低炭素住宅と長期優良住宅の違いとは?

光熱費を削減できるだけでなく、住宅ローン控除の優遇や【フラット35】Sの金利Aプランの適用などを受けられる低炭素住宅。そうなると「同じように優遇措置や【フラット35】Sの金利Aプランを使える長期優良住宅と何が違うのか」と思われる人もいるだろう。

長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態を保てるよう講じられた優良住宅のこと。2006年6月に施行された住生活基本法を背景に、2011年6月に施行された制度だ。低炭素住宅の認定制度とは登場した背景が異なるが、下記表のように税制面での優遇ではほぼ同じだ。

suumoジャーナル

長期優良住宅は先述のような目的があるため、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、省エネルギー性にそれぞれ基準が定められている。このうち省エネルギー性については、2015年4月から低炭素住宅と同じく改正省エネ基準の一次エネルギー消費量を10%下回らなければならない。それまでは移行期間として、今年10月1日から2015年3月末までは従来の省エネ基準と改正省エネ基準どちらでも構わない予定だ。

「いずれ長期優良住宅の省エネ基準も同じになるのだから」と、埼玉県の高砂建設の風間社長は、今年1月に全国初となる低炭素住宅の認定も取得した。あと2年で同じになるのであれば、長期優良住宅を多数手がけている同社としては今のうちに新しい基準に取り組んでノウハウを蓄積し、低炭素住宅でも長期優良住宅でも対応できるようにしようというわけだ。同様の動きは今後増えてくると思われる。

一方、長期優良住宅は省エネ基準のほかに、耐震性や劣化対策などほかにもクリアすべき基準があるため、どうしても建築コストがそれなりに必要となる。しかし「低炭素住宅は省エネ基準だけでいいわけですから、会社によって違うでしょうが、長期優良住宅よりも建築コストは下がると思われます」と言うのは、低炭素住宅の認定機関であるハウスプラス住宅保証の池田さんだ。

実際、そういったユーザーが増えることを見込んでだろう「大手ハウスメーカーだけでなく、中小の工務店からの問い合わせが増えています」と池田さんはいう。「耐震構造や劣化対策などはユーザーが見てもそれがいいのか理解しづらいと思いますが、低炭素住宅の認定には、例えば太陽光発電やHEMS、断熱性の高いガラスなど見て分かりやすい省エネ機器を使いますから、建てる側からするとほかの住宅との差別化につなげやすいのではないでしょうか」

さらに「マンションのデベロッパーからの問い合わせも多いですね」と池田さん。実はマンションにも長期優良住宅制度はあるのだが、同制度が始まった2009年6月から2012年9月までの累計(国土交通省による)を見ると、一戸建て住宅の認定が約31万戸あるのに対し、マンションなどの共同住宅はわずか約8000戸しかない。つまり全長期優良住宅のうち、わずか2.5%程度しかないのだ。マンションにとっては、長期優良住宅のハードルが高すぎることが大きな理由だと思われる。

しかし、低炭素住宅ならばクリアすべき基準は省エネ基準だけで良いわけだから、認定を取得するマンションが増えることが予想される。こちらも一戸建て同様、長期優良住宅と比べてコストを抑えられるため、販売価格も長期優良住宅よりは身近なものになるのではないだろうか。そうなれば、なかなか弾みのつかないマンションの長期優良住宅より、低炭素住宅のほうが増えることになるだろう。

このように、建てる側としてはユーザーに省エネ性や価格面で訴求しやすいため、長期優良住宅に比べて低炭素住宅のほうがより普及しやすいと考えられる。一方ユーザー側から見れば、長期優良住宅よりは手の届きやすい価格で、長期優良住宅と同じような税制面等の優遇を受けられるということになる。

「あとはユーザーの考え方次第です。長く住みたいとなればやはり長期優良住宅のほうが有利ですが、そこまでの性能は必要ないと思われる人にとっては、税制面での優遇や光熱費の削減というメリットのある低炭素住宅は大きな魅力だと思います(池田さん)」。自分の暮らしに合った家は、どちらなのか。住宅購入や建て替えなどを検討している人は、一度考えてみてはどうだろうか。

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取材・文/籠島 康弘 ハウスプラス住宅保証/池田さん
公開日 2013年04月09日
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