家事動線をチェック!家事ラク間取りのポイント

家事動線をチェック!家事ラク間取りのポイント

料理、洗濯、そうじなど、暮らしに不可欠な家事はできるだけ効率よく、ラクに進めたいものですよね。家事をラクにできるかどうかは、住まいの家事動線などによって大きく左右されるものですが、どんな間取りが家事ラクにつながるのか、生活デザイン設計室サンクの古屋茂子さんに伺いました。

家事がラクになる家事動線のよい間取りとは?

最短最小の動きで、誰でも家事を遂行しやすい動線

家事がラクになる家事動線とは、家事をする際に無駄な動きがなく、ストレスフリーに家事を遂行できる動線といえます。また、それに加え、“誰でも”家事を行いやすいということも、これからの時代の“家事ラク”という視点では重要なポイントになると古屋さんは指摘します。

「最近はライフスタイルによっては、ホームヘルパーや家事代行スタッフなど、家族以外の人に家事を頼む機会も少なくありません。家族の誰もが家事をしやすい動線になっているというのはもちろんですが、家族以外の人でも、誰でもどこに何があるのかわかりやすく、家事をしやすい動線上に収納などが設けてあると、家事ラクを助ける外部のサービスを利用する際も、ストレスが軽減できます」(古屋さん、以下同)

つまり、最短距離でスムーズに家事を行うことができる動線で、その動線上の適材適所にちょうどいい収納が設けられているという間取りが、家事ラクを実現できる間取りと言えるのかもしれません。

キッチンカウンター下収納のイメージ
誰でもわかりやすく使いやすい収納が設けてあるなど、スムーズに動きやすい間取りが家事ラクにつながる

家事別にみる、家事動線のポイント。料理の場合は?

暮らす人の家族構成や生活スタイル、家事で重視するポイントなどで、最適な家事ラク間取りは違うものです。家事ラクをかなえる間取りの工夫はさまざまありますが、まずは、料理の場合について、家事ラク間取りの工夫ポイントを見てみましょう。

<ポイント> キッチンの回遊性と収納

アイランドキッチンとパントリーのある間取り
アイランドキッチンは回遊性が高く、作業がしやすい。収納を確保するために、十分な広さのパントリーがあると便利

最近ではオープンな対面式のカウンターキッチンが多くなっていますが、中でも、壁に設置する部分がないアイランドキッチンは回遊性が高く、調理、配膳、片付けの流れがスムーズに行えます。

「壁付けタイプのカウンターキッチンでも、別の空間として設けられる壁に囲まれたクローズドタイプのキッチンに比べたら随分作業はしやすいと思いますが、夫妻で調理したり、子どもに手伝ってもらったり、友人たちとホームパーティーをしたりなど、複数人でキッチンに立つことが多いような場合、アイランドキッチンは作業がしやすく、とても便利です。

一方、クローズドタイプであれば人の目に触れない部分も、アイランドキッチンの場合は見えてしまうので十分な収納スペースを確保することがストレスフリーに使用するポイントになります。パントリーなど、2~3畳の大型の収納も合わせてつくるのが理想。アイランドキッチンはキッチンを設置するのに、ほかのタイプのものよりもスペースが必要になるので、収納庫と合わせ、ある程度キッチンに面積がとれる場合はオススメです」

アイランドキッチン以外のケースでも、パントリーなど、すぐには使わなくてもストックしておきたいものなどをしまう大きな収納がキッチンのそばにあると、キッチンが片付き、日常のお手入れもしやすくなります。

<ポイント>キッチンから洗面・浴室の動線を工夫して家事をラクに

キッチンから洗面、廊下への動線がある間取り
キッチンから洗面室や廊下への動線が確保されていると、家事の同時進行をしやすい

家事はマルチタスクを流れで行うことが多いもの。回遊性の高さは、作業効率UPにつながりますが、キッチン単体の回遊性だけでなく、キッチンから洗面、そして廊下への動線が確保されていると、料理をしながら、ほかの家事も同時進行をしやすくなります。

「洗面室からキッチンと廊下へそれぞれ出られる扉があると2つの動線を確保できます。食事をつくりながら洗濯機を回したり、お風呂掃除をしたり、廊下側から洗濯物を干しにいったり、キッチンと洗面が近接しているだけでなく、複数の動線が確保されることで、家事の同時進行をしやすくなります」

ほかにも、料理をしながら調べものができたり、子どもの宿題を見てあげたりしやすいということで、キッチンにパソコンなどがおけるワークスペースを設けたり、キッチンカウンターの前に、作業もできる大きな机を設けたりする人も少なくないようです。

<ポイント>コンセントの数と配置

最近では、便利なキッチン家電が増えていますが、キッチンで意外と重要なのが、コンセントの数と位置。どんな家電を使用するのかなど、使い勝手を考えて配線計画を立てることが家事ラクにつながります。

「正確に細かく考える必要はありませんが、4口のコンセントをカウンターの左右に各1カ所程度はつけておくといいと思います。また、物を置いてしまうとコンセントが見えなくなってしまうことがあるので、家電などに隠れてしまわないような位置につけるということも必要です。時々使うような家電を使用する際、コンセントが隠れていたり、ホコリがたまっていたりして使いにくいということがあります。使いたいときに、使いにくいというのはストレスにつながるポイントなので、例えば、もし、つり戸棚をつけるのであれば、つり戸棚の下など、見える高い位置にコンセントをつけておくと、隠れてしまうことがないので便利です」

見えやすい高い位置のコンセント
戸棚の下や、壁の高い位置など見えやすい位置にコンセントを設置する方法も

家事別にみる、家事動線のポイント。洗濯、そうじ、片付けの場合は?

次は、洗濯、そうじ、片付けの場合について、家事ラク間取りの工夫ポイントを見てみましょう。

<ポイント>洗う場所から干す場所を考えた動線

サンルームがある間取り
洗面室から洗濯物を干す場所までの動線が短いと作業の流れがスムーズ

洗ってから干すという家事動線をいかに効率的なものにするかが洗濯をラクにするポイント。洗濯スペース(洗面室)の近くに洗濯物を干せる場所を確保しておくと、流れ作業がスムーズになります。

「バルコニーと洗面室を近くにする以外にも、洗面室のすぐ横にサンルームを設けるという方法もあります。日当たりや風通しが気になる場合は、サンルームに天窓をつけて、風や光を取り込むというのもいいでしょう」

2階のバルコニーに干すという動線を短くするために、キッチンは1階でも浴室や洗面を2階に配置するということもあります。

「キッチン、洗面室、バルコニーやサンルームがすべてつながるような間取りにできればとても便利ですが、その分ワンフロアの面積が必要になります。料理と洗濯の同時進行よりも、洗濯の動線を重視する人であれば、キッチンと浴室洗面を離して、別のフロアにするという間取りも、洗濯の流れ作業を効率よく進めることはできるので便利だと思います」

<ポイント> 使う場所で収納する、動線を良くして効率が上がった洗面室

壁面収納がある洗面室の間取り
洗濯乾燥機で乾燥までしたタオルや下着を、そのままたたんでしまえる収納が洗面室にあると、洗う~しまうまでを1カ所で済ませることができる

洗濯物は乾かした後、たたんでしまう作業もあります。衣類を乾かす場所の近くに、たたんだり、しまったりできる場所があると、作業の流れが遮られることなく、ストレスが軽減されます。

「例えば、洗面室に家族の下着やタオルなどを収納できるように壁面に収納棚などを設けておくと、洗濯乾燥機で乾かしてしまうような下着やタオル類は、そのまま洗面室でたたんでしまえるので、家事動線が短く、効率的です。来客時に人の目に触れる不安があるようでしたら、洗面室のドアに鍵を設置したり、おしゃれな収納ケースなどをそろえて中身が見えない工夫をしたりすれば安心です。

ただし、洗面室は湿気が気になる場所でもあるので、洗面室にそのまますべての衣類をしまうようなことは避けた方がいいでしょう。また、洗面室やサンルームに、アイロン掛けのスペースを設けておくのも便利です」

<ポイント>適材適所の収納

廊下収納のある間取り
使いやすい大きさのストックルームを1カ所設けておけば、管理しやすく片付けやすい

収納は家事ラクの重要なポイントですが、収納量が多ければ良いといものではなく、使いたい場所の近くに、適量の収納を設けておくことが大事です。

「大きな納戸の中に、とりあえず何でもしまってしまうという収納方法は、管理している人にしか物の場所がわからなくなり不便です。普段目に入るリビングなどが片付いたとしても、納戸の中の掃除や片付けが大変ですし、必要なものの補充なども、その納戸を管理している人がせざるを得なくなってしまいます。

収納は使う場所に適量が収まるものをそれぞれ設けておけば、使いやすさに加え、ものをストックしておくような収納もそれほど大きなスペースは必要なくなります。例えば廊下などに90cm程度の幅で床から天井まで高さの収納庫があれば、保管庫として十分機能すると思います。家の中のものがすべて見やすくそこにストックされていて、だれでも必要なときに必要な場所に補充できるようしておくのが、家の中にものが散らからない秘訣だと思います」

また、最近では家族共用の大容量のファミリークロゼットをつくるプランも人気ですが、ファミリークロゼットをつくる場合は、使い方をよく考えて計画するのが大事だと古屋さんは言います。

「例えば、子どもが小さく、家族の誰か1人が家族全員の衣類などを管理している場合などは、各部屋にウォークインクロゼットを設けるのではなく、家族共用のファミリークロゼットをリビングの近くなどに設けるケースもありますが、大型の収納をつくる場合は物置きのようになってしまう可能性もあるので、誰が管理するのか、どのように使うのか、使い方を考え、使いやすいように棚などをつけておきましょう。

ある程度子どもが大きかったり、大人同士が暮らすような場合に共用のファミリークロゼットを設ける場合は、前述した洗面室の下着などの収納であったり、玄関の近くにコートなどを置けたり、部屋着に着替えられるようなスペースとしてつくるのがオススメです」

<ポイント> 玄関スペースのゆとり

土間のある間取り
ゆとりのある土間があると、玄関がすっきり

靴や上着を脱いだり、傘やベビーカー、子どもの外遊び道具などを置いたりと、意外と散らかる玄関スペース。玄関に土間のような広いスペースがあると玄関が片付く上、玄関から家の中にいろいろと持ち込まないで済むので、家の中のそうじストレスも減ります。また、土間以外にも玄関にシューズクロゼットなど、容量のある収納を設ける家も増えています。

「そうじのときに、一番面倒に感じるのは、“片付けながら”という動作です。そうじする場所が散らかっていなければ、そうじがすごくラクになります。土間のような広いスペースがあれば、車椅子やベビーカー、ショッピングカートを使う人も置き場所に困らずとても便利だと思います。

また、土間にちょっとした手洗い場があったり、靴のままコートを脱いでかけられるクロゼットがあったりすると、外からの花粉や埃、嫌なウィルスなど家の中に持ちこまずに済んで良いですね」

新居を建てる際は、自分の理想の暮らし方に合わせて、家事動線を考えて家事ラクがかなう間取りのポイントを取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

家事ラクな間取りのポイントは無駄な動きを省き、誰もがストレスフリーに動ける家事動線

回遊性の高い間取りは家事効率もUP

家事の流れが妨げられないよう、洗面、キッチン、収納などの配置もポイント

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取材・文/島田美那子 イラスト/青山京子
公開日 2020年08月07日
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