「家の収納をなんとかしたい」と思っている人は多いよう。そこで、収納のプロであり二児の父でもある収納王子コジマジックさんに、収納の基本的な考え方と実践テクを教えてもらった。また、家を建てた先輩たちの実例も紹介するので参考にしよう。
「片づけの意味は、使ったモノを元の位置に戻すこと」とコジマジックさん。「片づけには順番があり、『出す・分ける・しまう』が基本なのですが、片づけがあまり得意でない人ほど、これを逆にやってしまうんです」
片づけが得意でない人は、まずは散らかっているモノをしまい込むことから始めてしまうのだそう。そして「引き出しを開けるとモノがいっぱい入っているから、ここで初めて分ける、そして自分にとって必要ではないモノを出す、となってしまうんです。自分にとって必要なモノを見極めるには、まずは収納されているモノを全部出すことから始めましょう」
必要なモノを見極めたら「モノを使う場所=収納スペースを基本として、どんな収納プランにすればいいのかを考えていきます」
では、家の中のそれぞれの空間や収納するモノごとに、収納プランのポイントを見ていこう。
「大きなテレビ、ソファ、窓があると、リビングには意外と収納スペースをつくるところがないんです」とコジマジックさん。そこで現在、夢のマイホームを建築中のコジマジックさんの自宅は、テレビを囲むようにテレビボードをつくり、リビングに必要なモノをすべて集中収納できるようにしているそう。「大きな場所を取るテレビまわりにリビング収納を。縦型の掃除機、ティッシュやゴミ箱とさまざまなサイズのモノを扉の中に収納できます」
収納するモノが明確なトイレは「掃除グッズなどを床に置かなくて済むように、すべてのモノに置き場所を考えましょう。例えばトイレットペーパーを買ってきたパッケージのまま収納したいなら、その大きさの収納を。予備を数個置くだけでOKなら、その分が置けるだけの収納スペースを」
子ども部屋の収納は「例えばおもちゃなど、すべてのモノに『住所』を決めて、遊んだら元に戻す習慣を。文字よりも、イラストや写真でラベリングがオススメです」
子ども部屋では、部屋の中央に家具を置く間仕切り収納、手の届きやすい位置に棚を変えられる可動式収納やシステム収納も検討してみよう。
キッチンの収納は「シンクの下には水を使う道具、というように『適材適所』の収納が重要。キッチン内の歩数が少なくなり、作業の効率がアップします。
また『動線』にも工夫を。特にパントリーは、行き止まりができないように設けるのが、しまい忘れを防ぐポイント。現在、夢のマイホームを建築中のコジマジックさんは、料理好きの奥様のために行動動線と収納を徹底的に追求したキッチンの実現に向けて奮闘中だそう。
衣類は寝室のクロゼットに収納するものと思い込んでいる人が多いが、「下着やルームウェアだけでも浴室の近くに置いてみましょう」。十分な湿気対策をすれば、室内物干しを設けてランドリールームとファミリークロゼットを併設できることもあるので検討してみよう。
服を収納するクロゼットは、最近では「それぞれの個室に分けず、1カ所にまとめて家族で共用する、ファミリークロゼットも人気が出てきています」。夫婦の寝室や子ども部屋の近くに1つ設けると、それぞれの部屋に設けるよりも省スペース。乾いた洗濯物を運ぶのも、それぞれの部屋ではなく、まとめて1カ所で済む。
「玄関収納というと、靴を収納するところと思っている人が多いようです」。ところが実際は、「玄関の土間部分を掃除するグッズであったり、防災セットであったり、小さな子どものいる家だとベビーカーであったり……玄関に収納できると便利なモノは、意外とたくさんある。それらの収納場所をどうするのか、しっかり考えましょう」
空間や収納するモノ別に収納アイデアを紹介してきたが、それが正解というわけではなく、ベストな収納プランはその家ごとに違う。「まずはその部屋で何をするのか?から考えるとベストな収納プランが見えてきますよ」とコジマジックさん。
例えば子どものおもちゃをリビングに収納したほうがいいケースもあれば、ファミリークロゼットを玄関近くに設けたほうがいいこともある。デッドスペースや廊下のちょっとしたスペースを活かす方法もある。自分たちが普段、どんな動きをするかを考えるところから始めよう。
リビング:大きな場所を取る「テレビまわり」に収納を
トイレ:収納するモノが明確な場所。それぞれに必要なスペースを
子ども部屋:すべてのモノに「住所」を決めてラベリングを
キッチン:「適材適所」の収納をベースに「動線」も考えて
浴室・洗面室:近くに下着・ルームウェア収納を
服:家族共用の「ファミリークロゼット」も検討してみよう
玄関:自分たちの暮らし方に合わせて「何を置くか」考える