タワマンの管理費や修繕積立金などの維持費はいくらかかる?高くなっていくのはなぜ?

公開日 2023年07月15日
タワマンの管理費や修繕積立金などの維持費はいくらかかる?高くなっていくのはなぜ?

タワーマンションは修繕積立金や管理費といった維持費がかかります。タワマンの場合、一般の新築マンションよりも管理費や修繕積立金が高いと言われるのですが、それはなぜでしょう?30年後、どれくらい増えるものなのでしょうか?不動産コンサルティングマスターの岡本郁雄さんに話を伺いました。

タワーマンションを買うと毎月かかる管理費や修繕積立金とは?

タワマン購入後、ずっとかかる維持費には何がある?

タワマンに限らず、マンションを購入するとマンションを維持するための費用がかかります。これは、マンションの区分所有者が駐車場や駐輪場などの使用料など支払い続けるお金がありますが、この記事では管理費と修繕積立金について解説をしていきます。

【マンションの維持費】
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 駐車場代、駐輪場代
  • トランクルーム使用料・専用庭、ルーフバルコニー使用料・火災保険料、地震保険料
  • 固定資産税、都市計画税

これらのうち、「火災保険料、地震保険料」「固定資産税、都市計画税」以外は、マンションの管理組合が集めています。

なお、駐車場代、駐輪場代は利用している人のみが支払います。トランクルーム使用料も使用している人のみが支払うのが一般的。専用庭やルーフバルコニーの付いている住戸は使用料を支払いますが、マンションによっては使用料がないケースもあります。

タワマンの管理費は何に使われる?

マンションの専有部分にあるキッチンや給湯器、壁紙などのメンテナンスや管理は、その住戸の区分所有者がそれぞれ行います。一方、共用部分であるエントランスや廊下、インターフォン、宅配ボックス、エレベーター、照明などの日常的な維持管理は、区分所有者全員で費用を負担して、行うことになります。そのための費用が「管理費」です。主に下のような費用に使われます。

【管理費の用途】
  • 共用部分の清掃
  • 共用部分の光熱費、水道代
  • 共用設備の保守点検費用
  • 共用施設の運営費
  • 共用部分の火災保険や損害保険料
  • 管理員などの人件費
  • 管理組合運営費
  • 管理会社への管理委託費
    など

タワマンの修繕積立金は何に使われる?

管理費と一緒に毎月集められる修繕積立金。分譲マンションでは、10~30年程度の長期修繕計画の作成が義務付けられており、その計画には12~18年ごとに行われる大規模修繕工事が含まれています。修繕積立金は、大規模修繕工事の費用など、長期修繕計画を行うために充てられます。築年数や建物の状況などによって異なりますが、大規模修繕工事の際には、下のような費用がかかります。

【マンションの大規模修繕にかかる費用】
  • 建物の劣化診断費用
  • 屋上防水工事費用
  • 給排水管の工事費用
  • 外壁や鉄部などの塗装費用
  • 共用設備の交換費用 
    など
タワーマンションの大規模修繕のイメージ
修繕積立金や修繕積立基金はマンションの大規模修繕工事の費用に充てられる(画像/PIXTA)

タワマンの管理費の相場はいくら?

タワマンの管理費は高めの傾向

マンションの管理費がいくらかかるかは、物件によってさまざまですが、タワーマンション(20階建て以上のマンションとします)の管理費は、一般的な規模のマンションよりも高めの傾向にあります。下の表は、国土交通省が公表している『平成30年度 マンション総合調査結果』による平均額。

この調査によると、マンション全体での1戸当たりの管理費の平均は毎月1万970円。タワーマンションの場合は約5000円多い毎月1万5726円です。

管理費はかかる費用を専有面積で割って分担するため、専有面積が広い住戸ほど金額が大きくなります。m2当たりの平均額を見てみると、マンション全体では148円/m2なのに対し、タワーマンションは187円/m2で約1.26倍。仮に専有面積100m2とすると、マンション全体では1万4800円ですが、タワーマンションでは1万8700円が相場ということになります。

マンションの毎月の管理費の平均
マンション全体 タワーマンション
管理費
戸当たり
1万970円 1万5726円

m2当たり
148円
(70m2で1万360円)
187円
(70m2で1万3090円)
出典:『平成30年度 マンション総合調査結果』(国土交通省)。団地型を除く。使用料・専用使用料からの充当額を除く(表作成/SUUMO編集部)

タワマンの管理費はなぜ高い?

なぜ、タワマンの管理費は金額が高い傾向にあるのでしょうか。

「ラウンジやゲストルームなどの共用施設のほかソフト面でのサービスが充実している物件が多いのがタワーマンション。管理員さんだけでなくコンシェルジュサービスを行うスタッフが常駐していたり、24時間有人警備が採用されていたりすれば人件費がかかります。最近は各フロアにゴミ置き場があるケースもあります。この場合、清掃費やゴミを搬出する人員も必要になってきます。また、エレベーターの台数が多いことで電気代もかかります。タワマンの場合、内廊下になっていることが多く照明やエアコンの電気代がかさむことも管理費に影響します」(岡本さん、以下同)

共用設備の内容は物件によって異なりますが、豪華さや利便性を売りにするタワマンの場合、ハード、ソフト両面でのサービスの充実が管理費をアップさせているのです。

タワマンの修繕積立金の相場はいくら?

タワマンの修繕積立金の平均額

タワマンの修繕積立金は、国土交通省『平成30年度 マンション総合調査結果』による平均額を見ると、マンション全体での1戸当たりの修繕積立金の平均は毎月1万1060円。タワーマンションの場合は毎月1万2305円です。1戸当たりの平均ではタワマンの方が高めの金額ですが、実際はマンションの規模や共用設備の内容によって、金額はさまざまなのだとか。

「大規模修繕費用は、数十戸の小規模なマンションよりも、大規模なマンションの方が1住戸当たりの負担を下げやすくなります。しかし、大規模でも500戸超などのマンションよりも、共用施設が少ない100~200戸くらいのマンションの方が修繕積立金が抑えられるケースも。修繕積立金の金額はマンションによります」

マンションの毎月の修繕積立金の平均
マンション全体 タワーマンション
修繕積立金
戸当たり
1万1060円 1万2305円

m2当たり
151円
(70m2で1万570円)
148円
(70m2で1万360円)
出典:『平成30年度 マンション総合調査結果』(国土交通省)。団地型を除く。使用料・専用使用料からの充当額を除く(表作成/SUUMO編集部)

タワマンの大規模修繕工事費はなぜ高い?

たくさんの住戸で負担するスケールメリットによって、1戸当たりの修繕積立金額が抑えられるケースが多いタワーマンションですが、大規模修繕工事費全体は一般的なマンションよりも高額になります。これは、特殊な足場などタワーマンションならではのコストのかかる施工方法や、一般のマンションよりも長い施工期間で人件費に大きな差が出ることなどによります。

新築マンションの修繕積立基金の相場はいくら?

新築マンションの場合、まとまった金額の修繕積立基金がかかるケースが多くあります。ただし、金額はマンションによってさまざまで、相場を出すことはできません。

「かつては毎月の修繕積立金額の60カ月分程度が多かったのですが、現在は80カ月分や100カ月分というケースもあります」

修繕積立基金が大きいと購入時の初期費用はかかりますが、大規模修繕の資金が新築時からある程度プールされているため、将来、修繕積立金が値上がりする場合も上昇幅がゆるやかになりやすいといったメリットがあります。

新築マンションと修繕積立基金のイメージ
新築マンションは、引き渡し時に修繕積立基金を支払うケースが多い(画像/PIXTA)

修繕積立金はなぜ上がるの?

修繕積立金は将来上がるもの?

新築マンションの広告などを見ると、当初の修繕積立金は安めに抑えられていることがほとんど。一方、中古マンションの広告を見ると近隣の新築マンションに比べて、修繕積立金が高い傾向があります。当初の修繕積立金の金額では将来の大規模修繕工事に必要な資金が貯まらず、管理組合の総会決議を経て増額されているケースも多いのでしょう。

国土交通省の「平成30年度 マンション総合調査結果」を見ると、築1~4年程度の「平成27(2015)年完成のマンションは1戸当たりの平均額は毎月6654円。しかし、第1 回の大規模修繕工事を実施する、または実施したケースが多いと思われる平成17(2005)~平成21(2009)年完成(築14~18年)のマンションでは、1万1865円。大きな差があります。

完成年次 マンションの修繕積立金の毎月平均額(1戸当たり)
~平成元(1989)年 1万1400円
~平成6(1994)年 1万1413円
~平成11(1999)年 1万2024円
~平成16(2004)年 1万1227円
~平成21(2008)年 1万1865円
~平成26(2014)年 9244円
平成27(2015)年以降 6654円
出典:国土交通省「平成30年度 マンション総合調査結果」使用料・専用使用料からの充当額を除く(表作成/SUUMO編集部)

今後も、築年数がたつと修繕積立金は上がっていくのでしょうか。
「これまでは修繕積立金の設定にインフレの影響をあまり反映してこなかった印象があります。しかし、今は10年前と比べると消費税率が上がっています。また、人件費や資材費、各種サービスの価格も上がっていますから、修繕積立金も管理費も基本的には上がっていくと思っていた方がいいでしょう」

タワーマンションの修繕積立金は30年後、どれくらいになる?

修繕積立金が将来、どれくらい上がるかはマンションによって異なりますが、岡本さんによると当初の金額の3倍程度の増額を設定しているケースが多いそう。

「長期修繕計画を見ると、新築から5 年刻みで段階的に修繕積立金を見直し、16年~30年目あたりで当初の3倍の設定になっているケースが多い印象です。これが30年目以降になると、さらに上がってくる可能性もあると思います。築後30年、40年と経ってくると、給排水管の交換、エレベーターの交換、機械式駐車場の部品の交換などコストの大きな設備交換が出てくるためです。築年数が古くなってからの大幅な値上げを避けるため、これからは、新築時から修繕積立金や修繕積立基金を多めに設定し、さらに段階的に増額していく物件が増えていくのではないかと思っています」

タワマン選びで、管理費と修繕積立金はここをチェック

新築マンションの管理費と修繕積立金

新築のタワーマンションの管理費は、共用施設の充実度によってコストが変わってきます。マンション内にフィットネスジムやコワーキングスペース、キッズスペースなどがあり、積極的に利用する予定があるなら、管理費が多少高くても満足度は高いでしょう。

しかし、どの施設も自分は使わないという人は、共用施設の維持費だけを負担することになります。管理費が自分にとって高いか、おトクかを考えるなら、マンション内にどんな設備があるかをチェック。入居後、自分が利用するのかどうか、イメージをしておくといいでしょう。

修繕積立金や修繕積立基金は、将来の大規模修繕費用に充てられるため、長く住むのであればある程度高めの設定のほうが安心です。

中古マンションなら長期修繕計画をチェック

中古でタワマンを購入するなら、今後の長期修繕計画やこれまでの大規模修繕履歴、修繕積立金がどれくらいたまっているのかを、不動産仲介会社に依頼して管理組合総会の議案書や議事録を取り寄せてもらい内容を確認しておきましょう。

「修繕積立金は現在の金額だけでなく、いつ上がるかを把握しておいたほうがいいですね。売買契約前の重要事項説明の際に、修繕積立金や管理費の見直しの決定や検討の状況について、議案書や議事録からある程度把握できるかと思います」

マンションは、管理組合がきちんと運営されているか、どのような修繕計画になっているかで、今後の建物の傷み方に差が出てきます。

「大規模修繕は無駄なく計画的に行われることが大切。近年は、こまめにメンテナンスをしながら、大規模修繕の周期を延ばそうと考える管理組合も多くなっています。昔に比べて建物や設備の性能も上がっていますから、建物の状況を考慮した長期修繕計画であることがポイントです」

マンションの管理組合のイメージ
管理組合がうまく機能しているとタワマンの資産価値も保たれやすい(画像/PIXTA)

管理費や修繕積立金を区分所有者から集めて、計画的に建物の維持管理ができるのがマンションの良さ。タワーマンションを購入する際には、維持費の高い安いだけではなく、管理状態や長期修繕計画の内容も確認しておきましょう。

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まとめ

タワーマンションを買うと毎月管理費や修繕積立金などの維持費がかかる

共用設備が充実したタワマンは管理費が高い傾向にある

大規模修繕工事費が多額になるタワマンだが、住戸数が多ければ1戸当たりの負担は軽くなる

修繕積立基金の相場はケースバイケース。最近は80~100カ月分という物件も多い

修繕積立金は将来上がるものと考えておこう

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取材・文/田方みき
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