1畳から作る書斎。広さ別やリモートワークがはかどる空間実例を紹介

公開日 2022年04月08日
1畳から作る書斎。広さ別やリモートワークがはかどる空間実例を紹介

近年リモートワークを導入する企業が急速に増えています。そこで必要になってくるのが自宅で仕事に取り組むための書斎。書斎とは本来、読書や執筆専用の部屋を指しますが、近年では意味が広がり、落ち着いて作業ができるワークスペース全般を指すことが多くなりました。また個室に限らずリビングの一角や階段の踊り場、廊下などのスペースを有効活用する例も増えています。

仕事がはかどる書斎の条件には、どのようなものがあるのでしょうか。集中力が高まる空間を作るために、押さえておきたいポイントを、一級建築士の石川淳さんに伺いました。

近年(コロナ禍以降)の書斎のトレンド 

2020年以降の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世間のテレワーク(在宅勤務、リモートワーク)に関する意識が大きく変わりました。2021年1~6月時点の調査を見ても、首都圏では58%もの人がテレワークを実施し、自宅で働くスタイルが定着しつつあります。(リクルート「住宅購入・建築検討者調査」(2021年)より)

それにともなって家で仕事ができる書斎を求める人も増えました。しかし以前の趣味的なスペースとしての書斎とは、幾分ニーズの変化が見えています。その変化から、書斎のトレンドを見ていきましょう。

トレンド1 1畳以下のワークスペースも! 書斎のコンパクト化

第一のトレンドが書斎のコンパクト化です。テレワークの普及によって、以前なら書斎を作ることを検討していなかった人が、家に書斎やワークスペースをつくることが多くなりました。

そういった流れから、リビングや子ども部屋など、他のスペースを圧迫しないようなコンパクトな書斎が求められる傾向が顕著です。リビングの一角、階段の踊り場、ウォークインクローゼットの中といったような小さなスペースを、書斎として活用する人も増えてきました。

1畳から2畳ぐらいのスペースでも、書斎として活用できる
デスクがようやく入るような1畳から3畳くらいのコンパクトなスペースを書斎に活用する例も増えている(画像/PIXTA)

トレンド2 収納力のある書庫型から、プライバシー重視のワークスペース型に

書斎といえば壁一面の本棚に囲まれた部屋というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。書斎とは、もともとは知識人が読書や書き物をするための部屋のことを指します。その場合は本の収納力が重要でした。

しかし現代のワークスペースで一番大事なことは、仕事に集中できるプライバシーの確保でしょう。特にコロナ禍以降のテレワークでは、オンライン会議システムの普及が目覚ましく、自宅でも会議に集中できるような、静かでプライバシーが確保できる環境が必要です。

リビングルームでオンライン会議をしている、リモートワーク中の男性
特にオンライン会議中に、プライベートが晒されるのは困りもの(画像/PIXTA)

トレンド3 家族で使えるコワーキング型も人気

かつては書斎といえば父親のものという印象でしたが、コロナ禍以降はほかの家族がリモートワークやリモート授業でスペースが必要になる状況も珍しくありません。夫婦で、または子どもも含めた家族が使えるコワーキング型の書斎も人気です。

書斎を共有している親子
書斎を家族で共有することも増えた(画像/PIXTA)

おしゃれな書斎を作るには? おすすめの書斎レイアウトを紹介

ではトレンドをおさえた、おしゃれな書斎を作るためのポイントにはどのようなものがあるでしょうか。石川さんから建築家ならではのアドバイスをもらいました。

「限られた広さの家で書斎を捻出することを考えると、小さめの書斎スペースを設ける場合は、狭さや暗さなどマイナスの要因を逆手にとって、他の場所とのメリハリをつけると、個性的な書斎になります」

階段下の暗い狭小スペースを書斎として活用した事例
北側に面する部屋や階段下、屋根裏など「狭い」「暗い」空間を逆手にとって書斎として活用する方法もある(画像提供/石川淳建築設計事務所)

「例えば書斎では常に座っているので、必ずしも天井高はなくてもいい。そういった割り切りがあればロフトや階段下のスペースを使った書斎のアイデアも生まれてきますね。家全体でメリハリをつけると、スッキリと見えます」(石川さん 以下同じ)

階段下を書斎として活用した事例
書斎はデスクに座ることが前提なので、天井の低いロフトや階段下のスペースを活用しやすい(画像提供/石川淳建築設計事務所)

ロフトや小上がり、半地下など高低差を活用する

スペースがない、家族の様子を見る必要があるなどの理由で、部屋の一角に仕事部屋を作る例が増えています。すると資料やパソコン、プリンターなどを置く必要があるので、どうしても部屋全体が雑然とした印象になりがちで、おしゃれな印象から遠くなってしまいます。

「そんな時は腰壁やパーテーションを利用して目隠しするといいでしょう。他には、視覚的に、部屋の他の部分と区切る方法があります。例えば高低差をつけて、部屋の他の部分との区切り感を演出するのです」

スキップフロアの一角を書斎にした例
高低差を利用して、スキップフロアの階段上、小さな一角を書斎スペースにするなどの方法も(画像/PIXTA)

たしかに、ロフトや小上がり、半地下にするといった方法で、書斎とそれ以外でスペースの高低差をつけると、視線が区切られてスッキリとした雰囲気になります。

「一戸建てならではのテクニックとしては、1階の床を少し掘り込んでスペースを捻出する手もあります。一般的な住宅は1階の床高が地面よりも40~50cmほど上がっていることが多いんですね。1階の書斎部分だけを掘り込んで床を下げ、天井高1.4m位のスペースを作る。そうすると、書斎の天井部分も1階の部屋の一部として使えます」

1階の床を掘り込み、玄関下に書斎スペースを設けた例
一戸建ての1階の床を掘り込んで家族の勉強スペースに。書斎の天井部分は玄関に。上下の空間を有効に使える(画像提供/石川淳建築設計事務所)

玄関のすぐそばに、書斎兼接客スペースを

玄関から一番近い場所に仕事部屋を設ければ、仕事場に入るときに生活空間を通らなくても良いので、空間をはっきりと分けることが可能です。仕事によっては打ち合わせなどで来客を迎える必要がある人もいるでしょう。そんな場合も家の玄関部分で完結できるので、生活空間を見られずにすむメリットがあります。

「一戸建てなら仕事場と居住空間の入り口を分ける手もあります。来客を迎える前提の場合はお手洗いの位置には気を配るといいですね。仕事場と居住空間の間に位置すると便利です」

書斎と生活空間を分けると、どちらの空間もスッキリとしますね。

玄関の近くに書斎がある間取り図
玄関を入ると左手奥に細長い書斎、正面右手に来客も使用できるトイレを設けた(図/石川さん提供の間取り図を元にSUUMO編集部作成)
玄関の近くに書斎がある事例
玄関を入ってすぐの場所に書斎があると、打ち合わせなどで来客があった時にも生活空間を見られずに済む(画像提供/石川淳建築設計事務所)

コンパクトな仕事部屋にするなら、真四角よりは横長の間取りに

「実は書斎に限っては四角い部屋の中心部分というのは、使いどころが難しい空間です。真ん中に何かを置くと邪魔になるため、空けておこうとすると、デッドスペースになりがちです。
一方で例えばコンパクトでも横長のスペースが取れる部屋なら、作業スペースがたくさん取れるので、使いやすい部屋になるでしょう」

収納やパソコン機器、作業台が一列に並んだワークスペースは使いやすいですし、部屋のあちこちに収納場所が散らばっているよりもおしゃれに見えますね。

狭くて横に長い書斎
狭くて横に長い部屋なら壁面を活用して、収納やデスクを置くことができる(画像/PIXTA)

集中力が高まる書斎づくりのためのポイント

仕事をするための書斎は居住空間とは違い、機能性が最も重要なポイント。どのようにすれば、限られた空間で機能性を高められるのでしょうか。

必要なものを適切に配置する

現代的な書斎は紙の資料だけでなく、ワークスペースとしてパソコン機器やプリンターなどの機材を必要とする分、物の配置が難しくなっています。必要に応じて置き場所を工夫し、吊り戸棚など頭上のスペースも使うことで書斎の収納力がアップします。

「パソコンやプリンターなどの機械系は、頻繁に使うので床置きの家具や棚の上に置くか、デスクの上に置くほかないのですが、時々使う紙の資料などは吊り戸棚のような高い位置の収納を活用することも可能です。上の空間を上手に使えば、必要なものに手が届きやすい書斎にすることができます」

適切に物が配置された機能的な書斎
現代型ワークスペースとして、機能性を高める書斎を作るポイントは?

音や視界を遮断する

音や視界を遮断すると集中力がアップすると言われます。家にいると家族の動きが気になって仕事が手につかないという人もいるでしょう。そんな場合は生活空間と書斎を切り離すことが、集中できる書斎づくりのポイントになります。

「一般の住宅だと意外に周囲の環境音が聞こえるので、ドアを設けて家族の声が入らないようにする、窓を二重窓にするなど騒音カットの工夫をします。ドアの一部にガラスを入れると、家族がお互いの様子をうかがうことができるので、必要に応じて取り入れるのも良いでしょう」

賃貸物件やマンションなどでドアや壁を作ることができない時は、パーテーションやカーテンなどで仕切ると、視界を遮ることができます。

オンライン会議の背景を整える

近年必要とされているのが、オンライン会議の時などに背景となる部屋の様子を隠せる環境です。オンライン会議中に家族が後ろを横切ったりすると集中できませんし、他人にプライベートを露出する危険もあります。

「一般的にデスクは壁付けすることが多いのですが、オンライン会議に対応するためには背景を壁にした方が落ち着けるので、今後はそういったレイアウトも増えてくるかもしれません」

デスクの背を壁にする他にも、パーテーションを利用するなどの方法があります。オンライン会議が多い人は、背景に気を使わなくて良いレイアウトを考えておくのも、集中できる書斎づくりのポイントです。

後ろにパーテーションを立ててオンライン会議をする女性
パーテーションを立てるレイアウトなら、背景を気にしなくてもいい

広さ別・仕事がはかどる書斎のアイデア実例

今回お話を伺った石川さんが建築を手がけられた住まいを元に、広さ別の仕事がはかどる書斎づくりのアイデアを教えてもらいました。

2畳程度のスペースを書斎にするなら、おこもり感を出して生活空間との差別化を

「LDKにスキップフロアを設け、上部のキッチンとダイニングの続きに書斎を作った例です。2畳程度のコンパクトなスペースですが、大きな室内窓とガラス戸で開放的な空間になっています」

大きな室内窓のある書斎
右手前のガラスで覆われた部分が書斎(画像提供/石川淳建築設計事務所)
大きな室内窓のある書斎の内側
書斎の内部。大きな室内窓にガラス戸を設けた(画像提供/石川淳建築設計事務所)

4畳程度のコンパクトな個室を書斎に。中庭に面する位置で開放感をプラス

「この例は玄関から続く場所にワークスペースを作りました。3.2畳のコンパクトな空間ですが、コの字型の中庭に面する位置にあり、開放感があります。またLDKの手前に書斎を位置させることで、仕事関係の来客があっても、生活空間を見せずに対応することができます」

中庭に面した書斎
書斎のデスクに向かって左手には中庭の緑。仕事で疲れた時には中庭を眺めてリフレッシュできる(画像提供/石川淳建築設計事務所、Shigeo Ogawa)
中庭に面した書斎の間取り図
書斎から中庭を通して、玄関外までを見渡せる間取り。ワークスペースがLDKから独立した位置にあることで、生活と仕事のメリハリができる(図/石川さん提供の間取り図を元にSUUMO編集部作成)

6畳以上の書斎兼仕事部屋は、居住空間から独立させて広さを感じるスペースに

「玄関ドアを入ると小さな前庭があり、大きな窓を隔てて隣接した書斎があります。前庭の上部は空に抜けているため、採光ができて明るく、外に開かれた書斎です。床仕上げはモルタル土間に床暖房を埋設して、ミニマルな表情と快適さを両立しています」

大きな室内窓のある書斎
書斎の大きな窓から前庭の空間が見えるので、部屋の広さ以上に開放感がある(画像提供/石川淳建築設計事務所)
書斎と奥の生活空間
横長の6畳の書斎は、奥の生活空間とは距離をとった位置に(画像提供/石川淳建築設計事務所)

素敵な書斎を作った先輩たちの実例を紹介!

スーモカウンターで、住まいの中に書斎を設けた先輩たちの事例を紹介します。先輩たちが、どんな点にこだわり、どんな住まいを実現したのか、実例を参考に学んでいきましょう。

キッチンの奥にある隠れ家的な書斎

書斎はイマジネーションを育む場にしたいという人も多いことでしょう。そんな場合は、こんな遊び心のある書斎もおすすめです。キッチンの奥にある鏡面扉は、一見鏡のようで、来客には書斎があると気づかせません。キッチン横の書斎は家事と仕事を両立することに適していて、家族とのコミュニケーションが取りやすいのもポイントです。

キッチンにある鏡の扉が書斎の入口
実はキッチンの鏡が扉。その向こう側に書斎がある。遊び心のある仕掛けで、書斎をワクワクするスペースに(写真/古石真由弥)
隠し部屋のような書斎
隠し部屋のような書斎はナチュラルで暖かい雰囲気(写真/古石真由弥)

クローゼットのなかにも作れる、コンパクトな書斎

書斎のスペースを大きく取れない場合は、ウォークインクローゼットのなかに書斎を作るという手もあります。書類などで乱雑になりがちな書斎をクローゼットの中に作ることで、生活空間から切り離し、家全体をスッキリと見せる効果もあります。

ウォークインクローゼットのなかにつくった書斎
寝室につながるウォークインクローゼットのなかにつくった夫婦の書斎スペース(写真/河原大輔)
入り口のアール部分
ウォークインクローゼットの入り口は、アールをつけて可愛らしく(写真/河原大輔)

白い家にダークカラーの書斎でメリハリをつける

生活空間と書斎を分けることで、使う人の意識を切り替え、仕事への集中力を高めることができます。その一つの方法として壁のカラーリングを変えるのも有効です。書斎をダークトーンの落ち着いた壁紙にしてオーセンティックなムードに、他の部屋は白を基調にした軽やかな南仏テイストにすることで気持ちの切り替えができるように意図しています。

ダークトーンの書斎
書斎のみダークカラーで落ち着いた雰囲気に(写真/相馬ミナ)
白を基調としたプロヴァンステイストの明るいLDK
白を基調にしたプロバンス風の生活空間と、書斎とでメリハリをつけて(写真/相馬ミナ)

リビングそばに漫画喫茶のようなおこもり空間を

もしも自宅に漫画喫茶のような個室があったら、という発想で書斎を作った事例です。漫画喫茶の個室は、ミニマムな空間で効率よく読書やパソコン作業ができる機能を備えています。そのメリットに加えて掘りごたつを作り、壁には書棚を取り付けて、機能的に設計しています。

漫画喫茶のような空間に仕上げた書斎コーナー
夫の書斎は掘りごたつのデザインで隠れ家風に。LDKのそばに配置し、扉をつけずにオープンな空間にした(写真/アラキシン)

書斎をつくるときのポイント

書斎を作る際のポイントは、他の居住空間とのメリハリを付けることです。音や視界を遮断することで、書斎に入った時に仕事モードに切り替えるきっかけになります。
居住スペースと分かれた個室を設けるのがベストですが、居住空間の一部を書斎として活用する時も、パーテーションを設けるなどして周囲から遮り、仕事中のプライバシーも守りましょう。

また、仕事の書類やパソコン機器などでごちゃごちゃしがちな書斎の空間を居住空間と切り離すと、家全体がスッキリと見える効果もあります。ぜひポイントを押さえて、仕事がはかどるおしゃれな空間を作ってください。

まとめ

デスクワークに特化した書斎なら、小さなスペースでも作ることが可能

書斎と生活空間のメリハリをつけることで、家全体をスッキリと見せられる

集中できる書斎にするには、視線や音をシャットアウトすることが有効

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取材・文/蜂谷智子(スパルタデザイン) イラスト/青山京子
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