住まいの印象を大きく左右する内装は、デザインのテイストも好みもさまざま。
今回は住宅を購入した先輩たちと今検討している人を対象に、好きな内装デザインの調査を行った。
人気のテイストを参考にして、自分の好みのデザインを見つけてみよう。
きっと、あなたの住まい選びのイメージが広がるはずだ。
内装にはさまざまなテイストがある。壁や床の素材、窓やドアなどの建具の選び方、家具とのコーディネートによっても、印象はぐんと違ってくる。
床の木目や壁の質感を楽しむ
アンケートで男女とも1位になったのが、ナチュラルな内装。自然のぬくもりを感じさせる素材感が好きな人に人気だ。
人の手仕事の温かさが感じられる塗り壁や、木の節や木目が感じられる、むくの床材が使われることが多い。写真のように床は明るい木目をベースに、ソファやテーブルはアイボリーやモスグリーンなどアースカラーで合わせるとデザインテイストが決まる。カーテンやクッションなどのファブリックは、生成りのリネンやコットン、ガーゼの風合いなど、やさしい色みで光が透け、風に揺らぐ有機素材のものと相性が良い。
●床はむく材のオークやメープル、バーチが人気
●漆喰など、素材感のある塗り壁
●柱や梁などの構造材を見せるつくり
直線的でシャープなデザイン
色数を抑えた内装にシャープなラインを活かしたデザインが特徴で、スタイリッシュな暮らしがしたい人におすすめだ。ダークな床と白い壁など、モノトーンでまとめるとメリハリがつく。クロスは無地、または柄を使うとしてもボーダーなら無理がない。ドアや壁の一部だけ、色違いや柄使いにして変化をつければ、よりモダンな雰囲気を演出できる。窓は縦型ブラインドでストレートラインを強調するのもいい。家具や照明も装飾的なものより、ガラスやクロムなど無機質な素材を使ったシンプルなものを選ぶと、都会的な空間に仕上がる。
●壁は白を基調にアクセントカラーをプラス
●ストレートラインを強調する
●ガラスやクロムなどの無機質な素材使い
格子や和紙使いで和の情緒に
和の落ち着いた佇いが好きな人に人気のテイスト。障子や格子など縦と横のラインが効いた建具に、床はむく、壁は珪藻土や和紙クロスなど素材感のあるものを使うことが多い。床材の色で印象は大きく異なり、明るく仕上げるならオーク、ナラ、タモ材など、シックにするならウォールナットが合う。梁や柱などを見せて木の質感を活かすと、重厚な印象になり、引き戸を使うことで開放的な大空間を得やすい。伝統的な和風家具のほか、木のフレームを使ったミッドセンチュリーや北欧風の家具も相性がいい。脚の短い家具で座面を低くすると、より雰囲気が出る。
●格子や障子、竹のクロスなどをアクセントに
●壁は珪藻土の塗り壁や和紙クロス
●畳を縁なしにするとモダンな印象
自然素材のやさしさを前面に
欧米の田舎風のかわいらしさに囲まれていたい人には、カントリーテイスト。木目がはっきりと分かるむくの床や漆喰壁など、見た目にも素朴で手触りもやさしい内装が使われる。階段の手すりや出入口を、カーブを活かした丸みのあるラインにしたり、窓を上げ下げ窓や出窓にすると、いっそうカントリーらしさが出る。木製やアイアン製のカーテンレール、レース素材のカフェカーテンとも相性はぴったり。白い壁を基調にパステルカラーを合わせればフレンチカントリーの趣で、レンガや明るい木目の腰壁をつければアーリーアメリカンな内装に。
●パインなど木目のはっきりした柔らかい床材
●開口部や階段に丸みのあるライン
●白を基調にした塗り壁や白を効かせた窓枠
エレガントな家具と好相性
木の質感を活かした落ち着いた色調やエレガントな装飾が好きな人にはクラシック。床はブラックチェリーやチーク、マホガニーなどの高級材が使われることが多く、フローリング幅もやや細めにして繊細な印象。木片を矢羽状に敷き詰めるヘリンボーン張りにすることもある。壁と天井の間に木の廻り縁をつけたり、窓やドアの周囲に縁取る枠(ケーシング)をつけたりする。カーテンはレールが見えないようにボックス型に仕上げ、華やかな生地を使うなど、ボリュームのあるつくりに。大きい輸入家具にも負けない、重厚で存在感のある内装が特徴だ。
●床はダークカラーで艶のある仕上がり
●床の色と合わせて天井の廻り縁をつける
●ファブリックや家具は厚みのある生地を
無機質な素材で直線を活かす
ダークな板張りの床をあえて使い込んだように加工したり、ステンドグラスを思わせる厚みのあるガラスを窓や家具に使い、ヴィンテージ感やユーズド感を効かせたのがインダストリアルテイスト。アイアンのフレームの家具、ステンレスのキッチン、照明は電球が見えているスチールのペンダント、配管むき出しの塗装など武骨さが、かっこよく暮らしたい人に人気。お手本はニューヨークのオフィスやSOHOだ。壁にブリックタイルを合わせたり、天井にシーリングファンをつけたり、いくつもの照明を配してシーンで使い分けると、いっそう雰囲気が出る。
●エイジング加工したダークな色の板張りの床
●ステンレスのキッチン
●黒のスチールフレームの家具
照明やファブリックに個性
近年人気の北欧スタイルが好きなら、自然の豊かさを感じる木の床と、ペンダントタイプの照明使いでシンプル&ナチュラルに。床材はバーチやメープルなど明るい木質のものが使われることが多く、照明は写真のようにルイス・ポールセンなどのデザイン性の高いペンダントタイプに、フロアスタンドをプラスすることもある。家具はシンプルなデザインで、北欧の有名デザイナーの名作チェアが定番。アクセントになるのはラグやクッションなどのファブリック使い。幾何学模様や、木の葉、魚などの自然モチーフが多く、ビビッドなカラーも似合う。
●バーチやメープル、アッシュなど明るい色の床
●北欧デザインのペンダントタイプの照明
●大胆な柄のファブリックでアクセント
小物使いでイメージがアップ
ミッドセンチュリーとは、50~60年代に生まれた家具や照明を使ったインテリアのこと。50年代は米国のプロダクトが中心で、建築家イームズがデザインしたチェアなど、美しい曲線とポップな色使いが特徴だ。60年代になると北欧の名作家具も登場する。これらが好きな人なら、内装はワックスなどで渋みを出した床や、一部に褐色や深緑のアクセントカラーを施した壁、木製のブラインドなどにするといい。古民家風とも相性がいい。シンプルな木質感のある内装に、50~60年代にデザインされたソファやチェアを合わせるだけでも実現できる。
●エイジング加工した床や家具
●木製ブラインドで窓まわりをシックに
●ペンダントやスポット照明が似合う
見せる収納でセンスアップ
オープンなLDKにカウンターキッチンの上のペンダント照明など、カフェで見かける内装をダイニングに取り入れたスタイル。塗り壁やクロス、ブリックタイル張りなど内装もさまざまだが、見せる収納を随所に使っているのが特徴。スチール製のキッチンラックに小物を飾ったり、カップを見せる壁付けの飾り棚にしたり、本の表紙が見える本棚を設けたりする。居心地の良さと癒やしの空間が欲しい人にぴったり。室内にグリーンを飾ることも多く、一つ一つ違う椅子を置くなど、自分なりのコーディネートを楽しめる点もカフェスタイルの魅力だ。
●グリーンを置いて和みの空間をつくる
●見せる収納でカップや本を飾る
●あえて違う椅子にするなど整えすぎない
大人度を上げてシックに
シャビーシックははげかけたペンキや素地が出ている白木など、使い込まれた雰囲気の内装に、アンティークな風合いの家具や雑貨をプラス。大人かわいいスタイルが好きな人に合う。ホワイトオークの床など、くすみのある白を基調とし、タイルや絵のフレームなどもわざとムラに白くペイントして味わいを出す。定番はアイアンやビーズなどを使ったシャンデリア。ペイントするなどお金をかけずに自分でデコれる点も人気だ。ドアなどの建具はカントリースタイルとも通じる木製で、シャーベットカラーのほかアクセントにブルーグレーを使うことも。
●使い込んだ風合いを出したペイント家具
●グレーやベージュがかった白の壁
●アンティーク感のあるシャンデリア
内装の印象は、床やドアにどんな色を使うかで大きく変わるため、色とデザインテイストの相性を知っておくと、理想のデザインテイストをかなえやすい。例えば塗装前の木の素地に近い色は、ナチュラルや北欧風の内装によく似合う。
新築マンションや新築建売は、完成前なら内装のカラーテイストを選べる物件もある。上手に選んで自分好みの住まいを実現しよう。
これまで紹介してきたデザインの特徴や生の声、下のチャート図を参考に、自分好みのデザインを見つけよう。シンプルな内装が好きな人もいれば、好きな色や柄に囲まれているほうが落ち着く人もいる。まずは壁・床・建具の内装が好みの住まいを選び、そのうえで家具や小物は色・形・素材感の三つをそろえると、デザインテイストが決まる。あえて、少し外して自分らしさをプラスするのもいい。
自分好みのデザインを実現する方法はさまざまあるが、ゼロからつくるなら選択肢は注文住宅になるだろう。会社によって得意なデザイン傾向があるので、商品ラインナップを確認してみよう。マンションや建売住宅の完成済み物件でも、リフォームやDIYで自分好みにアレンジすることが可能だ。さまざまなデザインの物件があるが、SUUMOに掲載されている事例から好みのスタイルや会社を見つけるのも近道だ。
自分好みのデザインを、注文住宅でゼロからつくるか、リフォームやDIYでアレンジするか決める
前述のフローチャートなどを利用し自分好みのデザインテイストを見つけ、内装と家具の色・形・素材感をそろえるのがおすすめ
施工会社によって得意なデザイン傾向があるのでカタログや商品ラインナップをチェック