家を建てるには土地探しや施工会社選び、プランニング、工事とさまざまなステップがある。「小学校入学まで」「2年後」など入居したい時期が決まっている人はどのように考えるべきでしょうか。特に、子どもの入学や入園に間に合わせるために、来春に入居する目標を立てる人は多いく、それぞれのステップを考えると意外に時間がないのが事実。逆算してスケジュールを考える方法を紹介する。
施工会社探し、プランニング、工事、引き渡しまでをできるだけ短い期間で終えるにはどうすればいいのだろう。それぞれのステップの期間を最短にするためのポイントを見ていこう。
家づくりは、家族の意見のすり合せや進め方次第で、スケジュールは後ろ倒しになることが多いため、ここで紹介するのは最短スケジュールの一例。
なお、土地をまだ用意していない人は、すぐに土地探しから始めよう
「施工会社探しはこれから」という場合、モデルハウスや現場見学会で複数の会社をチェック。予算内で建てられそうか、好みや求める性能をクリアしているかなどのほか、工期にどれくらいかかるのかも確認しておくといい。スムーズに進んだとしても1カ月以上はみておきたい。
また、土地探しからスタートする場合、施工会社が決まっている建築条件付きの土地は、あらかじめ基本的なプランが用意されていることが多く、それをもとに自分たちの希望に沿って変更してもらえれば、施工会社探しの期間が不要になり、プランニングの時間も短縮できる。
間取りや外観~デザイン、水まわり設備やドアなどの建具、内装などの仕様やグレードを決め、工事費用が明確になったら契約。住宅ローンの申し込みも行う。プランニングから契約にかかる期間は人それぞれ。打ち合わせの頻度が少なかったり、修正が何度もあればプランが決定し契約をするまでに時間がかかる。できるだけ短期間で契約するには、最初に要望を伝えるときに部屋の数や欲しい広さ、間取りの希望など、できるだけ具体的に伝えること。施工会社によっては、間取りの基本パターンをいくつか用意している。それをもとにプランニングを進めるのも効率的だ。なお、大きさや間取り、グレードなどを先に決めておいて契約・着工し、設備や内装材、外装材は施工会社指定のものから順次選んでいくことでプランニングの期間を短縮する施工会社もある。
工事の期間は工法や家の規模やプランによって違ってくるが、最短でも2.5カ月~4カ月はかかるだろう。また、契約直後に着工できるわけではなく、材料や設備の手配のためケースバイケースで間があくこともある。入居したい時期が確定しているなら、施工会社選びの段階から相談しておいたほうがいいだろう。
着工から完成までにかかる期間は、どの工法で建てるかによって違ってくる。めざす入居時期までに間に合うかは、それぞれの工法の特徴を知ったうえで工法を選び、間に合わせるためにはいつまでにプランを決め、契約を行えばいいか、逆算スケジュールを立てることがポイント。
なお、同じ工法でも会社の施工体制や仕様によって工期は違ってくる。また、住宅の規模が大きい、間取りが複雑、設備に特注品がある、造作家具が多いなどさまざまな要因で、工期が長くなることがある。
木の柱と梁、筋交いで建物を支える工法
昔ながらの工法で、在来工法ともいわれている。木材の骨組みが横軸、縦軸、斜め軸を構成して、建物を支えているのが特徴。設計の自由度が高く、窓などの開口部を大きくとりやすい。
床、壁、天井の「面」で建物を支える工法
断面サイズが2×4インチや、2×6インチの製材で枠を組み、それに構造用合板を張ったパネルで壁を構成。気密性、断熱性の高さが特徴。
鉄筋とコンクリートでできた家
現場で鉄筋を組み、型枠にコンクリートを流し込んで躯体をつくる工法。型枠次第でどんな形にもつくれるのが特徴。工場でコンクリートパネルをつくり、現場で接合・連結させるPC(プレキャスト)工法もある。耐火性、耐震性、耐久性にも優れている。
重量鉄骨を柱や梁に使う工法
柱に角形鋼管、梁にH型鋼管を使う工法。柱と柱の間を大きくとることができ、開放的な空間や大きな窓を設けることができる。3、4階建てなど中層住宅にも多く採用される。
鉄骨の柱、梁とブレース(筋交い)で構成される工法
鉄骨の柱と梁、ブレースと呼ばれる筋交いの部材で骨組みがつくられる。木造軸組との違いは床にもブレースが入り、横からかかる力にも強いことが特徴。
工場生産の木質パネルを現場で組み立てる工法
断熱材や下地材まで装填したパネルを工場で生産し、現場に運んで組み上げる工法。面で支えるため、地震の力を分散して受け止め、変形しにくい構造になっているのが特徴。
工場でユニットをつくり、現場で組み立てる方法
工場で鉄骨の柱と梁で支えるボックス型のユニットをつくり、内装や建具、設備まで取り付けた状態で現場へ運び、組み立てていく。現場での工期は2カ月程度と短い。
子どもの入学や入園が来春なら、4月ぎりぎりではなく、余裕をもって3月中旬~下旬には入居したいもの。となると、テキパキと家づくりを進める必要がありそう。工期の短い工法を取り扱う施工会社を選ぶのも一つの方法。比較的工期が短い工法は、2カ月程度でも完成するケースがあるユニット工法。ただし、どの工法でも資材の調達や職人さんの確保などが必要なため、プラン決定後、すぐに着工できるとは限らない。プランニングも効率的に進めてもらうことが必要だ。
なお、要望整理に時間がかかったり、他の工事の状況によっては、このスケジュールでは間に合わないことも。4月の入学・入園のタイミングに合わせたい場合は、相談時から施工会社に伝えておこう。
入居を2年後と考えているなら、どの工法を選んでも余裕がある。工期は半年と長めに考えておき、プランニングにはたっぷり時間をかけて細かなところまで打ち合わせができる3カ月~6カ月を設定。契約から着工までのスケジュールに1カ月ほどのゆとりをもたせても、今から1年程度で土地や施工会社を決めることができれば2年後には入居ができそうだ。モデルハウス見学や完成物件の見学会などに足を運び、気に入った複数の会社に相見積もりを依頼するなど、じっくりと家づくりを楽しめる。
いつまでに家を建てたいとイメージしていても、気がつくと間に合うかどうかわからないギリギリの時期になっている人は多い。時間がない中で慌てて施工会社選びやプランニングをして、満足度の低い家になってしまわないよう、計画的に行動したい。
来春までの入居をめざして、時間にあまり余裕がない人はもちろん、2年後、3年後までに入居できればとのんびり考えている人も、早め早めに施工会社探しから始めよう。