たくさんの人が悩んでいる「服」の収納。大容量の収納スペースさえあればいいというものではなく、どこに設置するかによっても便利さは大きく変わる。そこで、収納のプロであり二児の父でもある収納王子コジマジックさんに、浴室・洗面室収納の基本的な考え方と実践テクを教えてもらった。また、家を建てた先輩たちの実例も紹介するので参考にしよう。
寝室に大きなウォークインクロゼットがあったらな……などと思い描く人は多い。ところが「そんな漠然としたリクエストだと、設計する人が『大きいってどれくらい?』と思ってしまいます。服の収納計画を考えるときは、まず自分たち家族がどれくらいの服を持っているのか、具体的に把握するところから始めましょう」とコジマジックさん。
具体的に、といっても「何を何着ということでなくてOK。ハンガーにかける服なら、実際にかかっている幅、つまりハンガーパイプの長さをベースに考えればいいんです。例えば家族で使っているハンガーパイプの長さが合計4m、もう少し服をかけるスペースが欲しいからプラス1mできないですか?という感じにリクエストすれば、ほぼイメージどおりに仕上がるはずです」
たたむ服も、かける服と同様、入れている引き出しや棚のサイズを伝えればOK。「あとは、丈の長いワンピースが多い、などの個別事情があればそれも伝えます。また、子どもが小さい家庭は、子どものこれからの成長も見込んで計画することが大事。例えば今は大人2人・子ども2人なら、収納計画は大人4人として、余裕のある収納スペースを用意したいですね」
クロゼットの最も一般的な設置場所は「夫婦の寝室や子ども部屋など、個別の寝室の中。家族みんながそれぞれの服を管理しやすいというのがメリットですね。最近は収納スペースの中に入れる、ウォークインクロゼットが人気です」とコジマジックさん。
ここ数年で家を建てた先輩たちの実例を見ても、夫婦の寝室、子ども部屋とそれぞれの個室にクロゼットを設けるケースが一般的。さらに、夫婦の寝室にはウォークインクロゼットを設ける家が増えているようだ。
Sさんの家。夫婦の寝室に、収納力たっぷりのウォークインクロゼットをシンメトリーに配置。夫婦それぞれの服を収納している。
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服を収納するクロゼットは、夫婦の寝室、子ども部屋とそれぞれの個室に設けるケースが一般的だが、最近では「それぞれの個室に分けず、1カ所にまとめて家族で共用する、ファミリークロゼットも人気が出てきています」とコジマジックさん。
夫婦の寝室や子ども部屋の近くに1つ設けると、それぞれの部屋に設けるよりも省スペース。乾いた洗濯物を運ぶのも、それぞれの部屋ではなく、まとめて1カ所で済む。
Iさんの家。夫婦の寝室と子ども室が集まる2階の中央に、家族全員分の洋服を収納できるファミリークロゼットを設置。廊下から、夫婦の寝室からと2WAYで出入りできるのが便利。
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さらに、洗濯機や室内物干しのあるスペースに隣接させると、洗濯動線が便利に。これは注文住宅を建築中(取材当時)のコジマジックさんの家でも採用したのだそう。
「2階で洗濯して、3階で干して、2階のリビングでたたんで……という妻の動きをずっと見てきて、この動線を短くすることはできないかなと思ったんです」。そこで、1階に洗濯機と物干しスペース、アイロン収納付きの作業台、ファミリークロゼットを集中させることに。
「洗濯物って、乾いた後はいいけれど、洗濯が終わった後は濡れて重くなりますよね。だから洗う→干すという部分を同じフロアで完結させることができれば、洗濯動線はだいぶラクになると思います」
Tさんの家。浴室、洗面室、脱衣所、ウォークインクロゼットをすべて兼ねたサニタリールームをオリジナルで設計。無駄なモノの移動、家事動線を極力省いた。天井に室内物干しを設置したため、洗濯・乾燥・収納まですべてこのスペースで完結する。
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服の収納は、寝室に設けるものと決めつけず、自分たち家族にとって使いやすい場所と動線上につくるのが理想的。家族の入浴後や外出前、帰宅後などの行動をよく考えて、自分たちのライフスタイルに合わせてプランニングしよう。
また、服の収納をきちんと考えると、家が片付くこと以外にもメリットが。「クロゼットの中がきちんとしていると、おしゃれがしたくなるはず。すると、外に出かけたくなり、出会いも増えます」
着たい服を見つけられなくて外出前に慌ててしまったり、持っている服のことを忘れて似たような服を買ってしまったり、というような失敗が防げるうえ、気持ちも前向きに。「家族みんなにとって片付けやすい場所や収納方法になるよう、よく考えてプランニングしましょう」
服の量は、何着かより、ハンガーパイプの幅で考える
家族ごとの「クロゼット」を寝室・子ども部屋に設ける
家族共用の「ファミリークロゼット」を個室の近くに