マンション購入時には、間取りや周辺環境が気になりますが、見落としがちなのが駐輪場の問題です。些細なことと感じるかもしれませんが、毎日使う人にとっては深刻な問題・トラブルを招きかねません。また、駐輪場の料金の相場はどうなのか、駐輪場が平面式・二段式(立体式)・スライド式なのか、空きがないということはないのかなど、チェックしておきたいポイントがあります。そこで今回は、住まい選びで後悔しないためにも、知っておきたい“マンションの駐輪場にまつわるポイント”をご紹介します。
マンションの駐輪場に潜む問題点・トラブルは、駐輪場そのものの構造が原因になるものから、マンションの環境に起因するものまでさまざまです。マンションを見学する際には、次のような問題点・トラブルが潜んでいないか確認しておくといいでしょう。
1)駐輪場のスペースが狭い・台数が不足している
マンションの戸数に対して、どのくらいの駐輪スペースがあるのか確認しておきましょう。特に家族で住み始める場合は、通勤通学のため何台も自転車が必要になるケースが想定されます。「1戸当たり●台まで」といったルールがあるのかチェックしておきましょう。
2)放置自転車が多い
マンションの駐輪場を見ると、すでに退去した人の自転車がほこりをかぶって放置されていることや、駐輪場からあふれた自転車が共用スペースに散乱していることがあります。放置自転車が目立つマンションは、管理が行き届いていないケースや、ルールがあいまいなケースがありますので、管理会社に管理状況やルールについて確認しておくといいでしょう。
3)周辺に駐輪場は借りられそうなのか
マンションによってはすでに駐輪場が満車という可能性もあります。満車の場合は、近隣に借りられる駐輪場があるのかも確認しておきましょう。
狭いところに自転車が詰め込まれている駐輪場や共用スペースにはみ出している駐輪場、持ち主が不明な自転車が放置されている駐輪場などは、住み始めてからトラブルに遭遇することが考えられます。トラブル防止のため、管理組合や管理会社がどんな対策をしているのか、事前に聞いておくと安心です。
住民の自転車の登録制 | 事前登録した自転車に、管理組合が発行したステッカーを貼った自転車しか駐輪できないといったルールが設けられていることがあります。また、ステッカーの発行申請や、駐輪場の利用料金が必要になるケースもあります。 |
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使用する区画が決まっている | 駐輪場にナンバーをつけて、誰がどのスペース・場所に駐輪するのか決まっているケースがあります。来客時などに備えて、住人以外の人が駐輪する共用スペースが用意されているかも確認しておきましょう。 |
不要自転車の撤去・整理、共用スペースの利用に関するルール | 使われていない・所有者不明の自転車は、管理組合が撤去・整理を行うことがあります。必要な自転車を誤って処分しないように、すべての自転車に札を貼り「●月●日までに札が残っている場合は撤去します」などと十分な周知期間を設けたうえで選別するケースが多いようです。 |
駐輪場の料金が無料のマンションもありますが、近年は利用者から一定の料金を徴収するマンションが多いようです。実際の料金は管理組合が決めるため、「年間500円」「月額100円」「原付は月額1,000円」などさまざまです。
料金は、たとえば白線を引いただけの駐輪場は、維持管理の手間があまりかからないため低額ですが、機械式の駐輪場はメンテナンス費用が必要になるため、金額が高めになる傾向があるようです。また、駐輪場の改装や新たな設備を導入する際には、費用をねん出するために駐輪場の料金を導入・値上げするケースもあります。
なお、利用者から徴収した料金は、駐輪場の維持管理費や、設備の導入費用などに充当されます。無料のほうがいいと感じてしまうかもしれませんが、利用者は料金を払った分、快適に駐輪場を使えるようになるのではないでしょうか。
駐輪場には主に次のような種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
指定された駐輪場にそのまま止めるタイプです。駐輪スペースに白線が引かれていたり、番号が振り分けられていたりすることが多く、自分が駐輪するスペースが割り当てられていることもあります。
メリット | 短時間で出し入れができる |
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デメリット | 勝手に移動されたり、倒れたりする場合がある |
駐輪場に、自転車をとめるためのラックが設置されているタイプです。ラックに前輪を乗せて駐輪するタイプや、前輪・後輪の両方を乗せるスライド式ラックなどがあります。ラックやスライド式ラックは「スタンドは立てずに駐輪する」「自転車を取り出す際、スペースを確保するために左右の自転車を押し広げる」など使い方にコツがあることがあり、利用方法を事前に確認しておく必要があります。また、タイヤの幅やリムのサイズによってラックに収まらないことや、電動自転車は、前輪の車速センサーがラックに干渉してしまい、構造によって置けないケースがあります。
メリット | 駐輪場が整理されて使いやすい。 |
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デメリット | 電動自転車や大型自転車は、タイヤの幅やリムのサイズによって使えないことがある。 小さな子どもやお年寄りは使いづらいことがある。 電動自転車は、前輪の車速センサーがラックに干渉してしまい、構造によって置けないケースがある。 |
ラックが二段になっているタイプです。一段目のラックは平面式のラックと使い方はほとんど同じですが、二段目のラックは、ラックを引き出すと斜め下に出てくるタイプや、ラック全体が地面の高さまで平行に降りてくるタイプなどがあり、どのタイプでも出し入れが終わったら上に戻さなければなりません。また、電動自転車や大型自転車は、重量の関係で二段目のラックに置けないことがあります。
メリット | 限られたスペースを有効に使うことができ、駐輪できる自転車の台数を増やせる。 駐輪場が整理されて使いやすい。 |
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デメリット | 電動自転車や大型自転車は、タイヤの幅やリムのサイズによって使えないことがある。 二段目のラックは、小さな子どもやお年寄りは使いづらいことがある。 電動自転車は、前輪の車速センサーがラックに干渉してしまい、構造によって置けないケースがある。 二段目のラックには、重量の関係で電動自転車や大型自転車を置けないケースがある。 |
マンションの見学をする場合には、住み始めてからイヤな思いをしないため、駐輪場においては次のポイントを確認しておくといいでしょう。
利用料金は? | 料金が無料のところもありますが、毎月数百円程度の駐輪料金が必要になるマンションが一般的になっているようです |
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空きはある?どの場所が空いている? | 駐輪場に空きスペースがあるのか、満車の場合はどうすればいいのか聞いておきましょう。また、二段式ラックの場合、上段のラックにしか空きがない場合があります。子どもやお年寄りが使う予定の場合には、下段のラックが空いているのか、入れやすいスペースが空いているのか確認しておくと安心できます |
自分の自転車が使える? | ラック式の駐輪場は、タイヤの幅やリムのサイズによって使えないことがあります。自分が使っている自転車のサイズを確認してから訪問するといいでしょう |
電動自転車は置ける? | 電動自転車は、前輪の車速センサーがラックに干渉してしまう・タイヤが太くてラックのレールに収まらない・重量があるためラックの上段に置けないといったことがあります。どこに置けばいいのか確認しておきましょう |
チャイルドシートがあると使えない? | ラック式の駐輪場は、チャイルドシートがついた自転車をとめられないケースがあります |
ルールは? | 1世帯●台までといった台数制限はあるか・事前登録や駐輪場料金の有無・駐輪スペースの割り当てはあるかなど、駐輪場を使う際のルールを確認しておきましょう |
駐輪場の利用・管理の状況は? | 駐輪場に放置されている自転車が多かったり、雑然としたりしている場合には、マンションの管理が行き届いていない可能性があります |
原付・バイクはOK? | 原付やバイクを持っている人は、それらが駐輪場に置けるのかを確認しておきましょう ※マンションによっては駐輪できる原付が50CC以下だったり、バイク駐輪可能でも大型バイクは不可だったりするケースがあるため、ルールは詳細まで確認する必要があります |
トラブルは起きている? | 管理会社にどんなトラブルが起きているのか聞いてみるといいでしょう。掲示板に、注意事項が掲載されていることもあります |
駐輪場に関するチェックするポイントは、新築マンションと中古マンションで大きな違いはありませんが、中古マンションはすでに多くの人が住んでいるため、管理人さんや管理会社が問題点を把握しています。マンションによっては「自転車を動かしたら元の場所に戻す」といった具合に、管理規約にはないものの、住人同士が申し合わせたルールがあるケースもありますので、気になる点を管理人さんや管理会社に聞いてみるといいでしょう。
マンションによっては駐輪場のスペースが狭く、空きがない可能性もあります。また、ファミリーが多く住むマンションは、年数の経過に合わせて家族が増え、子どもの自転車が置けないということも。そのような場合にはどうすればいいのでしょうか。
1)周辺の駐輪場をチェックしておく
駅の周辺にあるマンションは、公共の駐輪場が使える場合があります。近くに公共の駐輪場があるのか、不動産会社に聞いておくといいでしょう。
2)住み始めてから足りなくなった場合は、まず管理会社に相談する
住み始めてから「新しく購入した子ども用自転車が置けない」など、駐輪場が足りなくなる可能性もあります。その場合は、「空いている公共のスペースを駐輪場として使わせてもらえないか」「設備を改修して駐輪台数を増やしてほしい」といった要望を、管理会社を通して管理組合に提案してもらうようにしましょう。
3)自分の部屋で保管するのは慎重に判断したい
自宅まで自転車を運んで保管することは、たとえ管理規約に「自転車をエレベーターに乗せてはいけない」旨の記載がなくとも推奨できません。移動中にエレベーターやエントランスの床や壁に傷をつけて修理代を請求されるなどのケースがあります。規定で禁止されていなくても、管理会社に相談してから判断するようにしましょう。
通勤・通学や買い物など、自転車を使う頻度は意外と多いもの。快適に暮らすため、マンションの現地確認の際には、駐輪場の状況や使い方をチェックして、不明な点は不動産会社の人に聞いておくといいでしょう。そうすればきっと、購入後の満足度が高まるはずです。
マンションの駐輪場にはさまざまなタイプがあり、電動自転車やチャイルドシートがついた自転車などは、ラック付きの駐輪場に置けないことがある
マンションの駐輪場を利用する際には料金が必要になることがある。相場はマンションによって違うため、見学時に確認しておくことが大切
マンションによって、駐輪場のルールが違う。トラブルを避けるため、購入前・入居前にルールの確認をしておこう
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