働き方が多様化する現代、小さなオフィスや自宅を仕事場とする”soho”というワークスタイルが広まりつつある。soho向けの物件も増えているが、実際のところsoho物件ってどんな物件? オフィスとの違いは? メリット・デメリットは何?などの疑問をこちらで解説しよう。
「soho」とは”Small Office Home Office” の略語で、小さなオフィスや自宅を仕事場とする働き方、またはその仕事場、物件のこと。場所や時間にとらわれないワークスタイルのひとつとして注目され、soho可の賃貸物件も増えているようだ。
ただし、仕事の内容などによっては、soho物件ではできないことも。その場合はオフィス物件を探すことになるが、soho物件・オフィス物件の違いは? 賃貸物件の管理運営を手がけるハウスメイトマネジメントの伊部尚子さんに聞いてみた。
「物件は『居住用』と『事業用』で契約が違い、税金や保険も変わります。soho物件は、あくまで住むことを前提とした『居住用』の契約。ところが、仕事場に不特定多数の人が出入りする、看板を出すなどは、『居住用』の範疇を超えてしまい、soho物件では不可能なため、『事業用』であるオフィス物件を探すことになります」(伊部さん)
さらに「soho物件、オフィス物件の間をとって、シェアオフィスやコワーキングスペースという選択肢もあります」。つまり、事前にどんな仕事をするのかを不動産会社に詳しく説明し、視野を広げ、自分の働き方に合った物件を選ぶことが大切だ。
soho物件に向いているのは「あまり来客がなく、仕事のやりとりがメールや電話や郵送などでできることが多い仕事」。具体的な職業でいうと、フリーランスのライターやデザイナー、プログラマーなどは向いているといえそうだ。
ほかにも「例えば保険の営業など、来客があったとしても不特定多数ではなく、決まったお客さんがたまに来るといった業態なら、soho物件でも問題ないでしょう」(伊部さん)
メリット |
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あくまで「居住用」であるsoho物件では、一般の入居者への配慮も重要。
「不特定多数の人や大きな荷物が頻繁に出入りするような仕事の場合、一般の入居者への不安や迷惑につながりかねないため、認められないこともあります。一般の入居者と生活パターンが変わらない仕事かどうかがチェックされています」(伊部さん)
また、soho物件を探す際に知っておきたいのが「soho物件は、最初からsoho用に企画されたものもありますが、住居として企画されて後からsoho可にした物件が多いということ。居住専用物件の中に入っているsoho可能物件の場合、例えばネットの回線が遅い、電気の容量が増やせないなどといった物件もあるのでチェックしましょう」
デメリット |
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自分の仕事はsoho物件が借りられるかどうかは不動産会社に相談しよう。
sohoに向いている物件を探すには、間取りも重要なポイントのひとつ。
soho可物件でも、もともと住居用として企画された物件はsohoに適した間取りでないものが多いそう。間取りの見極め方を伊部さんに聞いてみました。「まず、仕事の動線と普段の生活の動線がしっかり分かれていることが重要。仕事中にリビング・ダイニングや寝室などプライベートな部屋を通らずに済む間取りなら、仕事に集中できます」
また、たまに来客があった場合のことを考えると、トイレへの行きやすさも重要。「オフィス空間からもプライベートな部屋からもトイレに行きやすいか、トイレに行くのに浴室の脱衣所を通らないかなどもチェックしましょう」
働き方の多様性が広がるなか、今後ますます注目を浴びそうなsoho物件。物件検討中の人も、これから物件を探し始める人も、自分の仕事内容について不動産会社によく説明し、ぴったりな部屋を見つけてもらおう!