一人暮らしのための部屋を探す前に知っておきたいのが、物件の種類や選ぶポイント、間取りや家具のレイアウトなどについて。物件にはどんなタイプがある? どんな間取りがいい? 家具をどうレイアウトする? 物件探しや部屋選びのポイントなど事前に決めておくべきことを一人暮らしアドバイザー・河野真希さん、インテリアコーディネーターの住吉さやかさんに教えてもらった。
ひと口に一人暮らしの部屋といっても、アパートかマンションか、賃貸か購入かなど、さまざまな選択肢がある。自分に合った物件を見つけるには部屋探しの前にそれぞれの特徴を理解しておいたほうがいいだろう。選択肢ごとのメリット・デメリットを一人暮らしアドバイザーの河野さんに伺った。
アパートとマンションに明確な違いはないが、「一般的には、アパートは木造や軽量鉄骨などの2~3階建て、マンションは鉄骨や鉄筋コンクリート造で3階以上の建物、と分けられることが多いようです」と河野さん。これを定義とした場合の、それぞれのメリット・デメリットを教えてもらった。
また、学生寮・社員寮という選択肢もある。寮費に光熱費が含まれているケースが多く、食事がついているところもあり、生活費を抑えやすい。すぐに友達ができやすい一方、人間関係で気を使うことも。ほかにも一戸建てという選択肢があり、一人暮らしには広い物件が多いが、そのため家賃や光熱費が高めの傾向がある。
さらに、賃貸だけでなく、購入するという選択肢もある。「ただし、結婚などライフスタイルが変わったとき、トラブルが起こったとき、賃貸に比べて引越しにくいという点も。慎重に考えましょう」
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賃貸契約の一般的な流れは下図のとおり。物件の検索から入居までにかかる期間は、すべてがスムーズに運んだとして最短でも1~2週間ほど。希望の物件が見つからない、入居審査が通らないなどで数週間かかるケースもあるようだ。
また、特に新築物件を狙うなら、早めに動くことがポイント。それまでに不動産情報サイトなどで物件を検索し、自分の予算内ではどんな部屋に住めるのか、イメージをもっておくと不動産会社との話がスムーズだ。
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部屋探しを始める前には、こんな部屋に住みたいという希望や条件を決めておくことが肝心。さらに「駅から少し遠くてもいいから家賃は安く」「狭くてもいいから新築はマスト」などのように、絶対譲れないことと、そのために妥協してもいいことを明確にしておこう。優先順位をはっきりさせ、妥協できる点を多く持っておくことで、物件の候補の幅がぐんと広がるだろう。特に以下は部屋探しの大きなカギを握るポイントとなるので、よく考えて決めておこう。
家賃の上限金額は最初に決めておきたいポイントのひとつ。適正な家賃の目安は、手取り月収の3分の1以内と一般的に言われるが、部屋に対するこだわりは人それぞれなので、参考程度に考えよう。
ただし、家賃は毎月ずっとかかる固定費なので、最初に無理をするのは禁物。家賃以外にかかる生活費などとの配分も考えて、今後払い続けていける、無理のない金額にしよう。
家賃はエリアによっても大きく変わるので、エリアの相場も要チェック。住みたいエリアだけでなく、その周辺のエリアの相場も調べておくと、物件の選択肢はさらに広がる。
SUUMOでは独自で調査した「全国の家賃相場・賃料相場情報」を公開。気になる都道府県の市区郡・駅の賃料相場をチェックして部屋探しの参考にしよう。
沿線や駅は、通学・通勤アクセスなどの利便性に影響する重要ポイント。早い段階で決めておくと、希望の沿線や駅周辺に多くの物件がある不動産会社に相談でき、スムーズに部屋探しができる。
希望条件は「○○駅から徒歩○分以内」のようなかたちで聞かれるのが一般的だが、この条件にある程度の幅を持たせるのが上手な部屋探しのコツ。例えば希望する駅の隣の駅でもOKとか、理想は徒歩○分以内だが○分くらいまでOKなど、許容範囲を広げることにより、ヒットする物件の数も増える。特に人気の沿線・駅を希望する人は、条件の優先順位をはっきりさせておこう。
広さも家賃のアップダウンに大きく影響するポイント。どれくらいの広さが欲しいのか、部屋数はどれくらい必要なのかを決めておこう。決めた条件で見つからない場合、希望の最寄駅を変えたり、徒歩分数を変えたり、平米数を減らしたりできないか考えてみよう。
ほかにも部屋探しの条件はたくさんある。例えば「新築&築浅」「ペット相談可」など、譲れない条件やこだわりの条件がある場合は、最初にはっきりさせておこう。
SUUMOのウェブサイトでは、さまざまな条件から絞り込み検索が可能。実際の部屋探しはもちろん、事前に相場をつかむためにも役立つので、気軽にチェックしてみよう。
部屋探しにおいて重視する条件は、調査によると、首都圏の一人暮らし世帯では「路線・駅やエリア」(56.2%)、「通勤・通学時間」(51.9%)、「最寄駅からの時間」(49.4%)、「設備・仕様<キッチン・お風呂・トイレなど>」(38.5%)、「面積<広さ>」(37.4%)が上位5項目となっている(「2019年度賃貸契約者にみる部屋探しの実態調査(首都圏版)」2020年6月実施 リクルート住まいカンパニー調べ)。ただし、ライフスタイルによっても違うため、それぞれの重視すべきポイントを河野さんに伺った。
通学のしやすさはもちろんだが、家賃を抑えることも重要。社会人に比べると少し時間があるので、通学には便利な駅だけれど、駅までの距離がある物件を選ぶのも手。駅からの距離は家賃にも大きく影響するポイントなので、自分がちょっと努力をすれば、それだけでも家賃はぐんと下がるかも。
通勤アクセスはもちろんだが、駅からの近さも大事。特に残業が多い場合など、学生と違って駅から遠いのは負担になりやすい。また、暮らしやすさも大事。帰ってきたときに利用できるスーパー、コンビニ、ドラッグストアがあると便利。なお、会社に近いからとオフィス街に住むと、周辺のお店が土日休みというケースもあるので、周辺環境も要チェック。
テレワークができるならば、通勤アクセスの優先順位は低くなる。駅近にこだわらずに駅からの徒歩分数を長くして家賃を抑えたり、家賃は同額で広い部屋を借りるなどの選択肢も考えてみよう。
防犯性の高さが大事。オートロック、防犯カメラなどがあると理想的だが、最低でも「2階以上」を選ぶと安心感がアップする。また、窓の向こうの建物から部屋の中が見える状態にないかなど周囲の状況、さらに地域的な安全性もチェック。気になった物件があったら、各都道府県警が提供している犯罪マップなどを見て、その地域の治安もチェックするといい。
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これらのほか、料理が好きな人はキッチンの広さをチェックするなど、自分のライフスタイルに合わせてこだわりポイントを決めよう。
一人暮らしの間取りは、ワンルーム(1R)または1Kが一般的。Kはキッチンのことで、ワンルームは1部屋の中にキッチンがあるのに対し、1Kは1部屋+キッチンがあるということ。ただし、同じ面積の部屋でも、ワンルームと1Kでは使い勝手に大きな違いがある。
例えば、ワンルームは1空間に部屋とキッチンがあるので、料理をすると部屋中にニオイが充満しやすい傾向にあるが、よく料理をする人にとっては、キッチンが離れていないワンルームのほうが便利なことも。1Kは部屋とキッチンをはっきり分けたい人に向いている。
なお、首都圏の一人暮らし世帯が次に引越すときに欲しい設備は「エアコン」「独立洗面台」「TVモニター付インターフォン」「宅配ボックス」「24時間出せるゴミ置き場」が上位5アイテムとなっている。(「2019年度賃貸契約者動向調査(首都圏版)」2020年6月、リクルート住まいカンパニー調べ)
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一人暮らしをするにあたってかかる主な費用は、敷金・礼金・引っ越し代などの初期費用のほか、家賃・食費など毎月の生活費と、さまざまなお金がかかるのでシミュレーションしておこう。
初期費用は、契約時に家賃4~5カ月の費用がかかるのが一般的。敷金・礼金など、どの項目がどれくらいかかるのか、物件や会社ごとに違うのでチェックしよう。
また、物件の契約時の初期費用のほかにも、新生活で使う家具や家電などを準備するお金が必要。さらに、毎月の生活費がどれくらいかかるのかも人それぞれだが、シミュレーションしておこう。
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小さめの一人暮らしの部屋は、家具のレイアウトに頭を悩ませることも。そこで、同じ面積の部屋でも、部屋の形などによって家具のレイアウトのしやすさは変わることを知っておこう。
ポイントは、家具を寄せて置ける「壁面」の広さ。ドアや収納扉の前には家具が置けず、出入りをする窓の前には高めの家具が置きにくい。よって、実は細長い部屋のほうが家具を置きやすいということも。部屋の広さだけではなく、家具が置きやすい壁があるかチェックしよう。
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どんな部屋を選ぶにしても、置きたい家具・家電のサイズをあらかじめチェックしておきたいもの。そのためにも、どんな暮らしをしたいのか、イメージしておくことが大切といえそうだ。
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