太陽光発電の基礎知識 メリット・デメリットのすべて

太陽光発電の基礎知識 メリット・デメリットのすべて

太陽光発電システムを自宅に設置すれば、売電で収入を得たり、電気代がおトクになると思っている人も多いはず。けれど電気代以外にどんなメリットがあるのでしょう? そもそも本当におトク? デメリットはないの? リフォームでもメリットはある? 太陽光発電業界に詳しいafterFITの藤村朋弘さんに教えてもらいました。

「家庭用太陽光発電」と「産業用太陽光発電」の違いは?

太陽光発電のメリットを説明する前に、まず「家庭用太陽光発電」と「産業用太陽光発電」の違いについて、簡単に説明しておきます。家庭用と産業用では主に下記の点が異なります。ちなみに一般的な一戸建ての場合、4~4.5kWが標準といわれており、経済産業省も4kWを標準として各資料をまとめています。また10kW以上の太陽光発電システムは、メーカーにもよりますが30畳~50畳の広さが必要になり、一般的な住宅の屋根に備えるのはほぼ不可能です。

家庭用太陽光発電 産業用太陽光発電
発電出力 10kW未満 10kW以上
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT制度)による売電期間 10年
※家庭でまず使用し、余った電力のみ売電できる
20年

以降のメリットやデメリットについては「家庭用太陽光発電」についての説明となります。

太陽光発電のメリットとは?

電気代を削減することができる

太陽光発電システムを自宅に設置するメリットといえば、やはり電気代を節約できることでしょう。太陽光発電システムで発電した電気を自宅で使えば、その分電力会社から電気を買わなくて済むからです。

「例えば2021年に入ってから、火力発電所で使う原料でもある原油価格の高騰もあり、電気料金は上がっています。また脱炭素社会を目指す国は、太陽光発電など再生可能エネルギーを最優先で導入するという方針を掲げています。
そのため、電気料金に含まれる再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金。詳しくは次項参照)が今後増えることが予想されます」(afterFIT藤村さん。以下同)。こうした状況を考えると、太陽光発電を自宅に設置して電気代を節約するのは有効な方法の一つです。

ただし太陽光発電システムを設置したからといって、電力会社から電気を購入するのをやめることはできません。なぜなら夜間や雨の日など、太陽光発電が発電しない時間帯があるからです。発電した電気は、蓄電池など貯めておく装置がない限り、後で使うことができません。

一方で、太陽光発電でつくった電気を使い切れなかった場合は、蓄電池を利用したり、余った電気(余剰電力)を国に売ること(売電)ができます。またZEH(ゼッチ。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスのこと)など高断熱の省エネ住宅であれば実質電気代をゼロにすることは可能です。

再エネ賦課金を削減できる

「再エネ賦課金」とは「再生可能エネルギー発電促進賦課金」のことです。太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーによって発電された電力は、国が一定期間固定の価格で買い取ってくれる「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT制度)がありますが、その買取費用は電気の使用者から広く「再エネ賦課金」として集められています。

再エネ賦課金の負担額は、電気の使用量に比例して決まります。2021年4月までは2.98円/kWhでしたが、2021年5月からは1kWhにつき3.36円と定められました。例えば首都圏の1日あたりの電力使用量(年間平均)は11.2kWh(※)ですから、単純計算すると1カ月では11.2kWh×30日×3.36=約1129円になります。

※平成25年度家庭における電力消費量実測調査(環境省)

太陽光発電システムによって電力会社から購入する電気の量を減らすことで、この再エネ賦課金を削減できるというわけです。例えば電力消費量を上記336kWh(11.2kWh×30日)を150kWhに減らした場合は504円になります。

売電収入を得られる

先述したように、太陽光発電システムで発電して、使い切れなかった電気は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT制度)によって国が買い取ってくれます。住宅用と呼ばれる10kW未満の太陽光発電システムの場合、2021年度の売電価格は19円/kWhです。以降10年間はこの金額で買い取ってもらえます。この金額は毎年見直しが行われますが、FIT制度が始まって以来、売電価格は下がり続け、2021年度の売電価格は19円/kWhです。

売電価格が下がっているのは、後述するように太陽光発電システムの価格も下がっていることが大きな要因です。つまり初期投資費用が下がっているのです。

「制度が始まった2012年度の売電価格は42円でした。設置コストが下がっていることを理由に価格が下がっていますが、制度が始まった当初の価格が高かったのは、太陽光発電システムなど再生可能エネルギーを普及させる理由もあったと思います」

FIT制度による売電価格の推移
売電価格の推移の説明図
2015年~2019年の数値は「出力制御対応機器設置義務あり」の場合の価格。資源エネルギー庁のデータより(図版/SUUMO編集部)

「一方で使用する電気の料金は約26円/kWh(※)と逆転現象が起きています。国としては、今後は売電よりも自宅でなるべく消費してもらって各家庭の使用電力を抑え、脱炭素社会を加速させる狙いがあるのだと思います」

※東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bプランで「120kWhをこえ300kWhまで’第2段階料金)」の1kWhの料金は26.48円

蛇口を閉めれば止まる水道水と違い、発電した電気は流れ続けるものですから、そのまま使うか、貯めるか、売電するしかありません。使い切れなかった電気を売電することで初期費用の回収や、ちょっとしたお小遣いにすることができます。

ちなみに経済産業省の資料(※)によれば、自宅で使い切らずに売電した割合(余剰売電比率)は2020年1月~9月の平均値が71%、中央値が72.1%でした。意外に売電できるんだなと思う人も多いのではないでしょうか。なお売電価格の設定にもこの余剰売電比率が参考にされています。

※経済産業省「令和3年度以降の調達価格等に関する意見(案)」

なお10年間の買取期間が終わっても、電力会社やガス会社など電力供給事業者に買い取ってもらうことができます。制度より売電価格は下がりますが、たいてい割安なセットプランが用意されていますので地域の電力供給事業者のホームページをご確認ください。

蓄電池を備えると効率良く電気を使える

日中に太陽光発電システムでつくった電気を蓄電池に貯めることで、太陽光発電システムが発電しない夜間でもその電気を使うことができます。蓄電池に電気を蓄えることで、以下のようなメリットが生まれます。

1.災害時に電気を効率良く使える

記で、災害による停電時に太陽光発電システムがあると普段通り電気が使えると述べましたが、蓄電池があれば太陽光発電システムが発電しない夜間でも使うことができます。

2.夜間が安い電気料金プランを使いやすい

料金の安い夜間に電気を蓄電池に貯めておき、料金の高い日中に貯めておいた電気や、太陽光発電システムの電気を利用。雨の日など太陽光発電システムが発電しにくいときも、蓄電池の“安い”電気を使えるので、電気料金を抑えることができます。

3.固定価格買取制度の期間が終わっても自宅で消費しやすい

住宅用の場合、再生可能エネルギーの固定価格買取制度では自宅で消費できない余剰電力を売電できますが、設置から10年間という期間が過ぎると、購入先を自ら見つける必要があります。もし購入先を見つけられなかった場合は、大手電力会社の送配電部門がゼロ円で買い取ってくれることになりますが、そうなるとせっかく発電しても、収入にはなりません。使わなければ電気がもったいないですよね。売電期間が終了した後は蓄電池に貯めるようにすれば、上記のように夜間や雨の日などに使うことができます。

停電しても電気を使えるので災害時等に安心

水害や台風、地震といった自然災害で電線が切れると、家は無事でも電気が使えなくなります。一例を挙げれば千葉県を中心に大きな被害をもたらした2019年9月の台風15号では、最大約93万戸が停電。全戸完全復旧まで約2週間かかりました。

しかし太陽光発電システムを備えていれば、システムに被害がなければ電気を使うことができます。つまり避難所へ行かずに家で過ごすことができるのです。スマートフォンの充電もできますし、お湯も沸かせます。また最近は自動お湯張り機能付きのガス給湯器やトイレも電気を使いますから、停電してしまうとこれらを使えなくなります。このように電気は現代の生活に欠かせませんが、太陽光発電システムがあると、家とシステムさえ被害に遭わずにすめば、災害時でも安心です。

他の投資商品と比べれば収入が安定している

株や不動産など、手元の財産を元手に利益を得るのが「投資」です。「コロナ禍で、その投資商品の一つとして太陽光発電システムが注目されているのは確かです。なぜなら住宅用なら10年間、事業用なら20年間は売電価格が固定されているからです」

売電価格が固定されているということは、売電による収入が家庭用なら10年間は見通しやすいということです。確かに発電量は天候に左右されますが、年間の日射量が大きく変わることはほぼありません。毎日、いえ毎秒のように価格が変わる株をはじめ、他の投資商品よりも収入が安定しているというわけです。

10年目以降は売電価格が変わりますが、10年間で初期投資分(太陽光発電システムを導入した費用)はある程度回収できるので、元手を割ることもありません。そもそも既に述べたように、太陽光発電システムを使用している間はずっと光熱費等を削減できます。

太陽光発電のパネルの耐用年数は意外と長い

太陽光発電の仕組みについて見てみましょう。太陽光発電システムの構成部品は、大きく「太陽光パネル」と「パワーコンディショナー」に分けることができます。太陽光パネルは主に屋根の上に設置し、太陽光から電気を生みます。この電気を集めてパワーコンディショナーが電圧や電流などを整えて家の中に送り、余った分は家の外(配電線)に送ります。

太陽光発電パネル
太陽光発電のパネルは、太陽の光エネルギーから電気をつくる(画像/PIXTA)

太陽光発電システムには「この期間に何かあればメーカーが無償で対応します」というメーカー保証があります。各社によって保証期間はバラバラですが、最低でも10年、最近では25年間保証するというメーカーも少なくありません。メーカーが保証するということは、それだけ製品の寿命に自信があることの証といえます。「実際、30年以上稼働している太陽光発電システムもあります」

「ただしパワーコンディショナーの製品交換の時期は10~15年が目安と言われ、保証も太陽光パネルとは別になるケースもあります。これは電気機器であるパワーコンディショナーがずっと稼働し続けている点に起因しています。例えば車が15年間ずっと走り続けていたら、どこか故障してもおかしくはないですよね? 電気機器である以上、長期間動かし続ければ不具合がでるのは仕方ありません」

太陽光発電のパワーコンディショナー
太陽光発電のパワーコンディショナー。室内置きタイプと、室外置きタイプがある(画像/PIXTA)

とはいえテレビや冷蔵庫など、一般的な家電と比べたらメーカー保証はかなり長い期間です。それだけ寿命が長いと言えるでしょう。

太陽光発電付きの家を建てるならZEHを検討したほうがいい

先述した省エネ住宅のZEH(ゼッチ)は、断熱性を高め、省エネ機器を備えて、太陽光発電システムなど再生可能エネルギーを導入することで「使うエネルギー≦創るエネルギー」になる家のこと。厳密には設計一次エネルギーの消費量と創るエネルギー量の収支をゼロ以下にする住宅、なのですが光熱費が実質ゼロになる家と言えます。

このようにZEHには太陽光発電システムが欠かせません。これから太陽光発電システムを備えた家を建てようと考えているのであれば、ZEHにすることをオススメします。補助金制度や税制優遇も利用できます。

オール電化の住宅と相性がいい

せっかく電気を、いわば無料でつくれるのですから、ガスコンロではなくIHクッキングヒーターやエコキュート(電気給湯器)を使わない手はありません。そうすればガス代を減らすことができます。

しかもオール電化住宅に向けた、お得な電気料金プランが用意されています。夜間の料金が割安になるプランで、エコキュートなら料金の安い夜間にお湯を沸かして、日中にお湯を使うということもできます。夜間の料金が安いということは、日中の電気料金は高くなりますが、日中は太陽光発電システムによる電気を使えば電気料金を抑えやすくなります。

最近は初期費用ゼロで備える方法もある

「最近は初期費用0円で太陽光発電システムを搭載するという方法が選べるようになっています。これは太陽光発電事業者が、家に太陽光発電システムを無償で搭載する代わりに、発電した電気を家の所有者に販売したり、余剰電力を電力会社に販売することで収益を得るというものです。搭載された太陽光発電システムは、概ね10年で太陽光発電事業者から家の所有者へ無償で譲渡されます」

初期費用0円で太陽光発電システムが搭載できる仕組み
初期費用0円で太陽光発電システムが搭載できる仕組みのイメージ
太陽光発電システムを設置してもらった家は、設置した太陽光発電事業者から電気を購入して使うことになりますが、料金はたいてい通常より安い(図作成/SUUMO編集部)

家の所有者から見れば、タダで太陽光発電システムを設置してもらえて、10年後には自分のものになるということになります。また太陽光発電システムが発電した電力を使用した分は太陽光発電事業者から購入することになりますが、たいてい大手電力会社より料金が割安ですから、電気料金を抑えやすくなります。

他にも太陽光発電システムをリースで設置する方法や、賃貸住宅など屋根の広い住宅なら屋根を貸した「賃料」を受け取る方法もあります。こうした設置方法を、下記の東京都のように積極的に支援している自治体もあるので、お住まいの自治体のホームページなどを確認してみましょう。

太陽光発電のデメリットとは?

約10年前と比べ、設置費用を回収するまで時間がかかる

太陽光発電システムを設置したいけれど、費用を考えると躊躇する人も多いと思います。では現在はいくらくらいかかるのでしょうか。

太陽光発電システムの価格は下のグラフの通り年々下がっていて、2020年度の住宅用の太陽光発電システムの平均導入費用は29.8万円/kW。もちろんメーカーによって価格は異なりますが、一般的な4kWの太陽光発電システムを設置した場合、29.8万円×4kW=119.2万円が目安となります。2012年度は46.5万円/kWhでしたから、46.5万円×4kWh=186万円。それと比べると約67万円安く設置できるようになりました。

住宅用太陽光発電システムの費用の推移とその内訳
1kWhあたりのシステム費用の平均値の推移図
経済産業省「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」より、1kWhあたりのシステム費用の平均値の推移(単位は万円)。新築が黄線、既築が青線、全体が赤線。数値は平均値。新築のほうが既築より費用が安いことがわかります(図作成/SUUMO編集部)

といっても4kWで100万円以上します。売電価格が2012年度の42円から2021年度は19円に下がっていますから「当初は10年間でだいたい初期費用を回収できましたが、現在はもう少し時間がかかるようです」

100万円以上の資金を用意するのが大変というのであれば、金融機関の「ソーラーローン」や「リフォームローン」を利用する方法があります。住宅ローンよりは少し金利は高めですが、初期投資の負担を減らすことができます。

また、自治体によっては補助金制度を設けている場合もあるので、住んでいる地域の自治体のホームページなどで確認したほうがいいでしょう。なお、かつては太陽光発電システムを導入する場合、国による補助金制度がありましたが、現在は行われていません。これはFIT制度が始まり、売電できるようになったことが要因です。

太陽光発電システムはメーカーによって価格に差がありますから、安いメーカーのものを選んで初期費用を抑えるという考え方もあります。しかし「価格の安いメーカーは主に中国メーカーで、安いといっても1kWあたりの差額は1万円程度です。5kWの太陽光発電システムなら5万円違うことになりますが、100万円以上するものを購入する際に5万円を出し惜しむより、国産メーカーの信頼性を選ぶという人もかなりいらっしゃるようです」

さらに先述の通り、最近は初期費用ゼロで太陽光発電システムを設置する仕組みも登場していますので、こちらを利用する方法もあります。

メンテナンス費用が必要になる。定期点検の相場は?

メリット「太陽光パネルの寿命は意外と長い」で述べたように、太陽光発電システムの寿命は長いのですが、そのためには定期的なメンテナンスが必要です。発電量の維持や安全性確保の観点から、太陽光発電協会も4年に1回の定期点検が必要だとしています。また先述の通りパワーコンディショナーは10~15年に1回の交換が目安です。車の車検が2年に1回、しかも義務であることを考えれば、それほど厳しくはありませんが、ほったらかして発電量が下がったり、不具合で火災などが起きないよう、定期点検は行ったほうがいいでしょう。

1回あたりの定期点検の相場を、経済産業省の資料では
「5kWの設備で約2.8万円程度、パワーコンディショナーの交換費用が20.9万円程度」と想定しています。また、これをkWあたりの年間運転維持費に換算すると、20年間でkWあたり年間3490円になると試算しています(※)。

※「令和3年度以降の調達価格等に関する意見(案)」

発電量は天候に左右される

当然のことながら、太陽光発電システムの発電量は天候に左右されます。天候がよければ発電し、悪ければ発電しません。また晴れていても冬は日照時間が短いため、他の季節よりも発電量が少なくなりがちです。

しかし年間を通しての日射量は、同じ地域であればほとんど変わりません。例えば東京都の場合、この10年間で下記の通りです。ですから長雨が続くからといってあまり心配するほどではありません。

東京都の全天日射量の年平均値(MJ/m2
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
全天日射量
(MJ/m2
13.3 13.7 13.9 14.1 13.8 13.0 12.7 13.6 13.9 13.2 13.0
「日射量」とは太陽からの放射エネルギーを測定したもので、「全天日射量」とは、全天空からの日射量を測定したものです。単位のMJとはメガジュールのことで、エネルギーの単位です。数値は気象庁データより

一方で、地域による日射量の違いを心配される人もいると思いますが、例えば太陽光発電パネルに雪が積もれば、晴れた日でも発電できなくなるなど、確かに地域差はあります。その辺は考慮する必要はありますが、とはいえ現状稼働している太陽光発電システムでは大きな地域差はないようです。

設置に向いていない家もある

1年を通して日射量は安定していますが、だからといって全ての家が太陽光発電に向いているとは言えません。太陽光パネルを設置する方位や屋根の角度によって、発電量が変わるからです。「方位としては南向きがベストです。逆に発電効率の悪い北向きには設置しません」。

また設置方法や設置角度によっても発電量は大きく変化します。1年を通じて最も日射量が大きくなるのは、東京都の場合は真南の方位で約30度の傾斜角度のときになります。

下記は、東京都で南面を100%とした時の発電量の比率を示したものです。

南面を100%とした時の発電量の比率(東京都、傾斜角度30度の場合)
南面を100%とした時の発電量の比率
太陽光パネルを水平に対して30度傾け、真南に向けて設置した場合の東京での計算例。太陽光発電協会Q&A「設置方法や設置角度の影響はありますか?」より(図作成/SUUMO編集部)

注意したいのは、上記は周囲の影響を受けない場合での発電量の比率です。例えば真南側にある建物によって日射を遮られ、日中はほとんど屋根に日が当たらないとなれば、いくら真南に太陽光パネルを設置しても発電が難しくなります。こうした立地条件も太陽光発電システムを検討する際の重要な要素となります。

近隣とのトラブルのリスクがある

上記で「1年を通じて最も日射量が大きくなるのは、真南の方位で約30度の傾斜角度」と言いましたが、このように太陽光パネルを傾けると「太陽光を反射して、隣家に迷惑をかけないか?」という疑問をもった人もいるのではないでしょうか。実際、稀に太陽光パネルの反射光が「眩しい」や「熱い」ということで近隣とトラブルになるケースもあります。

しかし太陽の位置や高度との関係で見ると、本来南面に設置された太陽光パネルの反射光は上空に向かうため、クレームは発生しにくいのです。一方で、東西面や北面に設置されている場合、太陽の位置や高度によっては反射光が隣家に向かう場合があり、トラブルにつながりやすくなります。太陽光発電協会でも南面以外はトラブルにつながるとして、他の3方面に設置する場合は、反射光の方向に住宅が無いなど、あらかじめ確認が必要だとしています。

また、別の近隣トラブルについても注意する必要があります。「ごく稀にですが、例えば南側の駐車場に高いビルが建ってしまい、日射量が減って発電量が下がった、ということでトラブルになるケースもあります」。家を建てる時と同様、周辺環境についても注意して設置を検討するようにしましょう。

地域によっては出力制限が行われる!?

太陽光発電に対する出力制限とは、電気が需要以上に発電されたため、需要と供給のバランスを取るために電力会社が発電しないよう制御することを言います。また、送電線が流せる電気量には上限がありますが、これを超える場合も出力制限が必要になります。出力制限が行われると、せっかく発電しても売電できません。

ただし住宅用太陽光発電については、今のところあまり気にしなくても大丈夫でしょう。なぜなら出力制限は制限する電力の種類によって順番が決められていて、住宅用太陽光発電の順位は低いからです。具体的には夜間に水を汲み上げて発電する揚水型発電や火力発電などが先に制限され、太陽光発電が出力制限になった場合も、規模の大きい事業用太陽光発電が優先されます。

「ただし、今後ますます再生可能エネルギーが増え、本来それに伴い行われるはずの送電網の整備が遅れると、住宅用太陽光発電の出力制限が行われる可能性はないとは言い切れません」。そうなっても困らないよう、自宅の太陽光発電システムによる電気は、自家発電に使う前提で、売電には頼らない生活を送っておくとよいでしょう。

太陽光パネルの重さによって屋根に負担をかける?

太陽光パネルの重さは、メーカーによって異なりますが、4kWの発電出力ならパネルを支える部材も含めて400~550kg前後になります。家の構造に問題が無ければ、特に重いというほどではありませんが、家の状況によっては屋根や躯体などの補強が必要な場合もあります。事前に施工会社に相談しておくとよいでしょう。

勧誘トラブルなどに注意

太陽光発電システムを販売している一部の業者の中には、あの手この手で勧誘して、トラブルを引き起こしているケースが散見されます。「FIT制度が始まった当初は『売電で必ず儲かる』など、不正確・過剰な説明(不実告知)によるトラブルが多かったのですが、最近多いのは『蓄電池の押し売り』トラブルです」

2021年6月にも国民センターから注意喚起の報道発表がなされましたが、訪問してきた業者が「この値段は今日限り」などと家庭用蓄電池の購入を急かすというトラブルが増えています。中には長時間に渡り居座り、被害者は冷静な判断能力を失って契約してしまった、ということもあるようです。

先述の通りFIT制度による売電価格が下がり、売るより自宅で使おうという人が増えています。また既にFIT制度による10年間の固定買取価格が終了した人も出てきています。このような背景から家庭用蓄電池の“押し売り”が増えているようです。

他にも電力会社の関連会社を名乗る事業者が「電気料金が安くなる」と勧誘されたけれど、実は電力会社の関連会社ではなかったケースや、「補助金の申請は代行します」といって実は申請されていなかったケースなどもあります。

こうしたトラブルに巻き込まれないためにも、必ず3社程度相見積もりを取って、費用や担当者の対応などを比較して判断したほうがいいでしょう。

資源エネルギー庁でも主なトラブルをまとめたリーフレットを発行していますから、太陽光発電システムの導入を検討している人は参考にしてください。また万が一トラブルになってしまったら下記の消費者ホットラインに問い合わせましょう。

参考
資源エネルギー庁「住宅用太陽光発電のトラブルと対策」

→消費者ホットライン
188(いやや!)
※この番号にかけると。最寄りの消費生活センター等に案内してくれます

施工不良で雨漏りするなどのリスクがある

太陽光パネルを屋根に載せるために、いわば“載せる台”を屋根に設置します。この際に屋根に穴を開けるのですが「本来、家を建てる施工会社は屋根に穴を開けるなんてしたことがありません。ですから未経験の施工会社や、あまり熟知していない職人などによる施工不良が起こり得ます」。もし施工に不備があると、雨漏りや電気系のトラブルが発生するリスクがあります。

「やはり太陽光発電システムの設置になれた業者に依頼するといいでしょう。例えば太陽光発電システムを載せるのが当たり前のZEHの施工業者に依頼するのも1つの方法です。ZEHの施工業者は登録制になっていて、技術がなければ登録できません。あるいは施工会社にこれまでの施工例などを見せてもらい、判断するのもいいでしょう」

資源エネルギー庁も下記のような窓口に相談することを勧めています。

参考
→ずさんな施工工事で雨漏りなどトラブルが発生した場合
住宅リフォーム・紛争処理支援センター

→信頼できる業者か知りたい場合
PV施工技術者制度運営センター

パワーコンディショナーの設置場所を確保する必要がある?

太陽光パネルが発電した電気を家庭で使えるようにしたり、送電できるようしてくれるパワーコンディショナー。屋外に置く方法と屋内に置く方法があります。「置き場所による性能の違いはありません。メーカーによって大きさは異なりますが、30cm四方で奥行きが15cm程度です。通常の分電盤よりは少し大きいですが、エアコンの室外機と比べればかなり小さいサイズです」。ですから、あまり置き場所に困るということはないでしょう。

屋外に置く場合は、なるべく直射日光をさけ、雨露がかからない場所が推奨されています。同様に屋内に置く場合は、高温多湿を避けることが推奨されています。

設置した業者が倒産したらメンテナンスが受けられない?

太陽光発電システムを設置した業者が倒産してしまうと、これまでのメンテナンスやアフターフォローを受けられなくなってしまいます。さらにメーカー保証が受けられなくなったり、売電ができなく可能性も。その場合、必要書類をそろえて太陽光発電システムのメーカーや他の業者に相談するなど、手続きがやっかいです。

実際、最近は太陽光関連事業者の倒産が増えていて2015年以降は年間50件を超えています(東京商工リサーチ調べ)。FIT制度が始まったころは、太陽光発電の需要が高まると考えた業者がたくさん現れましたが、最近は売電価格の低下や、関心の強い人々が既に設置したこともあり設置件数が低迷しています。そのため販売不振に陥り、倒産している業者も増えているのです。「業者の淘汰はさらに進み、倒産する業者が増えるでしょう」

倒産する業者を見抜くことはなかなか難しいですが、例えば過度に安い価格だったり、過剰なサービスを約束したり、契約を急かしてくるような業者は避けるようにしたほうが無難でしょう。

確定申告、固定資産税が必要になるケースとは

太陽光発電システムによる売電によって得られる収入は、雑所得として課税対象になります。ただし、給与所得者の場合で確定申告が必要になるのは、雑所得が年間20万円を上回る場合です。「しかし住宅用の太陽光発電の規模で、年間20万円以上の収入を得るのはほぼ不可能です」。ですので、確定申告が必要になることはほぼありません。

次に固定資産税についてですが、屋根材と一体型という太陽光パネルの場合、課税対象になります。しかし屋根材一体型というパネル自体、ほとんどありません。たいていは課税対象外となる、屋根の上に置くタイプです。ですので、固定資産税についても気にする必要はありません。

リフォームで太陽光発電を備えるメリットは少ない?

FIT制度が始まったころは、リフォームで太陽光発電システムを備える人も多く、実際2012年度に導入された家の約7割が「既築」、つまりリフォームで設置された家でした。当時は太陽光発電システムを導入すると都道府県などが補助金を出していたことが要因でしょう。しかし現在では国の補助金制度は終了していますし、補助金を出すのは主に市区町村のため、補助金額も当時よりはかなり減っています。それもあり2019年度の導入件数は新築が8割、既築が2割と大きく逆転しています。

新築の場合は、より断熱性能の高いZEHにするなど、メリットのある建て方もできます。とはいえ先述のように太陽光発電システムの導入件数自体は下がっています。

「太陽光発電システムの設置には初期費用として100万円以上かかりますが、そもそも100万円以上かけて自宅を快適にしようと考える方は、太陽光発電より先に、水まわりのリフォームや外壁の修復などをやりたいと思うのではないでしょうか」

もし間取りの変更や、断熱性能の改善など大がかりなリフォームを考えているなら、「ついでに太陽光も」検討するには良いかもしれません。また最近は電気自動車の普及に国が積極的ですので、今後購入を検討しているようなら、ついでに検討してみてはいかがでしょうか。自宅の太陽光発電システムによる電気で充電すれば、従来の燃料費にあたる費用がグンと抑えられますから。

まとめ

太陽光発電システムを備えれば光熱費の削減や、停電時の活用などメリットがたくさんある

売電価格が年々下がっていて初期費用の回収に時間がかかりがちだが、最近は0円でも搭載できるプランもある

施工不良や倒産に注意。信頼できる業者に依頼することが重要

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取材・文/籠島康弘
公開日 2021年09月30日
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