防火地域や準防火地域での窓は何をどう選べばいい? 防火窓の正しい選び方

防火地域や準防火地域での窓は何をどう選べばいい? 防火窓の正しい選び方

家を建てる、あるいはリフォームする際、その土地が防火地域や準防火地域だった場合には「防火窓」を備える必要があります。防火窓とはどのような窓でどのように選べばいいのかなど、窓メーカーのYKK APの広報室・前田好行さんに教えてもらいました。

防火窓はどんな場合に必要になる?

防火窓とは?

防火窓とはどのようなものでしょうか。防火窓とは、火災の拡大を抑えるための一定の性能(遮炎性能)を持つ窓のことです。耐火建築物、準耐火建築物や防火地域、または準防火地域にある建築物の外壁で「延焼のおそれのある部分の開口部」については、炎を遮り延焼を防止するために「防火設備」(防火戸)の使用が義務付けられています。同様の性能を持つ扉も含めて「防火戸」と呼ばれ、主として開口部の延焼を抑える「防火設備」のひとつになります。

(1)国が政令で定める技術的基準に適合しているもの
(2)国土交通大臣の認定を受けたもの 
がありますが、現在は(2)の「国土交通大臣の認定を受けたもの」が主流です。

防火窓を含む「防火設備」と似た言葉に、「特定防火設備」があります。「防火設備」が主として「開口部の延焼防止」を目的として、外壁の開口部や防火区画(※)の一部などに用いられるのに対し、「特定防火設備」は、「火災の拡大」を防止する目的で、防火区画(※)や防火壁の開口部、外壁の開口部、避難階段の出入口部分などに用いられます。ビル等で火災時に炎や煙を一定領域内に封じ込め、延焼を防いだり避難経路や避難する時間を確保するために設けられた廊下等を塞ぐ大きな鉄製のドア(防火シャッター)も、「特定防火設備」のひとつです。

「防火設備」と「特定防火設備」では求められる遮炎性能に差があり、「防火設備」は20分、「特定防火設備」は60分の遮炎性能が求められています。

遮炎性能 目的 使用する箇所
防火設備 20分 主として開口部の延焼防止 外壁の開口部(窓や扉など)や防火区画(※)の一部
特定防火設備 60分 火災の拡大防止 防火区画(※)や防火壁の開口部、外壁の開口部、避難階段の出入口部分など
※防火区画とは建物が規定の区画を超えて延焼または燃え広がらないように、一定面積ごとに壁・床・防火設備(防火間仕切りや防火戸、防火シャッターなど)で区切られた区画のこと。住居専用の一般的な住宅に設けられることはほとんどない

防火窓を備えなければならないのは「防火地域」?「準防火地域」?

そもそも「防火地域」「準防火地域」とはどんな地域?

防火窓が必要になる地域は、都道府県が「都市計画法」に基づいて定めます。建物の密集した地域などは、ひとたび火災が起こると延焼の連鎖が続く危険があります。そのため各都道府県は都市計画法によって「防火地域」や「準防火地域」といった地域を定め、そこに建てる家の構造や建材に制限を設けているのです。

またこれとは別に「法22条区域」に定められた地域もあります。これは人口25万人以上の市に置かれている特定行政庁が指定した区域のことで、燃えにくい屋根や外壁を使用することが求められます。さらに東京都の場合は防火地域・準防火地域のほかに「新たな防火規制区域(※)」というものも設けています。大阪市でも東京都と同じような条例があり、地域によって確認が必要です。

防火地域や準防火地域等について詳しくはこちら
防火地域や準防火地域って何? 家を建てるときの制限をわかりやすく解説

防火地域・準防火地域のイメージ
防火地域・準防火地域のイメージ
たいていは駅前の繁華街など建物の密集地や幹線道路沿いが防火地域で、その周りが準防火地域。さらに駅から離れると法22条区域や、そうした制限のない区域になる傾向がある(図制作/SUUMO編集部)

「防火地域」「準防火地域」の建築物の外壁で「延焼のおそれのある部分の開口部」に必要

防火地域や準防火地域は、建物の密集地などでの火事の延焼を防ぐためや、消防車などの緊急車両が幹線道路をスムーズに通行できるようにするなどを目的に定められます。そのため駅前の繁華街など建物の密集地や幹線道路沿いが防火地域で、その周りが準防火地域。さらに駅から離れると法22条区域や、そうした制限のない区域になる傾向があります。

では、こうした「地域」の中で防火窓が必要なのはどの地域でしょうか。
まず防火地域と準防火地域は、階高や延床面積など、求められる建物が耐火建築物なのか準耐火建築物か、細かく定められています。ここではその詳細を省きますが、「防火地域」と「準防火地域」では耐火建築物と準耐火建築物はもちろん、すべての建築物の外壁で、「延焼のおそれのある部分の開口部」については防火窓が必要です。

防火地域や準防火地域等で求められる建物について詳しくはこちら
防火地域や準防火地域って何? 家を建てるときの制限をわかりやすく解説

準防火地域の「1~2階の建物で延床面積が500m2以下」の木造建築の場合、耐火建築物や準耐火建築物ではなくても良いのですが、外壁や軒裏に一定の防火性能を持つような構造(防火構造)が求められています。この場合でも「延焼のおそれのある部分の開口部」には防火窓の設置が必要になります。

※東京都の「新たな防火規制区域」とは、他府県と比べて木造住宅が密集していて、防火地域・準防火地域だけでは対応しきれないために定められた、「東京都建築安全条例に基づく新たな防火規制」という条例で指定された地域のこと。この「新たな防火規制区域」に家を建てる場合、耐火建築物か準耐火建築物が求められますが、やはり、防火窓の設置が必要になるのは「延焼のおそれのある部分の開口部」です

一方「法22条区域」では屋根や外壁の規定はありますが、開口部(窓やドア)については定められていないので、防火窓にする必要はありません。
ただし、法22条区域やそれ以外の地域でも、映画館など一定の広さ以上の建築物の場合、耐火建築物または準耐火建築物が求められます。この場合も「延焼のおそれのある部分の開口部」は防火窓が必要です。

まとめると、地域でいえば防火地域・準防火地域、東京都の『新たな防火規制区域』で、「延焼のおそれのある部分の開口部」には防火窓が求められます。それ以外の地域でも耐火建築物や準耐火建築物で「延焼のおそれのある部分の開口部」であれば必要です。では「延焼のおそれのある部分」とはどの部分でしょうか。下記でさらに詳しく説明します。

防火窓が必要な地域とは?
防火地域 延焼のおそれのある部分の開口部に防災窓が必要
準防火地域 延焼のおそれのある部分の開口部に防災窓が必要
東京都「新たな防火規制区域」 延焼のおそれのある部分の開口部に防災窓が必要
法22条区域 不要だが、耐火建築物か準耐火建築物が求められる場合は延焼のおそれのある部分の開口部に防災窓が必要
地域で見ると、防火地域・準防火地域・東京都「新たな防火規制区域」の建物で「延焼のおそれのある部分の開口部」には防火窓が必要

「延焼のおそれのある部分」とは?

防火窓の必要な地域でも、「延焼のおそれのある部分の開口部」のみに防火窓が必要で、それ以外の部分は防火窓にしなくても構いません。延焼のおそれのある部分は「延焼ライン」と呼ばれ、隣地などで火災が発生したときに、火が燃え移る可能性のある範囲のことです。「具体的には隣地境界線や道路中心線から1階部分は3m以下、2階以上では5m以下の距離にある建物の部分が対象となります。また同じ敷地内に2棟建てる場合の建物と建物の間も同様で、それぞれの外壁間の中心からの距離にある建物の部分が対象です」(YKK APの広報室・前田好行さん。以下同)

先ほどの該当地域にある建物や、耐火建築物や準耐火建築物の場合、下記の「延焼のおそれのある部分」には防火窓や防火ドアが必要になります。

「延焼のおそれのある部分」と定められている建物の部分
延焼のおそれのある部分
起点は道路中心線か隣地境界線。そこから1階は3m以下、2階は5m以下の距離にある建築物の部分が「延焼のおそれのある部分」となります(イラスト/長岡伸行)

防火窓に求められる性能や構造とは?

防火窓を含む防火設備は高い遮炎性能が求められます。具体的には20分間火を当てても「非加熱面側(火災の場合なら火のない側)が発炎しないこと」「火災が通る隙間を生じないこと」の2点が要求されます。

そのため「窓のフレーム部分は窓の構造やガラスの保持のための補強と、発炎対策としての難燃化が施されています。一方ガラス部分は熱が加わることで割れて脱落しないよう、金属製のワイヤーの入った網入りガラスや、熱に強く網のない耐熱強化ガラスが用いられています」

防火窓の一例
防火窓の一例
左/網入りガラスを用いた防火窓の例。右/補助鍵を樹脂より熱に強い金属に変えた例(画像提供/YKK AP)

具体的には以下のような方法が用いられています。
(1)火災時にガラスが割れても落下することを防ぐ網入りガラスや、熱に強い耐熱強化ガラスを用いる 
(2)各部材に補強材を入れ、熱による変形を防ぐ 
(3)枠とサッシ部分に、熱によって膨張することで隙間を塞ぐ加熱発泡材を貼付する 
(4)補助錠など樹脂が使われている部品を金属に変え、熱による変形で隙間ができることを防ぐ

防火地域と準防火地域の防火窓の違い

家を建てる、あるいは住んでいる人からすると「防火地域」や「準防火地域」といったエリアの違いによって使える窓が違うのでは? と考えがちですが、防火窓はエリアによって仕様が変わることはありません

また防火窓を使用しなければならないかどうかは、
・家が「耐火建築物」または「準耐火建築物」なのか、
・建てる地域が「防火地域」、「準防火地域」で「延焼のおそれのある部分の開口部」があるか

によって決まります。

断熱性の高い防火窓の価格はどれくらい?

防火窓でも断熱性の高い防火窓もたくさんあります。さらに網のない耐熱強化ガラスを使用した高断熱・防火窓もありますから、窓からの景色を損なうことなく快適かつ安心して暮らすことができます。

断熱性の高い防火窓には遮炎性能を高めるため、一般の窓と比べてさまざまな部材が追加されています。もちろんあまり高すぎても売れなくなるのでコスト低減のためのさまざまな工夫が凝らされていますが、それでも「商品によりますが、およそ2倍から3倍といったところです」

先述したように「延焼のおそれのある部分」のみに防火窓が必要になりますが、それ以外の部分は一般的な窓で構いません。予算を賢く使うようにしましょう。

網のない耐熱強化ガラスを使った高断熱窓の例
網のない耐熱強化ガラスを使った高断熱窓の例
北海道でも使える熱貫流率1.60W/(m2・K)以下の断熱窓で、耐熱強化ガラスを用いた防火窓の例(画像提供/YKK AP)

網入りガラス窓は防犯のためではない

注意したいのは、網入りガラスを使った防火窓は防犯窓としては用をなさないことです。「金属製のワイヤーは火災等でガラスが割れた際、割れたガラスが落下することを防ぐのが目的のため、ハンマーなどで叩けば一般的な窓同様に割れてしまいます。一方の防犯を重視した窓にする場合は2枚のガラスの間に挟まれた特別な膜があり、ガラスが割れても膜に張り付くように残る「合わせガラス」を使用します。「合わせガラス」を使用することで穴が開きにくくなり、泥棒が手や道具を差し込んで窓のカギを外側から開けることが難しいのです。ただ、この「合わせガラス」が使用できる防火窓はまだ非常に少なく、窓種も限られてしまいますのでご注意ください」

まとめ

防火地域、準防火地域、東京都「新たな防火規制区域」、耐火建築物・準耐火建築物を求められる地域には防火窓が必要

防火窓は火災の拡大を抑えることが目的のため、防火窓が必要なのは「延焼のおそれのある部分」のみ

最近は網のない耐熱強化ガラスを使った防火窓もある

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取材・文/籠島康弘 イラスト/長岡伸行
公開日 2021年09月17日
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