工務店とは?ハウスメーカーとはどう違う? 選ぶときのポイントは? 一級建築士に聞いてみた

工務店とは?ハウスメーカーとはどう違う? 選ぶときのポイントは? 一級建築士に聞いてみた

注文住宅を建てるときには、工務店やハウスメーカーなどさまざまな依頼先がある。工務店もハウスメーカーも、依頼を受けると間取りや外観など設計プランを立て、家を建築する点では同じだ。では、違いはどこにあるのだろう? 一級建築士の佐川旭さんに、工務店とは何なのか、選ぶときには何をポイントにすればいいのかなどを聞いてみた。

工務店ってどんな会社? 最近の工務店の特徴を一級建築士が解説

地域密着型の小さな会社というイメージをもつ人が多いのが「工務店」。社長が経営や営業だけでなく自ら職人として現場で腕をふるっていたり、その町で家を建てるときや、修繕してもらうときに必ず頼りにされていたり……そんな会社を思い浮かべる人も多いだろう。ところが最近では「工務店」と名のつく会社は数多くあり、その特徴は「小規模」だけでは説明できなくなってきている。

「全国に営業拠点やモデルハウスを持ち、知名度もある大手ハウスメーカーに比べて、狭い範囲で営業を行っているのが工務店です。最近は、ひとことで工務店といってもさまざまで、会社の規模や営業スタイルによって大きく次の3つに分けられるといえます」(佐川さん、以下同)

1.町の小さな工務店
拠点を置く市や町を中心に、地域密着型で施工を行う工務店。社長以下数名からの小規模な会社で、昔ながらの「ご近所にある町の工務店」のイメージに近い。

2.フランチャイズの加盟店
本部が開発、指導する工法や規格を使い、各地域の工務店がフランチャイズ加盟店として施工するスタイル。加盟している工務店は、本部が一括で仕入れた建築資材を使うことでコストが抑えられる、本部や他の加盟店と技術や経営に関する情報を共有できるなどのメリットがある。工務店によっては、複数のフランチャイズに加盟し、さまざまな工法、デザインテイストの家づくりを手がけているところもある。

3.地域での中堅ビルダー
地域密着型だが、着工棟数が他の工務店より多く、大手ハウスメーカーのようにモデルハウスや住宅展示場を設けるなど、積極的な営業を行う工務店もある。社名ではなく、「○○の家」「○○ホーム」など自社で開発した住宅ブランド名で営業展開をする工務店も。本社のほか、近隣の県や市に支店や営業所を置き、広域にわたって施工を行うケースが多い。

工務店とハウスメーカーの違いは何?

工務店にはさまざまな規模、営業スタイルの会社があることが分かった。では、工務店とハウスメーカーではどんな違いがあるのか、佐川さんに聞いてみた。それぞれの特徴を知って、依頼先選びの参考にしよう。

企業規模、施工エリアは?

「工務店は小規模な会社が多く、営業拠点が複数あるところでも、施工エリアは市内や県内、近隣の県までなど、ハウスメーカーに比べると地域密着色が強いのが特徴です。

それに対してハウスメーカーは全国に支社や支店など営業拠点を置き、住宅展示場でモデルハウスを公開しています」

プランの自由度は?

「工務店は、間取りや外観デザインなどのプランを、施主といっしょにつくりあげていきます。例えばキッチンは、施主が気に入ったシステムキッチンを使うことはもちろん、オリジナルキッチンをつくることも可能。床にはムク材を使いたいという希望があれば、かなえやすいのも工務店との家づくりです。プランの自由度は高いといえます。

一方、ハウスメーカーの場合、用意されている住宅商品は、自由に間取りをつくる『自由設計型』と、いくつかの間取りパターンや標準仕様の設備から選ぶ『企画型』なのが一般的。自由設計型といっても、間取りは一定のパターンに変更を加えていき、キッチンや浴室などの設備や内装材、外壁材などは標準仕様のバリエーションから選んでいきます。工務店に比べると自由度はやや低いといえるでしょう。ハウスメーカーの場合、建てたあとの保証制度やメンテナンス体制が確立されており、標準仕様として用意した間取りや設備以外のものを導入すると、不具合が起きたときの原因が分かりにくく、保証やメンテナンスが難しくなります。そのため、プランに制約が出てしまうのです」

施工の精度に違いはある?

「工務店の場合、職人さんの腕次第のところがあり、品質に当たり外れがあることも。ハウスメーカーの場合、建築資材の加工の多くを現場ではなく工場で行うケースがほとんど。そのため建築部材の精度が高く、仕上がりが均一になります」

工期が長いのはどっち?

「工法やプラン、住宅の規模、時期などにもよりますが、延べ床面積が35坪程度の住宅の場合、工務店なら工期は約4カ月~4.5カ月、ハウスメーカーは約3.5カ月。同じ規模の家を建ててもハウスメーカーのほうが工期が短くなるのは、全体の流れがシステム化されていて効率がいいからです」

アフターメンテナンスはどうなるの?

「工務店のアフターメンテナンス体制は、会社によって違います。定期点検や保証の制度も設けているところもあれば、不具合があればすぐに駆けつけて修理してくれるという地域の工務店ならではの手厚い対応が強みのところも。ただし、忙しい時期には修理を頼んでも待たされることがあるなど、対応はまちまちです。
ハウスメーカーの場合は、定期点検や保証などをきっちりと制度化しているところが多く、建築時の担当者が退職や異動になっても、ルールに沿って対応してくれます」

工務店とハウスメーカー、それぞれの特徴
工務店 ハウスメーカー
企業規模、施工エリア ハウスメーカーに比べると小規模。施工エリアは地域密着型 全国や広いエリアに支社や支店など営業拠点を置く。施工エリアも全国や広域
プランの自由度 自由度は高い。希望の設備や内装材、間取りを実現しやすい 家族構成やライフスタイルに合わせたさまざまなバリエーションが用意されているが、プランや設備には制約がある
施工の精度 現場で施工する職人によって、品質が左右される 建築部材を工場生産する割合が高いため、均一な品質が保たれやすい
工期(延べ床面積が35坪程度の住宅の場合) 約4カ月~4.5カ月 約3.5カ月
アフターメンテナンス 点検や修理などメンテナンスは会社によって対応が違う 定期点検や無料修理の範囲など、会社によって細かく決められている

自分に合う工務店を選ぶときのポイントは?

広告やテレビCM、住宅展示場などで目にする機会が多い大手ハウスメーカーに比べて、会社の特徴が見えにくいことが多いのが工務店。家づくりの依頼先として複数の工務店を考えているとき、その会社の特徴はどうやって見極めればいいのだろう。

「地域密着型の工務店で多いのは、口コミで長く営業を続けているケース。その工務店で家を建てた人から技術力や対応の評価は重要な情報です。また、工務店が何を大切にして家づくりをしているかは、ホームページを見ると分かります。『自然素材を活かした家づくり』、『木を知り尽くした匠の技』など、アピールポイントが書かれていることが多いので、自分の好みと合っているかを確認するといいですね。

施工例の見学会でも工務店の特徴を知ることができます。建築途中の家を公開する構造見学会や、間取りの工夫やデザインを目で確かめることができる完成見学会に参加してみましょう。完成見学会は工務店と施主に信頼関係がなければ開けないものです。見学会が多い工務店は、多くの施主といい関係を築けているといえる点でも安心です」

工務店には、ハウスメーカーに比べて規模は小さくても、プランの自由度が高いなどのメリットがある。ただし、工務店によって、施工の品質や建てたあとの対応に違いがあるため、地域での評判や家づくりの特徴、現場見学会での対応などを確かめてから、依頼先を選ぶのがオススメだ。

●取材協力
佐川 旭さん
(株)佐川旭建築研究所 代表取締役
一級建築士、インテリアプランナー

用と美を兼ね備えた作品を得意としている。住宅設計、街づくり、公共建築などを中心に講演・雑誌執筆活動をする傍らテレビにも出演。

取材・文/田方みき
2017年8月25日
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