防音賃貸マンションは 楽器演奏が24時間可能って本当?構造や探すときのポイントを解説

最終更新日 2026年09月01日
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防音賃貸マンションは 楽器演奏が24時間可能って本当?構造や探すときのポイントを解説

おうち時間の増加によって、自宅で楽器を演奏したり、YouTubeで配信したりする人が増えてきました。しかし、一般的な賃貸物件での大きな音を出すのは、近所迷惑になってしまうため、「自宅でも、演奏を思う存分楽しみたい!」という声に応えてくれる防音賃貸マンションが注目されています。結論から言うと、建築段階から徹底した防音工法でつくられた専用マンションであれば、24時間演奏が可能です。ただし、一般的な『楽器相談可』の物件とは構造もルールも大きく異なります。

今回は、楽器演奏可能な防音賃貸マンション「MUSISION(ミュージション)」に潜入! このマンションを企画・運営するリブラン 宣伝部の菅原浩一さん、戸口木綿子さんに、防音マンションの特徴やお金に関わるところまでじっくり伺いました。

防音マンションの特徴とは

防音マンションとは、室内の音が漏れにくく、外からの音も入りにくいよう設計された部屋のことです。周りの生活音も気になりにくいため、静かな環境でゆったりと暮らしたい方にもオススメの物件といえます。ここでは、防音マンションの特徴について見ていきましょう。

工法や設備のおかげで周囲に音が漏れない

防音マンションでは、一室の中に、防音機能が完備された部屋が用意されています。玄関やトイレ、キッチンなどに防音機能はついていませんが、防音室内であれば楽器の演奏が可能です。

MUSISIONの場合、防音室内は一般的な建築構造と異なり、内壁と外壁の間に空気の層を入れることで、より防音性能を高めた設計に。また、窓も二重になっており、自然光を取り入れながら生活することも可能です。建築段階から防音に特化した工法を取り入れ、自室の音が外に漏れないだけでなく、外からの音も聞こえにくい設計になっています。

また最近増えている、YouTubeなどでのライブ配信にもオススメとのこと。ゲーム実況などは夜に配信することも多いので、ご近所トラブルの原因になってしまうことも。防音性能の高いマンションであれば、大声を出しても外に漏れにくいため、配信者も視聴者も安心して楽しめるでしょう。

動画撮影をする男性
動画の配信ライブなどでも、近隣への声や音の漏れが気になるケースは多い(画像/PIXTA)

防音賃貸マンションなど楽器演奏可能な物件に違いはある?

楽器を気兼ねなく弾きたいと考えて物件情報を調べても、「楽器可」「防音」などさまざまな記載があり、迷ってしまう方も少なくありません。防音賃貸マンションは、壁や床、窓などに音を伝わりにくくする対策が施された物件です。一方、「楽器可(相談)物件」は、一定の条件のもとで楽器演奏が認められている物件で、必ずしも高い防音性能を備えているとは限りません。

ここでは、24時間楽器を演奏できる物件や共用の防音室を備えた物件も含め、それぞれの特徴や違いを解説します。

24時間楽器演奏可の物件とは

いつでも好きなときに楽器を弾けるのが、24時間演奏可能な物件のよいところです。こうした部屋は、音が外に漏れないよう特別に考えられています。壁を厚くして空気の層をつくったり、ドアや窓を二重にしたりと、本格的な音楽スタジオのようにつくられているため、夜中や早朝でも時間を気にせず音楽を楽しめるでしょう。

仕事の都合で夜遅くにしか練習できない方や、休日にたっぷり演奏したい方にとって、うれしい環境といえます。ただし、いくら音が漏れにくいとはいえ、窓やドアを開けたまま演奏すると、外に音が響いてトラブルにつながるかもしれません。

演奏する際は必ず窓を閉めるなど、基本的なマナーは守る必要があります。また、このような部屋は数が少なく、家賃も少し高めに設定されている傾向にあるため、あらかじめ予算と相談してじっくり選んでみてください。

「楽器可(相談)物件」は時間や楽器の種類が限られていることも

「楽器可」や「楽器相談」と書かれている物件は、大家さんが特別に演奏を認めている部屋です。先述した本格的な防音マンションとは異なり、建物自体には特別な防音対策がされていないケースも少なくありません。そのため、「朝の10時から夜の8時まで」といったように、演奏できる時間に細かなルールが設けられているのが一般的です。

また、ピアノやギターといった比較的音が小さな楽器は持ち込めても、大きな音や振動が出やすいドラムなどは断られてしまうケースもあるでしょう。自身の弾きたい楽器が本当に演奏できるかどうか、契約前によく確認しておくと安心です。

ルールを守らずに夜遅くに演奏したり、禁止されている楽器を弾いたりすると、ご近所の迷惑になってしまいます。防音設備がない分、家賃はリーズナブルに設定されていますが、その分お互いへの思いやりを大切に過ごす必要があります。

共用の防音室を備えている物件もある

部屋の中ではなく、マンションの住人だけが使える専用の防音室が建物内に用意されている物件もあります。自分の部屋自体は普通の造りとなっています。しかし、楽器を弾きたいときだけ、建物内にある共用の防音スペースを予約して使う仕組みです。

このような物件は、毎月の家賃を安く抑えながら、思い切り演奏を楽しめるのが大きな魅力といえます。普段の生活は静かな環境で穏やかに暮らし、練習のときだけしっかり集中したいという方に向くでしょう。

ただし、他の住人の方とともに使う場所となるため、自分が使いたい時間帯にいつも予約が取れるとは限りません。休日の日中などは、順番待ちになってしまうケースも考えられます。また、使うたびに少しお金がかかる場合や、1日に使える時間が決まっている傾向にあるため、どれくらい頻繁に練習したいかを事前によく検討してみてください。

ピアノを演奏する女性
防音とはいえど、楽器演奏のルールは物件ごとに異なる点には注意したい(画像/PIXTA)

防音賃貸マンションに備えられている防音性能と遮音等級とは?

防音賃貸マンションを選ぶときに確認したいのが、防音性能や遮音等級です。どちらも「音の伝わりにくさ」を示す目安のことです。

防音性能

防音性能は、発生した音をどれだけ小さくできるかを示すものです。例えば「マイナス75dB」と記載されている場合、室内で発生した音を75dB分抑えられることを意味します。

また、音源によって音量が異なるため、必要な防音性能も変わります。以下では、一般的な楽器の演奏時の音量とDr-35の防音室を使用した場合に室外で聞こえる音量、約40dBまで抑えるために必要な低減量をまとめました。

楽器・音源 演奏時の音量の目安 Dr-35の防音室外で聞こえる音量の目安 40dB程度まで下げるために必要な低減量
ピアノ 約90dB 約60dB 約50~55dB
歌声 約100dB 約65dB 約60dB
トランペット 約115dB 約80dB 約75dB
※音量は一般的な目安です。実際の音量や防音効果は、楽器の種類、演奏方法、音域、部屋の構造、施工状況、測定位置などによって異なります。(SUUMO編集部調べ)

音の大きさの目安は、以下の図を参考にしてください。

音の大きさの目安
一般的なマンションの防音性能は、マイナス45~50dBほど。80dbを越えるとうるさいと感じる人が多い(画像制作/藤田倫央)

防音マンションを選ぶ際は、楽器の音をどれだけ下げられるかだけでなく、防音室の外でどの程度の音量になるかも確認することが大切です。

環境省の「騒音に係る環境基準」では、主に住居に利用される地域の夜間は45dB以下が基準とされています。

地域の類型 地域の類型・特徴 昼間(午前6時~午後10時) 夜間(午後10時~翌午前6時)
AA 療養施設が集まる地域など、特に静穏を必要とする地域 50dB以下 40dB以下
A・B 専ら、または主として住居に利用される地域 55dB以下 45dB以下
C 住居とともに商業や工業などにも利用される地域 60dB以下 50dB以下

そのため、自宅で夜間に演奏する場合は、防音室外の音を40~45dB程度まで抑えられるかを、ひとつの目安として考えるとよいでしょう。

遮音等級

遮音等級は、壁や床、開口部などがどの程度音を遮れるかを表す基準です。主に、次のような数値で示されます。

  • D値:壁や床などを通して伝わる空気音の遮音性能
  • L値:上階の足音や物を落とした音など、床衝撃音の伝わりやすさ
  • T値:窓やサッシなど開口部の遮音性能

D値とT値は、数値が大きいほど遮音性能が高く、隣室や屋外に音が伝わりにくいことを示します。一方、L値は数値が小さいほど床衝撃音が伝わりにくく、遮音性能が高いと判断できます。

ただし、防音性能や遮音等級は、窓や扉を閉めた状態での値である点には注意が必要です。どれほど防音性能が高い物件でも、窓を開けたまま楽器を演奏したり、大きな声を出したりすれば、近隣トラブルにつながってしまいます。

防音賃貸マンションを選ぶ際は、数値だけでなく使用ルールや生活マナーも確認したうえで、自分の音の楽しみ方に合う物件かどうかを見極めることが大切です。

防音マンションのメリットとデメリット

楽器演奏を趣味にする人であれば、わざわざスタジオに行かなくても自宅で演奏できることは、大きなメリットに感じられるでしょう。また、「映画を大音量で楽しみたい!」「周辺の生活音を気にすることなく過ごしたい!」という人にも、防音マンションはおすすめなのだとか。防音マンションのメリットとデメリットをまとめてみました。

メリット
  • 楽器の音はもちろん、生活音も気にならない
  • 機密性に加えて、断熱性も高い
  • 好きな時間に、好きな音量で音楽を楽しめる(物件によってルールがあることも)
デメリット
  • 壁の厚みが増えるので、部屋が少し狭くなってしまう
  • そもそもの物件数が少ない
  • 周辺のマンションと比べると賃料が高くなってしまう

防音賃貸マンションや楽器可物件を探すときのポイント

防音賃貸マンションや楽器可物件は、一般的な賃貸物件に比べると数が限られています。希望するエリアや家賃、間取りなどの条件も含めて探すと、なかなか見つからないこともあるでしょう。ここでは、防音賃貸マンションや楽器可物件を探すときに確認したいポイントを紹介します。

防音マンションや楽器可の条件で検索する

防音賃貸マンションや楽器可物件は数が限られるため、SUUMOなどの物件検索サイトで「楽器演奏可」といった条件を絞って探しましょう。防音室を希望する場合は、「防音室」「防音マンション」などのキーワードで検索する方法も有効です。

演奏条件や防音性能を契約前に確認する

「楽器可」と記載されていても、演奏できる楽器の種類や時間帯、防音性能は物件ごとに異なります。使用したい楽器や演奏時間を不動産会社に伝え、賃貸借契約書や使用細則も確認しておきましょう。

一般的な賃貸物件の中で防音性の高い部屋を探すポイント

防音マンションが見つからない場合は、一般的な賃貸物件の中から、比較的音が伝わりにくい部屋を探す方法もあります。ここでは、構造や壁、床、窓など、確認したいポイントを紹介します。

構造

建物を支える骨組みの種類は、音の伝わりにくさに大きく関わります。特に音が漏れにくいのは、鉄筋コンクリート造(RC造)や、さらに頑丈な鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と呼ばれる建物です。コンクリートの壁は隙間がなく、重くてとても硬い性質を持っているため、音をしっかりと跳ね返してくれます。

一方、木造や軽量鉄骨造の一般的なアパートは、楽器演奏のような大きな音を遮ることを前提に設計されていない場合があります。

ただし、RC造やSRC造であっても、壁の厚さや間取り、窓や換気口の仕様によっては音が漏れます。構造だけで判断せず、防音設備の有無や楽器演奏が契約上認められているかも確認することが大切です。

壁材

部屋と部屋を区切る壁に何が使われているかも、音が漏れないようにするための重要な要素です。先述のとおり、コンクリートの壁は音を遮る力が強い傾向にあります。しかし、その厚みや壁の下地材や仕上げ材にも注目してみてください。

一般的に壁は厚いほど音は聞こえにくくなりますが、内部構造によって音の伝わりにくさは変わります。

不動産会社の方に部屋を案内してもらうときは、「音を防ぐ工夫はされていますか?」と尋ねて確認してみてください。

床材

マンションで暮らす場合、下の階に音が響かないかどうかも気になるところです。特に、ピアノのペダルを踏むときの振動や、足でリズムをとるトントンという音は、床を伝わって響きやすくなります。このような振動を防ぐためには、床の下にクッションのような柔らかい素材が敷かれているかどうかがポイントです。

また、コンクリートの上に直接フローリングを張るのではなく、間に空間を空けて床を支える「二重床」という造りになっていると、音が下の階に伝わりにくいため安心できるでしょう。

床の硬さや防音の仕組みによって、足音や物を落としたときの響き方は大きく変わってきます。見学の際に軽く歩いて、響き具合を確認してみるのもよいでしょう。

窓・サッシ

実は、建物の中で音が漏れやすい場所は「窓」だといわれています。どんなに壁を分厚くしても、窓に隙間があるとそこから音が逃げてしまうためです。そのため、本格的な防音マンションでは、窓ガラスが二枚重ねになっている「複層ガラス」や、窓枠ごと二重に取り付けられている「二重サッシ」などがよく使われています。

窓が二重になっていると間に空気の層ができるため、音が漏れるのを防ぐのはもちろん、外からの車の音なども入りにくくなるでしょう。

また、部屋の熱が逃げにくいため、冬は暖かく夏は涼しく過ごせ、光熱費を抑えられるのもうれしいポイントです。部屋を見学する際は、窓の造りも忘れずに確認してみてください。

賃貸住宅の内見をする男性
物件を見学するときには、構造だけでなく床や壁、窓もチェックしたい(画像/Adobe Stock)

防音マンションのMUSISIONに潜入してみた

ここからは、2022年8月に竣工した「MUSISION 川崎本町」に実際にお伺いしたので、その特徴を見ていきましょう。

「MUSISION 川崎本町」3Kタイプの間取り
「MUSISION 川崎本町」3Kタイプの間取り(画像提供/リブラン)

上記は、MUSISION 川崎本町の間取りの一例です。特徴的なのは、「防音室」と書かれた部屋。こちらは、音楽スタジオ並みの高い遮音性能をもつ工法でつくられており、隣接した部屋に音が漏れにくいだけでなく、振動も伝わりにくい構造になっています。

また、玄関やキッチンから防音室へとつながる扉は、音楽スタジオでも使われている「グレモンロック」を採用。レバーとロックが一体化しているため、高い防音性を保てます。4.6畳の洋室に続くドアは二重扉になっており、さらに高い遮音性を実現。そのため、二重扉を閉めておけば、間取りの中央にある9畳の防音室でピアノの演奏をしていても、4.6畳の部屋にいる人にはほとんど音が聞こえません。

グレモンロック
MUSISIONでは通常のドアと同じタイプの取手
音楽スタジオなどで使われる一般的な形の「グレモンロック」(画像上)。MUSISIONでは通常のドアと同じタイプの取っ手(画像下)が採用されている(画像上:画像制作/藤田倫央、画像下:画像提供/リブラン)

一人暮らしだけでなく、家族やパートナーがいても、音のことを気にせずに自分の時間を過ごせるのは、防音マンションならではの価値かもしれません。

MUSSIONの二重扉
4.6畳の洋室につながる、二重扉。この部屋にいても来客がわかるよう、洋室内には光でインターフォンをお知らせしてくれる装置も設置されている(撮影/杉山大祐)

ちなみに、9畳の防音室や4.6畳の洋室(防音室)、バルコニーへと通じる窓はすべて二重になっており、防音性能を保ちながら、部屋の中に光を取り入れて生活することができます。あくまで「暮らすこと」がメインに考えられている点はうれしいですよね。

音響製品が接続できる200Vの電源を完備

200V用の電源
電子音楽をやる人には欠かせない200V用の電源も完備。音楽スタジオと同じ施設条件で練習できるのはうれしいポイント!(撮影/杉山大祐)

音響設備を使っている方であれば、電源も気になるところ。通常、コンセントの電圧は100Vですが、ギターアンプやオーディオでは200Vの電源を使うことも。MUSISIONではあらかじめ200Vの電源が設置されています。

通常のマンションであれば別途電気工事が必要で、管理会社や大家さんに確認が必要だったり、そもそも賃貸物件では工事ができなかったりする場合も少なくありません。そのため、あらかじめ200Vの電源が設置されているのはうれしいポイントですね。

グランドピアノの搬入にも対応できるエレベーター

「MUSISION」では、部屋の中だけでなく、設備も楽器演奏者向け仕様となっています。中でも特徴的なのがエレベーター。グランドピアノをお持ちの方が引越しする際、エレベーターに入らず、クレーン車などにより吊り上げて搬入……といったことがないように、広めに設計されたエレベーターが付いています。

周辺物件と比べて賃料は3割増し

ここまでメリットばかりをご紹介しましたが、賃借人にとってほぼ唯一のデメリットを挙げるとしたら、建築コストの高さからくる家賃の高さでしょう。周辺相場と比べて3割ほど高くなっているのが一般的です。お部屋の広さや間取りと相談しながら、物件を選ぶようにしましょう。

楽器演奏をする方であれば、スタジオへの移動費や利用料などが必要なくなる、好きな時間に効率よく作業できる、などのメリットもあるため、一概に「高い」ともいえません。音楽活動に関わる費用を洗い出し、自分なりのメリットとデメリットを比べてみるのがオススメです。

リブラン 宣伝部の菅原さんによると、防音マンションの選び方にもポイントがあるのだとか。

「防音性に特化した音楽スタジオとは違い、防音マンションは当然ながらその中で生活することを前提に考えられるべきです。もちろんMUSISIONでは、快適に暮らすことを第一に考え、建築・設計しています。物件を選ぶ際には、防音性だけでなく、日当たりや風通しなど、楽器演奏しない時でも心地よく暮らせる空間であるかどうかを見極めることが大切です。また、24時間、ご自身の演奏する楽器が使用可能かどうかは、念のため、事前に不動産会社に問い合わせることをオススメします」

「MUSSION品川中延」のモデルルーム
「MUSSION 品川中延」のモデルルーム。防音性を保ちつつ、暮らすことを前提とした設計がされているという(画像提供/リブラン)

実験! 本当に隣の部屋に音は漏れていないの?

実際にどれくらい音が漏れないのでしょうか? MUSISIONさんの動画から確認してみましょう。

ちなみに、「MUSISION 川崎本町」でも実験してみました。この日は、オペラ歌手としても活躍されている(!?)リブラン 宣伝部の戸口さんに歌っていただいている間、隣室へ移動。どれくらい遮音されているか実験します。

騒音機を持ちながら歌ってもらったところ
実験のために騒音機を持ちながら歌ってもらったところ、なんと106.8dbを記録!(撮影/杉山大祐)

隣室へ移動しましたが、全く戸口さんの声は聞こえてきません。漫画に出てくるような「し~~~ん」という状態で驚きました。

実際に遮音性能を測るためには、dB(デシベル)という単位が使われます。人間がうるさい! と感じるのは、80dBから。戸口さんの歌声を測ったところ約100dBだったので、救急車のサイレン以上の音量でした……(すごい!)。

一方、「MUSISION 川崎本町」では、マイナス75dBの防音性能を実現しています。戸口さんが約100dBで熱唱していても隣室には25dB程度しか伝わりません。25dBは鉛筆で書いている音に相当し、実際ほとんど聞こえませんでした。これなら、お互いの音を気にすることなく過ごせますね。

当たり前のことですが、防音性能は窓・扉をしっかり閉めた状態での数値です。窓を開けて楽器演奏したり、大声を出したりすることは近隣トラブルにつながります。必ず、窓や扉を閉めた状態で音楽を楽しむようにしましょう。

「MUSISION」で演奏できる楽器は生ドラム以外ならOK

楽器演奏に特化したマンション「MUSISION」に興味を持っても、自分が普段弾いている楽器を持ち込めるのかどうか不安に感じる方も少なくありません。一般的な物件では断られやすい楽器でも、ここなら気兼ねなく楽しめる可能性があります。具体的な対応状況について、見ていきましょう。

「MUSISION」では、どこまで演奏が可能なのでしょうか? 以下の一覧にまとめてみました。

●グランドピアノ ●ホルン ●ファゴット
●電子ドラム ●作曲 ●オルガン
●ギター ●エレキベース ●トランペット
●レコーディング ●サックス ●バイオリン
●ホームシアター ●エレクトーン ●アコーディオン
●トロンボーン ●ビオラ ●ウクレレ
●マンドリン ●チェロ ●ハープ
●ターンテーブル ●胡弓 ●クラリネット
●琴 ●三味線 ●ボーカル(声楽)
●オーボエ ●チューバ ●マリンバ(木琴)
●フルート など

※演奏可能楽器および時間は、物件により異なります。詳しくはお問い合わせください

基本的に、ほとんどの楽器が演奏できます(例外として、生ドラムや太鼓はNGとのこと)。物件ごとに利用可能な時間や楽器は変わるため、入居前に必ず確認するようにしましょう。

楽器演奏だけじゃない!防音賃貸マンションが選ばれる新たな用途

防音マンションと聞くと、音楽家や楽器を練習する方だけの特別な住まいだと思っている方もいるでしょう。実は最近、全く別の目的でこうした部屋を選ぶ方が増えてきています。わざわざ家賃を高めに支払ってでも、音漏れしにくい環境を求める背景には、どのような理由が隠されているのでしょうか。近年注目を集めている新しい活用方法を紹介します。

動画配信やゲーム実況での「大声・夜間配信」対策

インターネットを使って、ゲームのプレイ画面やトークを動画で配信する方が増えています。特にゲーム実況などは、仕事や学校が終わった夜遅い時間から始まる傾向にあり、ゲームの展開についつい盛り上がって大きな声を出してしまうケースも少なくありません。

普通のマンションでは、夜中の笑い声や歓声は近隣の迷惑になり、苦情につながる可能性があります。しかし、音が漏れにくい防音マンションなら、夜間でも声の大きさを気にせず、のびのびと配信を楽しめるでしょう。

視聴者の方に向かって元気いっぱいに話しかけられるため、より魅力的な動画づくりに集中できると、配信を趣味や仕事にする方からも喜ばれているようです。

在宅ワーク(Web会議)や自宅録音での「外部ノイズ」遮断

自宅で仕事をする方が増えたことで、静かな環境を求めて防音マンションを選ぶケースもあります。例えばパソコンを使ったWeb会議の最中に、外を通る車の音や工事の音が入り込んでしまい、相手の声が聞き取りづらくて困った経験はないでしょうか。

防音マンションは自分の音を外に出さないのはもちろん、先述のとおり外からの音を部屋の中に入れないようつくられています。そのため、時間帯を問わずいつでも静かな空間で集中して仕事に取り組めるでしょう。

また、声の仕事をされている方や自宅で音楽を録音したい方にとっても、余計な雑音が入らないきれいな音源がつくれるため、本格的な作業部屋としてとても重宝されています。

パソコンで編集作業をする女性
声の仕事をしている人にも防音賃貸マンションは求められている(画像/Adobe Stock)

防音賃貸マンションに住んでいる人はどう感じている? 住民インタビュー

防音賃貸マンションに実際に住んでいる人はどのように感じているのでしょうか。オンライン取材で聞いた感想をご紹介します。

1人目 細見豊さん(作曲家/ボイストレーナー)

7~8年前に「MUSISION」の存在を知り、1年半前から念願叶い入居。入居後は、音楽教室で講師をしながら、自らの音楽活動も。「引越してから公私共に大充実!」と語る細見さんに、防音マンションのメリットを伺いました。

細見豊さん(作曲家/ボイストレーナー)
細見豊さん(作曲家/ボイストレーナー)(画像提供/細見豊)

「不満がひとつもないんです(笑)。僕が住んでいるところはメゾネットタイプなので、天井も高く、声をのびのび出せるところもうれしいですね。これまではスタジオを借りていましたが、閉塞感あるスタジオで歌うのと、天井が高い部屋で歌うのとでは声の伸び方も違ってくるんだと実感しました。それに歌の練習をしたり、キーボードで作曲をしたり、いろんな種類の音を出していますが、周りから何か言われたことは一度もありませんね。僕が部屋にいても、周りからの音が聞こえてこないので、音に関して気を遣わなくていいのは大きなメリットです」

2人目 辻寛子さん(マリンバ奏者)

知り合いから「MUSISION」の情報を聞いたことをきっかけに、5年ほど入居している辻さん。防音マンションに住む前は、完全に防音するなんて不可能だと思っていたそう。実際に入居してみて感じたことを伺いました。

辻寛子さん(マリンバ奏者)
辻寛子さん(マリンバ奏者))(画像提供/辻寛子)

「演奏家は、隣人や周りの人に配慮して生活するのが当たり前……と思っていました。入居して、本当に聞こえないんだ! と怖くなるほど驚きましたね。お隣さんとは『お互いに何かあったら、声を出しても聞こえないから、壁を叩いて知らせようね!』と言っているくらい(笑)。私はマリンバ奏者なのですが、やはり常に楽器と一緒にいたいという気持ちが強くて。大きな楽器なので、スペース確保が大変なんです。次に引っ越すなら、ワンルームタイプではなく、2~3部屋あるところにしようと考えています」

3人目 佐藤佑美(ピアニスト)

ドイツへの留学経験もある佐藤さん。帰国後、ピアノ演奏が可能な物件を探している中で「MUSISION」を発見! 24時間好きなときに音を出せることに魅力を感じて入居されました。防音マンションならではの特徴を伺います。

佐藤佑美(ピアニスト)
佐藤佑美(ピアニスト))(撮影/山田翔)

「私自身が夜型の人間で、深夜でもピアノ演奏が可能な物件を探していました。でも、なかなか自由に演奏できる物件はなく……。そんなときに見つけて入居しました。自分の生活スタイルを変えることなく暮らせるのは本当にありがたいと感じましたね。ついこの前も、友人のピアニストが体調を崩してしまい、前日に演奏会の代役を頼まれたのですが、譜面をオンラインで送ってもらい夜通し練習できたのは助かりました」

※本記事で紹介している防音賃貸マンション(MUSISION)は、一般的な楽器相談可物件とは異なり、高度な防音設計(D-75からD-85基準)が施されています。ただし、窓や扉の閉め忘れや、床を直接伝わる強い振動(打楽器など)によっては響く場合もあるため、高い性能を過信せず、ルールを守って演奏することが、快適な防音ライフを続ける秘訣といえます。

防音賃貸マンションを探すときのポイント

建物の性能に納得できる物件を見つけても、すぐに契約してしまうのは少し待ってください。いざ住み始めてから「思っていたように音楽を楽しめない」と気付いても、簡単に引越しをやり直すことはできません。不動産会社の窓口で失敗しないために、どのような点に注意して相談すべきか、具体的なポイントを解説します。

演奏可能な楽器をチェック

「楽器が弾ける部屋」と紹介されていても、どのような楽器でも自由に弾けるとは限りません。マンションごとに、持ち込める楽器の種類が細かく決められているケースがほとんどです。例えば、電子ピアノやアコースティックギターなどは比較的認められやすい傾向にあります。

しかし、音が大きく響きやすいトランペットなどの管楽器や、床に振動が伝わってしまうドラムなどの打楽器は、近隣への配慮から断られてしまうケースがよく見られます。

自身が弾きたい楽器の名前を不動産会社の方にしっかり伝え、その楽器を弾いても問題ない部屋かどうかを初めに確認しておきましょう。確認を忘れてしまうと、入居した後に演奏を止められてしまうかもしれません。

音を出してもよい時間帯を確認

弾ける楽器の種類と同じくらい重要なのが、音を出してもよい「時間帯」のルールです。先述の24時間いつでも弾ける本格的な防音マンションを除き、多くの物件では「朝の9時から夜の8時まで」といったように、楽器を弾ける時間が細かく決められています。

もし自身が仕事をしていて、家に帰るのが夜遅い場合、せっかく部屋を借りても平日は全く練習できないといった事態になるかもしれません。自身の生活リズムを振り返り、決められた時間の中で無理なく楽器を楽しめるかどうかを事前によく考えておくのが重要です。

決められた時間を少しでも過ぎてしまうと、近隣の方に迷惑をかけてしまうため十分に注意してください。

予算の上限を決めておく

防音の設備が整った部屋は、一般的なマンションと比べて家賃が高めに設定されています。壁を厚くしたり特別な窓を取り付けたりと、建物をつくるための費用がたくさんかかっているからです。

おおよその目安として、同じ広さの普通の部屋と比べると、家賃が3割ほど高くなるケースも珍しくありません。そのため、部屋を探し始める前に、毎月いくらまでなら無理なく家賃を支払えるか、予算の上限をしっかり決めておくのが重要です。

ただし、これまで外の音楽スタジオを借りて練習していた方であれば、スタジオ代や行き帰りの交通費がかからなくなります。そうした浮いたお金も合わせて考えると、案外お得に住めることもあるため、全体の出費を見直してみるのもオススメです。

ドラムセット
物件を探すときには、演奏可能な楽器も必ずチェックしておきたい(画像/PIXTA)

自分が発する音も、外からの音も気にならないのが「防音マンション」

実際に防音マンションの利用者さんにお話を伺うと、「防音マンションを知ってしまうと、これまでの生活には戻れない」と語る方もいらっしゃいました。周りの迷惑にならないように静かに過ごす、夜の時間は大きな音を出さないなど、周りに気を遣う生活が当たり前の昨今ですが、防音設備が整っていれば、マイペースな生活が可能になります。

また、小さなお子さんがいるご家族も、防音マンションに住んだことで「ご近所さんに迷惑なのでは?」と心配することが減ったとの声も。音楽をする人も、生活音が気になる人も、ご近所さんと生活スタイルが異なる人も、さまざまな人に防音マンションはオススメできると感じます。

物件数が少ない防音マンションですが、物件数が限られるため、見つからない場合は、一般的なRC造マンションなどを選び、防音カーテンや吸音パネル、防音ブース(一畳サイズの簡易防音室)を自費で設置するという選択肢もあります。

音楽を楽しみたい人だけでなく、自分らしく暮らしたい、周りを気にせず暮らしたい人は、「防音マンション」や楽器可・相談可の物件を検討してみるのはいかがでしょうか?

まとめ

楽器可物件は、楽器の演奏が認められていても、防音性能が高いとは限らないため、音漏れへの配慮が必要

物件探しでは、RC造などの建物の構造に加えて、演奏可能な楽器の種類や音を出してよい時間帯の確認をしよう

防音マンションは家賃が高めだが、近年は楽器演奏だけでなく動画配信や在宅ワークにも活用されており、物件数も少ないため予算の上限設定が重要

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編集:ノオト、SUUMO編集部
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