WIC(ウォークインクローゼット)ってなに? 特徴やメリット・デメリットを徹底解説

最終更新日 2023年01月16日
WIC(ウォークインクローゼット)ってなに? 特徴やメリット・デメリットを徹底解説

家の間取り図の中で見かける「WIC」という文字、一体なんの略語か知っていますか? 一級建築士事務所アトリエサラの水越美枝子さんと一級建築士事務所アーキブラストの渡邉実さん、奥本妃捺子さんから、WICの定義やメリット・デメリット、建築段階で注意するポイントなどについて伺いました。

間取り図の「WIC」とは?

間取り図などの図面に表記されている「WIC」とは「walk-in closet(ウォークインクローゼット)」の略語です。その名の通り、歩いて中に入ることができるクローゼットのことを指し、近年、一戸建て・マンションにかかわらず、多くの住宅で取り入れられています。まず始めに、WICの定義や特徴について建築の専門家の視点から解説しましょう。

「WICとは人が入ることのできる大きめのクローゼットのことで、居室ではなく収納に分類されます。空間の中には衣類や小物を収納するためのハンガーパイプや棚を設置し、ライフスタイルやニーズに合わせて通路幅や形状を決定します」(水越さん)

「WICには明確な定義はありません。扉の有無や数、広さを何畳くらいにするかも家ごとに異なります。基本的には衣類を管理するためのスペースですが、活用方法も暮らす人によって様々ですね。建築段階で丁寧にヒアリングを行い、どのようなタイプにするかを決めていきます」(渡邉さん)

WICは寝室の隣に設けられることが多く、衣類を管理するだけでなく着替えるスペースとしても活用できます。

なお、WICによく似た不動産・建築用語に「SIC」がありますが、これは「shoes-in closet(シューズインクローゼット)」の略で、靴をはいたまま入れる、玄関から独立した靴専用の大型収納スペースを指します。

ウォークインクローゼットの中で服を選ぶ女性
広々としたスペースが魅力のWIC。衣類以外にもバッグや帽子などを収納しておける(画像/PIXTA)

ウォークインとウォークスルーの違い、納戸との違いは?

ウォークインクローゼットとウォークスルークローゼットの違いは、通り抜けができるかできないかという点にあります。

「ウォークスルークローゼットには出入り口が2つあり、それぞれが別の部屋に通じています。ウォークインが行き止まりの収納であるのに対し、ウォークスルーは通り抜けができる収納ということです。洗面所からウォークスルー、ウォークスルーから寝室へ、といったように生活動線を考えた上で間取りの中に組み込みます」(渡邉さん)

ウォークインクローゼットとウォークスルークローゼットの比較図
ウォークスルークローゼット(下のイラスト)は収納と動線を同時に確保することができる(イラスト/中川視保子)

ウォークスルークローゼットには動線と収納を同時に確保できるメリットがあります。限られた面積を有効に使うことができ、コンパクトな注文住宅にも向いています。

また、WICとよく混同されやすいものに「納戸」や「サービスルーム(service room)」があります。納戸やサービスルームは居室としてみなされないので、窓がなくて換気ができなかったり、窓があっても採光条件を問われることはありません。

WICのメリット・デメリットは?

たくさんの物を収納できる便利なウォークインクローゼットですが、デメリットもあります。設置を検討するにあたり、メリットとデメリットの両面を知っておきましょう。

WICのメリット

中で着替えができる

「WICの良さは、物を収納できるだけでなく、中で着替えもできることです。ライフスタイルの違う家族でもWICの閉じられた空間内であれば、相手の生活を気にすることなく着替えることができます」(渡邉さん)

「WICの中は外から見えないので、大きな窓がある居室よりも安心して着替えられるというメリットがあります」(水越さん)

ウォークインクローゼットの中で着替えをする男性
WICの壁の片面を鏡にすることで身支度がしやすくなる(画像/PIXTA)

衣類以外のものも保管できる

「漫画やプラモデル、お雛様や五月人形など衣類以外のものを収納できるため利便性が高く、しまっておきたい物がたくさんある人や子どもがいる家族には向いている収納だと思います」(渡邉さん)

「上段やフック等を活用してバッグや帽子など小物類も保管できます。収納スペースが豊富なので、季節外の衣類小物も一緒にしまっておくことができ、衣替えの必要がない点もメリットです」(水越さん)

クローゼットに収納されているバッグ
上段のスペースを活用すれば型崩れすることなくバッグを保管できる(画像/PIXTA)

WICのデメリット

スペースが必要になる

「人が入ることができる分、それだけのスペースが必要になります。限られた面積の中でWICを設置するかどうかはライフスタイルと照らし合わせながら慎重に検討したほうが良いでしょう」(水越さん)

「通路のスペースを収納として活用したほうがしまえる物も増えるので、人が入ることができる点をメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかはそれぞれですね。壁付タイプのクローゼットのほうが暮らしに合っている人もいます」(渡邉さん)

壁付けクローゼット
少ないスペースでも設置できるのが壁付タイプのクローゼットのメリット(画像/PIXTA)

物を詰め込みすぎてしまう

「衣類以外にも物を収納できる良さがある反面、物を詰め込みすぎてしまい管理が大変になるケースも。よく使うものを手前、あまり使わないものは奥に収納するなど管理の工夫が必要です」(水越さん)

「WICについ物を詰め込んでパンパンになってしまうという人は多いです。こまめに持ち物の見直しをしていらないものを整理したり、管理する担当を決めておくことをおすすめします」(渡邉さん)

物を詰め込みすぎてしまうことを避けるためにも、何を収納したいかをよく考えた上でWICの設置を決めたほうが良いでしょう。

詰め込みすぎてしまったクローゼット
便利なWICにどんどん物を詰め込みすぎて管理が大変になってしまう失敗談は意外と多い(イラスト/中川視保子)

基本的なWICのレイアウトは?

家族構成やライフスタイルによってWICの形や設備は異なります。ここではWICの基本的なレイアウトについて解説します。

形状

WICの形状は主に以下の4タイプに分類できます。

I型

壁の一面のみを収納スペースにしたI型タイプ。シンプルな作りで収納量は多くないものの、限られた面積でも設置できるのが利点。ハンガーパイプの上に棚を設置するとスペースを余すことなく有効活用でき、通路の突き当たりに姿見を置けば着替えスペースになります。
設置に必要な最低限の面積の目安はおよそ1畳です。

Ⅰ型のWIC
Ⅰ型のWICは最もシンプルな形状。壁の一面のみを収納スペースにする(イラスト/中川視保子)

II型

両サイドを収納スペースにすII型のWIC。両側にハンガーパイプを設置して家族で衣類の収納場所を分けたり、片側をハンガーパイプ、もう片側は衣類以外を収納する棚といったように異なる作りにすれば整理整頓がしやすくなります。
設置に必要な最低限の面積の目安は1~1.5畳です。

Ⅱ型のWIC
壁の両側にハンガーパイプや棚をつけて活用するⅡ型WIC(イラスト/中川視保子)

L型

壁2面をL型に活用するL型のWIC。奥行きをそれほど使わずに設置できる良さがあります。L字の角の部分がデッドスペースになりやすく、同じく壁2面を使用するⅡ型と比較すると収納量はやや劣ります。その場合はハンガーパイプや棚を2段にするなど工夫することで収納スペースを増やすことができます。
設置に必要な最低限の面積の目安は1.5~2畳です。

L型のWIC
壁の2面を収納にするL型WIC(イラスト/中川視保子)

コ型

壁3面を収納スペースとして確保するコ型のWICは最も収納力が高く、家族みんなで使うファミリークローゼットにも向いています。中心の空間を広めにとればゆったりとした着替えスペースにもなります。
設置に必要な最低限の面積の目安はおよそ2畳です。

コ型のWIC
壁を3面使用するコ型のWICは収納力も高くファミリーに人気(イラスト/中川視保子)

サイズ

限られたスペースの中で収納をつくりたいけれど、狭すぎると中で身動きが取りづらくなってしまいます。WICの適切なサイズとはどれくらいなのでしょうか。

「最も一般的なWICの広さは3畳~4畳前後です。1畳~1.5畳ほどのスペースがあればWICを設置することは可能ですが、中に入った時に身動きが取りにくいことがネックですね。WICのサイズは家族の人数や収納する物の量に合わせて決定するのが良いでしょう。人数に合わせて広さを決める際は、1人あたり0.5~1畳が目安となります」(渡邉さん)

「クローゼット内を余裕を持って見渡すには、通路幅を50~70cmほど確保する必要があります。それよりも狭い幅だと横歩きで移動しなければいけないので少々不便さを感じるかもしれません」(水越さん)

ウォークインクローゼットで服を選ぶ女性
ゆとりを持って活用するためには50~70cmの通路幅が必要(イラスト/中川視保子)

収納

WICの収納は棚とハンガーパイプの組み合わせが一般的で、ハンガーパイプには衣類を、棚には小物等をしまっておくことができます。ハンガーパイプを二段に分けたり、棚を取り付けずにハンガーパイプのみを設置することでより多くの衣類が掛けられるようになります。また、キャビネットや衣装ケースを置くことで下部の空間を有効活用できます。

可動式の棚を設置したウォークインクローゼット
可動式の棚であれば高さを自由に調整することができる(画像/PIXTA)

「ハンガーパイプの上に棚を設けることは、埃対策にもなります。掛けて収納している衣類の幅よりも、棚を少しだけ通路側に出るように設計することで上から舞い落ちる埃からハンガーパイプに掛けた服を守ることができます」(水越さん)

棚のあるウォークインクローゼット
ハンガーパイプの上に棚を設けることで収納量が増えるだけでなく埃対策にもなる(イラスト/中川視保子)

建具

建具を取り付けなくても収納スペースとして問題なく活用できますが、ドアやロールスクリーンを出入り口部分に設置すれば他の部屋とWICを分断できます。着替えをしたい場合にも扉があることで目隠しになります。

扉付きのウォークインクローゼット
出入口に建具を付けることで埃の侵入を防ぐ効果もある(画像/PIXTA)

「出入りしやすくするために、開き戸ではなく引き戸を提案することが多いです。引き戸であれば扉を開閉する際にスペースが必要ありません」(水越さん)

「建具を取り付けることでWICが完全な個室になる良さがある一方、常にオープンな状態にしておきたいというニーズもあります。服や荷物を持って出入りする場所なので、ドアがないほうが良いというのが理由です。また、扉ではなくロールスクリーンを目隠しとして出入口に設置することもできます。この場合は普段は開けておき、隠したい時だけ閉めるといったように柔軟な活用ができます」(渡邉さん)

最近ではあえて建具を設けず、アーチ状の垂れ壁にすることでおしゃれなWICにする事例なども見られます。デザイン面と機能面の両方を考えながら、家族にあった形を選びたいものです。

クロス

クロス選びは空間の印象の決め手となります。人気なのはシンプルなデザイン。また、湿気対策の観点からクロスを選ぶ選択肢もあります。
「WICの壁紙は白を基調としたシンプルな調湿機能クロス が人気です。着る服を見繕ったり身支度をする場所なので、それを邪魔しない壁紙を選ぶ人が多いですね」(水越さん)

白い壁紙のウォークインクローゼット
全面に白いクロスを使用したWIC。シンプルで清潔な印象の空間に仕上がる(画像/PIXTA)

「湿気対策として吸湿性の高いクロスを選ぶと梅雨の時期などは安心ですね。また、基本的にはシンプルな壁紙が人気ですが、あまり人目につかない場所だからこそ自分の好きな色や柄を取り入れたいという考え方も。一面だけ大柄のおしゃれなクロスにするといった楽しみ方もあります」(渡邉さん)

壁面にカラークロスを使用したウォークインクローゼット
パープルの壁紙を使用したおしゃれなWICの事例。カラークロスを使用することで空間に個性を演出(画像/バレッグス)

照明

収納スペースの邪魔にならない埋め込み式のダウンライトが一般的です。ペンダントライトなど吊り下げるタイプやシェードが大きい照明器具は棚や衣類にぶつかってしまう可能性があるためWICには不向きでしょう。

また、照明の色は衣類を見分けやすい蛍光色が適していますが、温かみのある空間にしたいという理由から電球色を選ぶ人もいます。

ダウンライトを設置したウォークインクローゼット
ダウンライトを設置する場所は通路の真上が基本。収納の邪魔にならない場所を選んで取り付ける(画像/バレッグス)

コンセント

コンセントを取り付けることで、WICの中で電化製品を使用できるようになります。エアコンや除湿機を取り付けたり、クローゼット内でアイロンを使用することも可能です。

「除湿対策でエアコンや除湿機を利用したい場合はコンセントの設置は必須です。また、広めのWICであればスペース内でアイロンがけをしたりズボンプレッサーを置くこともできます。さらに近年はテレワークのニーズも増えていますから、簡易的なワークスペースとして使いたい人にとってもコンセントはあった方が良いですね」(渡邉さん)

コンセント付きのウォークインクローゼット
WICの扉付近にコンセントを設置した事例(画像/バレッグス)

WICの中に開閉できる窓を設けることで換気をすることが可能になります。湿気を逃すために窓は有効です。さらに屋外から日光が入るため昼間は照明をつけなくても明るい空間に。開放感のある収納にしたい場合は小さなサイズでも窓を設けると良いでしょう。衣類の日焼けを防ぐポイントは、窓を大きくしすぎないことです。

窓があるウォークインクローゼット
突き当たりの壁に開閉できる小窓を設けたWIC。空気の入れ替えを行えるため湿気対策に有効(画像/バレッグス)

建築段階で注意することは?

家族構成やライフスタイルによって適したWICのつくりは異なります。ここではWICの基本的なレイアウトについて解説します。

収納する物をあらかじめ考える

スペースを無駄なく活用するためには、計画的に収納することがポイントです。

「収納する物の大きさや形、量によってWICの最適な作りは変わってくるので、あらかじめ何をしまいたいかを考えて、寸法を測っておくことが大切です。衣類を収納する場合でも、ハンガーパイプに掛けたいのかディスプレイのように飾って収納したいのかによってもレイアウトが異なります」(渡邉さん)

例えば部屋に押入れがない場合には、WICに布団を収納したいといったシーンもあるでしょう。またアクセサリーなど小さい物を保管したい場合には専用のチェストやタンスなどの設置が必要になるかもしれませんし、衣類を収納する場合とは設ける棚の奥行きなども異なります。何を収納するかに加え、どのように収納するかも考えた上で計画すると良いでしょう。

ウォークインクローゼットに収納したい物を考える女性
衣類以外の物もしまえるからこそ、収納したいものをあらかじめよく考えておくことで暮らしに合ったWICを設計できる(イラスト/中川視保子)

ライフスタイルに合った動線上に設計する

活用しやすいWICにするためには場所も重要。家族の動線を考えてみましょう。

「使いやすいWICにするためには、部屋の奥ではなく入口の近くなど生活動線上に設計したほうが良いと思います。ベッドを廻り込んで行かなければならないような所にあると、洋服をベッドに置きっ放しにしてしまいがちです」(水越さん)

「たとえば、洗濯物を乾燥機で乾かすのかベランダで干すのかによっても生活動線は変わってきます。暮らしをイメージすることでWICを住宅のどの場所に設置するのがベストか見えてきます」(渡邉さん)

ウォークインクローゼットの動線が分かる間取り図
物を出し入れする動線をイメージすることで、どこにWICがあったら良いかが決まる(イラスト/中川視保子)

使いやすい高さにする

衣類や小物を無理なく取り出せる高さに設計することで使いやすさがアップします。

「棚やハンガーパイプの高さは意外と見落としがちですが重要なポイントです。家族の身長に合わせて、物を出し入れしやすい高さを決めます。ハンガーパイプを上下二段にして使う場合は、上の段を190cmくらいの高さにすると上下どちらも使いやすくなります」(水越さん)

ウォークインクローゼットで服を選ぶ夫婦
夫婦や大人と子どもで衣類の収納場所を分ける場合、ハンガーパイプの高さをそれぞれの身長に合わせて変えるという選択肢もある(イラスト/中川視保子)

除湿や換気の方法を考える

扉のあるWICは空気がこもりやすく、湿気がたまりやすいため、対策を考えておく必要があります。

「WICに湿気がこもることを避けるため、除湿機能がついたエアコンやサーキュレーターを設置したいという人もいます。そのためにはスペースの中にコンセントやダクトを通す穴をあらかじめ作っておく必要があります。空気がこもらないように換気をしたい場合は、換気扇や 小窓をつけることもおすすめです」(渡邉さん)

エアコンがあるウォークインクローゼット
雨が多い季節は湿気がこもりやすいため、除湿対策が必要。エアコンを設置することで効率よく除湿ができる(イラスト/中川視保子)

WICの工夫した使い方。デッドスペースにしないためには?

基本的には衣類や小物を収納しておくWICですが、工夫次第で他の使い方も可能です。デッドスペースにしない上手な活用の仕方を紹介します。

テレワーク用のスペースにする

近年ニーズが高まっているテレワーク。WICのスペースの中にデスクを置いて仕事ができる環境を整えればテレワーク用の小部屋として活用することができます。デスクを置いて作業するための十分なスペースが確保できることと、コンセントやネット環境が用意できることが条件となります。

ノートPCでテレワークをする様子
WICの中でテレワークをするためには、無線LANを繋げたり、モバイルWi-Fiを使用したりするなどネット環境を整える必要がある(イラスト/中川視保子)

書庫にする

WIC内に本棚を置き、書庫として活用することもできます。本は湿気を吸いやすいため、除湿や換気が行えるようにしておくと良いでしょう。十分な広さがあればデスクとライトを置いて読書スペースを併設するという選択肢も。

本棚から本を取り出す女性
WICを書庫にすることで増えた本の収納場所を確保でき、居室空間に余裕が生まれる(画像/PIXTA)

コレクションアイテムを保管する

WICにコレクションアイテムをディスプレイするという使い方もあります。

「プラモデルやフィギュアなど精巧なアイテムをガラスケースに入れてWICにディスプレイしたいという人もいます。WICが趣味のための小部屋になるユニークな活用事例ですね」(渡邉さん)

ガラスのディスプレイケースを設置したウォークインクローゼット
日光や外気を避けられるWICはコレクションアイテムの保管にも適している(イラスト/中川視保子)

おしゃれな衣装部屋にする

トルソーや鏡、衣類を平置きできる台を設置するなど、WICを自分だけのおしゃれな衣装部屋にしたいというニーズもあります。

「服が好きな人にとって海外ドラマに出てくるようなWICは憧れだと思います。帽子やバッグ、アクセサリーもディスプレイして全身のコーディネートをその場で考えられる素敵な衣装部屋があれば、ワクワクした気持ちで暮らすことができると思います」(奥本さん)

「見えるように衣装を収納したいと希望する人もいます。お気に入りの服が目に入る暮らしは気分も高まりますよね。もちろん収納としての実用性は無視できないポイントですが、レイアウトを少し工夫するだけでWICを楽しく活用することができるんです」(水越さん)

海外風のおしゃれなウォークインクローゼット
アパレルショップのようなおしゃれなWICの例。鏡や椅子を置けば着替えやメイクなど身支度を1カ所で済ませることができる(画像/PIXTA)

WICのある便利な住宅の実例を5つ紹介

ここからはWICがある住宅の事例を5つ紹介します。家族の暮らしに合ったベストな収納とは? 先輩の収納例を見て、ぜひ家づくりのヒントにしてください。

【case1】モノトーンのスタイリッシュなWIC

夫婦2人暮らしのTさんは2階の各居室にオープンタイプのWICを設置しました。扉のないオープンタイプのため、壁付タイプに比べて物の出し入れがしやすく、壁面も自由に利用できるというメリットがあります。モノトーン調でスタイリッシュに仕上げた外観・内観とマッチするようにWICの壁紙も白とグレーに決定。大人が快適に暮らせる上品なマイホームが完成しました。

オープンタイプのウォークインクロゼット
出入口に扉がないため両手が塞がっていてもスムーズにWICの中に入ることができる(撮影/河原大輔)

【case2】夫婦の衣類を分けてしまえる収納力の高いWIC

豊富な収納スペースのあるモダンな家を建てたいと考え、家づくりをスタートしたOさん夫妻。主寝室の隣に収納力の高い「コの字型」のWICを設けました。
入って左側を夫、右側を妻と使い分け、たくさんある衣類をスッキリと収納することに成功。突き当たりに設置したキャビネットやハンガーパイプの上の棚も小物置き場として活用しています。

夫婦でスペースを分けて使用しているウォークインクロゼット
寝室と隣接するWIC。衣類の出し入れや着替えの動線もスムーズに(撮影/Oさんご本人)

【case3】家具も収まる大容量のWIC

老後も暮らせる終の住処として建てられたKさん一家の住まい。2階の洋室に2畳、寝室に6畳のWICをそれぞれ設け、家族の荷物が収まるようにしました。
6畳のWICは婚礼家具がぴったりと入るくらい大容量。2階のホールには物干しスペースがあり、洗濯物をしまう動線もスムーズです。定年後の生活まで見据えた機能性抜群の住まいが出来上がりました。

婚礼家具がぴったり収まる広々としたウォークインクロゼット
人が入っても余裕のある通路幅を設け、クローゼット全体が見渡しやすいつくりになっている(撮影/河原大輔)

【case4】こだわりのクロスを貼った明るい雰囲気のWIC

Tさんの住まいは三世代が暮らす二世帯住宅。子世帯が暮らす2階には、洗面室に続く形で広いWICを設け、洗濯が終わった衣類を楽に収納できるようにしました。
家族みんなの衣類をしまう大容量の収納スペースは実用性だけでなく雰囲気も重視。ストライプのクロスを貼って空間全体を明るく仕上げています。

可動棚とハンガーパイプを設置したⅡ型のWIC
可動棚とハンガーパイプを設置したⅡ型のWIC。両サイドの壁をフル活用してたくさんの衣類を収納できる(撮影/上條泰山)

【case5】収納を広めに作ったことで居室がスッキリ

Sさん夫妻が思い描いたのはホテルのようにおしゃれなデザインの家。居室の各所にこだわりが散りばめられた特別な住まいが完成しました。
居室をスッキリ見せるために外せなかったのは広々とした収納。夫婦の衣類を分けてしまうことができるゆったりとしたWICを設置しました。空間に余裕があるため中で着替えをすることも可能です。デザイン性、実用性どちらも兼ね備えたことが住み心地の良さの決め手となりました。

広いWICに夫婦の衣類をシンメトリーに収納
広いWICに夫婦の衣類をシンメトリーに収納。全体がよく見渡せるので服も選びやすい(撮影/和田真典)

使いやすいWICを作るときのポイント

WICを作りたいと思ったら、計画段階で考えておくべきことがいくつかあります。家族構成、ライフスタイル(動線)、収納する物、WICの使用用途などです。これらを考えずにWICを作っても、使い勝手の悪い収納になってしまったり、最終的にデッドスペースになってしまうおそれがあります。
後悔しない、満足度の高い収納空間にするためにも、最初に家族で話し合い、どのような収納が欲しいかイメージを固めておきましょう。

まとめ

作る前に収納したい物の種類や量を洗い出す

家族の暮らしに合った動線上に設置する

使い方を明確にした上でレイアウトを決定する

壁付タイプのクローゼットの方が合っている場合もある

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取材・文/佐藤 愛美(スパルタデザイン) イラスト/中川視保子
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