特優賃(特定優良賃貸住宅)とは? 家賃の補助などお得? メリット・デメリットや入居条件は?

最終更新日 2024年12月20日
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特優賃(特定優良賃貸住宅)とは? 家賃の補助などお得? メリット・デメリットや入居条件は?

関東エリアなどの都市部では家賃相場が上昇している物件もあるなか、少しでも家賃を抑えたいと考える方も多いでしょう。そんな方にオススメなのが相場よりも安い家賃で借りられる「特定優良賃貸住宅(特優賃)」です。

今回は、この特優賃がどのような住宅なのか、入居のメリット・デメリット、物件の探し方などを詳しくご紹介します。また、入居に際しての条件や実際に借りるのは難しいのかなど、特優賃に関する疑問について、賃貸物件の管理・運営を行うハウスメイトマネジメントの伊部尚子さんにお話を伺いました。特優賃に興味がある方や、できるだけ家賃を抑えたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

特優賃とはどのような住宅?入居条件などは?

特優賃とはそもそもどのような住宅なのでしょうか?ここでは特優賃の概要と制度の現状について、解説します。

一定の基準を満たした優良な住宅の家賃に対して補助が出る

特定優良賃貸住宅(以下、特優賃)とは、良質な住宅を軽い負担で借りられる、公的賃貸住宅制度をさします。「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に基づき、土地のオーナーが都道府県や住宅金融公庫などの資金を利用して良質な住宅を建設し、主に中堅所得ファミリー層向けに供給される賃貸住宅のことです。

よく聞く「都民住宅」とは、東京都の特優賃物件のことです。「UR」と「公社」住宅の違いは運営母体です。入居者は、入居する世帯の所得額に応じて、住宅の本来家賃(契約家賃)の一部を国や県または市が補助し、入居者の家賃負担を軽減する家賃補助を受けることができます。

なお、この家賃補助は、入居後から毎年一定率で減少し、入居者負担額が本来家賃に追いつくまで最長で20年間にわたり実施されるというもの。ほかにも礼金・仲介手数料の免除、更新料ゼロなどのメリットが得られます。

ただし、申し込みにあたっては収入および入居条件の基準をクリアすることが必要です。これら収入基準や入居条件などは各自治体の特優賃制度により異なるため、対象となる自治体に確認しましょう。

また、「東京都の特優賃は『都民住宅』と呼ばれ、取り扱う不動産会社が決まっています」とハウスメイトマネジメントの伊部さん。

ほかにも東京都が管理する「都営住宅」、都市再生機構(旧公団)が運営する「UR住宅」、都道府県など地方自治体の外郭団体である住宅供給公社が運営する「公社住宅」など、さまざまな公営住宅がありますが、運営する組織や入居するための条件などが異なるので、よく注意しながらチェックしましょう。

現在の特優賃の状況は?制度自体は終了している?

1993年度からスタートした特優賃。現在も制度そのものはありますが、実際は「特優賃としての期限が終了した」物件が多いようです。

「家賃補助が年間3.5%ずつ減っていき、最長20年間でなくなる制度ですが、現在は特優賃としての20年が終了し、一般賃貸へと切り替わった物件が増えているという状況。物件数そのものが少ない上に、所得要件もあるので、見つかったとしても利用できないケースが増えています」と伊部さん。

加えて、民間の賃貸住宅の初期費用が下がってきていることで、特優賃の魅力が薄れてきていることも理由の一つ。

「以前は敷金・礼金がそれぞれ家賃の2カ月分という物件が一般的でしたが、現在では敷金・礼金ともに1カ月分やなしという物件、さらにフリーレント付きの物件も増えてきています。初期費用を抑えられるという点においては、特優賃と同様のメリットのある民間の賃貸住宅も多いので、そちらにも目を向けてみましょう」。

※現在の特優賃制度に関しては、各自治体にお問い合わせください。

特優賃物件を見学するファミリーのイラスト
(イラスト/もり谷ゆみ)

特優賃は「UR賃貸」や「公営住宅」、「公社住宅」と何が違う?

先ほどご紹介したように、初期費用や家賃が安い住宅としては「UR賃貸」や「公営住宅」も挙げられます。特優賃、UR賃貸、公営住宅の違いについて見ていきましょう。

特優賃の特徴

運営:民間事業者

主な目的:
・中堅所得者を対象とした、入居者の家賃負担軽減

特優賃の特徴
  • 礼金、仲介手数料、更新料、保証料不要
  • 保証人不要(本人確認のみ)

UR賃貸の特徴

運営:UR都市機構(旧:日本住宅公団)

主な目的:
・多様な世代が安心して住み続けられるための環境整備
・持続可能な街づくりの推進など

UR賃貸の特徴
  • 礼金、仲介手数料、更新料、保証料不要
  • 保証人不要(本人確認のみ)
  • 家賃額に応じて定められる「基準月収額」以上の平均月収が必要

公営住宅の特徴

運営:各自治体(県営・市営・町営・村営住宅など)

主な目的:
・健全な地域社会の形成
・主に低所得世帯を対象とした良好な居住環境の確保など

公営住宅の特徴
  • 初期費用は自治体によって異なる
  • 連帯保証人が必要となるケースも多い(ただし高齢者や障がい者、DV被害者、生活保護者など保証人の確保が困難なときは免除となる場合が多い)

公社住宅の特徴

運営:地方住宅供給公社

主な目的:
・賃貸住宅の建設や管理、関連施設の整備など地域の住宅・街づくり
・住環境の維持保全

公社住宅の特徴
  • 敷金は家賃1~3カ月、礼金・更新料・仲介手数料は不要
  • 連帯保証人を依頼できない場合、初期費用として保証料が必要
  • 各地方住宅供給公社によって収入基準なども異なる

特優賃とUR賃貸、公営住宅、公社住宅では、運営母体から目的、特徴までそれぞれ異なります。例えば、特優賃は中堅所得者世帯に向けた家賃負担の軽減を目的にしていますが、UR賃貸は世代を問わず利用できる環境整備を行うのが目的です。公営住宅は低額所得世帯に安心して暮らせる住まいの提供、公社住宅は地方公共団体の住宅政策として環境整備や街づくりを行うために運営しています。

いずれも収入基準があるものの、UR賃貸は水準以上の月収が求められ、公営住宅は世帯年収が基準収入よりも下回っている必要があります。公社住宅は各地方住宅供給公社で収入基準が異なるため、事前に確認が必要です。このような違いがあることも把握しておきましょう。

特優賃のメリット

特優賃の特徴、メリット・デメリットとして挙げられることが多いポイントについて、実際はどうなのかを以下にまとめてみたので参考にしてください。

保証人が不要、初期費用が抑えられる

保証人が不要で、仲介手数料や礼金がいらないため、入居するときの初期費用を抑えられるというのも大きなメリットです。「ただし、これも『家賃』のところで前述したように、最近は同じようなメリットがある民間の賃貸住宅も増えています」。

家賃が安い

よく挙げられるのが、家賃が安いということ。「入居する世帯の所得額に応じて、家賃の一部を国と地方自治体が負担してくれます。所得が低くなるほど補助額は上がるので、低所得な家庭ほど家賃の負担は少なくなります」と伊部さん。「ただし、最近はエリアなどによって民間の賃貸住宅の賃料も下がってきているところが多いので、以前ほどの割安感はなくなってきているところもあります」。

造りがゆったりとしている

特優賃として認められるには、面積や構造について一定の基準(自治体によって異なる)を満たす必要があるため、「敷地も、共用部も、物件ごとの間取りもゆったりと造られているのが特徴です」。

更新料がいらない

賃貸住宅を借りた場合、物件にもよりますが、2年ごとに家賃1カ月分の更新料を支払うのが一般的です。長く住めば住むほど契約更新を行う回数も増えていくため、そのたびに家賃1カ月分をプラスして支払う必要が出てきます。しかし、特優賃であれば更新料も不要です。更新料がかからない特優賃なら長く住めばその分お得になります。

また、更新料の支払い時期になった際に、高額な更新料を支払うなら引越したほうがよいか検討する人も増えるものです。しかし、更新料が不要であれば更新時期のたびに「このまま更新するか、それとも退去するか」を考えずに済みます。

特優賃のデメリット

特優賃には初期費用が抑えられたり、家賃が安かったりするなどのメリットもありますが、なかにはデメリットと感じてしまう部分もあります。どのようなデメリットがあるのか、事前に確認しておきましょう。

建物や住宅設備が古い

住宅設備や建具などは築年数によって大きく違います。「古い物件では網戸がなかったり、キッチンのコンロは入居者が自分で持ち込むタイプになっていたりするところもあります。新築の場合は物件の質が高くなりますが、入居が抽選となることが多く、競争率も高くなることがあります」。

入居条件が厳しい

特優賃に入居するにはさまざまな条件を満たす必要がありますが、最も大きなポイントは「世帯年収に上限があること」(条件・金額などは自治体によって異なる)。「審査が厳しいというより、世帯年収が条件に当てはまらないことで利用できないというケースが多いようです」。

二人以上のファミリー世帯しか入居できない

特優賃には、原則二人以上のファミリー世帯しか入居できないという条件もあります。現時点で同居する親族がいなかった場合でも、例えば近い将来要介護状態の親族との同居が見込まれる場合や、一時的に就学・勤務などで別居しているものの、近い将来同居が見込まれる親族がいる場合などは特優賃に入居することが可能です。

これは、特優賃が「中堅所得者を対象とした入居者の家賃負担を軽減すること」を目的とする制度だからです。二人以上でも友人同士などで特優賃を利用するのは原則不可になるため、ルームシェアを行いたい場合は注意してください。

補助金の支給に期限が設けられている

特優賃では、入居する世帯の所得額に応じて、家賃の一部を国や地方自治体が補助金として支給してくれます。しかし、この補助金はずっと支給してもらえるわけではなく、期限が設けられています。

支給期間は物件が特優賃に認定されてから20年間です。支給期限を過ぎた場合は一般的な賃貸物件と同等の扱いになり、家賃補助が受けられなくなってしまうので注意してください。

なお、特優賃にはフラット型・傾斜型の2種類の補助金があり、傾斜型だと徐々に受け取れる補助金額が少なくなってきます。長期間住む場合はデメリットになるでしょう。

抽選が実施されることがある

特優賃は補助金の支給に期限があるものの、家賃の一部を補助してもらえるため、少しでも家賃を抑えたい方から人気のある物件です。そのため、空室の募集が開始されるとすぐに入居希望者が集まり、空室数以上になってしまうことも少なくありません。入居希望者数が定数を超えた場合、抽選で入居者が決められます。抽選で外れてしまった場合、いくら希望しても入居はできません。

また、抽選結果が出るまでしばらく時間がかかってしまい、それまで引越しの準備も進められない点もデメリットといえます。抽選に当選したとしても、その後審査があるためすぐに入居できません。ただし、場合によっては先着順で入居者が決まる場合もあるため、募集要項をよく確認するようにしましょう。

広い廊下を走りまわって遊ぶ楽しそうな子供と、それを見守る30代夫婦のイラスト
敷地や共用部、それぞれの住戸の間取りもゆったりしているのが特優賃の特徴(イラスト/もり谷ゆみ)

特優賃の物件はどうやって探す?

ここまで、特優賃の特徴やメリット・デメリットなどを解説してきましたが、実際特優賃の物件はどのように探せばよいのでしょうか?続いては、特優賃の物件を探す方法についてご紹介します。

各地方自治体のWebサイトやSUUMOで探せる

特優賃の物件を探すにはインターネットが簡単。各地方自治体のWebサイトや「(都道府県名)特優賃」などで検索すれば、最新の詳しい情報を探すことができます。
また、関東の特優賃物件に関しては、SUUMOの特優賃ページでも探せますのでチェックしてみましょう。

特優賃は狭き門なので、ほかにも初期費用を抑える一般物件も探してみよう

家賃や初期費用が抑えられるなど、お得なメリットが多い特優賃の物件。しかし、入居するときの条件を満たしていなかったり、新築の物件を狙うと競争率が高かったりと、なかなか狭き門であることも現実です。

前出のように、最近は一般の賃貸住宅も初期費用が抑えられる物件が増えてきているので、特優賃の条件に当てはまらない場合はそちらも探してみましょう。

「特優賃に限定して探そうとすると、物件数も決して多くないのでかなり難しくなってしまいます。このエリアに住みたいという希望があって、そのなかで物件情報を探すとき、特優賃もあるかどうかチェックしてみる、という探し方がいいでしょう」。

希望する条件にぴったり合う物件があるかどうかを探す前に、自分が借りられる条件を満たしているかどうかを確認しましょう。

まとめ

特優賃は公的な家賃補助があり、初期費用が少なくて済む公共の賃貸住宅

世帯年収の上限があるなど入居するための条件は厳しい
特優賃、UR賃貸、公営住宅には制度の目的や運営母体に大きな違いがある

最近は民間の賃貸住宅で同様のメリットがある物件も増えている

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取材・文/前川ミチコ、SUUMO編集部 イラスト/もり谷ゆみ
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