【2025年版】住宅ローン減税をわかりやすく!新築・中古住宅、控除額、繰り上げ返済などの疑問にプロが答える!

最終更新日 2025年03月25日

【2024年版】住宅ローン減税をわかりやすく!新築・中古住宅、控除額、繰り上げ返済などの疑問にプロが答える!

住宅を購入する際に多額のお金を使うことになりますが、少しでも金銭的な負担を抑えたいと考える方に向けて「住宅ローン減税(住宅ローン控除)」という制度があります。この制度を活用すれば、一定期間年末ローン残高に応じた額に対して所得税等が控除されます。

そこで今回は、住宅ローン減税についてわかりやすく解説していきます。さらに、中古住宅、繰り上げ返済、ふるさと納税利用者のケースなど、住宅ローン減税に関する気になることについて、税理士の鎌田裕次郎さんに教えていただきました。これから新築・中古住宅を購入したいと計画されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

「住宅ローン減税」のポイントは、控除率、控除期間、住宅性能の3つ

まずは、住宅ローン減税の概要から解説しつつ、3つのポイントについて解説していきます。

住宅ローン減税とはどんなもの?

よく耳にする「住宅ローン減税」とは、正式には「住宅借入金等特別控除」と言い、「住宅ローン控除」とも呼ばれています。住宅ローンの金利の負担を軽減する制度です。

そもそも、「住宅ローン減税」とは何でしょうか。住宅ローンを借りて、マイホームを新築・購入、増改築等をする人は、年末調整もしくは確定申告により、年末(12月31日)時点での住宅ローン残高の一定割合が、一定期間、所得税から還付、つまり税金が安くなる制度です。

ただし、所得税だけで控除しきれない場合は、住民税からも控除が受けられます。

電卓とグラフの写真
住宅取得の支援策がいくつかあるので、住宅の購入を検討している人は支援策の要点をチェックしておこう(画像提供/PIXTA)
鎌田さんのワンポイントアドバイス 還付と控除の違いは?

還付とは、年末調整で計算した1年間に納める必要がある所得税額より実際に納めた税額が多い場合、払い過ぎた金額が返還されることです。

会社員など給与所得者は、毎月の給与から源泉徴収されているので、原則として確定申告をする必要がなく、所得税を払い過ぎている場合は年末調整により税金が「還付」されるのです。

給与所得者でも、副収入が年間20万円を超える人、年収が2000万円を超える人など一定の条件に当てはまる場合は確定申告を行う必要があります。また、住宅ローン減税を初めて利用する人も確定申告を行う必要があります。

一方、個人事業主やフリーランスなど、事業をしている人は、確定申告をすることで一定の金額が税金から差し引かれ、税金が減額されます。これを「控除」と言います。

「住宅ローン減税」の適用条件は?

住宅ローン減税を受けられる対象者は以下のとおりです。

  • 住宅ローンを借りて新築住宅(建売住宅やマンション)を購入した人
  • 住宅ローンを借りて注文住宅を建てた人
  • 住宅ローンを借りて中古住宅を購入した人
  • 住宅ローンを借りて一定規模以上の増改築・リフォームなどを行った人

「実際に申請する人は少ないですが、住宅ローンを借りて、耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修、修繕や模様替えを行った人も対象になる場合があるので、適用になるかどうかは、住宅の販売会社や依頼会社等に確認しましょう」(鎌田さん)

住宅ローン減税の適用になる住宅
住宅ローン減税について会話する夫婦のイラスト
住宅ローン減税の対象となる建物の例。新築・中古住宅、新築・中古マンション、リフォーム、増改築もOKだが、一定の要件があるのでチェック(イラスト/Tokico)

さらに、「住宅ローン減税」が受けられる主な要件は以下のとおりです。

要件1 住宅ローン減税を受ける人が自ら居住する
住宅の引き渡し、または工事完了から6カ月以内に、住宅ローン減税を受ける人自身が住むこと(投資目的の物件は対象になりません)。賃貸用住宅、別荘、セカンドハウス、親や子どものために建てた住宅で、自分が住まない場合は対象となりません。実際に本人が居住しているかどうかは住民票で確認されます。

要件2 住宅ローンの借入金の返済期間が10年以上

要件3 合計所得金額(※)が2000万円以下
夫妻が別々に借りるペアローンの場合、所得はローンを組む人それぞれで判断するため、各人の合計所得金額(※)が2000万円以下であることが要件。

要件4 床面積は原則50m2以上。所得1000万円以下の方は40m2以上(2023年までに建築確認を受けた新築住宅の場合)
対象となる住宅の床面積は原則50m2以上、ただし、合計所得金額(※)が1000万円以下の人に限り40m2以上50m2未満でも対象になります。床面積は、不動産登記上の床面積のことなので、登記簿で確認しましょう。ただし、住宅の一部を店舗や事務所などで事業用としている場合は、床面積の2分の1以上を自己の居住用として使う場合に限ります。

要件5 増改築・リフォームの場合の追加要件、工事費が100万円超
増改築・リフォームの場合も要件1~4は共通。ただし、要件4の「床面積の2分の1以上が自己の居住用」の部分は、「増改築・リフォーム費用の2分の1以上が自己の居住用」となります。増築する床面積についての条件はありません。

要件6 中古住宅(既存住宅)の場合、築年数要件は1982年1月以降に建てられた住宅であること
中古住宅(既存住宅)の場合、築年数要件も満たしている必要があります。築年数要件は1982年以降に建築された住宅であることです。ただし、現行の新耐震基準に適合する住宅であれば、1981年以前に建築された住宅も対象となります。

他に、契約・入居時期の要件があります。(後述

※合計所得金額とは?
合計所得金額とは、給与所得、事業所得などに、土地や建物、山林などを譲渡した場合の所得、公的年金等に係る所得、利子、配当、退職金に係る所得(非課税所得を除く)などすべての所得の合算になります

鎌田さんのワンポイントアドバイス
収入と所得の違いは?

収入と所得は違います。個人事業主の場合、収入から、収入を得るために使った仕入れ代金や諸経費などを差し引いたものが事業所得です。会社員の給与所得は、給与収入から会社員としての経費である給与所得控除を差し引いたものです。所得税は所得をベースに計算します。

給与1000万円以下とは?

給与収入のみの場合、要件3の「合計所得金額が2000万円以下」とは、年収の額面が2195万円以下、要件4の「合計所得金額が1000万円以下」とは、年収の額面が1195万円以下となります。控除額は年収により決まっていて、給与所得控除の上限は195万円です。給与収入から給与所得控除を引くと給与所得になります。
参考:「給与所得控除」(国税庁)

住宅の模型とお金のイメージ画像
住宅購入を検討する際に、住宅ローン減税の対象になるかならないか、要件を確認しておくとよい(画像提供/PIXTA)

「住宅ローン減税」を受けるには、いつまでの契約・入居が必要?

「住宅ローン減税」が受けられる対象住宅かどうかは、居住を開始した時期で異なります。ただし、新築住宅と買取再販住宅の場合、住宅性能と入居年により、控除を受けられるローン残高の上限が変わるので注意が必要です(詳細は後述)。

土地も「住宅ローン減税」の対象になる?

土地のみを購入する場合は「住宅ローン減税」の対象になりません。ただし、住宅取得と同時期に土地を取得して住宅を新築する場合、先に土地を購入し、2年以内に住宅を新築する場合の土地購入のためのローンは対象になります。

また、注文住宅を建てる場合で住宅建築と別に土地購入について単独で住宅ローンを組んだ場合は、土地に関する住宅ローン減税の期間は13年延長には該当せず、控除期間は住宅建築完了後に入居開始してから10年間となります。

リフォームは「住宅ローン減税」か「リフォーム減税」のどちらか

リフォームも工事費が100万円を超える場合は「住宅ローン減税」を受けられますが、リフォーム減税との重複利用はできません。比較して有利な方を申請しましょう。

【2025年】「住宅ローン減税」対象の住宅の種類と借入限度額の上限

住宅ローン減税の借入限度額は、住宅の種類や入居する時期、入居する世帯によって異なります。

環境性能による住宅区分 2024年入居(子育て世帯・若者夫婦世帯) 2024年入居(その他の世帯) 2025年入居
新築住宅・買取再販 長期優良住宅・低炭素住宅 5000万円 4500万円 4500万円
ZEH水準省エネ住宅 4500万円 3500万円 3500万円
省エネ基準適合住宅 4000万円 3000万円 3000万円
その他の住宅 0円※ 0円※ 0円※
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3000万円 3000万円 3000万円
その他の住宅 2000万円 2000万円 2000万円
※新築住宅・買取再販におけるその他の住宅は、2023年中に建築確認を受けている場合、2024年6月30日までに建築されている場合は2000万円(控除期間10年)

長期優良住宅

長期優良住宅とは、長期的に良好な状態を保てるようにするための措置が講じられている住宅を指します。主に、以下5つの措置が講じられていることになります。

  • 長期間使用するための構造・設備を有している
  • 居住環境などへの配慮がされている
  • 一定以上の住戸面積がある
  • 維持保全の期間や方法が決まっている
  • 自然災害に対する配慮も行っている

長期優良住宅では、二世代、三世代と世代を超えても住み続けられるよう、劣化対策や耐震性の確保などが必要です。また、省エネ性能やバリアフリー性能などを高める措置も行う必要があります。

長期優良住宅の認定を受けるには、まず着工する前に申請手続きを行います。確認検査機関が審査を実施し、承認されれば検査機関から適合証明書が発行されるため、それを役所に提出すると合格証が発行されます。これでようやく長期優良住宅を建てることが可能です。

低炭素住宅

低炭素住宅は、二酸化炭素の排出量を抑えるための対策が施された住宅を指します。低炭素住宅と認められるための条件は以下のとおりです。

  • 基準以上の省エネ性能を有しており、さらに低炭素化につながる措置が講じられている
  • 都市の低炭素化を促進するための基本方針に照らし合わせ、適切であることがわかる
  • 資金計画が適切と判断できる

低炭素住宅は単に二酸化炭素の排出量を抑えればよいのではなく、一定基準以上の断熱性と一次エネルギー消費性能、再生可能エネルギーを利用した設備の導入なども必要となります。例えば、冷暖房設備を高効率のエアコンにしたり、太陽光発電システムを導入したりするなどです。

低炭素住宅は建築コストが上がってしまうものの、住宅ローン減税や登録免許税の優遇措置、地域型住宅グリーン化事業の補助金がもらえる可能性があるなどのメリットも多いです。

ZEH水準省エネ住宅

ZEHはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、高い断熱性能と高効率の設備システムが両立された住宅です。具体的に言えば、断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6を同時に達成することで、ZEH水準省エネ住宅と認められます。

高い断熱性能を有することから、外気温の影響を受けにくく、1年を通して快適に過ごしやすいのが特徴です。また、温度差が生じにくいことで結露が発生しにくく、一般的な住宅に比べて自宅のメンテナンス頻度が減る可能性もあります。

ZEHの認定基準は以下のとおりです。

  • 省エネ・断熱性能のみで一次エネルギー消費量を20%削減している
  • 再生可能エネルギーも含めて一次エネルギー消費量を100%以上削減している など

なお、太陽光発電システムなど再生可能エネルギーの導入は必須というわけではありません。

省エネ基準適合住宅

省エネ基準適合住宅とは、建築物省エネ法における省エネ性能の基準を満たしている住宅を指します。具体的には、断熱等性能等級4以上・一次エネルギー消費量等級4以上の性能を持った住宅になります。

日本にはこれまで住宅の省エネ性に関する明確な基準はありませんでしたが、2025年4月より建築物省エネ法の改正によって、省エネ性能の基準を満たしていることが義務化されます。つまり、これから建てられる家はすべて省エネ基準適合住宅以上の省エネ性能を持っていることになるのです。

その他の住宅

その他の住宅は、長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の要件を満たさない住宅を指します。2025年4月から建築物省エネ法の改正に伴い、新築住宅は省エネ基準適合が義務付けられるため、徐々にその他の住宅はなくなっていくと考えられます。

ただし、省エネ基準を満たす性能の住宅を建てたとしても、その住宅の環境性能を示すための証明書を発行していなければ、その他の住宅として扱われてしまうため注意が必要です。長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅で新築を建てたい場合は、建築会社に証明書を発行してもらえるか確認してみましょう。

「住宅ローン減税」申請の手続きは?必要書類は?

住宅ローン減税を利用する場合、申請手続きが必要です。ここでは申請手続きの概要と必要書類について解説します。

初年度は確定申告が必要

「住宅ローン減税」を受けるためには、入居した年の翌年に確定申告をする必要があります。

初年度の手続き

「住宅ローン減税」は、住所地等の管轄の税務署の受付に必要書類を提出し、確定申告(還付申告)をします。税務署への時間外収受箱への投函・郵送も可能、また自宅から国税庁のホームページにアクセスし、確定申告書作成コーナーから申請書を作成して電子申告(e-Tax)もできます。

会社員など給与所得者は自分で確定申告をしない人が多いと思いますが、税務署で確定申告を行わないと住宅ローン減税の控除を受けることができないので、遅れないように必ず申告しましょう。

確定申告は住宅を取得し入居した年の翌年に、原則として2月16日から3月15日に行います。個人事業主などは、一般の確定申告とあわせて行います。還付申請のみであれば、1月から申請ができます。

確定申告の文字を指す指とパソコン
確定申告は国税庁のホームページでも作成し、インターネット上で電子送信もできるので、忙しい人でも申請できる(画像提供/PIXTA)
鎌田さんのワンポイントアドバイス  住宅ローン減税の申告手続きは?

●給与所得者が行う住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の申告手続きは、一生に何度もあることではないので、知識として覚える必要はないと思います。自分で作成する場合は、国税庁のホームページ内に書類の作成方法(記載例)があるので、見ながら記入していくとスムーズにできると思います。ただし苦手な方もいて、「どこの数字をどこに書いたらいいの?」と質問されることは少なくありません。そういうときは、金融機関や不動産会社に聞いて教えてもらいましょう。

確定申告の必要書類

提出する書類は、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(提出用)」です。国税庁のホームページからもダウンロードできます。

計算明細書に添付する書類は、いずれも適用要件を満たしていることを確認する書類で、適用する控除の種類により異なります。
大きく分けて、
(1)一般住宅
(2)認定住宅(認定長期優良住宅、低炭素建築物)
(3)中古住宅

の3種になります。また、税務署などに出向いて確定申告を行う場合と、国税庁のホームページから書類を作成して送る場合では、必要書類が異なります。早めに必要書類をそろえておくといいでしょう。

確定申告書と電卓とペン
「住宅ローン減税」の申請は、会社員でも確定申告が必要。まずは必要書類をそろえて(画像提供/PIXTA)
鎌田さんのワンポイントアドバイス  必要書類をそろえるときのお役立ち情報

●税務署などに出向いて「住宅借入金等特別控除」を申請する場合、必要書類のチェックシート付きの提出用の封筒が税務署に用意されています。提出書類を確認しながら漏れなくそろえることができて便利です。

●「連帯債務」の方、「すまい給付金」を受け取った方は、付表の作成が必要です。

●確定申告には、「マイナンバー(12桁の個人番号)」の記載が必要です。マイナンバーは、通知カード、マイナンバーカード(自分で交付申請が必要)、マイナンバーが記載された住民票の写しを見ればわかります。

2年目以降の手続きは年末調整で対応

初年度に確定申告をすれば、2年目以降は手続きがラクになりスムーズです。確定申告を行った年の10月ごろに、税務署から翌年以後の年数分(適用期間13年の場合は12枚)の「特別控除申告書」が送付されます。会社員(給与所得者)は、勤務先に「特別控除申告書」を提出すると、年末調整で控除を受けることができます。個人事業主は、確定申告の際に税務署に提出します。

「特別控除申告書」には、住宅の取得金額と借入金の残高を比較するところがあり、いずれか低い方を記入する欄があります(減税額計算のもとになります)。住宅ローンを借り入れている金融機関から送られてくるハガキ(年末残高等証明書)も必要です。

住宅ローン減税の申請の流れを整理すると、以下のようになります。

住宅の取得→入居(引き渡しまたは完成から6カ月以内)→「住宅ローン減税」申請に必要な添付書類の入手→入居した翌年の確定申告時に申請→2年目以降は、給与所得者は年末調整・個人事業主は確定申告

鎌田さんのワンポイントアドバイス  金融機関から送られてくるハガキや書類はチェック

●「特別控除申告書」は、12年間(もしくは9年間)毎年1枚ずつ使うため、なくさないよう大事に保管しましょう。万が一紛失した場合は、税務署に再交付を申請します。

●住宅ローンを借りた年には金融機関から、住宅ローン減税などの支援策のセミナーの案内が届くことがあります。いつ何をしたらいいか、書類の書き方、申請の仕方なども教えてくれます。

「住宅ローン減税」でいくら戻ってくる?最大控除額をチェック

住宅ローン減税を利用することで、具体的にどれくらいの金額が戻ってくるのか気になる方も多いでしょう。そこで、住宅ローン減税における最大控除額を調べるために、計算方法をご紹介します。

住宅ローン減税で戻る税額の計算方法は?

では「住宅ローン減税」を申請すると、いくら戻ってくるのでしょうか。計算の基本になるのは控除率、控除期間、住宅ローンの年末残高の3つです。

2022年度の税制改正により、控除率は一律0.7%となりました。

控除期間は、新築と買取再販住宅が原則13年、中古が10年です。ただし、新築だったとしても省エネ基準には適合しない「その他の住宅」に当てはまる場合、2024年以降に入居する場合の控除期間は中古と同じ10年間となります。

住宅ローン残高は、以下のように、新築住宅と中古住宅、住宅の省エネ性能、入居年などによって、上限額が決められています。2025年内に入居すると子育て世帯・若者夫婦世帯ならローン残高5000万円、それ以外の世帯は4500万円までが控除の対象となります。

例えば、新築住宅で認定長期優良住宅・認定低炭素住宅に該当する場合、ローン残高5000万円までが控除の対象となります。仮に入居後13年間の年末ローン残高がずっと5000万円以上だとすると、年間では5000万円×0.7%=35万円、13年間で合計455万円の控除が受けられるのです。

【住宅別、ローン残高の上限】
〈新築住宅・買取再販〉

※【1】=2024年入居、子育て世帯・若者夫婦世帯
 【2】=2024年入居、その他の世帯
 【3】=2025年入居

  • 認定長期優良住宅、認定低炭素住宅:【1】5000万円、【2】4500万円、【3】4500万円
  • ZEH水準省エネ住宅:【1】4500万円、【2】3500万円、【3】3500万円
  • 省エネ基準適合住宅:【1】4000万円、【2】3000万円、【3】3000万円
  • その他の住宅:【1】【2】【3】2000万円、ただし2024年以降に建築確認を受けた住宅は控除対象外
〈中古住宅〉
  • 認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅:3000万円
  • その他の住宅:2000万円

ローン控除額=実際に戻る額とは限らない

「住宅ローン減税」の還付金の上限は決まっていますが、実際に戻る税額は、住宅ローンの借入金、年末のローン残高、税額(所得税、住民税)、新築住宅か中古住宅か、といった条件で変わります。また、住宅ローン減税は、所得税、さらに住民税から控除されるため、申請者の税額(所得税、住民税)、つまりは税額(所得税、住民税)のベースになる年収(所得)や扶養家族の数などによって、戻る税額が変わります。

「住宅ローン減税」の疑問を解決!繰り上げ返済やふるさと納税利用者は?

ここからは、住宅ローン減税についてのよくある疑問を解消します。繰り上げ返済のタイミングや借り換え、夫妻でのペアローン、転勤時の適用条件、ふるさと納税との併用について詳しく解説します。

■繰り上げ返済は住宅ローン減税の後にするべき?

「一般的には、繰り上げ返済は早い時期に行うほど有効ですが、住宅ローン減税が適用される期間中に繰り上げ返済を行うと、年末のローン残高が減り、還付金が少なくなります。

1年間で支払う金利によって人それぞれなので、どちらが有利かはケースバイケースです。金融機関などに相談しましょう」(いずれも回答は鎌田さん)

■借り換えた場合、住宅ローン減税は継続して受けられる?

「住宅ローンを借り換えた場合も住宅ローン減税は継続して適用できます。

以前は、より金利を下げるために住宅ローンの借り換えをする方が多くいましたが、今は10年変動金利型ローンを借りる方が多く、最初の10年は金利が安くて11年目から上がるケースが多いため、最初の10年で借り換えをする人はほとんどいません。一般的な話で言うと当初10年間は低金利の住宅ローンの借り換えはせずに、住宅ローン控除を受けるのがオススメです。

もし借り換えをして住宅ローン減税を適用する場合は、
(1)借り換えるローンが最初に組んだローンの返済に充てられることがはっきりしていること

(2)返済期間が10年以上で、住宅ローン減税の適用が認められるローンであること
の2つの要件を満たしていることが前提です」

■夫妻のペアローンや収入合算は、2人とも住宅ローン減税が適用になる?

「共働きの夫妻の場合、単独で住宅ローンを借りる場合より、2人で協力して住宅ローンを借りると、借入額が増えます。最近は、夫妻で借りるケースが増えています。

連帯債務の場合、夫妻の収入を合計してひとつの住宅ローンを組む『収入合算』と、ひとつの物件に対して夫妻がそれぞれ住宅ローンを契約して、お互いに連帯保証人になって借りる『ペアローン』があります。『ペアローン』は、夫妻それぞれが住宅ローンを契約するため、手数料などの諸費用分は2件分かかります。

『収入合算』の場合は1人分しか住宅ローン減税の適用を受けることができませんが、『ペアローン』を組んだ場合は、夫妻がそれぞれ確定申告を行い住宅ローン減税の適用を受けることができます」

マイホームのお金について相談する夫婦
共働きの夫妻が住宅ローンを借りる場合の住宅ローン減税、収入合算なら1人分、ペアローンは2人分適用になり、納税額によっては節税効果がある場合も。よく相談して決めよう(画像提供/PIXTA)

■転勤で自分が住めなくなった場合、住宅ローン減税は受けられる?

「住宅ローン減税は、原則、減税を受ける本人自らが居住することが条件です。けれども、転勤など、本人が住めないやむを得ない事情がある場合で、住宅を取得した日から6カ月以内に家族(配偶者、扶養親族、生計をともにする親族)が住み、やむを得ない事情が解消した後に本人と家族が同居すると認められれば適用が可能です。

ただし、住宅ローン減税は、居住者(日本国内に住所を有する者)に限られます。家族が居住した場合でも、国外に転勤する場合、課税の対象となる国内源泉所得がある年分に限られます。

また、住宅ローン減税が適用される年の12月31日時点で、転勤などで本人や家族が居住しなくなった場合、居住していなかった期間は適用が受けられません。適用期間中に転勤が解除され、再び居住する場合は再度、残存控除期間につき、再適用を受けることができます」

詳しくは、国税庁ホームページ(転勤と住宅借入金等特別控除等)を参照。

■ふるさと納税利用者はどうなる?

『ふるさと納税』は、応援したい自治体に寄付をすると、オトクな特産品などを返礼品としてもらえる制度で、寄付した金額は、確定申告をすることで寄付金控除として税金の控除が受けられます。(確定申告をしなくてもいい特例制度もあります)

「住宅ローン減税を受ける場合も、『ふるさと納税』の寄付金の控除を受けることが可能です。控除額は、収入と家族構成・扶養の状況・寄付金額などによって変わります。総務省のふるさと納税ポータルサイトに、ふるさと納税額の目安と、寄付金控除額を計算するシミュレーション(エクセルシート)があるので、確認してみましょう」

ふるさと納税イメージ
住宅ローン減税を受けながら、ふるさと納税を併用することは可能(画像提供/PIXTA)

■他の支援策との併用はできるの?

「住宅ローン減税は、住宅取得等資金の贈与税非課税措置、こどもエコすまい支援事業などの支援策との併用が可能です。いずれも時限措置なので、適用期限や要件などをしっかり確認しておきましょう」

その他の支援策についてもっと詳しく
今年度【得する住宅税制ガイド】

住宅取得等資金の贈与税における非課税枠は、一定の省エネ基準を満たしていれば最大1000万円まで、その他の住宅は500万円までとなります。適用期限は2026年12月31日まで。住宅ローン減税と贈与税の非課税枠をうまく活用していきましょう。

マイホームを購入する際は、税金の負担を減らす住宅ローン減税など、支援策が用意されています。住宅ローン減税の制度や仕組みなどを正しく知り、住宅購入等をオトクに進められるよう計画を立てましょう。「減税制度はよくわからない」「数字は苦手だし手続きも難しそう」とあきらめる前に、金融機関や不動産会社、税理士などに相談してみるのもひとつです。

■その他に住宅購入に活用できる特例制度はある?

税制改正大綱では、住宅を購入する際に活用できる固定資産税・登録免許税などの軽減措置が延長されたことが盛り込まれています。

【2025年12月31日まで】
譲渡所得買い換え特例
譲渡損失損益通算および繰り越し控除

【2026年3月31日まで】
固定資産税の減額措置

【2027年3月31日まで】
印紙税の軽減措置
登録免許税の軽減措置
認定長期優良住宅の特例措置
認定低炭素住宅の特例措置
不動産取得税の特例措置

まとめ

住宅ローン減税の適用を受けるには、初年度は確定申告が必要

住宅ローン減税の控除上限額は、新築住宅/中古住宅、住宅の省エネ性能、入居年などによって異なる

住宅ローン減税とこどもエコすまい支援事業などの支援策は併用可能

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