結婚したら、いずれは家が欲しい!と思うカップルは多い。でも、結婚1年目に…となると、ためらう人も少なくない。しかし今回、結婚1年目にマンションを購入したカップルに編集部が取材をしたところ、意外なメリットが見えてきた。貯金がないからとてもムリ…とは限らないかも!?
●Nさんカップル
マンションを購入したのは…、夫31歳、妻30歳のとき
●物件データ
物件価格…4000万円、頭金…なし、
ローン借入額(借入期間)…夫:2000万円(35年)/妻:2000万円(35年)、
金利…夫妻共に:0.8%(変動)、毎月返済額…夫:5万4000円/妻:5万4000円、
ボーナス時加算…なし
●2016年8月
「4年以内には家を買おう!」と賃貸で同棲をスタート
結婚を前提に8月から同棲をスタート。それまで妻は実家暮らし、夫は一人暮らし。
ただ、賃貸で家賃を払い続けるのはもったいないので、頭金を用意できなくても、とにかく早く家を買おうとふたりで話し合った。まずは4年間の定期借家の賃貸に住みながら、新居探しをすることに。
●2017年3月
入籍してすぐにマンションのモデルルームへ
入籍(2017年2月)の翌月に、近所で新築マンションの建設が始まった。見学するとギフトカードがもらえるという案内を見て、買い物ついでにふたりで見学に行く。
でも、資金計画の試算もしなかったため、具体的な購入イメージはわかないまま、モヤモヤしながら帰宅。
●2017年4月
2件目のモデルルームで資金計画の試算をしてもらう
それでも家を買いたい気持ちはあったので、翌月に2件目のモデルルームへ。一番心配だった資金計画や貯蓄状況を営業担当者に相談。
「試算すると毎月返済額が家賃より安くなると分かり、購入決断の後押しになりました」(夫)。ふたりとも一気に「買おう!」という気持ちに。
●2017年8月
頭金ゼロでもOKついに新居の契約!
契約に至るまでには返済プランをいくつもシミュレーションし、不安を取り除いていった。「結
婚式、新婚旅行の計画も同時に進めていたので、頭金を用意できるほどふたりの貯蓄に余裕はありませんでした。でも、頭金ゼロでも購入できるのが助けになりました」(妻)
●2018年3月
新居への引越しまでカウントダウン!
2017年9月に結婚式、12月に新婚旅行も無事に終え、今は4月の入居に向けて、家具・家電の新調や引越しプランを計画中。銀行でローン借り入れの手続きなどもあるので忙しい毎日だが、ふたりで買った新居での生活を楽しみに、お互い協力しながら準備を進めている。
●Nさん(夫)の感想
妻はとにかく決断が早いので、自分は資金計画の検討を慎重に進めました。これからローン返済が始まったら家計簿も見直して、将来子どもが増えたときや老後の貯蓄も考えるつもりです。若いうちに家を買うと、人生設計も早く立てられますね。
●Nさん(妻)の感想
家を買うという経験を通して、お互いの仕事の展望や将来の家族像、貯蓄や支出についてとことん話し合えました。頭金は用意しないことに決めましたが、ふたりで考え抜いたからこそ納得のいく決断ができたし、夫婦の絆も強くなったと思います。
結婚1年目なんて、まだ資金がない!と思うかも。でも実は、若いうちに買うからこそ享受できるメリットがあるのだ。お金のプロの解説を参考にしよう!
結婚式や新婚旅行など、なにかとお金がかかる新婚カップル。最初は賃貸に住み、いずれ頭金を貯めてから購入しようと考えがちだが、家賃を払いながら頭金を十分に貯めるのはハードルが高いもの。
下の表のとおり、頭金ゼロでも今買ったほうが10年間の住居費比較ではトクになることも。購入は無理かもと諦める前に、モデルルームやSUUMOのローンシミュレーションサイトで試算してみよう。
●FPからのアドバイス:頭金の有無よりも「貯蓄できる資金計画か」をチェック
「頭金は多いに越したことはないですが、絶対にいくら必要、というものではありません。大事なのは頭金の有無よりも、ローンを返済しながら貯蓄もできる無理のない資金計画を組むことです」(藤川さん)。年収(手取り額)に占める住宅ローンの年間返済額の割合(年収負担率)は20%、多くても25%までが安心。まずはふたりの家計簿を把握し、毎月返済していけるローン返済額や将来のための貯蓄額の目安を話し合おう。
子どもの幼少期に貯蓄した分を繰り上げ返済。
人生には、比較的お金に余裕があって貯蓄がしやすい“貯め時”が3回ある。1回目が独身か夫婦のみの時代、2回目は子どもの幼少期(特に教育費が本格的にかかる中学校入学の前)、3回目は子どもが独立した後から退職までだ。
教育費は家計を圧迫しがちだが、子どもが産まれる前の若いうちにマンションを購入すれば、その分「貯め時」をうまく活用し、計画的に繰り上げ返済がしやすくなる。
●FPからのアドバイス:教育費がかかる前の繰り上げ返済がおススメ
「子どもの習い事や塾、学費などの教育費が本格的にかかる中学校入学以降に貯蓄し繰り上げ返済するのは難しいので、前述の1、2回目の“貯め時”に繰り上げ返済するのも手です」(藤川さん)。
繰り上げ返済は早く実行するほど利息軽減効果が高く、総返済額を減らすことができる。ただし、教育費が不足するほど繰り上げ返済しすぎないように注意しよう。
家族構成に合わせた住み替えもしやすい。
家を購入すれば資産が手に入る。将来転勤やライフスタイルの変化で引越しが必要になっても、中古で売却することが可能になり、生活の選択肢が広がる。下の表のとおり、築20年を超える古い物件でも一定のニーズがあることが分かる。
「夫婦ふたりのうちは通勤利便性を重視して2LDKなどのコンパクトなマンションを購入。家族が増えたら広めの3LDKに住み替えるケースも多いです」(藤川さん)
●FPからのアドバイス:周辺の中古・賃料相場を事前にチェックしよう
将来住み替えの可能性があるなら、マンション購入時にチェックしておきたいのは“出口戦略”だ。「特に若いうちは、出産や転勤・転職などにより、ライフスタイルが変化する可能性が大きい。立地や駅徒歩分数、住環境はもちろんですが、中古マンションの相場や賃料水準をチェックしておくのも大事です。売却や賃貸に出しやすい物件・エリアかどうかもモデルルームで相談できるので、営業担当に聞いてみましょう」(藤川さん)
家を購入するのは、誰にとっても勇気がいるもの。また、結婚1年目となると、資金計画だけでなく、ライフスタイルの変化による住み替え…など気になることがもっと多いはず。そんなときは、専門家に相談してみよう。住宅購入への第一歩が踏み出せるかもしれない。
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