地盤改良ってどんな工事をする? 費用は? どんなときに必要?

最終更新日 2024年03月04日
地盤改良ってどんな工事をする? 費用は? どんなときに必要?

家を建てるときの予算を考える際、忘れがちなのが地盤改良をするための費用です。では地盤改良にはいくら必要なのでしょうか。そもそも地盤改良はどうして必要? どんな工事をするの? 一級建築士の佐川さんに教えてもらいました。

地盤改良はどんなときに必要? 工事内容は?

地盤改良の前にまずは地盤「調査」を

どんなに耐震性能の高い家を建てたとしても、それを支える地盤が弱ければ、その上に建つ家が揺れたり歪んだり、液状化してしまうと沈み込んでしまいます。そのため家を建てる前に地盤の調査を行い、必要に応じて改良を行うことが必要です。「地盤改良が必要かどうか、どんな改良が必要かを見極めるためには、地盤の強度を調べる地盤調査が必要です。地質調査は法律で義務化されているわけではありませんが、住宅瑕疵担保履行法が施行されてからは、施工会社が瑕疵担保保険(※)の申し込みに必要になったため、基本的に家を建てる前にはまず地盤調査が行われます」

※住宅瑕疵担保履行法によって引き渡し後10年以内に何らかの瑕疵が認められた場合、建物を建てた事業者が修理費等を負うことが義務付けられています。瑕疵担保保険は、その際の費用に備えるための保険で、事業者はこの瑕疵担保保険に加入するか、保証金を供託して資金を確保することが義務付けられています

イラスト

では地盤調査にはどんな方法があるのでしょうか。「一戸建てであればほとんど『SWS試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)』が行われます」。これは住宅のプランが出来上がったら、建物の四隅と中央の計5カ所の強度を調査する方法です。具体的には、先端がスクリュー状になっている鉄の棒を地面に立てます。その棒の上におもりを少しずつ載せながら地面にねじ込み、25cm貫入する重さを記録します。100kg載せても貫入しなかったら棒に備わっているハンドルを回転させ、やはり25cm貫入させるのに要した回転数を記録。こうして得られた重りの重量や回転数から地盤の強度(N値)を算出します。

「N値は数字が大きいほど強度があることを示します。一般的な一戸建てであれば少なくともN値が3以上、できればN値5以上が良いとされています。調査費用は5万円ほど」

なお3~4階建てなど建物の重量が重いため、もう少し詳しく地盤を調査したいときは、分譲マンションの開発などで行うボーリング調査があります。これは地盤の強度を地質から調べる方法で、支持層と呼ばれる強固な地層に達するまでボーリング(くりぬくこと)しながらN値を測り、同時に地層のサンプリングを取ることでどの深さにどんな土の層があるか調べます。「これを行うと地盤の強度のほかに、地下の水が流れる層の位置や、地盤が横にどれだけ動くかなどがわかります。費用は調査する深さやボーリングする箇所数に比例しますが、一般的な住宅の場合25万円~35万円といったところです」

地盤調査の種類
地盤調査の種類
左が「SWS試験」、右が「ボーリング調査」

主に住宅の地盤改良・補強には3つの方法がある

では地盤調査の結果、地盤改良が必要になった場合、具体的にどんな方法で地盤の強度を高めるのでしょうか。方法は主に(1)表層改良工法(2)柱状改良工法(3)鋼管杭工法の3つがありますが、地盤改良と言われているのは(1)表層改良工法 です。

(2)柱状改良工法(3)鋼管杭工法は杭状地盤補強になります。

(1)表層改良工法
深さ2mほど土を掘りながら固化材を入れて、土と強固材を混ぜ合わせることで地盤を強固にする方法です。床面積20坪くらいの場合で費用は約50万円です。

表層改良工法の手順
表層改良工法の手順
家が建つ部分の土を2mほど掘り、その部分の土と固化材を混ぜ合わせ、強固な地盤にします

(2)柱状改良工法
(1)の表層改良工法で強度を出すのが難しい地盤の場合、簡単にいうとコンクリートの柱を何本も注入して地盤を強固にします。家を建てる敷地に碁盤の目のように規則正しく柱を注入していきます。一戸建てはもちろん、自重の重いビルやマンションなどで多く用いられる工法です。

柱状改良工法
柱状改良工法
強固な支持層までコンクリートの柱を打ち込んで建物を支える方法と、打ち込んだ部分の土を一体化することで、地盤を強固にする方法があります

「安定した支持層まで打ち込む方法もありますが、一戸建ての場合はそこまで打たず、4mほどで済ませる方法があります。支持層まで打たなくても、地震の際に数十本の柱と土が摩擦を起こすことで、柱の注入された土の部分が一体化し、家の揺れを抑えることができます」

床面積20坪くらいの場合で50本以上を4m注入した場合で、費用の目安は約100万円。「費用は注入する深さに比例します。例えば同じ面積でも、重量のある5階建てのため支持層のある40mの深さまで打ち込むと1000万円を超えます」

(3)鋼管杭工法
考え方は(2)柱状改良工法と同じ要領で、コンクリートの柱の代わりに鋼管を使用します。

地盤改良が不要な土地を見つけるには?

このように軟弱な地盤であるほど地盤改良の工事費用がかかります。そうなるとやはり「地盤改良が不要な土地」を探したくなりますが、どうやって調べればよいのでしょうか。

防災対策などを目的にハザードマップで液状化のリスクを公表していたり、土地の調査結果が公表されている地域もありますから、そうした資料がないか探してみるのも1つの方法です。また周辺に暮らしている人に、以前の土地の状態や現在暮らしている家で不具合がないかなどを聞く方法もあります。

ただし、土地の強度は100m離れるともう変わっていることがあります。そのため多くの場合、地盤調査をしてみなければわからないのです。といっても他人の土地を勝手に地盤調査するわけにはいきません。つまり、土地を買ってから地盤調査をしてみて、ようやく地盤の状態がわかります。

さらに同じ敷地内でも、地盤の強度が違うことがあります。「例えば擁壁(ようへき)をする際、その周囲を掘り返してコンクリートの擁壁を備えてから土を埋め戻すことがありますが、当然埋め戻した部分は強度が不足します」。だからといってその部分だけを地盤改良しても意味がありません。住宅の建つ土地の強度にバラツキがあっては地震で揺れた際に揺れ方が違うため、建物を歪ませることに繋がるからです。そのため一部分だけではなく、全体を均一の強度にするために地盤改良工事を行う必要があります。

このように、地盤の強い土地をあらかじめ見つけることは難しいのが現状です。土地を買って家を建てる場合は地盤改良のための工事費をあらかじめ用意しておくようにしましょう。

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取材・文/籠島康弘 イラスト/長岡伸行
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