賃貸の「事故物件」、定義は決まっている?気になる告知義務は?

事件や事故が原因の死、自殺、孤独死などにより入居者が部屋で死亡した賃貸物件、通称「事故物件」。感覚は人それぞれですが、死の現場となったところに住むとなると、心中穏やかではない人が多いかもしれません。とはいえ、人が亡くなった賃貸物件はすべからく「事故物件」に認定されてしまうのでしょうか? また、契約前に不動産屋さんは事故物件かどうか教えてくれるのかも気になるところ。 これら素朴な疑問をはじめ、事故物件について気になるアレコレについて、賃貸住宅と入居者の管理を行うハウスメイトパートナーズの伊部 尚子さんに聞きました。

じつは「事故物件」の定義や判断基準&告知するかどうかの線引きは曖昧

まずは、そもそも「事故物件」は何をもって、事故物件と呼ばれるのでしょうか。その定義から解説していただきました。

「基本的には、入居者が亡くなる場所となった物件を指します。亡くなる原因はさまざまですが、大別すると『殺人』『自殺』『自然死』の3種類です。ただし、この3種類を同等に『事故物件』と扱うべきか否か、基準は極めて曖昧(あいまい)です。例えば、凄惨な殺人事件に巻き込まれて亡くなったとなれば、当面の間は間違いなく事故物件扱いになります。かたや家族で暮らしていて、おばあちゃんが急に具合が悪くなって突然死してしまい、すぐに発見された場合、家族の一員が寿命で亡くなるのは普通のことなので、事故物件と認定しないと思います」(伊部さん、以下同)

つまり「亡くなった部屋=事故物件」ではなく、あくまでも事例ごとに決めるのがスタンダードであり、”一般的に抱くマイナス感情”と照らし合わせながら、各不動産仲介業者が事故物件と定めるかどうか判断しているようです。

となると、仲介業者によっては事故物件であることを伏せたり、事故物件として認定しなかったりすることも考えられるのでは……?

「そうした入居者の不利益を防ぐため、『瑕疵(かし)担保責任』という宅地建物取引業法のルールによって、業者にペナルティを与えることができます。『瑕疵』とは『欠陥』のことで、貸主には物件の欠陥を担保する責任があると定められており、事故物件は『心理的瑕疵』に相当するとされます。例えば、前の入居者が自殺をした部屋だと知らずに入居して、暮らしはじめて3カ月後に別部屋の入居者から聞いたとします。そこで、『もし自殺があったと知っていれば入居しなかった』と判断した場合は、貸主に損害賠償を請求することができるのです。こうしたリスクを回避するため、同法でも告知義務が定められています」

ただし、告知義務はあるものの、その期間については明確に定められていません。これについても「ケースごとにオーナーと相談しながら決めています」と伊部さん。

「死亡理由にもよりますが、単身者向けのアパートやマンションであれば、ご近所づきあいが少ないため噂も立ちにくく、短期間で風化してしまいます。大都市かそうでないかによっても変わってきます。また、入居者が亡くなった後に、別の方が一度入居された物件であれば告知しないケースも仲介会社によってはあり得るかもしれません。厳密な期間が定められていないので、いろいろな状況を踏まえて告知する期間を模索しているのが現状です」

ちなみに、『心理的瑕疵』については、「嫌悪施設(嫌われている施設)が周辺にある」「指定暴力団等の事務所がある」といったケースも含まれます。いずれにしても、事故物件は物理的な欠陥だけではなく、借りる側の主観によってさまざま。

「仲介業者も入居者から『知っていたら借りなかったのに』と言われる事態を避けるため、事故物件については自主的に告知するほうがいいと個人的にも考えますが、最終的には物件担当者の判断によります」そうです。

なお、SUUMOの「賃貸・賃貸マンション」のページから、フリーワードで「心理的瑕疵」を検索すると、118件がヒット(2018年6月12日)。 具体的な瑕疵理由までは記載されていないものがほとんどですが、心理的瑕疵の有無を広告やチラシで最初から明示しているケースもあるので、気になる物件の概要にはしっかり目を通しておきましょう。

アパート・マンションの売却で事故物件かどうか分からなくなるケースも

ここまで説明してきた「事故物件かどうか教えてもらえるのか」については、あくまでも「物件を仲介する不動産会社が”物件の歴史”を知っていること」が前提です。ときには、オーナーが不動産会社に対しても事実を伏せていたり、オーナーも仲介業者も変更になったりして、過去に何があったか把握できないケースも無きにしもあらずなのだとか。

「もちろんオーナーが申告しないのは告知義務違反で、訴訟の対象になりうるNG行為ですが過去には、売却によりオーナーが変わった物件で、かつ管理会社も変更になり、引き継ぎできちんと申し送りされず、後から事故物件の存在を知るケースもありました」

では、どうしても事故物件に住みたくないという場合は、どうすれば良いのでしょうか?

「最も安心なのは新築以降オーナーが変わっておらず、かつ管理会社も同じ物件を選ぶことです。まずは、その条件に当てはまるかを仲介会社に確認のうえ、さらに過去に事故物件相当のことが起きたかどうかを、能動的に質問することがポイントだといえるでしょう」

「ちなみに、家賃も事故物件の見分け方のポイント。というのも、事故物件は往々にして敬遠されるため、家賃を引き下げることで入居者を募集するケースが多いのです。つまり、家賃が相場より安過ぎる場合は、事故物件の可能性が考えられるということになります。
はたして、相場からどれくらい安くなるものなのでしょうか?

「10年前くらいまでは、半額以下に家賃を下げてようやく入居者が決まるイメージでした。ですが、いまは物件の条件やスペックにもよりますが、3割程度の値引きでも決まる印象です。おそらく事故物件サイトが有名になり、事故物件の認知度が上がってきていることも理由のひとつかもしれません。また、高齢者の単身世帯も増えてきていることから、孤独死も珍しいことではなく、忌み嫌うことでもないという認識が広まってきているのではないでしょうか」

時代とともに、事故物件への理解も寛容になってきているのかもしれません。とはいえ、事故物件を「不気味」「不安」に感じる人は、入居を決断する前に遠慮せずに聞いてみたほうがいいことは確かなようです。

取材・文/やじろべえ 末吉陽子 取材協力/ハウスメイトパートナーズ
公開日 2018年06月12日
最終更新日 2018年06月14日
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