新築一戸建てで平屋を建てたい! 費用や相場、メリット・デメリットや間取りについて専門家が解説

新築一戸建てで平屋を建てたい!  費用や相場、メリット・デメリットや間取りについて専門家が解説

一戸建ての多くは2階建て以上が主流です。ところが最近はおしゃれで機能的な平屋建てを目にするようになりました。平屋といえば古い日本家屋や高齢者用住宅がイメージされますが、近年はさまざまな理由から若い人が選ぶ傾向にあります。平屋を検討している人のために、平屋の価格相場やメリットやデメリットなどについて、一級建築士、上野貴さんに聞きました。

平屋が人気の理由、なぜ選ばれるのか?

日本の家屋が2階建てとなったのは大正時代からと言われています。建築費が高かったこともあり、当時は富裕層や特別な建物において2階建てが選ばれていました。2階建てのマイホームやマンションが一般化した近年は、逆に平屋が見直されてきています。一体なぜなのでしょうか。その理由について、上野さんは、高齢化社会の到来や日本文化への評価の高まり、IoTの導入のしやすさなどを指摘します。

日本は「超高齢化社会」とも言える状況にあります。また、少子化も進んでいるため、高齢の親と同居する比率も増えていると推察されます。平屋は2階建てと比較すると階段がない、水まわりがまとめやすいなどバリアフリー化しやすい。上野さんは「階段の上り下りがなく、車いすも使いやすい、何かあったとき介護しやすいなどの理由で高齢化社会が進めば平屋への関心は今以上に高まるだろう」と予測します。

平屋外観
画像/PIXTA

また、上野さんはマイホームを建てた世代の子どもたちが平屋に憧れる傾向が見て取れると指摘します。過去数十年間にわたり、「マイホーム=2階建て」という図式がありました。当然、日本家屋に居住した経験がない日本人の方が今や多いわけです。一方、マスコミを通して海外で日本文化が評価されていたり、田舎で日本家屋に暮らすことに関心が集まっていたりと、日本文化への関心が高まっています。この影響は大きいでしょう。また、客が泊る客間はホテルに、もてなす応接間はカフェなど戸外の施設に置き換えられ、自宅は家族が日常的に使いやすい間取りに設計されたものが好まれるといった傾向が見受けられます。部屋はさほど多くなく、家事効率のいいシンプルでコンパクトな構造が求められるようになったことなどから平屋に注目が集まっているのではと上野さんは語ります。

平屋と家族の画像
画像/PIXTA

平屋を新築するメリット

一般住宅の設計に多数携わる上野さん自身も、2階建て住宅から郊外の田園に息づく築約120年の平屋に移ったといいます。暮らし心地はどうなのか聞いたところ、「2階建てに比べまったく不便はなく、むしろメリットが多い」とのこと。実際にお住いの上野さんには平屋のメリットを聞いてみました。

1.台風や地震に対して比較的丈夫なこと
2.バリアフリーにしやすいこと
3.構造上間仕切りの制約が小さく自分好みのものにしやすいこと
4.耐久性にすぐれていること
5.階段がないことで、家事が楽になる など

平屋は基礎にかかる負担が2階建て以上に比べて小さく、建物の重心が低い。併せて、外壁の面積が少ないので風圧や地震の横揺れに対してメリットがあります。また、階段がないことでフラットな空間にできるのもメリット。バリアフリー目的も兼ねて1フロアとすれば、間仕切りを変えることで多様に変化できるという利点もあります。上野さんによると、実はこれは伝統的な日本人の生活スタイルなのだといいます。

日本の伝統的な家屋は大黒柱を中心に土間、台所、茶の間、居間の4コーナーで構成されます。壁でなく基礎に軸(柱)が乗って構成される「『田』の字型住宅」と呼ばれます。

和風平屋の画像
画像/PIXTA

西欧では各部屋が壁で遮られ、子ども部屋、食堂、リビングなど部屋ごとに専門機能を持ちます。それに対し日本家屋は、土間は玄関だけでなく応接室や作業部屋にもなります。茶の間は食堂だけでなく、リビングや調理場に。寝室や居間は客室だけでなく書斎や寝室にもなります。伝統的な日本家屋(平屋)は、各コーナーが壁でなくふすまや障子でしきられています。取り払えば1フロアにも2フロアにもなる、非常に自由度の高い構造なのです。

少子高齢化で二世帯、三世帯で暮らさなければならない世帯も、バリアフリーにしやすいことやライフスタイルに合った間取りを工夫できるなど、実は平屋が便利と気がつき始めているといいます。

平屋車いすの画像
画像/PIXTA

また、2階建てと比較して階段の上り下りがないため、家事が楽になるというメリットも。掃除や2階に洗濯物を干しているご家庭は高齢になるとそのメリットを感じるそうです。

「平屋はワンフロアに生活のすべてをまとめることができる点でバリアフリーにしやすく、同じフロアに暮らすことができます。部屋をできるだけ壁で隔てず、ふすまや障子のような可動式の建具で仕切りを自在に変えることで家族のライフスタイルに合った間取りを工夫することが容易だからです。同じフロアなら年老いた両親や小さな子どもに目が届きやすくなりますから。結果として家庭内での事故が減り、何かあっても気がつきやすいのです」(上野さん)

平屋を新築するときのデメリットや注意点

メリットの多い平屋ですが、当然デメリットや注意点についても聞いてみました。

1.2階建てに比べて敷地面積が広くなる傾向がある
2.水害への弱さ
3.プライベートが保たれにくい

2階建てに比べて敷地面積が広くなる傾向がある点ですが、2階建てと同じ床面積で平屋を建てる場合、2階建てよりも土地の広さが必要になります。結果、基礎と屋根も広くなるため、その分コストがかさみます。

また、水害への弱さについて。2階がないため、床上浸水すれば逃げ場がなくなります。平屋を立てる場合には、浸水リスクの少ない土地を選び、いざというときは高台や避難所に避難する心構えが必要です。

プライベートが保たれにくいという点もデメリットに感じる方がいらっしゃるでしょう。これについて上野さんは「気になる方は引き戸を入れてスペースを分けるなどの工夫が必要」とアドバイスします。

とはいえ、上野さんは「実際に暮らしてみると広々とした空間で気持ちがいい。階段の上り下りもなく、体が楽。私の感覚としてはメリットがデメリットに勝ると感じる方も多いようです」と語ります。

平屋と夫婦の画像
画像/PIXTA

憧れの平屋一戸建て、気になる平屋の新築価格の相場は?

上野さんによると、平屋の坪単価の相場は一般にハウスメーカーで70万~80万円、工務店で60万~70万円といいます。

敷地については、30坪弱というケースが多いと上野さんは言います。例えば「坪単価60万円×30坪」で計算すれば1800万円となります。上野さんの試算によると、このうち屋根と外壁に600万円、キッチン、トイレ、浴室などの水まわりに800万円、装備する機械類に800万円となります。上野さんはコストを抑えるコツについて「間取りを単純にして水まわりをできるだけ近いところにまとめる。間仕切りを余計につくらない」とアドバイスします。

新築一戸建て 平屋のオススメ間取り

上野さんによると、平屋建築のトレンドは、構造が単純で味わいは和風。一方、エアコン、風呂、冷蔵庫、掃除機などは最新のものを導入するケースが多いといいます。IoTを取り入れ、スマートフォンで戸外から冷暖房、風呂の湯張はりなどをコントロールし、掃除ロボットで清掃。スマートスピーカーで家電製品をコントロールするなどができる設計の平屋も増加しています。

このため設計はシンプルなデザインでコンパクトになる傾向があるといいます。平屋需要の高まりと生活のIoT化は並行しているといえるかもしれません。

また、平屋は2階建てに比べどの部屋からも地面が近いという利点があります。したがって、庭の樹木や草花の見せ方が設計のポイントとなります。小さくても日常的に自然と共に暮らしている感触を得られやすい環境が求められているのです。

平屋画像
画像/PIXTA

上野さんが提案する平屋の間取りはユニーク。家の中心に水まわりを固め、ほかはフリースペース。戸外に駐車場スペースと庭を設けるというスタイルです。間仕切りは設けません。

「中心に水まわりをつくることで、自然に4つの『スペース=場』が出現します。お掃除ロボットが掃除をしやすいなど、実は平屋はテクノロジーとの相性もいい。これからは1家に1台ロボットがいて、スマホを操作するだけでAIが家事や炊事をしてくれる時代になるでしょうから、そういう時代に対応する住宅でもあります」と上野さんは解説します。

中央に水まわりを配置した間取り図
間取図作成/SUUMO編集部

新たなカタチで日本文化がよみがえる

子育て層や高齢者など幅広い世代から注目を集めている平屋。二世帯・三世帯同居にも平屋は安全で便利なうえ、コンパクトでスマートな暮らしを実現できることも、関心の高さを支えています。工務店や建築家が設計したオーダーメードに限らず、ハウスメーカーのモデルハウスも施主の個性を尊重する時代にマッチし、平屋へ向かう人々の気持ちを後押ししていると言えるでしょう。台風や地震には比較的強く、高齢化、IoT、バリアフリーに対応しやすい平屋はさまざまな利点があり、窓の外に見える庭を工夫し、和風なエッセンスを加味することで居心地の良さを得られるかもしれません。

「家は住む人の心を育みます。ふすまや障子、引き戸のきれいな開け閉め、壁で仕切られないゆえの気遣い、家族の一体感など平屋暮らしを通して新たなカタチで日本文化がよみがえるかもしれません」と語る上野さん。現代において改めて注目を集める平家。新築をお考えの方は検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

シンプルでスマートな平屋が見直されている

IoTに対応しやすく、二世帯、三世帯同居も互いの目が行き届きやすい

可動式の建具を使うことでバリアフリーに対応しやすい

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取材・文/黒田仁朗
公開日 2020年06月08日
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