初めての一人暮らしは、実際に毎月どれくらいお金がかかるのがイメージしにくいもの。はっきりとわかる家賃のほか、食費、光熱費、通信費などさまざま。そこで、一人暮らしを始めてから月々かかってくる生活費について、一人暮らしアドバイザー・河野真希さんに教えてもらった。部屋探しを始める前に知っておこう。
家賃を決める前に知っておきたいのが、食費、光熱費など「家賃以外の生活費」。一概にいくらとは言えないが、総務庁統計局の調査(下表)を見ると、家賃を除く一人暮らしの生活費は、月平均12万2032円との結果が出ている。
あくまで平均データであり、お金の使い方にはもちろん人それぞれの違いがあるが、「初めて部屋探しをする人にとっては、だいたいの生活費の目安を知っておくことが大切」と一人暮らしアドバイザーの河野真希さん。「特にこれから部屋を探す場合、無理のない予算の中で部屋を探すための重要な目安となるでしょう」
食費 | 35,418 |
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水道光熱費 | 7,675 |
生活用品費 | 6,954 |
被服費 | 6,509 |
保健医療費 | 4,683 |
交通費 | 13,092 |
通信費 | 7,059 |
娯楽費 | 19,839 |
その他(理美容・交際費) | 20,803 |
合計 | 122,032 |
昨今の物価高騰に伴って、一人暮らしの生活費はさらにアップしていく可能性もある。
身近なところでは、さまざまな食料品の相次ぐ値上げによる、食費への影響を実感している人が多いのではないだろうか。ほかにも、水道光熱費、交通費などの値上げが話題となっている。今後は賃貸住宅の家賃も値上げの通告を受けるケースが出てくるだろう。
家賃は生活費の大部分を占める項目で「収入(手取り額)の3分の1以内」が適正な金額の目安と言われることもある。ただし、「特に家賃の高い都市部や、まだ収入があまり多くない若い人の場合、収入(手取り額)の3分の1以内の家賃で部屋を探すのは難しいケースも」と河野さん。
「それよりも『収入(手取り額) ー 家賃以外の生活費 ー 貯蓄』という計算式で考えたほうがより現実的です」。つまり、月の手取り額(仕送りを含む)から家賃以外にかかる生活費の概算を引き、さらに貯蓄したい金額を引いて、残りの金額を家賃の上限とする、という考え方。「人それぞれ、何にお金をかけたいかは違うので、この計算式で考えたほうが満足度の高い生活を送れます」
一人暮らしを始める前、始めたばかりのころは、どれくらいの生活費がかかるのかイメージがしにくいが、そのときは、前章で紹介した生活費の平均金額を参考にするといいだろう。
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なお、適正な家賃で部屋探しをするには、家賃のアップダウンに影響するポイントも知っておきたいもの。家賃の低い物件を探したいなら、下記のうち緩められる条件はないか見直してみよう。
・エリア(郊外より都市部のほうがアップ)
・沿線(ターミナル駅が人気、便利な沿線ほどアップ)
・最寄駅(複数路線が乗り入れている、特急・急行などが停車する駅ほどアップ)
・最寄駅からの距離(近いほどアップ)
・部屋の広さ(広いほどアップ)
・部屋の新しさ(新築や築浅の物件ほどアップ、築年数が古くて内装リフォーム済みはお得な傾向に)
・セキュリティ(オートロック、防犯カメラ、管理人常駐など、防犯設備・体制が整っているほどアップ)
例えば「歩くのは苦にならないから駅からの距離は遠くてもいい」など、一般的に人気がなくても、自分が許容できる条件を多く持っておくと、リーズナブルで満足できる物件に出会いやすくなるといえそうだ。
地域ごとの家賃相場(SUUMO調べ)も参考にしよう。
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食費、住居費(家賃)、光熱水道費……何にどれくらいお金をかけたいかは、人それぞれのライフスタイルによって違う。また、そもそも「収入(手取り額)」によって、どれくらい「かけられる」かも変わる。
以下は、河野さんに試算してもらった「収入(手取り額)別 一人暮らしの生活費シミュレーション」の表。月15万円、20万円、25万円の場合で、項目ごとにだいたいの生活費の目安の金額と、それぞれの項目の費用が月の手取り額に占める割合を表示している。必ずしもこの範囲内に収めればいいというものでもないが、だいたいこれくらいの割合になっていればバランスが良いとのことなので、目標の金額にしてもいいだろう。
住む部屋が決まったら家賃は変わらないが「ほかの生活費は節約の工夫や努力によって抑えることができます」と河野さん。上手な節約・さらには貯蓄のために知っておきたいポイントを聞いたので参考にしよう。
□ 家計簿をつけなくても、使いすぎが気になる費用だけメモして、1カ月の合計金額を振り返る
□ 食費は健康面も考えながら節約を。食材の量を考えて購入し、無駄を出さないように使い切る
□ 光熱費は家電のつけっぱなし・水道の流しっぱなしをなくすなど、地道な努力の積み重ねを
□ 通信費は格安SIMへの変更、契約プランの見直しなどにより大きく節約できることも
□ 貯蓄は収入の10%以上を目標に、自分が何かしなくても、自動で積み立ててくれるものを
□ 例えば給料日など月に1回、総資産が現在いくらなのか、前月からの増減額をチェック
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家賃を除く一人暮らしの生活費は月平均12万2032円
適正な家賃は、収入(手取り額)から家賃以外の生活費と貯蓄分を引いて計算
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