マンションの構造の種類を知りたい!間仕切り壁がはずせて、将来、部屋を広くできるのはどれ?

最終更新日 2022年09月26日
マンションの構造の種類を知りたい!間仕切り壁がはずせて、将来、部屋を広くできるのはどれ?

マンションの構造には複数の種類があります。RC造、SRC造、ラーメン構造、壁式構造など、広告やモデルルームなどで見かける言葉ですが、それぞれにどのような特徴があるのでしょう。また、構造によってリフォームなどにどう影響するのでしょう? マンションの構造についての基本や、リフォーム、住み心地への影響について建築家の鈴木哲夫さんに聞きました。

RC造、SRC造、S造。マンションの構造の種類はいろいろ

建物をつくる材料で構造の種類が分かれる

マンションやビルなどの構造には複数の種類があります。鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)といった言葉を聞いたり、マンションの広告で目にしたことがあるでしょう。これらは、建物をつくるための材料の違いによる種類です。

RC造(鉄筋コンクリート造/Reinforced Concrete)とは、型枠の中に『鉄筋』を組み、『コンクリート』を流し込んで固めた構造。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造/Steel Reinforced Concrete)とは、鉄筋コンクリート造の芯の部分に鉄骨を入れた構造。
S造(鉄骨造/Steel)とは、柱や梁などに『鉄骨』を使用した構造で、鉄骨(鋼材)の厚さの違いで、さらに重量鉄骨造と軽量鉄骨造に分類されます。

建物をつくる材料による種類
・RC造(鉄筋コンクリート造/Reinforced Concrete)
・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
・S造(鉄骨造)
 └重量鉄骨
 └軽量鉄骨

材料の組み立て方によっても構造の種類が分かれる

材料の種類のほか、構造材の組み立て方によっても、構造の種類はラーメン構造と壁式構造に分けられています。

ラーメン構造とは、柱と梁のフレームで建物を支える構造で、RC造、SRC造、S造の建物で採用されます。ラーメンとは、ドイツ語の「Rahmen」で額縁を意味します。
壁式構造とは、床版と壁で建物を支える構造で、RC造の建物で採用されます。

材料の組み立て方による種類
・ラーメン構造(RC造、SRC造、S造)
・壁式構造(RC造)

マンションの構造
(画像作成/SUUMO編集部)

では、これらのマンションの構造の種類について、それぞれの特徴やどのような建物に使われるのかを解説していきましょう。

高層マンションと低層マンション
マンションは材料や組み立て方で構造の種類が異なる(画像/PIXTA)

RC造マンションの特徴を知っておこう

RC造とはどんな構造?どんなマンションで採用されている?

RC造(鉄筋コンクリート造)とは、型枠と呼ばれる建物の形の仮設の枠の中に鉄筋を組み、まだ柔らかい状態のコンクリートを流し込んで固めた構造のことです。

コンクリートは硬いため圧縮する力には強い反面、ほとんど伸びないため引っ張る力には弱く伸びる前にヒビなどが発生します。鉄筋は、引っ張る力には強いのですが熱に弱く錆びやすいという弱点があります。引っ張る力に弱いコンクリートを鉄筋の伸びが補い、鉄筋の熱や錆への弱さを耐久性の高いコンクリートが保護します。鉄筋とコンクリート、それぞれの長所・短所を生かし、補い合うことで建物の強度や耐久性を保つのがRC造です。

さまざまな規模、高さのマンションで採用されている構造。中低層マンションだけでなく、最近は高強度のコンクリートを使ってタワーマンションもRC造で建てられることが多くなっています。

RC造(鉄筋コンクリート造)のイメージ
RC造(鉄筋コンクリート造)

RC造の防音性、耐火性、耐震性は?

RC造の防音性

コンクリートには高い遮音性があります。そのため上下階や隣の住戸からの音をしっかり遮断します。
「ただし、隣の住戸との間の『戸境壁』がALC板※ などの軽量材の場合、コンクリートに比べて隣からの音が伝わりやすくなります。タワーマンションは建物の軽量化を図るために戸境壁にALC板が採用されるのが一般的です」(鈴木さん、以下同)

※ALC板:高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリート建材

RC造の耐火性

コンクリートは不燃材料。そのためRC造は火事に強い特徴があります。

RC造の耐震性

圧縮と引っ張る力に強く耐震性が高いのが特徴。
「RC造よりもSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)のほうが耐震性に優れているといわれてきましたが、築年数の浅いRC造の建物は耐震性においてSRC造と大きな差はありません」

RC造のメリット、デメリットは?

RC造のメリット

・耐久性や耐震性、耐火性、断熱性、防音性能などが高い
・コンクリートが主原料のためさまざまな建物の形をつくれる。また、柱と梁で建物を支えるため窓などの開口部を多くできるなど、デザインの自由度が高い

RC造のデメリット

・コンクリートや鉄筋でできた重量が大きな建築物のため、S造(鉄骨造)に比べると大きな空間がつくりにくい
・気密性が高いため暮らし方や換気の状態によっては結露が発生しやすい

RC造で建設されたタワーマンションのイメージ
タワーマンションでもRC造が採用される ※写真はイメージ(画像/PIXTA)

SRC造マンションの構造の特徴を知っておこう

SRC造とはどんな構造?どんな建物で採用されている?

RC造(鉄筋コンクリート造)に芯の部分に鉄骨を入れた構造がSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)です。硬さと強さをもったコンクリートと柔らかく粘り強い鉄骨の長所を生かした耐震性能に優れた構造です。7~8階建て以上の中高層マンションで採用されることが多い構造です。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)のイメージ
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

SRC造の防音性、耐火性、耐震性は?

SRC造の防音性

RC造と同様に、高い遮音性をもつコンクリートでできているため、上下階や隣の住戸の音を遮断します。ただし、戸境壁がコンクリートではない場合は、遮音性能が劣ることも。

SRC造の耐火性

RC造と同様、コンクリートは不燃材料のため耐火性の高い構造です。

SRC造の耐震性

地震の力が加わったときに、粘り強い鉄骨はしなることで地震エネルギーを吸収。耐震性に優れている構造です。

SRC造のメリット、デメリットは?

SRC造のメリット

・RC造に鉄骨を組み合わせることで硬く、粘り強くなり、耐震性に優れている

SRC造のデメリット

・RC造同様に、気密性の高さが結露やカビの発生を招くことがある
・RC造に比べて建設コストが高く、工期も長くなる

S造の建物の構造の特徴を知っておこう

S造とはどんな構造?どんな建物で採用されている?

S造(鉄骨造)は、柱や梁など建物の骨組みに鉄骨を使用する構造です。鋼材(鉄骨)の厚さが6mm未満は軽量鉄骨造、厚さが6mm以上は重量鉄骨造に分類されます。

「軽量鉄骨造は2階建ての住宅や小規模な店舗で採用されています。重量鉄骨造に比べて鋼材が薄い分、筋交いを設置することで変形を補っています。重量鉄骨造は3階建て以上の建物で採用され、RC造(鉄筋コンクリート造)よりも大きな空間がつくりやすく、広さや高さが必要な工場などにも使われる構造です。S造は、マンションというより、オフィスビルやテナントビル、工場、小規模な住宅や店舗、アパートで採用されるのが一般的です」

S造(鉄骨造)のイメージ
S造(鉄骨造)

S造の防音性、耐火性、耐震性は?

S造の防音性

骨組みは鉄骨ですが、それ以外の建材は木造住宅と同じで、音や振動が響きやすい傾向にあります。

S造の耐火性

熱で鉄骨が変形することがあります。RC造、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)に比べると耐火性能は劣ります。

S造の耐震性

地震の力で鉄骨がしなるため、地震の揺れを感じやすいのが特徴です。

S造のメリット、デメリットは?

S造のメリット

・工場で製造された部材を現場に運びこみ、施工するため品質が安定している
・工期が比較的短くてすむ
・建設コストが比較的安価

S造のデメリット

・遮音性や耐久性、耐震性など多くの点でRC造、SRC造に劣る

構造別の特徴
RC造 SRC造 S造
防音性 コンクリートが音を遮断。防音性は高い。ただし、隣の住戸との間の戸境壁がコンクリートではなく音や振動が響くことがある 音や振動は響きやすい
耐火性 コンクリートは不燃材料のため、耐火性は高い 熱で鉄骨が変形する。使用する建材にもよるがRC造、SRC造に比較すると耐火性は劣る
耐震性 耐震性は高い。築年数の浅い建物ならSRC造と同等の耐震性がある 耐震性は非常に高い 地震の揺れは感じやすい。RC造、SRC造に比較すると耐震性は劣る
採用される建物の規模 規模の大小を問わず、タワーマンションなどにも採用 7~8階建て以上のマンションなどで採用 オフィスビルやテナントビル、工場、2階建ての住宅、店舗、アパートなどで採用

ラーメン構造、壁式構造、どう違う?

ラーメン構造とはどんな構造?どんな建物で採用されている?

材料の組み立て方によって分けられるのが「ラーメン構造」と「壁式構造」です。

ラーメン構造とは、柱と梁でフレームをつくり、壁やスラブ(コンクリートの天井、床)を加える構造です。RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)の建物で採用されます。低層建物をつくることもできますし、50階を超える超高層マンションをラーメン構造で建てることもできます。

「マンションの多くはラーメン構造で建てられているといっていいでしょう」

柱や梁が室内側に出っ張るため、家具を置きにくい、圧迫感を感じるなどのデメリットがありますが、近年は柱や梁が室内側に出ない逆梁工法や、逆梁アウトフレーム工法ですっきりした室内のラーメン構造のマンションもあります。

ラーメン構造のメリット、デメリットは?

ラーメン構造のメリット

・室内の壁で建物を支えているわけではないため、広い空間をつくれる
・間取りの自由度が高い
・地震の揺れに対して柔軟性があるため、地震エネルギーを吸収。耐震性に優れている

ラーメン構造のデメリット

・柱と梁が室内側に出るため圧迫感が出たり、家具が置きにくかったりする。出っ張りは、特に中古マンションに多い

ラーメン構造のイメージ
ラーメン構造

壁式構造とはどんな構造?どんな建物で採用されている?

壁式構造とは、柱や梁、耐力壁と床を一体化させた構造。RC造で地上階数5階以下の低層マンションで採用されるのが一般的です。

壁式構造のメリット、デメリットは?

壁式構造のメリット

・室内に柱や梁が出っ張らないので空間がすっきり

壁式構造のデメリット

・建物を支える耐力壁は撤去できないため間取りの自由度が低い
・大きな窓や開口部が設けにくい

壁式構造のイメージ
壁式構造

間仕切り壁を外して間取り変更。どの構造が自由度が高い?暮らし心地はどう違う?

ラーメン構造と壁式構造、リフォームの自由度が高いのはどの構造?

新築マンションを購入して将来リフォームする場合や、中古住宅を購入してリノベーションする際、気になるのは間取り変更の自由度です。マンションの場合、住戸の内側の空間は所有者が自由に変更できるのですが、壁式構造の場合、室内にある耐力壁は動かしたり撤去したりができません。マンション全体の強度に影響するためです。ですから、小さな部屋の間の壁を撤去してひとつの部屋にする、といったプランが実現できないこともあります。

リフォームの自由度が高いのはラーメン構造のマンション。躯体(建物の構造を支える部分)以外を撤去したスケルトン状態にして、新たな間取りをプランニングすることが可能です。

スケルトン状態にしたラーメン構造のマンション
リノベーション前に間仕切り壁などを撤去したラーメン構造のマンション(画像/PIXTA)

RC造、SRC造、S造、暮らし心地はどう違う?

構造の種類によって、室内の快適性などは違ってくるのでしょうか。

「RC造(鉄筋コンクリート造)とSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)では、住み心地の差異はほとんどないでしょう。ただし、戸境壁の作りがコンクリート造なのか、ALC板などの軽量材かによって振動や騒音の性能差は出ます。

S造(鉄骨造)は店舗やアパート、戸建てで採用されるケースがほとんど。外壁などの仕上げ材が軽量建材になることが一般的で、遮音性はRC造、SRC造に比べてやや劣ります。また、地震などによって外壁を覆った建材の板間が動いて隙間ができてしまうと、気密性や断熱性の面でもRC造、SRC造に比べればやや劣るようになります」

マンションのイメージ
RC造、SRC造のマンションでは住み心地に差はない(画像/PIXTA)

マンションがRC造なのか、SRC造なのか、見分けることはできる?

物件探しでみつけた新築マンションや中古マンションが、どの構造で建てられているのかを判断するにはどうすればいいのでしょうか。

新築マンションでは広告の「物件概要」の欄に「RC造」「SRC造」といった記載があります。壁式構造かラーメン構造かはモデルルームの担当者に尋ねると間違いありません。

「中古マンションの場合は、物件検索サイトで検索すると『物件概要』欄があります。たまに間違って記載されていることがあるので、複数のサイトで確認するといいでしょう」

では、物件の外観や内観を見て判断することはできるでしょうか?

「高層マンションの場合はほとんどラーメン構造と判断してよいでしょう。壁式構造の場合は、少しわかりにくいですが、低層マンションの外観で、窓の位置が上下階でそろっていて、建物の角の壁が各階同じ位置にあり、内部に柱の出っ張りがなければ壁式構造のケースが高いです。また、壁式構造は間取りの仕切りの全部、または一部がコンクリートの壁でできています。

RC造なのか、SRC造なのかは、専門家でも内観・外観を見るだけでは判別できません。住戸内から見て柱の間隔や梁の長さが長い場合は、SRC造の可能性が高いですが、RC造の特殊工法の場合もありますので、判断はしにくいところがあります」

物件見学だけでマンションの構造を判断することは困難ですが、マンションを購入予定なら構造の種類について知っておくことは大切。構造を確認する際には、新築マンションなら物件広告やモデルルームの担当者への問い合わせ、中古マンションなら物件検索サイトの物件概要欄のほか、マンションができた当時のパンフレットなどの資料で確認できないか不動産仲介会社に問い合わせるといいでしょう。

まとめ

建物の構造は建てる材料によって、RC造、SRC造、S造がある。

マンションの場合、ほとんどがRC造。

材料の組み方によってラーメン構造、壁式構造がある。

RC造とSRC造はどちらも遮音性、耐震性、耐火性などに優れ、暮らし心地にも大きな差はない。

RC造なのかSRC造なのかを目で見て判断するのは専門家でも難しい。物件概要を見るか、モデルルームや不動産仲介会社の担当者に確認するのがいい。

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取材・文/田方みき イラスト/杉崎アチャ
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