数寄屋造りとは? 外観の特徴、書院造との違い、代表的な平家の建築例やモダンな実例もご紹介!

最終更新日 2024年08月01日
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数寄屋造りとは? 外観の特徴、書院造との違い、代表的な平家の建築例やモダンな実例もご紹介!

「数寄屋造りの家」と聞いたとき、思い浮かぶのは和風な家。だけど、「具体的にどんな家?」と尋ねられると答えられないもの。そもそも数寄屋造りとは何なのだろう。数寄屋造りの歴史や特徴、建てるならどんな家や外観になるのかを解説する。数寄屋の魅力を取り入れた、現代のモダンな建築例も紹介しているので、家造りの参考にしてほしい。

数寄屋造りとは?

数寄屋造りとは、“数寄屋風”を取り入れた建築物のこと。定まった様式はなく、狭義では「茶室がある建築」を指すが、現代においては竹や杉皮、土壁など自然素材を取り入れ、それぞれの素材感を活かした和風建築も数寄屋造りと呼ぶ。ちなみに「数寄」とは、和歌や茶道、生け花などの風流文雅を好むことを指す。

「数寄屋造り」は「書院造り(書院、つまり書斎を中心とした武家住宅の形式)」を基本にしながら、風流で繊細、質素だが洗練された意匠が特徴。庭の自然で四季を感じられたり、周囲の景色を借景として楽しむ間取りが考えられたりしているのが数寄屋造りの魅力だ。

和風建築には欠かせない砂壁や土壁。不具合が生じた場合の補修やリフォームの方法について、くわしくはこちら。

安土桃山時代に茶室として生まれた「数寄屋」

数寄屋というのは、もともと母屋とは別に建てられた小規模な茶室のこと。安土桃山時代、千利休によって完成された「わび茶(茶の湯)」は、無駄なものを削ぎ落とし、究極までシンプルにしたなかに美しさを見出すもの。その意識は茶室にも反映された。当時、建物は権力を目に見える形で表現する書院造りが主流だったが、格式を重んじたデザインや装飾を取り除いた数寄屋の考え方が、やがて茶室以外の建物にも反映されるようになった。書院造りを基本にしながら、風流で繊細、質素だが洗練されている意匠が特徴。庭の自然で四季を感じられたり、周囲の景色を借景として楽しむ間取りが考えられているのが数寄屋造りだ。

茶室の構成は細部に渡って、茶を楽しむための仕掛けがしつらえてある。なかでも「床の間」は、現代の和室においても造られていることが少なくない。以下記事は「床の間」についてくわしく紹介している。

現代に残る、歴史的な数寄屋造り

豪華な装飾を排し、質素な材料を使ってわびさびの世界を形にした数寄屋造りだが、江戸時代以降からは高価な建材や高い技術も取り入れられるようになった。そのため、数寄屋造りを取り入れた歴史的建築物が今も残っている。代表的なのは桂離宮新御殿、修学院離宮、伏見稲荷大社御茶屋など。松江市にある小泉八雲旧居にも、質素な床の間や三方の開口部から庭を楽しめる居間などに数寄屋造りが取り入れられている。

かつての日本家屋には当たり前にあった「縁側」は、家の中にいながら季節を感じ取れる先人の知恵が凝縮された空間。和モダンな家造りで縁側をしつらえたい方は、以下の記事も参考にしてほしい。

数寄屋造りを取り入れた小泉八雲旧居
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小泉八雲旧居 。八雲が半年ほど住んでいた屋敷。ほぼ当時のまま保存されている
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小泉八雲旧居。居間から日本庭園を望むことができる自然との調和を形にした造りだ(画像提供/松江観光協会)

具体的にはどんな特徴があるの?今でも建てられる?

形式が無いのが形式。自然との調和とシンプルさが特徴

格式張った豪華な意匠を嫌い、内面を磨いて客人をもてなす、という茶人の精神が簡潔で自由な空間として形になっていった数寄屋造り。定まった形式がないことが特徴だが、数寄屋造りらしいポイントをいくつか挙げてみよう。

特徴のひとつは自然との調和。建材には竹や杉皮を天井にあしらう、壁は土壁にするなど自然素材を取り入れる。そして、竹であれば節を活かしたり、木も使う場所によっては板状にせず丸太のまま使う、木や土壁の経年変化を楽しむなど、素材の良さをそのまま活かすことが大切にされる。

シンプルな意匠も特徴だ。例えば、床の間に段差がなかったり、長押(なげし・壁に取り付けられた柱と柱をつなぐ横木)を省略していたり、空間や間取りをつくるうえで、型にはまらず無駄を削ぎ落としている例も多い。

現代の数寄屋造りはどんな家?

今も、純和風建築や和モダンの家の多くで数寄屋造りの考え方が取り入れられている。直線美を活かした外観や無駄な装飾のないシンプルな内装デザイン、しっくいや珪藻土、板張りなど自然素材を取り入れた外壁や内装、庭や借景を考慮した間取りなど、数寄屋造りが生まれた安土桃山時代から現代まで受け継がれてきたものだ。

では、現代の暮らしに数寄屋造りを取り入れた、ハウスメーカーの住宅商品を見てみよう。

数寄屋造りの特徴を取り入れた家
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ミサワホームの「CENTURY SUKIYA」は、日本建築が培ってきた知恵や工夫を取り入れながら、現代の方法で建てる家。一直線に伸びる塀の笠木や格子戸など、縦と横のラインがシンプルで美しい「CENTURY SUKIYA」外観(画像提供/ミサワホーム)
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1階のほぼ全面に畳を採用。玄関に入った瞬間から、和の心地よさを感じることができる「CENTURY SUKIYA」玄関(画像提供/ミサワホーム)
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水はねや油汚れの心配なキッチンの床はタイル張りにするなど、現代の暮らし方に合わせる柔軟さも、形式にとらわれない数寄屋造りの精神に通じているといえる「CENTURY SUKIYA」ダイニングキッチン(画像提供/ミサワホーム)
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長い軒や庇が水平に伸び、安定感と広がりを感じさせる。軒柱や格子など垂直のラインとの組み合わせが数寄屋建築に通じる繊細な美しさを生んでいる「和楽 雅」外観(画像提供/住友林業)
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現代のライフスタイルに合うLDKは、木を多く使い森の中にいるかのような心地よさ「和楽 雅」(画像提供/住友林業)
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木の格子や2階の細長いスリット窓、下屋(玄関など前面部分に差し出して設けられた屋根)など、日本建築がデザインの基本になっている「和楽 華」(画像提供/住友林業)
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伝統的な数寄屋建築には欠かせない和室だが、縁のない正方形の琉球畳や格子、シンプルな収納が和室をモダンな雰囲気に。洋風のリビングと隣接しても調和がとれる「和楽 華」(画像提供/住友林業)

※写真には仕様変更、その他の理由により再現できないものが含まれています。価格はお近くのミサワホーム、住友林業までお尋ねください

数寄屋造りの魅力を受け継ぐ、現代のモダンな和風建築

和風建築の本来の魅力である、木を中心とした自然素材を活かしたモダン建築を紹介していこう。自然の心地よさや繊細さ、光と影の美しさを現代に受け継ぐたたずまいは、忙しない現代において忘れがちなやすらぎをもたらしてくれる。

和楽 華
直線で構成されたデザインに、バランスよく配されたモダンな丸い明かりとりが目を引く「和楽 華」(画像提供/住友林業)
和楽 華
視線を低くする和のスタイルは圧迫感がなく、ほどよい間が居心地の良さをつくりだす「和楽 華」(画像提供/住友林業)
和楽 華
障子越しの柔らかい光も、和風建築ならではの魅力。開けば四季のうつろいが絵画のように切り取られ、心安らぐ空間に。「和楽 華」(画像提供/住友林業)
和楽 華
和の天然素材と間接照明の組み合わせの相性は素晴らしい。美しい陰影が寝室らしいリラックス空間をつくり出している。「和楽 華」(画像提供/住友林業)
和楽 華
数寄屋造りの主体である茶室を、和モダンに演出。「にじり口」をくぐるたびに心が躍る。「和楽 華」(画像提供/住友林業)

数寄屋造りの家、建てるならどこに頼めばいいの?

純和風か和モダンか、好みに合わせて選択しよう

設計やデザインの自由度が高い木造軸組工法(在来工法)を採用している会社に和風建築が得意な会社が多い傾向だが、その他の工法でも自然素材や和風の建具を使った内装などで和のテイストは形にできる。和瓦葺きの屋根や自然素材を使った外壁や塀などで、和の雰囲気を強調する住宅が得意な建築会社や、現代のデザインに数寄屋造りのテイストを取り入れた和モダンを主流にしている建築会社など、依頼できる会社はさまざま。自分が建てたいのは、和のデザインをどれくらい取り入れた家なのか、好みを把握するためにはモデルハウスや各社のホームページなどでデザインの傾向を見てみるといい。

今建てられている和風の家のベースになっている数寄屋造り。シンプルで格式や形式にとらわれない自由さや、自然との調和を図る考え方から生まれる家は、現代も暮らしやすい空間につながっている。

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取材・文/田方みき
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