容積率の緩和って何?わかりやすく解説 ~前面道路の幅員など、知っておきたいポイントも紹介~

容積率の緩和って何?わかりやすく解説 ~前面道路の幅員など、知っておきたいポイントも紹介~

土地の広さに対する建築物の規模を規制するものの一つに「容積率」があります。容積率によって、同じ広さの敷地でも建てられる建物は大きく変わるもの。また、条件を満たす場合は緩和されることがあるので、土地を探したり、住まいの新築を計画する際は、容積率が何かに加え、容積率緩和の特例についても、ぜひきちんと知っておきたいものです。そこで今回は一級建築士の佐川旭さん監修のもと、容積率緩和について、わかりやすく解説します。

容積率とは?

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合

容積率とは、その土地に建てられる建物の大きさ(延床面積)を制限する数値のことで、計算式は次のようになります。

容積率(%)=建物の延床面積(建築物の各階の床面積の合計)÷敷地面積×100

例えば、容積率100%で100m2の敷地に建てられる建物の延床面積は100m2。平屋であれば1階部分の床面積は100m2までの建物が、2階建てであれば、1階部分と2階部分の床面積の合計が100m2までの建物が建てられるということになります。

同じ敷地面積でも、容積率によって建てられる建物の大きさは異なる
容積率の図解

容積率の規定は用途地域ごとに決まる

容積率はその土地の所在によって異なりますが、まず、都市計画によって用途地域ごとに規定される『指定容積率』があります。

指定容積率

指定容積率とは用途地域に応じて定められた容積率のことです。用途地域は都市計画に基づき、用途に応じて分けられた13地域のことを指し、その内の住居系の8地域については以下のように容積率が定められています。

住居系用途地域の指定容積率
用途地域 指定容積率
第一種低層住居専用地域 50・60・80・100・150・200%
第二種低層住居専用地域
田園住居地域
第一種中高層住居専用地域 100・150・200・300・400・500%
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
指定容積率が50%~200%の第一種低層住居専用地域よりも、指定容積率100%~500%の第一種住宅地域の方が広い家を建てられるということになる。尚、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域については高さ制限があるため、容積率の制限内であっても、建物の高さは10mまたは12m以下となる

前面道路の幅員によって容積率の上限が決まる

用途地域ごとに容積率が定められている一方、建物を建てる敷地に面している前面道路の幅員が12m未満の場合は、前面道路の幅員に応じた容積率の規定が設けられています。そして、この道路幅員による容積率と指定容積率の内、どちらか厳しい方の容積率の数値がその土地の容積率の上限として適用されます。

道路幅員による容積率は、前面道路の幅員に低減係数を乗じた数値で、一般的には前出の住居系の8地域については通常0.4の低減係数が適用されます※。
※地域によっては0.4が0.6の場合もある

例えば、前面道路の幅員が4mの場合、『4m(前面道路幅員)×0.4(低減係数)×100=160%(容積率)』となります。この場合、指定容積率が200%だったとしても、適用する容積率はより厳しい数値である160%の方になります。

道路幅員によって規定される容積率の例
指定容積率は200%だが、このケースでは適用される容積率は160%となる

もし、指定容積率が道路幅員による容積率よりも低い数値であった場合は、指定容積率が適用されることになります。また、セットバックが必要な幅員4m未満の2項道路が前面道路の場合については、幅員は4mとして計算します。

用途地域をまたぐ場合や角地の場合の容積率

敷地内に用途地域の境界があったり、角地で2つ以上の道路に面していたりする場合、容積率はどうなるのでしょうか。それぞれ、具体的な例で見てみましょう。

用途地域が2つ以上の場合は加重平均で計算

同じ敷地が容積率の異なる用途地域にまたがる場合は加重平均で容積率を算出します。つまり、それぞれの面積按分率で各容積率の限度を計算し、その和を敷地全体の容積率の値とします。

【例】敷地面積100m2の敷地のうち、70m2は指定容積率100%の用途地域、30m2は指定容積率200%の用途地域の場合

計算式は以下のようになり、この100m2の敷地の容積率は130%となります。

100%×(70m2/100m2)+200%×(30m2/100m2)=70%+60%=130%

指定容積率が異なる用途地域をまたがる敷地の例
敷地内に容積率の異なる2つの用途地域があるこのケースでは、敷地全体の容積率は130%となる

角地の場合は幅の広い道路が基準になる

複数の道路に面している角地などの場合、計算の基準になるのは広い方の道路の幅員です。そして、広い方の道路の幅員も12m未満の場合は、道路幅員による容積率の規制を考える必要があります。

【例】4mの幅員と6mの幅員の道路に面する角地の場合

幅員の広い6mの方を前面道路として考えるため、計算式は以下のようになり、この敷地の容積率は240%となります。

6m(前面道路幅員)×0.4(低減係数)×100=240%(容積率)

角地で前面道路幅員が12m未満の例
この角地のケースでは、幅員の広い6mの方を前面道路として考える。尚、一定の条件を満たす角地の場合は建ぺい率が10%緩和されるが、隅切りをしなければならないケースもある。緩和条件や、隅切りについては各自治体によって異なる

容積率緩和の特例1 特定道路から一定範囲内の土地

前面道路の幅員が6m以上12m未満で、特定道路まで70m以内の土地に適用される特例

容積率は用途地域だけでなく、前面道路の幅員にも左右されるため、同じ用途地域でも、幅員の広い道路に面する敷地と、狭い道路に面する敷地では、容積率が大きく異なるケースが生じかねません。そこで、幅員の広い道路から分岐した狭い道路に面する敷地の容積率が急激に低下するのを防ぐため、幅員15m以上の道路(特定道路)から一定範囲内の土地については、容積率が緩和される特例があります。

この特例が該当するのは、前面道路の幅員が6m以上12m未満で、特定道路までの距離が70m以内の土地の場合です。このケースでは特定道路までの距離に応じて容積率を加算することができます。住居系エリアの場合、計算式は以下の通りです。

容積率(%)=(前面道路幅員+加算値※)×0.4×100
※加算値=(12-前面道路幅員)×{(70-特定道路までの距離)÷70}

具体的な例で見てみると、
特定道路から35m、前面道路幅員が6mの敷地の場合、
加算値は『(12-6)×{(70-35)÷70}=3』。

つまり『(6+3)×0.4×100=360』となり、
容積率は特例措置によって360%になります。

特例措置がないと、『(6×0.4×100=240』で容積率は240%となるため、敷地面積が100m2の場合で考えると、特例措置によって、延床面積の限度は120m2も増えることになります。

ただし、このようなケースでも、指定容積率と道路幅員による容積率を比べて厳しい数値が適用されるため、指定容積率の方が緩和された容積率よりも低い場合は、そちらの数値が適用されることになります。

特例措置が適用される前面道路の幅員が6m以上12m未満で、特定道路までの距離が70m以内の土地の例
特例措置が適用されるのは、前面道路の幅員が6m以上12m未満で、特定道路までの距離が70m以内の土地

容積率の緩和の特例2 駐車場や地下室

延床面積から割引いて換算する緩和措置

特定道路からの距離と前面道路幅員による容積率緩和の特例以外にも、駐車場や地下室など、延床面積を考える際に、割引いて換算する緩和措置が設けられている部分があります。

駐車場

屋根のない駐車場は建築面積に含まれませんが、屋根がある場合は建築物とみなされ、延床面積に含まれます。これは屋根のある物置の場合も同様で、置き型の物置ではなく、地面に固定した10m2超の物置は、原則建築物とみなされ延床面積に含まれます。

延床面積に含まれる屋根のある駐車場やビルトインガレージですが、延床面積の5分の1を限度として容積率の計算からは除外されます。

例えば、敷地面積が100m2で、容積率の上限が150%の土地には通常、延床面積150m2までの建物が建てられることになります。

一方、この土地に30m2のビルトインガレージを含む延床面積180m2の家を建てた場合、180m2の5分の1に当たる36m2までは容積率の計算からは除外することができます。つまり、このケースでは駐車場の床面積分の30m2を延床面積から除外できるため、容積率の計算に含まれる建物の延床面積は150m2になり、容積率150%という制限内で建物が建てられているということになります。

ビルトインガレージのある家の例
ビルトインガレージなど、建築物に該当する駐車場は延床面積に含まれるが、屋根のない駐車場は延床面積に含まれない

地下室

地下室についても、一定の条件を満たしていれば床面積の3分の1を限度として容積率の計算から除外されます。

満たす必要のある条件は、『地階であること』、『天井が地盤面から高さ1m以下であること』『住宅の用途に供する部分であること』の3つです。

つまり、天井が地上にある半地下のような場合でも、その天井が地盤面から1m以下で、床が地盤面の下にあり、住宅として使われる空間であれば、容積率緩和の対象となります。

例えば、敷地面積100m2で容積率が100%の場合、延床面積の上限は100m2です。一方、地階をつくると、床面積の3分の1を限度として容積率の計算から除外されるため、延床面積150m2までの住宅をつくることができます。

同じ敷地に2階建てを建てた場合と、半地下のある2階建てを建てた場合の延床面積の比較
このケースでは地下室をつくることで、延床面積の上限が50m2増加

駐車場やロフト、吹抜けなどは延床面積に算定されない

駐車場や地下室のように緩和措置が設けている部分のほかに、元々延床面積に算定されない空間もあります。

ロフトや外壁からの出幅が2m以下のバルコニーは延床面積には含まれないため、これらの空間を活用すれば、容積率の制限内で、できるだけ面積を広く取り開放的な空間を計画するということも可能です。

ロフトのイメージ
ロフトは天井高が1.4m以下、床面積は直下の階の2分の1未満という制限がある

容積率の緩和措置の適用箇所と延床面積に含まれないもの

容積率の緩和措置があったり、延床面積に含まれない箇所はどこか、以下の表で確認してみましょう。

容積率緩和の特例適用箇所と延床面積に含まれない箇所
容積率緩和の特例
(〇:適用 ×:適用外)
延床面積から除外
(〇:除外される ×:含まれる)
駐車場(屋根なし) ×
車庫・ビルトインガレージ(屋根あり) ×
地下室 ×
ベランダ・バルコニー ×
※外壁からの出幅が2m以下の部分が除外。2m以上出ている部分は延床面積に含まれる
ロフト ×
※直下の階の2分の1未満の面積が除外
インナーテラス・サンルーム × ×
ウッドデッキ ×
吹抜け ×
階段 × ×
スキップフロア × ×

同じ広さの土地でも、容積率によって住まいのスケールは大きく異なります。容積率やその緩和措置についてきちんと理解しておけば、土地探しや住まいのプランニングもスムーズに進められるのではないでしょうか。住まいの新築を検討しているのであれば、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にしてみてください。

まとめ

容積率とは、敷地面積に対する延べ面積の割合で、用途地域や道路幅員によって限度が決まる

前面道路の幅員が6m以上12m未満で、特定道路までの距離が70m以内の土地は、特定道路までの距離に応じて容積率を加算できる

ビルトインガレージや地下室は延床面積から割引いて換算する緩和措置の対象となる

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取材・文/島田美那子
公開日 2021年08月25日
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