東京で一人暮らしを始めてみたいものの、家賃が高そうなイメージがあるため一歩を踏み出せない、土地勘がないためどのエリアが良いのか詳しくないといった人は意外に多いのではないでしょうか。ひと口に東京といっても、地域によって特徴があり、家賃の相場も大きく異なります。そこで本記事では、「一人暮らしアドバイザー」の河野真希さんが、一人暮らしのための上手な部屋探しをアドバイス。一人暮らしを検討している人へ向けて、東京23区内の家賃が安いエリアや人気の地域、家賃相場の目安、家を探すときのポイントなどについて解説します。
家賃は毎月発生する固定費用であるため、どれくらいかかるのか気になるのは普通のことです。よく、家賃の目安は「手取り給料の1/3」と言われますが、果たしてこれは本当なのでしょうか。一人暮らしの家賃はどれくらいが目安なのかを調べてみました。
『家賃は手取りの1/3が目安』と聞いたことはありませんか?
給料から社会保険料や税金などが控除された額が手取りになります。地域や収入によって割合は異なりますが、手取りはおおむね給料の80~85%。東京都で四年制大学を卒業した方の場合、初任給の平均額は23万6000円ほど(※)です。仮にその80%とするなら手取りが18.8万円。その1/3は6.3万円なので、これが家賃の目安です」(河野さん)。
家賃の目安を計算するときは、給料と手取りを間違えないように気を付けましょう。
家賃相場について詳しくは
家賃は給料の3割? 一人暮らし、同棲・新婚、それぞれの適正な家賃や生活費の割合は?
「給料が年々上がっていく時代ではありません。住民税は前年所得に対しての支払いになるため、社会人2年目からは住民税が天引きされます。もし、給料が同じなら手取りは下がります。家賃を手取りの1/3、約30%に設定すると、先々苦しくなってしまう可能性も……。家賃というのは、どうやっても節約できない毎月の『固定費』ですので最初はできるだけ低めにしておきたいですね。
実際には、家賃を手取りの25%程度に抑えている人が多いようです。ただ、東京は家賃が高いので、25%ではそもそも物件が見つからないかもしれません。『30%は絶対に超えない』と心に決めて、物件を探すようにしましょう」(河野さん)
手取りは人によって異なりますが、給料の80%が手取りだと仮定すると、「給料の額面の約26.7%」が家賃の目安の金額となります。手取りがイメージできない場合の参考にしてください。
家賃は月々の支出のうち、大きなウエイトを占めるコストですが、生活にかかる費用はそれだけではありません。一人暮らしなら、家賃以外にどんなお金が必要になるかも考えておきましょう。
家賃以外のコストとしては、例えば以下のようなものが挙げられます。
・食費
・衣料費
・交際費
・水道光熱費
・通信費
・保険代
・日用品代
・貯蓄
など。
これらすべては、家賃を支払って残ったお金で払わなければなりません。
「社会人なら、何かあったときに出せるお金=『予備費』を用意しておきたいですね。例えば、冠婚葬祭や自分の医療費など、急にどうしても必要になるお金のために、できれば収入の10%、無理なら5%だけでもいいので、毎月残しておくようにしましょう」(河野さん)
「仕送りとバイト代を合計した金額が12万円としましょう。この場合、家賃を1/3にするとたったの4万円です。たとえ4割にしたところで4万8000円にしかなりません。学生は社会人より収入が少ない分、家賃の比率はどうしても高くなりがちです。収入に対する割合で家賃を決めることは難しいでしょう。住居費は、一度決まればもう節約できないお金。少しでも低くしておきましょう」(河野さん)
一人暮らしを始めるにあたり、どの程度の費用がかかるのか分からないのは不安です。賃貸物件を借りるときの費用や引越し料金といった初期費用の相場と、家賃相場を把握しておきましょう。
初期費用の相場は、平均値で50万円程度といわれています。ただ、契約する物件や新たに購入する家具・家電などによって初期費用は大きく変化するため、実際には50万円以上、もしくは以下となるケースも珍しくありません。
同様に、家賃5カ月分が初期費用の相場といわれることもあります。ただ、これに関しても明確な根拠があるわけではないため、あくまで目安であると理解しておきましょう。
初期費用は高額になることが多いものの、工夫次第で節約できます。具体的な節約方法や初期費用の内訳については、のちほど詳しく解説します。
独立行政法人統計センターが運営している政府統計のポータルサイト「e-Stat」によると、2023年7~9月期における単身世帯の民営家賃は、平均値で4万587円となっています(2023年11月7日更新)。家賃相場は、東京都内か地方か、ワンルームか1LDKかなど、住むエリアや間取りによって大きく異なるため、この統計は参考にならない場合もあることに注意しましょう。
一方、不動産事業を営む「アパマンショップ」が公開している「東京都 一人暮らし向け賃貸マンションの家賃相場」では、都内のエリア別・間取り別の家賃相場が掲載されています。2024年1月2日時点で、家賃の最安エリアは日野市の3万9300円(ワンルーム)、最高エリアが渋谷区で30万6000円(1LDK)でした。このように、東京都の中だけでも、エリアや間取りによって家賃相場が大きく変化することが分かります。
一人暮らしで必要な初期費用としては、以下のようなコストが挙げられます。
・敷金
・礼金
・仲介手数料
・管理費(共益費)
・鍵の交換費用
・火災保険料
・賃貸保証料
・日割り家賃
・清掃代
・生活家電や家具及び日用品の購入費用
・引越し代
敷金は、担保として大家に支払うお金です。家賃の1~2カ月分であることが多く、入居者が家賃を滞納したり、退去時に修繕の必要性が生じたりしたときなどに使われます。礼金は、家を貸してくれる大家へ感謝の気持ちとして渡すお金で、こちらも家賃の1~2カ月分となるのが一般的です。
仲介手数料は、物件を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料です。紹介してもらった物件を無事契約できたときに限り発生するため、紹介してもらっただけの場合は払う必要がありません。管理費(共益費)は、エレベーターやエントランスといった共用部分の整備や修繕に使用するお金です。
賃貸を新たに契約する際は、新しい鍵への交換費用も必要になります。これは、以前の鍵をそのまま使用すると、前の入居者がもっている合鍵などで侵入されるおそれがあるためです。交換費用は、オートロックの有無や採用されている鍵の形状などによって変わります。
火災保険料は、火災や台風などに伴う被害を補償するための損害保険であり、賃貸保証料は保証会社へ支払う保証金です。保証人不要の物件や連帯保証人が立てられない契約者の場合、多くのケースで保証会社の利用が提案されます。
日割り家賃は、家賃や管理費などを日割り計算して支払う費用で、清掃代は文字通り部屋の清掃にかかるお金です。初期費用としては、ほかにも生活に必要な家電の購入費、引越し代などがかかります。
敷金礼金ゼロの物件やフリーレント物件も選択肢に加えてみましょう。敷金礼金ゼロの物件は、初期費用を抑えることができますが、退去時にクリーニング費用などがかかるケースや契約にオプションが追加されることがあるので、契約時に特記事項を必ず確認しましょう。
フリーレント物件とは、一定期間家賃が発生しない物件です。数ある物件の中から選んでもらうため、「1カ月家賃無料」といった形で提供しています。いずれも初期費用を抑えることができますが、退去時にクリーニング費用などがかかるケースがあるので、契約時に条件を確認しましょう。
また、物件によっては仲介手数料が発生しないケースもあるので、そのような物件を狙うのもひとつの手です。
引越し作業を自分たちで行うのも節約に有効です。引越し業者を使わず、家族や友人に手伝ってもらうことで引越し費用の節約が可能です。大きな車がないなら、レンタカーを借りて自分たちで荷物を運びましょう。ほかにも、家具や家電はリサイクルショップやフリマアプリで購入する、日割り家賃がなるべく発生しないタイミングで入居するなどの方法もあります。
一人暮らしに適した物件の間取りとして挙げられるのは、ワンルーム、1K、1DK、少しコンパクトな1LDKが中心になります。これらは間取り図もよく似ているので、違いがあまり分からない人も多いかもしれません。賃貸物件を探す際は、ワンルーム、1K、1LDK、それぞれの特徴や長所短所をよく理解しておきましょう。
◎家賃が安い。生活動線がまとまっている。仕切りがないので床面積がムダなく使える
×狭い物件が多く、少し物を置くとすぐに空間がなくなる。玄関を開けると部屋の奥まで丸見えになる
「ドアがひとつあるかないかで、暮らし心地は1Kとはかなり変わってきます。生活動線がコンパクトになるなど、狭いからこそ暮らしやすい面もあります」(河野さん)
◎仕切りがあるため、料理の煙やニオイが居室に広がらない。ドアを開けても部屋の奥まで見えない
×キッチンといっても後ろは廊下であるため、かなり狭く、使いにくかったり寒かったりする。仕切りがある分空間が狭く感じられる
「空間が2つに分かれることで、生活の切り分けができるようになる点が、ワンルームとの一番の違いです」(河野さん)
◎全体的に広い。ミニキッチンではなくシステムキッチンになるなど、設備もグレードアップ
×家賃が高くなる。照明やエアコンの数が増えて光熱費が高くなり、掃除などの手間も増える
「調理、くつろぎ、睡眠、それぞれの空間が分かれているので、生活に区切りが付けられます。ゆったりくつろぎたい、しっかり眠りたい人向きです」(河野さん)
「自炊メインの人には、やはり1K以上の間取りがおすすめ。友達をよく呼ぶ人なら、バス・トイレが別のタイプを。家でも仕事をする人には、仕事とくつろぎの空間を分けられる1DKや1LDK が理想的。家で過ごす時間が短い人、例えば本当に『寝に帰るだけ』の人ならワンルームで十分でしょう。ロフトタイプの間取りが学生に人気ですが、それは狭くても空間を分けられるからではないでしょうか」(河野さん)
初めての東京一人暮らしは、予算が限られていて、それほど広い部屋には住めない場合が多いです。限られたスペースでも快適な一人暮らし生活を送るコツを聞いてみました。
「できるだけ物を持たないようにすること、です。狭い部屋に物を置けば、すぐにいっぱいになってしまいます。 “ミニマリスト”の暮らしを参考にしてもいいかもしれませんね。彼らは物を減らすことにとても大胆。例えば、買ってきたものをすぐ調理して食べれば冷蔵庫は要りません。コインランドリーを使えば洗濯機も置かずに済みます。東京ならたいていはすぐ近くにコンビニもコインランドリーもあります。周囲の環境を上手に利用すれば、物を持たなくても快適に暮らせます。どうしても置かないといけない家具があるなら、ソファーベッドのように兼用できるものを。一人暮らしなら、『自宅にはこれを備えているべき』なんて固定観念は無用です。自分さえ快適ならそれでOK!若いからこそできる思い切った発想で、広さにこだわらない快適な暮らしを実現してみるのもよいと思います」(河野さん)
部屋探しのときに、間取りと同じくらい気になるのが「どんな設備が付いているか」ということではないでしょうか。設備はあればあるほどうれしいけれど、家賃もそれだけ上がるもの。すでに一人暮らしをしている先輩方の「次に引越すときに欲しい設備」のアンケート結果を参考に、自分に必要な設備は何かを考えてみましょう。
調査結果を見ると、欲しい設備のトップ3は「エアコン付き」「独立洗面台」「TVモニター付インターフォン」。1位のエアコンは、室温調整のために近年特に必要とされています。後付けができたとしても手間やコストがかかるため、最初からエアコンが付いている物件を探す人が多いのではないでしょうか。独立洗面台も、手洗い・うがい・洗顔・メークに毎日使うことを考えると、浴室やキッチンの水栓とは別に備わっていてほしい設備かもしれません。
「その人の『暮らし方』によって、欲しい設備は変わってきます。まずは『自炊をするかどうか』。自炊をするならコンロの口数や冷蔵庫、調理家電、食器棚を置く広さも欲しくなります。
モニター付きインターフォンは、特に女性にとってはぜひ欲しい設備です。ニーズが高いので、最近は古いアパートにも付いていたりします。防犯面にこだわる人は、オートロックや防犯カメラの有無もチェックしておきたいですね。
宅配ボックスや24時間ゴミ捨ては人気ですが、付いているのはやや高めの物件。24時間ゴミ捨てなどは管理人が必要になるので、それだけ家賃も高くなります。ただ、一人暮らしの人にとってゴミ捨てはトラブルの元になりがち。あれば頼もしい設備です。」(河野さん)
同じ東京都内でも、どこに住むかによって家賃相場が倍以上も違ってくることをご存じですか?どこに住めば、理想の生活スタイルと家計を両立した形で暮らせるでしょうか?同じ予算で、より広く、かつ設備が充実した部屋を見つけられる、家賃相場が低い東京のエリアをご紹介します。
みなさんが名前を知っていたり、住んでみたいと思っていたりするエリアはありませんか?東京の家賃は「何区にある物件なのか」でも大きく異なります。それぞれの区の家賃相場を知っておけば、どのエリアを探せばいいかがスムーズに判断しやすくなり、物件の比較検討も簡単になります。
ここでは、実際にSUUMOに掲載されていた「一人暮らしに人気の設備※が付いた物件」のデータを集めたうえで、東京23区それぞれの家賃相場を調べ、価格の安い順に並べてみました。そのトップ10が下の表です。同じ区でも最寄り駅によって差は出ますが、少しでも家賃を抑えたい人はぜひ目安にしてみてください。
※「エアコン付き」「独立洗面台」「TVモニター付きインターフォン」等の設備(詳細は下記参照)
家賃相場の低い上位3区は、ワンルーム・1K・1LDK共に、「足立区」「葛飾区」「江戸川区」でした。いずれも東京23区の中では北部、北東部に位置しています。東京23区で最も埼玉県に近いエリアのひとつである足立区には、多くの大学が設置されており、乗り入れ路線の多さで人気の北千住もあります。また、最も千葉県に近いエリアのひとつである江戸川区は、公園面積が東京23区でトップの広さ。葛西臨海公園があり、テーマパークもすぐ近くです。葛飾区には、「人情味があふれて、物価が安く暮らしやすい」という下町のイメージそのままの柴又や亀有といった街があります。
高級なイメージを感じさせるにもかかわらず、世田谷区がどの間取りでも10位以内にランクインしているのは、区内に下町のような街もあるからです。
また、若者に人気の吉祥寺は、23区から外れた武蔵野市にあることもあり、ワンルームが9.45万円、1Kが9.5万円、1LDKが10.2万円と、どの間取りタイプでも23区全体の家賃相場※を下回る結果になっています。
※23区全体の家賃相場(中央値)の平均は、ワンルームが10.5万円、1Kが10.4万円、1LDKが10.9万円
区名のイメージに左右されず、上のデータも参考にしながら、自分のライフスタイルに合いそうなエリアを探しましょう。下のリンクから他エリアの家賃相場も確認できますので、ぜひチェックしてください。
他の都内のエリアの家賃相場が知りたい方は以下をチェック
マンション・ワンルーム
アパート・ワンルーム
マンション・1K/1DK
アパート・1K/1DK
マンション・1LDK/2K/2DK
アパート・1LDK/2K/2DK
東京23区内でも、エリアによって家賃は大きく変わります。家賃が安いのは、葛飾区や江戸川区、練馬区、板橋区、足立区といった北部や東部エリアで、ワンルームなら5.6~6.5万円、1K/1DKなら7.0~7.5万円(「SUUMO」に登録されている賃貸物件の賃料を元に独自の集計ロジックによって算出)が相場です。
葛飾区の特徴は、人情味あふれる地域性です。古き良き下町人情が残るエリアであり、人と人とのつながりが強い地域として知られています。柴又帝釈天をはじめとした観光スポットも豊富です。JRや京成本線など鉄道網も充実しており、都心はもちろん千葉や埼玉などへのアクセスも良好です。
江戸川区は、JR総武線や東京メトロ東西線など東西にまたがる複数の鉄道路線が乗り入れており、都心へのアクセスも良好なエリアです。また、豊かな自然が色濃く残るエリアでもあり、自然と共生する街として知られています。
足立区は現在でも開発が著しいエリアであり、新たな鉄道路線の開通や大学の誘致など、積極的に街づくりを進めています。
東京23区の中で最も新しい区である練馬区は、新宿や池袋といった都心をはじめ、渋谷や横浜などへのアクセスも良好なエリアです。
板橋区は住みやすさに定評がある街で、池袋まで最短5分でアクセスできる環境が魅力です。医療や福祉サービスも充実しており、子育てもしやすい街として人気があります。
おすすめのエリアとして挙げられるのは、杉並区や三鷹市、板橋区、文京区といったエリアです。杉並区、三鷹市、板橋区の家賃相場はワンルームで6~7万円程度なので、家賃を抑えながら環境面も重視したい人に適しています。ただ、場所や物件によっては7~9万円ほどするところもあるので注意しましょう。
杉並区は、交通の利便性に優れているにもかかわらず落ち着いた雰囲気もあるエリアです。JRや東京メトロを含む、数多くの鉄道路線が縦横無尽に走っており、さまざまなエリアへ容易にアクセスできます。緑が多く、行政によって子育て支援サービスも充実していることから、単身者から子育て世帯までさまざまな人におすすめです。
「緑と水の公園都市」をキャッチフレーズとして掲げる三鷹市は、随所に色濃い自然を残す地域です。近代的な街並みと自然が調和したエリアであり、住みやすさに定評があります。東京23区外にあることから家賃相場もリーズナブルで、例えば三鷹市のワンルームマンションの家賃相場は6万円、1LDK/2K/2DKのマンションでも10.5万円となっています。
東京23区のほぼ中央に位置する文京区の魅力は、近代的な発展を見せる市街地と自然が見事に融合している点です。東京大学や東洋大学など、数多くの大学キャンパスがあるためアクセスも良好。白山や茗荷谷エリアなら、一人暮らしや大学生に適した相場の賃貸物件も数多くあります。また、著名な文豪に愛された街でもあり、区内には文豪ゆかりのスポットも複数点在しています。
家賃相場が低いエリアなら、同じ予算でも広い部屋が借りられる、ということ。例えば、23区内で最も家賃相場が低い足立区と、一般的に家賃が高いと言われる港区では、同じ8万円で借りられる部屋の広さはこんなに変わります。
もちろん、港区などの都心人気エリアには魅力がたくさんあります。渋谷区や目黒区、品川区などの人気の街へ自転車での移動も可能だし、交通利便性が高い、商業施設が充実しているなどのメリットもあります。
自分のライフスタイルや収入に合わせて、住みたいエリアを考えましょう。
東京という都市は、テレビでよく見聞きするため、街のことをよく知っているような気分になるものかもしれません。しかし、誰もが知っているような地名だと家賃は高くなりがちです。かといって、何の手掛かりもなく部屋を探すのはもっと大変になります。
「例えば、通勤先の近くに聞いたことがある駅名・地名があるなら、その駅がある路線上で探してみるのもひとつの手。有名な駅名の隣で探してみて、次はその隣、と順に当たっていきましょう。有名な駅名・地名から少し離れるだけで、家賃が大きくダウンすることもあります。東京では、西にいくほど、中心から離れるほど、家賃が安くなる傾向があります。相場なら、現地に行かなくてもネットで簡単に調べられますよ。
それと、忘れてはいけないのが、『東京は乗り換えが難しい』ということ。通勤先に近くても乗り換えが多ければ、結局は不便になることもあります。また、『通勤時間帯の満員電車の混み方がすごい』ということも忘れないで。
超満員状態の場合もありますので、路線の混雑状況をネットで事前に調べて確認しておくといいでしょう。
また、中心に近いほど便利だとも言い切れません。ビジネス街だとスーパーがなかったり、土日に飲食店が開いていなかったりします。周辺に生活施設がそろっているかもチェックしておきましょう」(河野さん)
何気なく物件を見ていると、「あれもいいな、これもステキ」と目移りしがちです。特に必要でもない設備に惹かれてしまったり、絶対に欠かせない条件をチェックし忘れたりといった失敗をしてしまうことも考えられます。
「いい部屋を見るとつい予算を超えたくなってしまいますが、『ここまでなら払える』というラインを決めて、それを必ず守るようにしましょう。
そのほかの条件は、10くらいまで順位付けしておくこと。こだわるポイントをただ並べるだけではダメ。順番を付けることで気持ちが整理でき、『順位が下だからあきらめよう』と思えます。不動産サイトの検索条件を参考にして項目出しをするといいですよ」(河野さん)
「もうひとつ、トラブルになりやすいのが騒音問題。設備とは少し違いますが、もし自分が音に神経質だと思うなら鉄筋コンクリート造の物件や、木造アパートでも防音を意識した物件を選ぶなど、建物の構造もチェックしておきましょう。
反対に、許容できると思うものが『築年数』です。古い物件でもクリーニングなどの管理が行き届いていれば、快適に暮らせます。管理の行き届いた物件かどうかは、ゴミ捨て場や廊下周りなどの共用部分の様子を見ると分かることがあります。散らかっていたり、物が置きっぱなしのところは住民のマナーが悪かったり、管理が行き届いていない可能性があります」(河野さん)
ネットで物件を探すときは、駅名や地名を入れて検索することが一般的です。でも、そもそも駅名や地名を知らないエリアでは、条件を入力することすら困難でしょう。また、そのエリアに詳しくないと、「最寄り駅は希望する駅とは違うけど、少し歩けば利用できる物件」「住みたい街のすぐ隣町にあるすてきな物件」などを見落としがちになります。
しかし、SUUMOアプリの「なぞって検索」なら、地図を見ながら「この辺り」を適当に指で囲むだけで、条件に合う物件をピックアップすることが可能です。全く知らなかった土地で、思いがけない出合いに恵まれるかもしれません。
「初めての部屋探しは夢がいっぱい。でも、予算や時間が決められた中で理想の物件を見つけるのはなかなか難しいものです。最初から100%のものを見つけるのではなく、70~80%のところで暮らしてみて、自分で100%にしていけばいいのです。街になじんだり、インテリアを楽しんだりするうちに、自分のお城になっていくものですよ」(河野さん)
物件探しは手取り額の30%を超えないよう意識する
初期費用は工夫次第で大幅に節約可能
エリアと譲れない条件を絞り込んだうえで物件を探そう
相場調べや部屋探しには、ネットや部屋探しのアプリを上手に活用!