盛土・切土の違いとは? 新築で後悔しない土地選びの注意点、それぞれのメリット・デメリットを解説

最終更新日 2026年04月20日
文字サイズ

盛土・切土の違いとは? 新築で後悔しない土地選びの注意点、それぞれのメリット・デメリットを解説

家づくりを考える中で、「盛土の土地と切土の土地、どちらがいいのか?」「購入後に地盤トラブルが起きたらどうしよう……」と不安を抱える人は少なくありません。特に造成された土地は、見た目では地盤の状態が分からないため、初めて家を建てる人にとって判断が難しいポイントです。

盛土と切土では地盤の特徴や災害リスクが大きく異なり、造成方法を正しく理解していないと、購入後に不同沈下や水害、土砂災害などの思わぬトラブルにつながる可能性があります。

そこで、地盤災害のスペシャリストであるだいち災害リスク研究所の横山芳春さんにお話を伺いながら、盛土・切土の違いや安全性、メリット・デメリット、関連する法律など専門的な内容を分かりやすく解説します。

盛土・切土とは?

盛土・切土は、傾斜や高低差のある土地を建築に適した形へ整えるための造成方法です。ここでは、それぞれがどのような工事なのか、特徴や違いを分かりやすく解説します。

盛土とは

「盛土(もりど)」とは、低い土地や傾斜地に土を盛り、建物を建てられる高さや平らな地盤をつくる造成方法です。斜面の多い丘陵地だけでなく、水田や湿地帯を埋め立てた宅地でも盛土が使われることがあります。

盛土は、盛った直後の状態では地盤が緩く不安定なため、土を層ごとに敷きならし、ローラーなどでしっかり締め固めて密度を高めます。さらに、盛土内部や敷地まわりに雨水がたまらないよう、水の流れを整える排水計画も欠かせません。締め固めが不十分だったり、排水がうまく機能しなかったりすると、建物の一部だけが沈む不同沈下が起きやすくなるので、注意が必要です。

盛土のイメージ
(画像制作/SUUMO編集部)

切土とは

「切土(きりど)」とは、傾斜地や高い地盤を切り下げて、建物を建てられる平らな土地をつくる造成方法です。もともとの地盤を削って造成するため、地盤が比較的固く、安定しやすいという特徴があります。

一方で、斜面を削ることで新たな崖面ができ、雨水の流れや土の崩れを防ぐ目的で、必要に応じて土留めや擁壁を設置することが求められます。

切土のイメージ
(画像制作/SUUMO編集部)

このように平らではない地面を盛土や切土によって平らにし、宅地をつくることを「宅地造成」と呼びます。また、盛土や切土工事の際に新たにできた斜面のことを「法面(のりめん)」といいます。

盛土・切土のイメージ
土砂を盛ったり地面を削り取ったりして傾斜のある地形を平らにする(元画像提供/だいち災害リスク研究所 イラスト/杉崎アチャ)

盛土と切土の安定性の違い

盛土と切土は、どちらも土地を整える造成方法ですが、地盤の安定性には大きな違いがあります。盛土は後から土を積み上げた人工的な地盤であり、安定性は施工品質に大きく左右されます。万が一、締め固めや排水計画が不十分な場合は、沈下や崩れを招く恐れがあるので注意が必要です。

一方、切土は自然地盤を削ってつくるため、盛土よりも固く安定しやすいという特徴があります。ただし、斜面を削ることで新たな崖面が生じるので、土留め・擁壁の設置や適切な雨水処理が欠かせません。

また、盛土・切土のどちらも、元の地質によって安全性が左右される点に気をつけましょう。例えば、粘土質の地盤は沈下しやすく、砂質地盤は雨水で流出しやすいなど、土地ごとの性質が影響します。安全な土地かどうか判断するには、造成内容や地質調査の結果を確認しておくことが重要です。

なお、同一敷地内に盛土と切土が混在する場合、建物の計画レベルの設定が重要です。
計画レベルを低く設定すると切土量は増加しますが、その一方で隣地との高低差が大きくなり、新たに擁壁などの土留め構造物が必要となる場合があります。

このため、敷地内の造成計画だけでなく、隣地や前面道路との高低差や接続条件を十分に考慮した上で、総合的に判断し、適切な建物の計画レベルを設定することがポイントです。建築会社と相談した上で、建物の計画レベルを決めましょう。

法面保護工について

切土によってできた法面の崩壊を防ぎ、安定化させるための施工方法を「法面保護工」といいます。

「法面保護工の方法は大きく分けて2種類あります。一つは植生を用いる植生工、もう一つはコンクリートなどの人工物を用いる構造物工です。公園や堤防など大規模な場所では植生工を、住宅地では構造物工を施す場合が多いです」(横山さん、以下同)

植生工は植物を育成して法面を覆い、侵食や風化を抑制します。植物の根が張ることで地面が強固になり土砂崩れを防ぐ効果もあるとされています。また、自然物のため景観を損ねるおそれもありません。
構造物工はコンクリートや板柵等を用いて法面を強化します。植生よりも強固な保護が期待でき、長持ちするためメンテナンスの面でもメリットが大きいことが特徴です。

法面保護工(構造物工)
コンクリートを使った構造物工で法面を保護した例(画像/PIXTA)

大規模盛土造成地について

「大規模盛土造成地」とは、宅地造成の際に谷や沢を埋めた造成地、または傾斜地の上に盛土をした造成地のうち大規模なものを指します。

大規模盛土造成地には下記の2種類があります。

  • 谷埋め型大規模盛土造成地:盛土の面積が3000m2以上
  • 腹付け型大規模盛土造成地:盛土をする前の地盤面の水平面に対する角度が20度以上で、 かつ盛土の高さが 5m以上

「各自治体が調査・作成した大規模盛土造成地マップや、国土交通省が運営するハザードマップポータルサイト内の「重ねるハザードマップ」で大規模盛土造成地の場所を調べることができます。または、役所の窓口などに問い合わせるとより詳しく教えてもらえます」

参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト

大規模な造成地
大規模盛土造成地の場所は自治体の窓口や国土交通省のサイトで調べることが可能(画像/PIXTA)

盛土や切土に関する法律は?

盛土や切土は、地盤の安全性に関わるため、法律や規制によって細かくルールが定められています。ここでは造成に関する主な法律や注意点を紹介するので、確認してみてください。

宅地造成等規制法

宅地造成による崖崩れ、または土砂の流出のリスクが高い土地における災害防止を目的として定められた法律が、宅地造成等規制法です。自治体ごとにリスクの高い区域を「宅地造成工事規制区域」と定め、地盤改良や擁壁工事の計画が技術基準に適合していることを示した上で、工事の許可を取ってから着工することが義務付けられています。また、工事が完了した後も検査を受ける必要があります。

「兵庫県南部地震や新潟県中越地震により造成地が大きなゆれによって滑ったり崩れたりする大被害を受けたことで、2006年には法改正が行われています。これにより、宅地造成工事規制区域とは別にリスクの高い既存の造成地を『造成宅地防災区域』と定め、所有者等に対して自治体が必要な勧告や命令を行えるようになりました」

傾斜地の宅地造成の工事現場
特に傾斜地の造成地は土砂崩れ等のリスクが高いと考えられている(画像/PIXTA)

盛土規制法

盛土規制法とは、2022年5月に公布された宅地造成等規制法の一部を改正する法律です。2021年7月に静岡県熱海市で大雨に伴う大規模な土石流災害が発生し、法律による規制が十分でないエリアが存在していることが問題となりました。そこで「宅地造成等規制法」を「宅地造成及び特定盛土等規制法」と改正し、2023年5月26日の施行以降は、土地の用途に関わらず危険な盛土等を包括的に規制できるようになります。

「これまで規制の対象となっていた土地だけではなく、農地や森林の造成、土石の一時的な堆積なども規制の対象となります。また、責任の所在を明確化したこともこの法律の特徴です。土地の所有者、そして工事等を行う者に対して土地の安全性を確保することが義務付けられます」

森林の造成工事の様子
新たに施行される盛土規制法では、宅地だけでなく農地や森林も規制の対象となる(画像/PIXTA)

盛土や切土のメリットは?

災害によるリスクが心配な盛土や切土。しかし、住む上でのメリットも存在します。

段差を有効に使えるため、日当たりの良さや眺望を希望する人や、プライバシーを確保したい人にとっては、魅力を感じる面が多いといえます。ここからは、具体的な盛土・切土のメリットについて見ていきましょう。

見晴らしが良い

「傾斜地のため眺望が良いことが魅力です。海や山など自然風景を一望できる場所に家を建てたいと希望し、盛土・切土を選ぶ人もいます。また、周囲から覗かれにくいためプライバシーを保護しやすいこともメリットといえます」

盛土・切土の眺望イメージ
眺望を楽しめることは傾斜地に家を建てる魅力の一つ(画像/PIXTA)

日当たりや風通しが良い

「周囲に遮るものがないため日当たりや風通しがよいという特徴があります。そういった意味では、年間を通して快適に暮らすことができます」

日当たり・風通しのよい家
周辺に遮るものがないため、日当たりや風通しがよい(画像/PIXTA)

水害のリスクが低い

「水辺から高低差があることが多いため、洪水、高潮、津波といった水害を受けにくいのもメリットです。ただし、高台でも周囲より低い場所は排水不良による内水氾濫、また豪雨や台風の際は土砂災害のリスクの可能性があるので気をつけましょう」

多層的な家づくりができる

「土地の高低差や傾斜を上手く活かして多層的な家づくりが可能です。例えば傾斜地に家を建てて3階に玄関を設けたり、2階+地下室や車庫といった間取りもつくりやすいのが特徴です。平地では不可能なユニークな家を建てることができます」

傾斜地に建てられた住宅
土地の傾斜を活かしてユニークな設計の家が建てられる(画像/PIXTA)

盛土や切土のデメリットは?

盛土・切土の土地に家を建てることを検討している場合、デメリットについても正しく知っておくことが重要です。

盛土は切土よりもリスクが高い?地盤沈下や土砂自然災害のリスク

「地震、豪雨などの自然災害に対して弱いのが盛土・切土の特徴です。平坦な土地に比べて地震による地盤沈下、豪雨による土砂崩れ、その他にも地滑り、土石流、擁壁崩れなどが発生するリスクが非常に高くなります。特に大地震による影響は大きく、盛土地では平高台の平坦地よりも震度が1~2階級ほど大きく感じることがあるとされています」

住宅地で発生した土砂崩れのイメージ
盛土・切土は災害時に土砂崩れや地盤沈下を起こすリスクが高い(画像/PIXTA)

土地が売りにくくなる可能性がある

「盛土や切土など自然災害のリスクが高い土地に関する法律は、今後も改正される可能性があります。現在は問題なく売買ができても今後の法改正によって規制がかかり、現在の状態のままだと売買が制限されることも考えられます。将来的に売りにくくなる可能性がある土地であるというリスクも知っておいたほうがよいでしょう」

成約済みの造成地
将来的な法改正により、土地の価値が変わってしまう可能性もある(画像/PIXTA)

地盤改良工事のためのコストがかかる

「盛土・切土の土地において地盤改良工事は義務付けられているわけではありませんが、工事をすることによって地盤沈下のリスクを減らすことができます。既存の古い擁壁がある場合などには、事実上地盤改良や擁壁の新設を行わないと安全に家を建てられないケースも存在します」

地盤改良工事をした土地
地盤改良工事を行うことで地盤沈下のリスクを抑えることができるが、時間やコストがかかる(画像/PIXTA)

勾配があるため上下移動が必要な家になる

「多層的な家づくりができることはメリットである反面、勾配のある土地に家を建てるため、家に入るまでに坂や階段があったり、家の中でも階段があるなど、移動のアップダウンを避けられない暮らしになる可能性が高いです。バリアフリー設計の家を建てたい場合は盛土・切土の土地では難しいかもしれません」高低差への対応として、ホームエレベーターの設置などが必要になる場合もあります。

造成地の坂道を歩く高齢者
盛土・切土に家を建てると屋外の坂道や家の中で階段の上り下りが発生する可能性が高い(画像/PIXTA)

見分けることが難しい

盛土・切土は一目で見分けることが難しく、調査を行う専門業者が少ないという課題もあります。また、大規模盛土造成地マップは各自治体の窓口やホームページ等でも確認できますが、谷埋め型であれば3000m2に満たない規模の盛土造成地は掲載されていません。小規模な盛土造成地のほか、調査の際に見落とされてしまった等の理由からマップ上に存在しない“隠れ盛土”もあります」

盛土・切土であるかどうかを判別するためにどうすべきかは、次の章で解説します。

大規模な住宅地
盛土・切土であるかどうかを土地の見た目だけで判断するのは難しい(画像/PIXTA)

盛土や切土を見分ける方法と建築前に確認すべきことは?

ここからは、注文住宅を検討している人が建築前にチェックすべきポイントについて紹介します。

古地図やハザードマップ(航空写真)を確認する

大規模土地造成マップを活用する以外にも、「古地図」や「ハザードマップ(航空写真)」で土地の履歴をチェックする方法があります。古地図や、過去の航空写真で地形の変化として痕跡を比較することで、大規模土地造成マップに載っていない盛土の可能性を読み取ることが可能です。

「大規模盛土造成地マップに掲載されていない盛土・切土を調べるためのおすすめの方法は、古地図(旧版地形図)と今の地形図を確認することです。両者を見比べてみると谷を埋めた場所が分かる場合があります」

古地図の中の記号を確認すると、かつて田畑や山林、水辺などがあった場所も分かります。土地の状況を把握するヒントとなるでしょう。

古地図と現在の地形図を見比べる人
古地図と現在の地形図を比較すると、造成地を見つけるためのヒントになる(イラスト/杉崎アチャ)

また、ハザードマップで航空写真を確認するには、調べたい地域を入力した後、「すべての情報から選択」をクリックし、「写真」を選ぶだけで、年代別の航空写真を比較できます。現在は整地されている場所でも、過去の写真で低いくぼ地のように不自然に低く見える場所はかつて川や池だった可能性があり、水はけの悪さや液状化のリスクが高いといえるでしょう。

さらに「地形分類」を重ねれば、土地の性質が色ごとに示され、どの地形がどのように形成されたか、そしてどんな災害リスクを持っているかも理解できます。
こうした情報を組み合わせながら、土地が持つ潜在的なリスクを把握しておくといいでしょう。

周辺環境を確認する

現地に足を運んで周辺環境を調べるという方法もあります。
「坂を上った場所や傾斜地にある、近くに大規模盛土造成地がある、高低差があり擁壁が多いといった特徴がある土地は盛土・切土の可能性が高いです」

擁壁や坂のある土地を念入りにチェックする人
土地の状態や周辺環境を調べるために現地に足を運ぶことも重要(イラスト/杉崎アチャ)

建築会社や自治体に確認をする

現地に足を運び、「盛土や切土なのでは?」と気になった場合は、建築会社や不動産会社、土地の所有者によく確認してみましょう。または自治体の窓口でも情報を得られる可能性があります。造成工事の履歴は、土地を購入する前に必ずチェックしておきたい重要なポイントです。将来的に不同沈下や水はけなどのトラブルを防ぐためにも欠かせません。

自治体の窓口に相談に来た人
各自治体の窓口に相談すると、大規模盛土造成地の情報や地形について詳しく教えてもらえる可能性がある(イラスト/杉崎アチャ)

擁壁のチェックポイント(ヒビ、ズレ、所有者の確認)

「土地の周辺に擁壁がある場合は状態をチェックしてみましょう。特に新設ではなく従来からある擁壁では、擁壁に膨らみやズレ、大きなヒビが入っている場合は劣化が進んでいることが考えられるので注意が必要です」

古い擁壁の場合は経年劣化もあるため、いつ頃つくられた擁壁なのか、また隣地との境界にある場合は所有者がどちらかまで調べることが理想です。

コンクリートの擁壁
周辺の擁壁の状態をチェックすることも大切。劣化が激しいと災害時に崩壊する可能性もある(画像/PIXTA)

リスクを抑えるための対策として地盤改良工事や擁壁工事を行う

「地盤改良工事を行うことで地盤沈下や、それに伴い建物が傾いてしまう不同沈下のリスクを減らすことができます。特に造成1年未満の土地はまだ地面が締め固まっておらず不同沈下が起こりやすいため、地盤改良工事をすることをおすすめします。地盤改良工事費用は土地の面積や工法、深さにより異なりますが、単価の目安として1坪あたり3~8万円が相場です。1階の床面積が30坪の建物であれば、90万~240万円ほどの費用がかかります」

また、斜面の崩れを防ぐ擁壁工事をして安全性を保つことができます。

「所有する土地の高低差が2m以上ある場合は、自治体の条例により擁壁を設けることが義務付けられていることが多く、自治体へ申請する必要があります。工事が必要かどうかはそのエリアに詳しい建築会社であれば案内があるはずです。
擁壁の工事費用は一般的な鉄筋コンクリートの擁壁であれば1m2あたり5~10万円が目安となります。擁壁工事を行う場合は自治体によっては助成金制度が活用できるため、事前に調べてみましょう」

擁壁工事と地盤改良工事のイメージ
災害時のもしもに備えることは大切。土地の条件によっては擁壁工事が自治体から義務付けられている場合があるため注意(イラスト/杉崎アチャ)

家の耐震性を高める

「盛土・切土の土地に家を建てる場合、地震による被害を抑えるために耐震等級を高めることで安心に繋がります」

住宅の耐震性は3つの等級に分かれています。耐震等級1が建築基準法で最低限守るべき基準で、等級数が大きくなるほど耐震性が高くなります。耐震等級を上げることで耐震性を高めることができ、建物が地震の揺れに強くなります。平地よりも揺れの影響を強く受けやすい盛土や盛土と切土の境界付近では建物自体を地震に強くして安全を確保することも大切です。

盛土に建てられた耐震性の高い家のイメージ
建物自体の耐震性を高めることで災害時のリスクに備えることもできる(イラスト/杉崎アチャ)

盛土・切土工事、地盤改良、擁壁工事の費用相場

項目 費用単価 概算
盛土工事 7800円/1m3当たり 50坪(約165m2)の敷地に1m盛土する場合:約120万~130万円
切土工事 1000~5000円/1m3当たり 50坪(約165m2)の敷地に1m切土する場合:約5万~90万円
地盤改良 3万~8万円/1坪 床面積が30坪の建物:約90万~240万円
擁壁工事 10万円/1m2当たり 高さが2m、横8mの面積16m2の新設擁壁の場合:約160万円
出典「国税庁:財産評価基準書 路線価図・評価倍率表『令和7年分 宅地造成費の金額表(東京都)』
※地域や土質によって大幅に変動するため、必ず個別見積もりを依頼してください

地盤の性質や強度は地域によって異なるものの、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」によると、盛土費用は1m3当たり約7800円です。つまり、平均的な一戸建て用宅地(約50坪=165m2)の場合、盛土は約128万円が目安となります。地盤改良費の相場は1坪当たり3~8万円であり、床面積が30坪の建物であれば、約90万~240万円の費用が必要です。

擁壁工事は擁壁の種類・大きさに加え、立地条件や足場の必要性など多くの工程が絡むことから、さらに高額になります。一般社団法人 日本擁壁保証協会の目安では、1m2当たり約10万円で、高さ2×幅8m(16m2)の新設擁壁では約160万円が相場です。

いずれも、数十万~数百万円の差が出るため、購入前に概算を把握しておきましょう。

盛土や切土の費用を抑えるポイント

盛土や切土などの造成工事は、土地の状態によって想定以上の費用が発生することがあります。ここでは、造成費用をできるだけ安く抑えるためのポイントを分かりやすく紹介します。

複数の会社に見積もりを取る

造成にかかるコストは、会社ごとに見積もり内容や施工方法が大きく異なります。1社だけではなく、複数の会社に見積もりを依頼して比較しましょう。

費用の内訳としては、重機代や土の搬入、伐採・伐根作業、残土処分の費用に加え、必要に応じて地盤改良や盛土・擁壁工事が含まれることがあります。そのため、単に金額を比較するだけでなく、「どこまでの工事が含まれているか」をしっかりとチェックしてください。

複数社の見積もりを見比べることで、適正価格を知り、過剰な工事費を避けられます。

国や自治体の補助金制度を利用する

造成工事にかかる費用は、国や自治体が実施している補助金制度の対象となることも期待できます。例えば、目黒区や北区では「擁壁の改修」や「がけの安全対策」を目的とした助成制度があります。

ただし、これらの制度は必ずしも全ての造成コストをまかなってくれるわけではないため、補助金の対象となる工事内容・助成条件を自治体に確認しておきましょう。

参考:
目黒区「がけ・擁壁改修助成制度」
北区「擁壁等安全対策支援事業」

土地の購入前に建築会社に相談する

土地の購入前に建築会社へ相談しておくことは、造成費や地盤改良費の思わぬ負担を避ける上で非常に重要です。

しかし実際には、「土地を先に決めるものだと思っていた」「不動産会社の説明だけで十分だと思った」「相談すると契約を迫られそう」といった理由から、事前に相談しないまま購入してしまう人も少なくありません。

建築会社は、切土・盛土の必要性、擁壁の状況、地盤の強さ、希望の間取りが実現できるかなど、建物側の視点で土地の適性を判断できます。

想定外の追加費用や工事リスクも事前に把握できるので、購入前に一度建築会社へ相談してみてください。

盛土と切土について正しく知るために

盛土や切土は、土地の安全性や住み心地に直結するため、正しく理解した上で購入判断することが欠かせません。ここでは、事前の調査や造成内容など、購入前にチェックしておくべきポイントを紹介します。

まずは地盤調査を依頼する(建築会社への相談)

地盤の状態を正しく把握するには、まず建築会社や専門業者に地盤調査を依頼することが重要です。盛土や切土が行われた土地は、見た目では安全性が分かりにくいため、「スウェーデン式サウンディング試験(SWS)」や「ボーリング調査」を行います。

「スウェーデン式サウンディング試験」は、建物の四隅や中心など複数のポイントを短時間で調査し、比較的低コストで地盤の強さを把握できる方法です。一方、より詳しい地層情報が必要な場合は「ボーリング調査」を行い、地中深くまで掘削して土のサンプルを採取しながら性質を確認します。

建築会社に相談しながら、土地の状況に合った適切な地盤調査を選ぶことが重要です。調査結果を早い段階で把握しておけば、後々の地盤トラブルを防ぎやすくなります。

不動産会社に重要事項説明での確認を依頼する

土地を購入する際は、不動産会社が行う「重要事項説明(重説)」で、盛土・切土の有無や造成履歴について確認しておくことも欠かせません。特に宅地造成工事を行った土地の場合、「宅地造成等規制法」に基づく許可証や届出の記録が残っていることがあります。

不動産会社にこれらの書類を提示してもらい、どの範囲で造成が行われ、どのような管理がされてきたのかを具体的に説明してもらいましょう。

また、万が一に備えて「地盤保証制度」の有無も確認しておくと安心です。地盤保証制度は、地盤調査の結果に基づいて必要な地盤改良を行った上で、不同沈下など地盤に起因する損害が一定期間補償される仕組みです。保証内容や期間、適用条件(改良工事の要否、対象範囲、免責事項など)は会社や商品によって異なるため、土地購入の段階で利用できる制度があるか、不動産会社や施工会社に確認しておきましょう。 

最後に、盛土と切土について正しく知るために大切にしたいことを横山さんに伺いました。

「家を建てる前に、その土地にどのようなリスクや特徴があるかを知ることは大切です。盛土・切土にはメリットもあればデメリットもあります。住んでからの『こんなはずではなかった』を防ぐためにも、紹介したような方法で土地についてあらかじめよく調べてみてください」

まとめ

盛土とは低い土地に土を盛って地盤を高くすること、切土とは高い土地を削って地盤を低くすること

土地の安全性を判断するには、地盤調査・ハザードマップ確認・許可証や届出の確認など多面的なチェックが必要

後悔しない土地選びのためには、購入前から建築会社や不動産会社へ相談し、複数業者の見積もりを比較することが大切

SUUMOコンテンツスタッフ

物件・会社を探す

監修/一級建築士 山谷学 文/SUUMO編集部 イラスト/杉崎アチャ
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る