低層マンションの魅力 ~メリットやデメリットは? 高層マンションの住み心地とはどう違う?~

低層マンションの魅力 ~メリットやデメリットは? 高層マンションの住み心地とはどう違う?~

ひとくちにマンションといっても階数や総戸数、形状などで立地や住み心地は異なります。最近はタワーマンションが注目されがちですが、その一方で低層マンションも希少性があり根強い人気を誇ります。その魅力をご紹介します。

低層マンションのメリットは?

低層マンションに明確な定義はなく、3~5階建てのマンションを指すことが多いようです。立地や規模などの特徴を、長谷川不動産経済社の長谷川高さんに伺いました。

「低層マンションは第一種低層住居専用地域、もしくは第二種低層住居専用地域などに建てられることが多いです。都市計画上は一戸建て中心の住宅街であり、建てられる建物の高さや種類が厳しく制限されているため住環境は良好。閑静で落ち着いた場所である場合がほとんどです。

また、高さ制限のほかに日影制限も厳しいため、日当たりのいいマンションが多いのも特徴です。さらに建蔽率(建ぺい率)※が低く、敷地がゆったりとられていますね。商業地域の建蔽率が80%に対して、第一種低層住居専用地域は30%~60%。建蔽率30%であれば、敷地の7割が建物以外の土地ということです。緑地率が高くなり、平置きの駐車場も可能になります」

総戸数は数10戸程度が多いですが、100戸以上の物件もあります。低層マンションの魅力は、一戸建て感覚の暮らしができること。加えて「環境が将来にわたって維持される可能性が高いですね」と長谷川さんは話します。

「例えば高層マンションで、レインボーブリッジが見えていたのに新しいビルができて見えなくなったとなると資産価値が毀損します。環境が悪いほうに変わるとしたら、日当たりと眺望ですが、低層マンションが建つエリアでは、そうした心配は少ないでしょう」

ずっと変わらず良好な住環境を保つことができれば、資産価値も安定しやすいと言えそうです。また、“低層”ならではのメリットもあります。

「3階程度であれば、階段でラクラク上り下りができ、エレベーター待ちのストレスとは無縁。地震の際も、高層階に比べると揺れが少なく、万が一のときは、エレベーターに頼らず、自力で階段を使って避難することができます。地面に近い安心感は大きいですね」

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(写真/PIXTA)

低層マンションでは壁式構造を採用しているケースが多数。頑丈な壁で建物を支える壁式構造は地震に強い構造と言われています。柱や梁がないため室内がすっきりとして、家具を配置しやすいのもメリットです。

ただし物件数は少なく、「仮に、デベロッパーが年間60棟のマンションをつくるとして、そのなかで低層マンションは1棟か2棟、あるかないかです」と長谷川さん。「収支が合う規模の物件をつくろうとしたら、相当広い土地が必要になります。そのため、なかなか供給がありません」

特に都心の閑静な邸宅街に立地する低層マンションは希少な存在と言えそう。建物も素材にこだわった重厚感のある造りである場合が多く、ヴィンテージ・マンションとして成熟するケースも見られます。

デメリットはある? 高層マンションと比べてみると…

さまざまな魅力をもつ低層マンション。ただその一方で、タワーマンションも気になる……という方もいるでしょう。そこで低層マンションとタワーマンションをさまざまな項目で比較してみました。何がデメリットに感じるかは人によって異なります。どちらが自分のライフスタイルに適しているか、チェックしてみましょう。

戸数、階数

・低層マンション
3~5階建て、戸数は数10戸程度が多いが、稀に100戸を超える物件もある。

・タワーマンション
20階建て以上。総戸数が1000戸を超える大規模マンションも。

用途地域と周辺の建築物の種類、商業地域や駅への近さ

・低層マンション
主に第一種低層住居専用地域など住居系の用途地域に立地する。周辺は一戸建てが中心。ほかには小規模な店舗、小中学校、診療所など。駅から少し離れ、10分~15分歩く物件が多い。

・タワーマンション
商業地域や準工業地域などの用途地域が多い。市街地の中心となるエリアで、オフィスビルや商業施設などがそろう。建物内にスーパーや保育所など各種利便施設が入っている物件もある。駅近で徒歩数分圏が一般的。最近は駅前や駅上の物件も。

防災

・低層マンション
エレベーターが停止しても影響は比較的少なく、階段を使って自力で避難できる。敷地内の空地を利用して、仮設トイレなどの設置も可能。

・タワーマンション
建築基準法で一般より厳しい耐震基準を設けている。自家発電装置や防災倉庫を備える物件も多い。ただしエレベーターが停止すると、高層階からの避難や物資の運搬が困難に。

コミュニティ形成

・低層マンション
戸数が少ないため、住人同士が顔を合わせる機会が多く、数年住むうちに自然とどこに誰が住んでいるか分かってくるマンションが多いよう。

・タワーマンション
コミュニティ形成を促すために、住人の親睦を深める交流イベントや避難訓練を行ったり、マンションの完成前から“顔合わせ会”などの名目で実施する物件も。

物件価格、管理費、修繕積立金、大規模修繕、管理体制など

・低層マンション
価格は立地やグレードによる。管理費や修繕積立金が特に高いということはない。「管理会社が複数の物件をセットで管理するようになり、小規模だから高いというケースは少なくなりました」(長谷川さん)。ただしコンシェルジュサービスなどを行っているところの管理費等は高め。大規模修繕のやり方は一般的なマンションと基本的に同じ。管理体制は、昼間のみ有人管理が多い。

・タワーマンション
価格は立地やグレード、階数などによる。共用施設が充実していることや管理体制などを考慮すると、管理費や修繕積立金等に割安感がある。24時間有人管理が一般的。

共用施設の充実度

・低層マンション
共用施設は少なめ。広く、豪華な仕様のエントランスロビー、ラウンジなどがある物件も。

・タワーマンション
カフェやジム、キッズルーム、ゲストルームなど充実している。階数を活かし、居住フロアに関係なく住人が等しく眺望を楽しめるビューラウンジなどを設ける物件もある。

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(写真/PIXTA)

自然と共生、都心の隠れ家…低層マンションコレクション

最後に編集部がピックアップした、低層の名作マンションをご紹介しましょう。

【コレクション1】東急ドエル 桜台ビレジ

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(撮影/浜田啓子)

神奈川県横浜市/1969年竣工
5階建て・124戸
東急田園都市線青葉台駅徒歩15分

桜とともに時を重ねるヴィンテージ・マンション

日本建築史を代表する建築家の一人である内井昭蔵が設計。南西向き傾斜地に4つの住棟が並び、中庭には横浜市青葉区桜台の住所にちなんだ30本の桜やシャガ、ツツジ、サツキなどが植えられています。

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(撮影/浜田啓子)

竣工時から暮らす住人は「桜の高木化が問題になったため数年前に剪定(せんてい)し、また植栽が健やかに成長するようになりました」とのこと。さらに2017年末には国の補助金制度を活用して全戸の窓を複層ガラスに変更し、居住性が格段に向上。リノベーションを行って暮らし始める若いファミリーも増えており、多様な世代のコミュニティがつくられています。

【コレクション2】ライブタウン浜田山

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(撮影/浜田啓子)

東京都杉並区/1977年竣工
3階建て・86戸
京王井の頭線浜田山駅徒歩2分

個性的な英国調タウンハウス 住み継がれるコミュニティ

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(撮影/浜田啓子)

駅からにぎやかな商店街を抜けてわずか2分の場所。敷地に足を踏み入れた途端に時間の流れ方が穏やかになります。焦げ茶のブリックタイルと白い屋根、深い緑に覆われた英国調のタウンハウスが広がり、その間を石畳の小道がつなぎます。各ハウスはフラット(平屋)とメゾネットで構成されており、1棟当たり5~8住戸。すべて3階建てのせいか、空が広く開放的な気分に。ある住人は「歳月をかけて育まれた穏やかなコミュニティを皆さんが好み、できるだけ長く存続させようと緩やかに連帯しています」と話しています。

【コレクション3】ミュゼ・ダール御殿山

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(撮影/浜田啓子)

東京都品川区/2000年竣工
5階建て・29戸
山手線大崎駅徒歩14分

現代美術が拠点の寄り添う 深緑のベールに包まれた館

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(撮影/浜田啓子)

「城南五山」と総称されるハイクラスな住宅地のひとつ「御殿山」の一角。江戸時代から桜の名所として知られ、隣り合うのは原美術館と御殿山庭園。いずれも深緑に覆われ、まさに都心の隠れ家といった趣です。エントランスを入ると吹抜けのギャラリーコート。著名彫刻家の鉄製オブジェが鎮座する空間を、わが家の庭感覚で通り抜けることができます。住戸にも創作空間としてバルコニーに面した「サニー&ホビールーム」や、美術品の展示に適した「ギャラリーウォール」を設けたプラン。日常的にアートを感じ、心穏やかに暮らせそうです。

【番外編】ヒルサイドテラス平山城址

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(撮影/中垣美沙)

東京都八王子市/1991年竣工
9階建て・42戸
京王線平山城址公園駅徒歩14分

多摩丘陵の“ひな壇御殿” 春秋には雲海の絶景も

多摩丘陵の斜面に立つ全42戸。9階建てだが、戸数は小規模で、各戸の専有面積は驚きの190m2超。ルーフテラス、トランクルームなど居室以外も含めると各戸約400m2に。しかもワンフロアでこの広さというから驚きです。

「1列に7住戸がひな壇上に並び、列の間はパティオや通路で隔てられてプライバシーが確保されています。管理規約でBBQも認められており、一戸建てのような感覚です」(管理組合理事長の鈴政氏)

圧巻はリビングに続く芝生敷きのルーフテラス。街並みや自然がきれいに見え、秋から春先の間、雨上がりに気温が上昇した午前中には雲海が広がることもあるそう。

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(撮影/中垣美沙)

ここ数年の新築マンションは、タワー~中高層が一般的。だからこそ低層マンションや小規模マンションは、希少で価値の高い住まいといえます。興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

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取材・文/保倉勝巳、小宮山悦子
公開日 2018年10月30日
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