティの形式や雰囲気も、マンションごとに異なります。自分に合うコミュニティが形成されているかどうかという視点も、マンションを選ぶうえでは大切になってくるでしょう。修繕積立金額や修繕計画といった点以外にも、住んでいる方の様子やマンションイベントの実施状況、参加率などを管理人さんや売主さんに聞いてみるのもよいと思います」

マンションコミュニティ参加時の注意点
多様な価値観を持つ人がいることを受け入れてこそ、健全なコミュニティが形成される(イラスト/つぼいひろき)

近年では、法改正や新たな制度の創設を受け、マンションの管理の重要性が高まっています。マンションの適切な維持・管理は、健全なコミュニティの形成があってこそ。購入前には、管理規約案や長期修繕計画、共用施設などから、どんなマンションコミュニティが形成されるのかある程度、推測できます。入居後、主体性を持ってコミュニティを形成していくという姿勢も大切です。立地や築年数、広さや間取りなどのハード面以外にも、暮らしやすさに直結する管理やコミュニティといったソフト面にも着目してマンション選びをすることをおすすめします。

まとめ

管理組合は建物の維持、自治会は地域の交流と目的が異なる

マンションの規模やタイプによってコミュニティの特徴も変化する

コミュニティ参加時には自主性を持つと同時に多様性を受け入れることも忘れない

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取材・文/SUUMO編集部 イラスト/つぼいひろき
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