断熱材のグラスウールの特徴とは?価格やメリット・デメリットや施工する際の注意点も解説

公開日 2021年11月17日
断熱材のグラスウールの特徴とは?価格やメリット・デメリットや施工する際の注意点も解説

断熱材にはさまざまな種類がある。その中でも、グラスウールは低コストで高い断熱性をもつことから、住宅用断熱材として幅広く使われている。そこで、グラスウールの特徴やほかの断熱材と比較したときのメリット・デメリット、施工する際の注意点について硝子繊維協会に伺った。グラスウールの特徴をしっかり押さえて、断熱材選びの参考にしてほしい。

グラスウールとはどんな断熱材?

グラスウールは無機繊維系の断熱材

断熱材は大きく分けて「無機繊維系断熱材」、「木質繊維系断熱材」、「発泡プラスチック系断熱材」の3つに分類される。

グラスウールとは、リサイクルガラスを主原料に高温で溶解し綿状に繊維化した、細い繊維の集まりで、代表的な無機繊維系断熱材。この細い繊維が絡み合ってつくられた連続空気室は空気の動きがないため熱が移動しにくく、高い断熱性能を発揮するのが特徴だ。数ある住宅用断熱材の中でもグラスウールのシェアは5割以上と推定されており、多くの住宅に使用されている。

グラスウールの断熱性能に大きく影響するのは、密度と繊維の太さ。グラスウールの密度が同じでも、繊維の太さによっても断熱性能が変わる。繊維の太さが細くなると同じ密度でも繊維の本数が増えることから、グラスウール中の空気室がより細分化され断熱性能が高くなる。

グラスウールは無機繊維系断熱材に分類される
断熱材は「無機繊維系断熱材」、「木質繊維系断熱材」、「発泡プラスチック系断熱材」の3つに分類され、それぞれ特徴が異なる(図作成/SUUMO編集部)

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住宅用グラスウールの種類

住宅に使用されるグラスウールには種類があり、それぞれの特徴によって使用用途が異なる。

【表皮材無しグラスウール】

グラスウール素材のみの製品で、室内側には床を除いて別途防湿気密フィルムの施工が必要。

素材が剥き出しの状態なので、湿気の侵入を防止するための防湿気密フィルムの施工が必要
主に木造住宅の屋根天井・壁・床に使用される(画像提供/旭ファイバーグラス)

【防湿層付きグラスウール】

住宅の室内側にプラスチックフィルムの防湿層、室外側には透湿する穴あきプラスチックフィルムがついているタイプの製品。

防湿フィルムがついているので、施工しやすい
防湿フィルムがついている便利なタイプ。主に木造住宅の屋根天井・壁に使用される(画像提供/硝子繊維協会)

【床用グラスウールボード】

グラスウール素材のみのボードタイプで、撥水処理を施している。大引き間に施工する場合は、脱落しないよう受け材の施工が必要。主に木造住宅の床用に使用されている。

木造住宅の外張断熱用・RC造住宅の外断熱用のグラスウール素材のみのタイプもある
撥水処理を施しているため、木造住宅の床にも使用可能(画像提供/旭ファイバーグラス)

【吹込み用グラスウール】

グラスウールが小塊状になったもの。施工には専用の機械が必要であるため、指定工事店が対応。主に木造住宅の屋根天井・壁・床に使用される。

小塊状のため、形状問わず施工できるのがメリット
施工には専用の機械が必要になるため、施工できる業者が限られる(画像提供/硝子繊維協会)

グラスウールは安全な原料で、健康面でも安心

グラスウールは、アスベストと同じように有害なものであるというイメージをもつ人もいるが、安全性は実証されている。グラスウールは人工的に製造された非晶質繊維で、折れても繊維の太さが変わらず、肺奥まで到達しにくく、仮に到達しても体液に溶け易く、短期間で体外に排出される。グラスウールを原料にした製品にアスベストが混ざることはなく、通常の取り扱い作業でがんをはじめとする呼吸器系の疾病を起こす危険性はない。また、グラスウール製品には飛散防止剤が入っているため、一度施工されたグラスウールからの再飛散はほとんどなく、室内環境への影響もないので安全だ。

Group 1 ヒトに対して発がん性がある アスベスト、たばこなど
Group 2A ヒトに対して発がん性がありうる 熱いマテ茶、レッドミート(ほ乳類の肉)など
Group 2B ヒトに対して発がん性の可能性がある ガソリン、ピクルス、コーヒーなど
Group 3 ヒトに対して発がん性に分類されない グラスウール(短繊維)、ナイロン、紅茶など
Group 4 たぶんヒトに対して発がん性がない カプロラクタム1品種のみ
国際がん研究機関(IARC)がグラスウールを含む人造鉱物繊維の発ガン性リスクを評価。グラスウールは<Group 3>の「ヒトに対して発がん性に分類されない」という安全性の高いカテゴリに該当する(出典/国際がん研究機関(IARC)モノグラフ2016年4月現在)

グラスウールのメリット・デメリット

グラスウールのメリット

グラスウールの主原料はリサイクルガラスで材料費が安価であることや、綿状で加工がしやすく軽量なので、圧縮してコンパクトに輸送でき、施工もしやすいためコストパフォーマンスが非常に良いのが最大のメリット。新築住宅で断熱施工を行う場所は、主に天井や壁面になるため、発泡系断熱材よりもコストパフォーマンスの良いグラスウールが選ばれることが多い。
また、ガラスは不燃材料であるため防火性に優れており、シロアリの食害にも強く、劣化しづらいのもメリット。吸音性にも優れている。

グラスウールのデメリット

一方で、グラスウールは湿気を通す性質のため、防湿層の施工が必要になる。正しく施工ができていない場合、内部結露をして建物を腐朽させるリスクがある。湿気が溜まりやすい基礎断熱には発泡系断熱材を使うなど、家の中でも部位や工法によって断熱材を適材適所で使い分けをするのがオススメだ。

<グラスウールと木質繊維系断熱材と発泡系断熱材のメリット・デメリット比較>

■グラスウール
メリット デメリット
・コストが安い
・不燃材料
・吸音材
・シロアリの食害に強い
・リサイクル商品でエコ
・湿気を通すため、防湿気密フィルムの施工が必要
■木質繊維系断熱材(セルロース)
メリット デメリット
・吸放湿性がある ・原料が古紙のため耐火性が無い
・沈下しやすいため、壁などには不向き
・難燃・防蟻処理のため、ホウ酸を使用している
・粉塵が多い
・JISA6301吸音材料では無い
■発泡系断熱材(共通)
メリット デメリット
・熱伝導率が小さい
・軽量
・耐水性がある
・透湿性が低い
・火、熱に弱い
・吸音性能が無い
・シロアリの食害を受けやすい
・保管コスト、輸送費がかかる
・経年変化で断熱性能低下
・紫外線で劣化する場合も

グラスウールを施工する際の注意点

隙間をつくらない

先述したように、グラスウールは細い繊維が絡み合ってつくられた連続空気室によって空気の動きがないため熱が移動しにくく、高い断熱性能を発揮するのが特徴。そのため、気密性を保てるようきっちりと隙間なく施工することが重要になる。

内部の空気層をつぶさない

連続空気室内の空気の層によって断熱性能を発揮するため、空気層をつぶすように施工してしまうと断熱性は低下してしまう。隙間をつくらないようにしつつ、押しつぶさないように注意が必要だ。

連続した防湿層を確保する

グラスウールは湿気を通す性質をもっているため、壁内に湿気が浸入しないように、防湿層を確保する必要がある。グラスウールと内装仕上げ材の間に連続した防湿シートの層をつくることで内部結露を防止する。

正しい施工技術を身に付けた業者に依頼する

断熱材は適切な施工ができなければ本来の断熱性能を発揮することができないため、グラスウールの知識や経験が豊富で正しい施工技術を身に付けた業者に依頼することが望ましい。硝子繊維協会の「マイスター認定制度」で、正しいグラスウール充填断熱工法を習得したマイスター認定者に依頼すると安心だ。

グラスウールは正しい施工技術が必要なため、硝子繊維協会の「マイスター認定制度」がある
防湿気密フィルムの施工例。きっちりと隙間なく施工するには正しい施工技術を身に付けることが必要になる。(画像提供/硝子繊維協会)

このように、無機繊維系断熱材のグラスウールは、コストパフォーマンスが良く安全性も高いなどさまざまなメリットがあり、多くの住宅で使用されている。しかし、湿気を通す特性から正しい施工技術を身に付けることが必要となるため、施工実績のある建築会社や、硝子繊維協会の「マイスター認定制度」で、正しいグラスウール充填断熱工法を習得したマイスター認定者に依頼しよう。

まとめ

グラスウールは、リサイクルガラスを主原料に高温で溶解し綿状に繊維化した、無機繊維系断熱材

グラスウールを原料にした製品はアスベストとは違う物質なので発がん性はない

材料費が安価、不燃材料であるため耐火性に優れている、シロアリの食害に強い、劣化しづらい、吸音性に優れている、などのメリットがある

湿気を通すので、正しい施工ができないと内部結露のリスクがあり建物を腐らせてしまうこともある

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取材・文/金井さとこ
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