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ロフトは、狭くなりがちな平屋の住まいを、より広く使う方法の一つです。そこで、今回は一級建築士の佐川旭さんに、平屋にロフトを設ける際のプランニング上の注意点や、ロフトを便利で快適なスペースにするためのコツを伺いました。
幅広い世代から住みたい家として人気の平屋ですが、平屋を建てる際にロフトのある間取りを選択する人は少なくありません。
その理由の一つとして、2階建てに比べると、床面積が狭くなりがちな平屋でも、ロフトをつくることで空間を広く使えたり、住まいに必要なスペースを確保できるという点が挙げられます。
「平屋の場合、例えば本来は天井高2.4m位のものでも、屋根の裏側が出ると3~3.5mと天井が高くなるので、ロフトを設けることで、開放感を得ることができます。また、建てられる家の床面積には上限がありますが、ロフトは居室部分などとは異なり、床面積に算入されません。床面積に該当しないため、固定資産税の課税対象面積にも含まれません」(佐川さん、以下同)
つまり、床面積に該当する“階”を設けるよりも、ロフトの方が税金面でおトクにスペースを確保し、家を建てられるというメリットがあります。

同じ床面積で2階建ての場合とロフト付きの平屋の場合を比較すると、平屋の方が、建築コストは高くなる傾向があります。
例えば、1階と2階を合わせて床面積30坪の2階建てと、ワンフロアで床面積30坪の平屋を比較すると、当然、平屋の場合の方が2階建ての場合よりも基礎と屋根の工事面積が広くなります。基礎と屋根という、コストがかかる部分の面積が広くなれば、当然足場などの仮設も増え、建築コストも高くなるというわけです。
しかし、 “階”をつくるのとロフトをつくる場合では、ロフトをつくる方が建築コストがかかるというわけではありません。建築費用は広さに加え、床材や壁の素材などの仕様によって大きく左右されます。同じような広さや仕上げにするのであれば“階”にするかロフトにするかで工事費用自体はそれほど変わらないといえるでしょう。

そもそも、ロフトとは屋根裏(小屋裏)の空間を利用したスペースを指しますが、建築基準法上は物置きとして定義されている空間です。天井高は1.4mまで、広さは下の階の床面積の2分の1未満などの条件があり、この規定のサイズを超えると、ロフト風につくられた空間であっても、法律上は“階”となり、床面積に算入され、固定資産税も課税されます。
天井高が1.4mということは、通常大人が腰をかがめなければ移動できないような空間ですが、天井高や広さに制限はあるものの、ロフトは収納スペースとして以外にも、寝室や書斎、子ども部屋など、さまざまな用途で使用することが可能です。上手にロフトを活用するためには用途に合わせて、ロフトのプランニングをすることが重要です。

天井高や広さの制限に加えて、自治体によっては、ロフトへの昇降には取り外し可能なはしごに限るというように、固定の階段を設けることができない場合もあります。しかし、階段ではなくはしごにした場合、重い荷物の上げ下ろしなどは難しくなるため、はしご以外でも可能な場合は固定階段の設置を検討するのもオススメです。
「以前は、ロフトへの昇降には取り外し可能なはしごに限るような場合も多くありましたが、今では固定階段の設置が認められるケースも少なくありません。はしごにすると、昇降が億劫になり、ロフトをあまり使わなくなってしまうこともあるので、プランニングの際は固定階段の設置が可能かどうか、自治体の建築指導課に確認をするといいでしょう」

一方で、固定階段にする場合は、間取りに制限が生まれるというデメリットもあります。
「平屋の場合によく採用される“片流れ屋根”の場合、屋根の高さの高い方が南や東側になります。すると、ロフトのスペースを設けられる部分が、天井の高さがある南や東側になるため、固定階段の位置も必然的に同じ方角に限定されてしまいます。固定階段はある程度スペースが必要になるので、その位置によっては生活動線が制限され、使い勝手が悪くなることも考えられます」
ロフトへの昇降のしやすさを優先する場合は固定階段の方が使いやすくなりますが、1階部分の間取りなどを優先する場合は、階段ではなくはしごにするというのも選択の一つです。

屋根に近いロフトは、やはり1階よりも暑くなってしまうもの。納戸として使用する場合はそれ程暑さ対策の必要はないかもしれませんが、寝室や書斎として使用したい場合には対策が必要不可欠です。
「断熱という面を考えると瓦屋根の方が断熱効果は高いのですが、瓦屋根にはある一定の勾配が必要になります。緩やかにできるのは金属屋根なので、最近はデザインの面から屋根材に金属を使うことが多いです。また、屋根の断熱対策をしても、どうしても暖かい空気は上昇します。ロフトであっても、エアコンなどを取り付けることもできますし、一定以上の温度になると自動運転する換気扇などを取り付けて、熱気を排出するようにするのもいいでしょう」
また、ロフトは前述したように法律上は物置きとして定義されている空間です。通常、居室ではないため、採光のために大きな窓をつけることはできません。ロフトが下の階とオープンに繋がるような形か、“階”のように閉鎖的な空間としてつくられているかにもよりますが、特に閉鎖的なタイプのロフトの場合は、何か作業をするには、ある程度の明るさを確保する必要があります。暗さを解消する方法としては、照明や照明器具のためのコンセントを設置したり、小さな窓を複数設けたり、天窓を取り付けるという方法があります。
「採光のために天窓を取り付けるのは有効ですが、天窓を取り付ける場合は、光が入る分、暑くなるという弊害があります。ですので、天窓を取り付けたロフトで、何か作業をしたり、横になったりすることがあるのであれば、暑い日は光を遮ることができるよう、内側に遮熱カーテンや扉をつけるなどの方法を考えるといいでしょう」

子どもがいる家庭では、ロフトが子どもの遊び場のように利用されることもありますが、転落の危険なども考えられるため、安全性についても十分に考慮してプランニングする必要があります。
「手すりの高さは90cm以上必要です。また、形状については、足をかけて転落しないよう、横ではなく、縦にバーが並ぶようなものがいいと思います。
さらに、上り下りの安全性を考えると、やはりはしごよりも固定階段がオススメです。階段にする場合は蹴上の高さが20cm以上になると急になるので、18cm程度を目安にしておくと安心です」
また、ロフトは天井が低く、掃除がしにくいため、ほこりがたまりやすい場所でもあります。子どもがロフトでよく動いたりするような使い方をする場合は、自然に換気ができるように、給気や排気などの換気計画にも配慮しておきましょう。
ロフトのリフォームについて知りたい方はこちら
ロフト新設リフォームの費用と相場。ロフトの役割や法的制限も解説!
平屋にプラスαの空間を生み出すロフトですが、広さやデザイン、用途などは、暮らす人によってさまざまです。今回は実際にロフトつきの平屋を建てた家族の実例を、坪数別に3つ紹介します。
家族の声が届きやすく、年をとってからも暮らしやすいとの考えから、マイホームは平屋にしたかったというKさん。平屋であることのほかにも、自然素材にこだわり、ロフトの床にも無垢の杉を採用。床でゴロゴロしたり、素足で走り回ったりすることで、自然素材の気持ちよさを実感しています。
また、子どもたちは階段で上り下りできるロフトを秘密基地のようにして楽しんでいるそうですが、はしごではなく階段にしたおかげで、収納スペースとしても便利に活用。ロフトには窓を設け、風通しのよい空間になっています。




<建物>
本体価格 1500万円~1999万円
延床面積 84.44m2(25.5坪)
敷地面積 166.30m2(50.3坪)
(実例写真・間取図提供/テクニカルホーム)
趣味を楽しんだり、仕事もできるようなプライベート空間として、秘密基地のようなロフトが欲しかったというFさん。こだわりの詰まった住まいは、ロフト付きの3LDKの平屋建てです。
間取りがシンプルで、空間も狭くなりがちな平屋ですが、勾配天井を活かした吹抜けで、リビングは開放感満点。ロフトとLDKは上下でのコミュニケーションもとれる位置関係で、平屋ながら2階建ての家のような気分も味わえます。
ロフトのアクセントは四角く壁を抜きとったデザインの腰壁。床はフローリングと畳スペースを半々になっていて、収納スペースとしてだけでなく、書斎や趣味の部屋としての使い勝手もよさそうです。




<建物>
本体価格 2000万円~2499万円
延床面積 115.47m2(34.9坪)
敷地面積 434.89m2(131.5坪)
(実例写真・間取図提供/リアルホーム)
老朽化が進んだ築40年の2階建てを、平屋に建て替えたYさん。高齢の母の暮らしも考え、暮らしがワンフロアで完結する平屋を希望しつつも、収納はたっぷりほしいと考えていたため、ロフト付きの平屋という選択をしました。
本や季節のものをたっぷり収納できるロフトは、高窓や天窓をつけたことで、光も十分入り、開放感のある収納スペースとして活用。荷物を持って安全に昇降できる、デザイン性の高いスケルトンの固定階段は、空間のアクセントにもなっています。
ロフトを設け、勾配天井にしたことで、LDKは開放感たっぷり。豊富な収納も、開放感も、デザイン性も兼ね備えた平屋を実現することができました。




<建物>
本体価格 1500万円~1999万円
延床面積 100.20m2(30.3坪)
敷地面積 200.68m2(60.7坪)
(実例写真・間取図提供/近藤建設)
平屋にせっかくロフトをつくるなら、“思ったよりも使わない、使いにくいスペース”にはしたくないものです。この記事で紹介したポイントや実例なども参考に、自分の暮らしに合った、有意義に使えるロフトのある平屋の住まいをぜひ考えてみてはいかがでしょうか。
この記事は、2022年3月11日現在の情報です
狭くなりがちな平屋でも、ロフトをつくることで、床面積を気にせずスペースを確保できる
ロフトは法律上は物置きとして定義される空間で、天井高は1.4mまで、広さは下の階の床面積の2分の1未満などの条件がある
ロフトの用途に合わせて、階段の形状を選択したり、暑さ暗さの対策も必要