仕事はもちろん、生活のなかでもインターネットは不可欠な時代。自宅でもWi-Fi(WiFi)環境を整えるのは一般的。Wi-Fiが使えれば、配線なしで家中どこからでもネット接続が可能になり、スマホのパケット通信量を気にせずに動画再生やゲームも楽しめます。そんな便利な「Wi-Fi」を使うために、必要な「やること」をまとめました。
賃貸マンションや分譲マンション、中古マンションの広告に「インターネット完備」「Wi-Fi完備」という言葉をよく見かけます。また、物件の検索サイトで「インターネット」「Wi-Fi」などのワードで検索すると、数多くの物件が表示されます。つまり今は、インターネット完備、Wi-Fi完備の物件を探しやすい時代ということ。
では、それぞれどんな意味があり、家の中でWi-Fi環境を整えるためには何をすればいいのでしょう。
(1)Wi-Fi完備マンション
すでにインターネット回線もWi-Fiルーターも装備されている物件。マンションやアパート全体でプロバイダ契約がされていて、入居後すぐにWi-Fi環境の整った室内でインターネットを利用することができます。利用料金は管理費や共益費に含まれているのが一般的です。
(2)インターネット完備マンション
最初からインターネット回線が引き込まれている物件。そのまま有線LANでパソコンを使用することができます。Wi-Fi完備マンションと同様、プロバイダ契約がされていて、利用料金は管理費、共益費に含まれるのが一般的です。Wi-Fiルーターを自分で用意することで、プロバイダとの契約や配線などをせずにパソコンやスマホ、テレビなどさまざまなデジタル機器を室内のどこででも使えるようになります。
(3)インターネット対応マンション
共用部までインターネット回線が引き込まれている物件です。各部屋までは回線が引かれていないため、インターネット利用を開始するためには、部屋に回線を引き込むための工事をする必要が生じます。
(4)インターネット環境がないマンション
Wi-Fi完備やインターネット完備のマンションと違い、回線会社やプロバイダとの契約が必要な物件も。手間はかかりますが、回線会社やプロバイダを自分で選ぶ選択肢が多い点はメリットといえるでしょう。Wi-Fiルーターは回線会社からレンタルできるケースが多くなっています。
賃貸物件でのインターネット環境のつくり方についてもっと詳しく
一人暮らしでインターネットを快適に使うには? 目的に合わせてWi-Fi・回線を選ぼう!
Wi-Fi・インターネット完備の物件では、新たに回線会社と契約する必要はありません。しかし、それだけにインターネット回線の現況を確認することが大切です。
マンションでは、共用部にひかれた1本の光ファイバーケーブルを、各戸に分配しています。そのため、1戸につき1本のケーブルを独占する戸建てに比べて、使用状況によってはインターネットが遅くなる可能性があるのです。
また、共用部までは光回線を利用していても、その先の各部屋までは一般電話回線を使用している場合もあります。
ストレスなくインターネットを利用するために、購入や賃貸の候補物件で、契約前に確認しておいたほうがいいのはどんなことでしょう。
All About「LAN・無線LAN」ガイドで、ネットワークについて解説した著書を40冊も手掛けている岡田庄司さんに伺いました(以下コメントはすべて岡田さん)。
確認したいのはどのような回線なのか。そして通信速度が重要です。
「インターネット回線が有線なのか、無線なのかを確認しましょう。
有線の場合、通信速度は最低、実際の速度で300Mbpsは欲しい。これだけあれば、動画や一般的なゲームならストレスなく楽しめます。100MbpsではWebページがパッと表示されないといったことがあります。
無線の場合、部屋によって受信感度が違います。通信速度をチェックできるアプリやwebサイトがありますから、不動産会社を通して管理会社に確認をとったうえで確かめてみるといいでしょう。また、通信速度はいつも一定ではありません。ですから、そのマンションの居住者の方に、実際にどの程度の速さが出ているのか話を聞ければベストです。
また、無線でWEPという古い暗号化技術を使っているような物件は無いとは思いますが、念のため確認しておきたいポイントです」
光回線をマンションに引き込む固定回線と、各地にある基地局から無線で接続するモバイルルーター。これから新たに回線を選ぶなら、どちらがいいのでしょう?
まず、固定回線のメリットとデメリットを知っておきましょう。
●固定回線のメリット
・固定回線のメリットは回線速度が速く、安定していること。
●固定回線のデメリット
・引き込み工事が必要な場合、設置に時間がかかる
・賃貸の場合、壁に穴を開ける必要があるので大家さんの許可が得られないケースがあること
「固定回線の場合は購入や賃貸を予定しているマンションやエリアで利用可能かどうかを確認する必要があります」
ではモバイルルーターの場合はどうでしょう。
●モバイルルーターのメリット
・ルーターを購入して自分で設定するだけ。工事が不要で手軽に利用を開始できる
●モバイルルーターのデメリット
・回線の速度や品質(安定性)に問題がある場合がある
それぞれにメリット、デメリットがありますが、選ぶ際のポイントは何でしょう。
「固定回線のほうが、利用料などの面でメリットがありますが、2~3年間などの契約期間内で引越す場合は違約金が発生します。ですから、マンションを購入する場合や、しばらくは引越しの予定がない人は固定回線、引越しが頻繁にある人はモバイルルーターがよいでしょう」
固定回線やモバイルルーターの仕組みやメリット・デメリット、向いている人についてもっと詳しく
一人暮らしでインターネットを快適に使うには? 目的に合わせてWi-Fi・回線を選ぼう!
回線会社にはフレッツ光を提供するNTT東日本やNTT西日本、au光を提供するauなどいろいろあります。インターネットを利用するには回線会社とプロバイダの両方と契約をすることになりますが、プロバイダにもさまざまな会社があります。また、ドコモ光など光回線とプロバイダーが一体化した光コラボレーションというサービスもあります。
回線会社やプロバイダの選び方によっては、電話代や携帯代が安くなる割引やキャンペーン、キャッシュバックなどオトクな特典を受けられます。まずはお使いの携帯電話回線や電気・ガス会社のプランを調べてみるのがオススメです。
プロバイダは通信速度が速くて料金もオトクなところを選べばいい、と考えがち。でも、それでは後悔することになる場合も。
「料金が安いプロバイダは、最初は満足できても、契約者が増えて通信速度が徐々に遅くなる傾向があります。逆に、料金が高いからといって速度と品質が保証されるとは限りません。また、同じプロバイダでも地域によって安定性が異なることが。WEBで評判を確認するのもいいですが、オススメなのは勤務先などでの情報収集。どのプロバイダを使っているのか、使いやすさはどうかなどを、同僚10名くらいに尋ねてみるとプロバイダ選びの参考になる情報が得られるのではと思います」
また、チェックしたいのは、トラブル時やセキュリティに対するサービスなど。
「利用料金が多少高くても、セキュリティ対策がしっかりしていたり、トラブル時に駆けつけてくれたりのサービスがあれば安心です。特にセキュリティはウィルスチェックだけでなく、フィッシングサイトの警告などが含まれているかを確認しましょう。プロバイダ側で提供するセキュリティサービスはパソコンに負荷がかかりませんし、常にアップデートされています。このサービスがない場合は、自分でウィルス対策のソフトを導入し、忘れずにアップデートをする手間もかかります」
Wi-Fiルーターは無料レンタルを行っているプロバイダが多いため、購入しなくても自宅をWi-Fi環境にすることができます。ただし、プロバイダが提供するルーターは速度が不十分な場合もあるそう。
購入する場合、無線の規格を確認しましょう。「IEEE802.11ac」対応であれば、1Gbpsの光回線でストレスなく使うことができます。そして、現在、次世代の高速無線LAN規格「Wi-Fi6(IEEE802.11ax)」が登場しています。
「Wi-Fi6(IEEE802.11ax)に対応するルーターは2万~3万円程度で購入できます(2020年6月現在)。1万円弱の1世代前のルーター(11ac)に比べると性能がよいのは確かです。ただ、10Gbpsの有線回線+Wi-Fi6(11ax)と1Gの有線回線+11acを比較しても、画面の出る速さや動画を見るときの快適性など体感ではわかりませんから、現状では無理に高額なルーターを買う必要はなさそうです」
Wi-Fiを導入することで、自宅での暮らしや在宅ワークがより快適になります。まずは、自分の住んでいるマンションや、購入・賃貸予定のマンションのネット環境を確認し、環境整備に向けて何をすればいいのかリストアップしておきましょう。
マンションのネット環境を確認しよう
固定回線とモバイルルーターはそれぞれにメリット・デメリットが。自分のネットの使い方を考えて選ぼう
プロバイダを選ぶ際は料金や回線の速さだけでなく、トラブル時やセキュリティに対するサービスも確認しよう