住宅ローンの審査で連帯保証人が必要なのはどんなとき?いないと借りられない?保証人を立てるメリット、デメリットは?

住宅ローンの審査で連帯保証人が必要なのはどんなとき?いないと借りられない?保証人を立てるメリット、デメリットは?

家を借りたり、借金をしたりするときに求められる「保証人」。住宅ローンを借り入れする場合は、保証会社に保証料を支払うのが一般的です。でも、住宅ローンの場合でも保証人を求められるケースがあります。それはどんなときでしょうか。住宅ローンにかかわる「保証」についての知っておきたいポイントを、ファイナンシャル・プランナーの菱田雅生さんに聞きました。

保証人とは? 住宅ローンの審査の場合は原則不要

保証人とは何をする人のこと?

お金を借りた人(主債務者)が、契約通りに返済できなくなった場合に、代わりに返済を行う義務を負うのが保証人です。お金を借りるときだけでなく、賃貸住宅を借りる際にも保証人を立てるよう求められることが多くあります。

保証人を立てた借金で、主債務者が借金を返せなくなった場合のイメージ図

親や親戚などが保証人になる賃貸住宅

普段の生活で、自分が保証人になったり、保証人になってもらえるよう頼んだり、という機会はそう多くはありません。

身近なのは賃貸住宅を借りるとき。進学や就職ではじめてのひとり暮らしをスタートする際に、親に保証人になってもらった、という人は多いでしょう。

入居者が家賃を滞納してオーナーが家賃収入を得られなくなるリスクを回避するために、入居者には保証人や連帯保証人を用意することが求められます。最近は、保証会社に保証料を支払うことで保証人の代わりになってもらう方法も珍しくはありませんが、やはり、親や親戚などが保証人や連帯保証人になるケースが一般的です。

住宅ローンでも保証人は必要?

では、住宅ローンを借りる場合はどうでしょう?借入額が大きな住宅ローンの場合、親や親戚、配偶者など自分にとって近い関係の人であっても個人で保証するのはなかなか大変です。

「ローンの保証を法人が行うことを機関保証、人が行うことを自然人保証といいます。住宅ローンの場合、多くの金融機関が『保証会社の保証を得られること』を審査に通るための条件としているため、前提とするのは機関保証。つまり、保証会社に保証料を支払うことで保証してもらう方法で、誰かに保証人になってもらう必要はありません」(菱田さん、以下同)

住宅ローンで保証人を求められるのはこんなとき

ペアローンや収入合算では保証人が発生

原則的には保証人が不要な住宅ローン。金融機関としても、金額の多い住宅ローンは個人で保証人になってもらうよりも、保証会社に保証してもらうほうが安心でしょう。

しかし、住宅ローンの場合でも、保証人の立場になる人が必要なケースがあります。その代表的なものは「ペアローン」や「収入合算」を利用したときです。

親や配偶者とそれぞれに住宅ローンを申し込むペアローン

ペアローンとは、住宅を建てたり買ったりする際に、親子や夫婦がそれぞれに住宅ローンを申し込み、債務者となるケースです。夫と妻、または親と子が債務者として同じ金融機関で住宅ローンの契約をし、お互いに連帯保証人になります。どちらかが返済できなくなったときは、連帯保証人として返済の義務を負うことになります。

ペアローンのイメージ
夫婦や親子がそれぞれに債務者となって住宅を購入・新築するのがペアローン(画像/PIXTA)

親や子、配偶者の収入も入れた世帯年収で申し込む収入合算

住宅ローンを借りる際に、借り入れ可能額を増やすために使われるのが収入合算という方法。各金融機関では、年収に占める年間総返済額の割合の上限を設定しています。つまり、年収が多いほうが、借りられる金額も増えるのです。そこで、住宅ローンの契約者はひとりでも、その親または子、妻や夫などの配偶者の年収を「合算」した世帯年収で借入可能額を出してもらうのが「収入合算」なのです。

収入合算をして住宅ローンを借りると、借り入れを申し込んだ人が主債務者となりますが、収入合算者は連帯保証人、または連帯債務者となり、主債務者が返済できなくなったときの返済義務を負うことになります。

■ペアローンと収入合算での契約や保証の特徴
ペアローン 収入合算
<連帯保証型>
収入合算
<連帯債務型>
住宅ローンの種類 民間金融機関の住宅ローン 民間金融機関の住宅ローン 【フラット35】
契約方法 同じ金融機関で夫と妻、または親と子がそれぞれ債務者となる2本の住宅ローンを契約する 夫と妻、または親と子のどちらかが主債務者になって1本の住宅ローンを契約する 夫と妻、または親と子のどちらかが主債務者になって1本の住宅ローンを契約する
連帯保証/連帯債務 お互いに連帯保証人になる 収入合算者が連帯保証人になる 収入合算者が連帯債務者になる

保証人と連帯保証人・連帯債務者との違いは?

ペアローンや収入合算についての解説の中に出てきた「連帯保証人」「連帯債務者」という言葉。どれも、住宅ローンを契約した人(主債務者)が返済できなくなったときに、代わって返済する義務を負う点では同じです。では、どんな点が違うのでしょう。また、「保証人」とはどう違うのでしょうか?

住宅ローンの場合の連帯保証人と連帯債務者の違いは?

まず、「連帯保証」「連帯債務」それぞれについて説明しましょう。

●連帯保証/連帯保証人とは

民間金融機関でペアローンや収入合算を利用するときに求められるのが連帯保証人になること。主債務者が借りた住宅ローンを連帯保証人が保証します。連帯保証人は債務者ではないため、団体信用生命保険(団信)に加入することはできませんし、住宅ローン控除を受けることもできません。

連帯保証人の条件(主債務者との間柄)は、金融機関によって表現は違いますが「配偶者(夫、妻)」または「一親等の親族(親、子)」です。婚約者の場合は、住宅ローン契約時までに入籍をしていることが条件となります。

●連帯債務/連帯債務者とは

住宅ローンの契約で連帯債務者が求められるのは、収入合算をして【フラット35】を借りるとき。民間金融機関の住宅ローンの場合は連帯債務を求められることはほとんどありません。主債務者が借りた住宅ローンに対して、連帯債務者も債務者となるため、住宅ローン全額の返済義務を負うことになります。団信には主債務者のみの加入が原則ですが、連帯債務者も保険の対象となる「夫婦連生型」と呼ばれる団信に加入できる場合があります。なお、どちらも債務者のため、住宅ローン控除を二人で受けることができます。

連帯債務者の条件(主債務者との間柄)は、【フラット35】の場合は以下の要件に当てはまる人です。

・申し込む本人の親、子、配偶者等
・申し込み時の年齢が70歳未満の人
・申し込む本人と同居する人

目的も条件もよく似ている連帯保証人と連帯債務者。違いについては下の表を参考にしましょう。

■連帯保証と連帯債務の違い
連帯保証 連帯債務
住宅ローンの借り方 ペアローン、収入合算 収入合算
債務者 ペアローン:二人とも主債務者
収入合算:住宅ローンを申し込んだ人が主債務者。収入合算者は債務者ではない
住宅ローンを申し込んだ人が主債務者。収入合算者は従債務者
住宅ローン控除 ペアローン:二人とも受けられる
収入合算:一人しか受けられない
二人とも受けられる
団体信用生命保険(団信)加入 ペアローン:二人とも加入できる
収入合算:一人しか加入できない
原則は一人加入。ただし、【フラット35】の「デュエット」など、夫婦で加入できるケースもある

保証人と連帯保証人の違いは?

保証人と連帯保証人は、保証しなければならない範囲が違い、連帯保証人のほうがより重たい責任があります。お金を貸したほうにとっては、連帯保証人のほうがリスクを担保する効果が大きいため、住宅ローンの場合の「保証人」というと、「連帯保証人」のことだと考えていいでしょう。

保証人と連帯保証人の違いは、保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」という権利があること。わかりにくい言葉なので、一つずつ説明していきましょう。

催告の抗弁権とは

お金を貸した人(債務者)が、債務者に代わって返済するようにと要求してきた場合、「まずは、主債務者に返済するよう請求してください」と主張できる権利です。ただし、お金を借りた主債務者が破産していたり、行方不明になっていたりした場合は、催告の抗弁権は消滅するため主張できません。

検索の抗弁権とは

主債務者に資金や財産があるのに返済を拒否したからといって、債権者が保証人に返済を要求した場合、「まずは、主債務者から返済してもらうか、それが無理なら主債務者の財産を差し押さえてください」と主張できる権利です。

保証人が主債務者の代わりに借金返済を求められた際にできる3つの権利のイメージ図

分別の利益とは

保証人が複数の場合、保証人の人数で割った部分のみの債務を負担すればよい権利。債権額が300万円で保証人が3人いるなら、1人100万円までの責任しか発生しません。

連帯保証人の場合には、保証人に認められているこれら3つの権利がありません。つまり、主債務者の返済が滞った場合に、債権者が主債務者に返済請求をする前でも、また、主債務者に返済するための資産があったとしても、連帯保証人には返済の義務があるのです。

ほかにもある、連帯保証人を立てることが求められるケース

借りる人や物件の条件によっては保証人が必要なことも

保証会社の保証を確保したうえで、さらに連帯保証人をつけることが融資の条件になることがあります。ペアローンや収入合算以外で連帯保証人が必要になるケースをいくつかご紹介しましょう。なお、借りる人の条件や金融機関の審査基準によって、連帯保証人の要・不要は異なります。

・購入する土地や建物の名義を共有にする場合

例えば、土地と建物の名義を夫婦で共有にするのに、住宅ローンは夫が代表で借りる場合、夫の持分だけでは担保として不十分な場合があります。その場合、名義を共有している妻を連帯保証人にすることで融資の審査が通りやすくなります。

・親名義の土地に住宅を建てる場合

建物と土地では、土地のほうが担保価値が高いのが一般的。親が所有している土地に子どもが家を建てるケースでは、建物だけでは担保として不十分なことがあります。その場合、土地の所有者である親が連帯保証人になることが多くあります。

・自営業の場合

「個人事業主や会社の経営者などの場合、収入が景気に左右されがち。商売が立ち行かなくなって返済が滞るリスクが大きいといえます。そのため、景気が悪化してくると、保証会社の保証のほかに、連帯保証人も立てることが融資の条件になるケースが増えてきます」

・借入額に対して年収が少ないなど、審査内容に問題がある場合

年収や勤続年数など、融資の審査に通るか通らないか微妙な条件の人の場合、連帯保証人をつけることで融資が受けられるケースも。
「収入合算をすすめられて配偶者が連帯保証人になるケースもあれば、収入が十分にある親を連帯保証人に立てるケースもあります」

親の土地に建てた二世帯住宅のイメージ
土地は親の名義のまま、子どもが実家を二世帯住宅に建て替えるケースはよくあります。担保が建物だけでは希望の融資額を借りられない場合には、親が連帯保証人になることで審査に通ることも(画像/PIXTA)

保証会社ではなく、保証人を立てるメリットはある?

保証料がかからないのがメリット

一般的には、住宅ローンを借りる場合は保証会社を利用します。ネット銀行や【フラット35】など保証会社を利用しないケースもありますが、ネット銀行以外の金融機関でも保証会社は利用せずに、保証人に債務の保証をしてもらうことは可能です。

「保証会社ではなく、個人による保証でいいかは金融機関の判断になります。保証会社に支払う保証料は、借入額によりますが数十万円になりますから、保証人を立てることで保証料が不要になることはメリットといえるでしょう」

また、連帯保証人が求められるケースでも例に挙げましたが、自営業者などで住宅ローンの審査が通りにくい人が保証会社に加えて連帯保証人や連帯債務者を立てることで、融資を受けられる可能性がアップするのもメリットです。

保証人を立てるリスクやデメリットは?

離婚や死亡の際のリスクが大きい

ペアローンや収入合算で、親子や配偶者が連帯保証人になる場合、最も気をつけたいのは「離婚」や「死亡」のリスクです。

「離婚した場合、持ち家を売却したお金や自己資金でローンの残りを完済できればいいのですが、売却で完済できない場合は、そのまま返済を続けることになります」

もしも配偶者が返済を滞納すると連帯保証人に返済の請求がやってきます。連帯保証人を変更することはできませんから、増えた負担は完済まで続くことに。

「このリスクを回避するには、離婚をしないか、売却することでローンの残債を返せる資産価値の落ちにくい家を選ぶかでしょう」

また、収入合算をして連帯保証人になった配偶者が死亡した場合は、主債務者の返済がそのまま続きますが世帯収入が減ることで返済が苦しくなる可能性もあります。ペアローンの場合、死亡した債務者の残債は団信で完済されますが、遺された配偶者の返済は続きます。

「収入合算の場合、団信加入は原則主債務者一人ですが、夫婦で入れる団信があれば加入しておくのがいいでしょう」

ペアローンの場合は、団信のほかに生命保険にも加入して死亡時の保障を厚くしておくこともリスク回避になります。

デメリットは保証人に大きな負担をかけること

ペアローンや収入合算のために親や子、配偶者が連帯保証人になるのとは違い、別の理由で親や親戚、友人などを連帯保証人にした場合は、連帯保証人に大きな負担をかけるデメリットがあります。

「返済が滞ることがなかったとしても、住宅ローンという大きな金額の債務の保証人になることは精神的に大きな負担です。保証人になってもらったことがきっかけで、人間関係が壊れる可能性もあります。保証人は安易に依頼することも、引き受けることもやめたほうがいいでしょう」

住宅ローンを一人で借りる場合、保証人は不要なのが一般的。とはいえ、ペアローンや収入合算では、親や子、配偶者が連帯保証人、連帯債務者となります。返済が滞った場合、保証人にはどのような責任が発生するのかを知っておくことが大切です。

まとめ

住宅ローンを借りる場合、保証人は原則不要

ペアローンや収入合算をする場合は連帯保証人、連帯債務者を立てることになる

親名義の土地に家を建てる場合や自営業者などは保証人を立てることで融資を受けやすくなることも

連帯保証人、連帯債務者になった場合の離婚や死亡のリスクに備えておくことが大切

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取材・文/田方みき
公開日 2021年02月08日
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