自分のプライバシーは確保しつつ、入居者同士の交流も楽しめるソーシャルアパートメント®。一人暮らしやシェアハウスとの違いや、メリット・デメリットについて、グローバルエージェンツの吉田主恵さんに教えてもらいました。
ソーシャルアパートメントとはどのような暮らし方なのでしょうか?
「一人暮らしのようにプライバシーや自分の空間は確保しつつ、コミュニティの中で豊かな暮らしをしてみませんか、というのがソーシャルアパートメントの考え方です。リアルなSNSと考えるとわかりやすいかもしれません。
ソーシャルアパートメントの事業を創業する前にも、ひとつの物件や部屋を複数人でシェアする『シェアハウス』という暮らし方はありました。ですが、当時のシェアハウスは安く住むためという意味合いが強く、プライバシーが犠牲になっていたり、共用部分が整理整頓されていなかったりしました。
シェアハウスが空間を分け合う割り算だとすると、ソーシャルアパートメントは、一人暮らしに共用部分やコミュニティをプラスする足し算のイメージです。
一人になれるワンルームは7畳ほど。物件や家賃によって広さが変わりますが、6~8畳が一般的です。
共用部分も物件によりますが、例えば二子玉川の物件のミニキッチン付きダイニングラウンジは約22畳(33m2)。約13畳のメインキッチンでは6人程度で同時に料理することもできます。約20畳あるワーキングスペースの座席数は16席です。(※ 新型コロナウイルス感染予防のため、同時利用が制限される場合もあります) 都心や駅から離れた物件ほど、共用部分が広くなる傾向にあります」(吉田さん。以下、「」内は吉田さん)
物件によりますが、ソーシャルアパートメントでは、各部屋にトイレ、シャワー、ミニキッチンなどの設備がついている物件もあり、一人になりたいときはほとんど自分の部屋で生活を完結させられます。
また、入居者の方々と交流したいときは、共用スペースに行って話をすることができます。共用スペースの種類は、物件によってさまざま。ビリヤードのあるプレイラウンジや体を動かせるフィットネススペース、シアタールームがついている物件も。
ソーシャルアパートメントのメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。一人暮らし、シェアハウスと比較してみました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一人暮らし | ・プライバシーが保たれる | ・住まいのコミュニティに所属しにくい ・防犯上の不安を感じることがある |
シェアハウス (2LDKなどの賃貸物件) |
・家賃が安く済む傾向にある ・一緒に住む人を選べる |
・プライバシーが保たれにくい ・自分たちでルールを決め守らなくてはいけない |
ソーシャルアパートメント | ・運営会社がつくったルールがあるので秩序が保たれる ・プライバシーを保ちつつコミュニティに所属できる ・豪華な共用施設を利用できる |
・入居者間トラブルは0ではない ・一人暮らしより家賃が高めになることがある |
「一人暮らしと比べたときのメリットには、やはりコミュニティが持てることと、豪華な共用施設を利用できることが挙げられます。また、一人暮らしよりも人の目があるので防犯上の安心感を感じている方も多いです。
シェアハウスにはさまざまな形態があるので一概にメリット・デメリットを話すのは難しいですが、ソーシャルアパートメントは運営会社があることが大きなメリットだと思います。基本的な共同生活のルールがあらかじめ決められており、守られていない場合は運営会社から違反者に注意が届きます。入居者同士のトラブルがあった場合も、運営会社が介入し解決をサポートするケースもあります」
運営会社がつくるルールは物件によってさまざまですが、キッチンで使った調理器具や食器は使った人が洗う、共用スペースに自分のものを置きっぱなしにしない、などがあります。
次に、ソーシャルアパートメントのデメリットを紹介します。
「ソーシャルアパートメントのデメリットとしては、やはり入居者間のトラブルが挙げられます。運営会社が介入することもあるとはいえ、複数の人間で生活をするのでトラブルはゼロではありません。
また、物件によりますが、ソーシャルアパートメントはラウンジやワーキングラウンジなどの共用施設がついているため、同じ地域で一人暮らしをするよりも家賃が割高になることもあります。そのため、とにかく安く暮らしたいから共同生活をしようと考えている方には不向きかもしれません」
実際にソーシャルアパートメントに住んだことのあるRさんに、ソーシャルアパートメントで生活して良かった点と悪かった点を聞いてみました。
人と一緒に居ることと、一人になること、両方が自由にできます。私は寂しがり屋なので、常に人と居ることができ楽しかったです。仕事から帰った時にアパートのみんなが「おかえり」と迎えてくれて、そのままご飯を一緒に食べたりできました。社会人になってから新しく友達をつくる機会は少ないので、仲の良い友達ができたのも良かった点のひとつです。
趣味の合う人同士でサークルのようなグループをつくっており、山登り、テニス、コーヒーなどを楽しんでいました。
また、入居者間で恋人になる人たちもいます。お互いに普段の生活を知った上で付き合い始めるので、同棲した後のギャップが少ないようです。結婚したカップルが7組くらい居ました。
悪かった点は、入居者同士で合わない人がいても、同じ家なので関係性を切れないところです。また、騒音などは人によって感じ方が違うので、話し合いが行われることもありました。
悪かった点というほどではありませんが、他の入居者の人たちとあまり馴染めない人は、「住人同士の交流」という点でソーシャルアパートメントの醍醐味を享受できなくてもったいないと思いました。
物件によって入居者の雰囲気が違うので、イメージだけで入居を決めず、下見などをしておいた方が良いと思います。
人間関係や騒音など、共同生活をする上で避けられないトラブルは、ソーシャルアパートメントでも同様に存在します。交友の輪が広がるメリットは、実際に入居した人も強く感じているようです。
一人暮らしでは使えないような共用スペースを利用できるのは、ソーシャルアパートメントの魅力のひとつ。ですが、スペースや家電を共用で使う生活はなかなかイメージしにくいのではないでしょうか。
ここからは、ソーシャルアパートメントのポスト、洗濯、キッチンを紹介します。また、生活時間のズレでトラブルにならないか、共用スペースの利用時間がかぶったらどうしていたか、実際に入居していたRさんに聞いてみました。
まずは、ソーシャルアパートメントのポストについてです。共同生活なので郵便物のプライバシーが心配になるかもしれませんが、玄関に一人ひとつのポストが設置されています。
ソーシャルアパートメントはリノベーション物件が多いので、マンションや社員寮でよく見るようなポストが使われています。
つづいて、ソーシャルアパートメントでの洗濯についてです。
「乾燥機能付きの洗濯機が、1階の共用スペースに設置されています。私が住んでいた物件の場合は男女それぞれ5台ずつに分かれていて、合計10台ありました。乾燥まで行うことができますが、個室にベランダがあるので自分の部屋に干すこともできます」
洗濯機は共用のもののみで、乾燥はそのまま共用洗濯機で行うか、自分の部屋で干すかの2択になります。
キッチンは、物件によってあり方が異なります。例えばRさんが入居していた物件では、共用の大きなキッチンと、入居者それぞれの個室にミニキッチンがあったそうです。
「キッチンは、共用のキッチンと個室のミニキッチンを完備している物件もあれば、共用キッチンのみという物件もあります。ソーシャルアパートメントを選ぶときに、自分がどれだけ設備を共用したいかを判断に入れたほうが良いですね。
個人用キッチンより共用キッチンの方が良いなんてことあるの?と思うかもしれませんが、広々とした共用のキッチンでは充実した調理器具と食器が使えますし、ハウスキーパーが週5~6回のペースで清掃をしてくれるというメリットも。洗い物は自分でやるなどのルールはありますが、比較的楽に料理ができると思います」
一口にソーシャルアパートメントといっても、共用設備のあり方は物件によって異なります。キッチンの共用が合わないかもと心配な人は、自分に合った設備があるかどうかの軸で物件を探す方法もあります。
生活に必須の設備が共用となると、生活時間のズレや利用時間がかぶることが心配になるのではないでしょうか。実際にソーシャルアパートメントに住んでいたRさんに聞いてみました。
生活時間は人それぞれ。深夜帰宅や、夜中に共用スペースを利用することはできるのでしょうか。
私の住んでいた物件は、1階が共用スペース、2階以上が個室になっていました。一軒家に住むようなシェアハウスではなく、マンションの一棟がまるまるソーシャルアパートメントになっています。
なので、深夜帰宅や深夜のちょっとしたキッチン利用くらいなら私もしていましたし、他の人がしていても気になりませんでした。ただ、音の感じ方は人それぞれなので『夜中の音が気になる』とグループチャットで話題になることはありました。そういうときはそのままチャットで話し合い、解決します。
ソーシャルアパートメントだから特別遠慮をするということはありませんが、もちろん常識の範囲内の気遣いは必要です。深夜に大きな物音をたてながら帰宅したり、大声で騒いだりはしません。
洗濯機やキッチンなどの利用時間がかぶって、順番待ちになることはあるのでしょうか。
洗濯機は、ときどき順番待ちがありました。仕事帰りの時間帯は競争率が高かったです。生活していると空いている時間帯がわかってくるので、そこを狙って洗濯していました。不便なほどではないですね。
乾燥機能がついているのでいつでも洗濯できますし、フリーランスの人が多かったので上手に洗濯時間をばらけさせていました。
共用キッチンに関しては、利用時間がかぶって順番待ちということもありませんでした。2~3組が同時に使える広さはありますし、全員が毎日共用キッチンを使うわけでもないので、混雑することはまれです。もし順番待ちになっても、私の物件には個室にミニキッチンがありました。
『19~20時はいつもあの人が使う時間』と言った暗黙のルール的なものもなく、早いもの順でトラブルなく使っていました。
生活時間のずれに関しては、共用スペースと個室で階が分かれているのでほとんど気にならないそう。もちろん、物件ごとのルールに従い、常識的な生活をする必要はあります。
共用設備によって、利用時間のかぶりや順番待ちが発生します。入居者同士で柔軟に対応しているようです。
ここまでソーシャルアパートメントの特徴やメリット・デメリットを紹介してきましたが、ソーシャルアパートメントでの暮らしを楽しめるのはどんな人なのでしょうか?
「ソーシャルアパートメントに向いているのは、考えが柔軟な人、フラットな人付き合いができる人だと思います。いろいろな人が入居されているので、偏見を持たずに交流する気持ちがあると楽しく生活できるはずです。
向いていない人は、人間関係を固定したいタイプの人ですね。決まった友達としか交流したくないという考えだと、ソーシャルアパートメントの良さを実感しにくいと思います」(吉田さん)
ソーシャルアパートメントに住みたいけれど向いているか心配な方は、運営会社のスタッフに面談をしてもらうのもひとつの方法です。
生活についての考えや、どのような人間関係をつくっていきたいかなどを伝え、ソーシャルアパートメントに向いているかどうかアドバイスをもらいましょう。
ソーシャルアパートメントは、一人暮らしのようにプライバシーや自分の空間を確保しつつ、コミュニティや共用施設を楽しむ暮らし方
企業が運営しているのでシェアハウスに比べてルールが守られやすく、トラブルの相談もできる
共同生活なので、人間関係のトラブルが0ではない。柔軟に相手を受け入れられる人が向いている