「敷引き」とは? 西日本特有の賃貸借契約のルールを知っておこう

家を借りる際に支払う敷金・礼金の仕組み、実は全国どこでも共通のルールというわけではない。西日本では賃貸借契約に「敷引き」という制度が採用されていることがあるのだ。この言葉に耳なじみのない人もいるかもしれないが、いざというとき戸惑わなくてもいいように、「敷引き」のルールを知っておこう。

●お話を伺った方
明海大学不動産学部教授 不動産鑑定士
中村喜久夫さん

「敷金・礼金」と「保証金・敷引き」って何か違うの?

西日本の賃貸借契約では、昔から「敷引き」という商慣習があり、今もなお続いている。中村さんによると、「敷引きとは、預けた敷金の一部を返金しない特約のことです。『戻ってこない一時金』ですので、礼金と同じと考えてよいでしょう」とのこと。

また、敷引きと合わせてよく使われる言葉が「保証金」だ。こちらも「名称が違うだけで、『物件を借りるときに大家または管理会社に預けるお金』という意味では敷金と同じ意味で使われるのが一般的です」(中村さん、以下同)

つまり『保証金・敷引き』がセットで表記されている場合、戻ってくるのは保証金から敷引きの額を引いた金額となる。なお、物件によっては『敷金・敷引き』と表記されていることもあるが、保証金と敷金は同じ意味なので考え方は変わらない。

実は敷金に関して、これまで法律による定義はなかったが、2017年6月2日に公布(2020年4月1日より施行予定)された改正民法にて明文化された。加えて、敷金は契約終了後、賃貸物件を明け渡す際に、未払い分の家賃や、修繕費などにおける賃借人の負担分を差し引いた金額を返還しなければならないことも明記されている。

参考:法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

敷引きの相場はどれくらい? そもそも敷引きがある物件は多いの?

2018年の1~3月にSUUMO賃貸に掲載された西日本の物件をもとに、保証金と敷引きの相場を調べてみた。すると、保証金の相場は家賃の約1.8カ月程度、敷引きは家賃の1.6カ月程度だった。一方、敷金の相場は家賃の約1.6カ月分、礼金の相場は約1.2カ月分だったため、敷金・礼金のほうがやや初期費用が高いが、その分、後々手元に戻るお金も多い傾向にあるようだ。
※「保証金」および「敷金」の相場は、「敷引き」を採用していない物件も含めて算出

但し、敷引きや礼金が高い代わりに、更新料を取らない、あるいは家賃を安くしているなど、賃借人が支払う費用全体でバランスを取っているケースもある。そのため、相場より敷引きの金額が高いから、単純に負担が大きいとは言えないので注意が必要だ。

関西よりも九州が多かった! 「敷引き」は減少傾向

かつては関西地方で多く見られたという「敷引き」制度も、近年、減少傾向にあるようだ。実際に敷引きを採用する物件の数を調べてみると、2016年~2018年のデータを比較すると、どのエリアも減少していることが分かる。

なかでも興味深いのは、関西や福岡に多いと言われてきた敷引きの文化だが、九州の特に長崎県の割合が一番高かった。しかし割合が高いといっても、全体の1割にも満たない地域がほとんどである。 

敷引きを採用した物件の割合(都道府県別)

都道府県 敷引き物件の割合
1 長崎県 14.8%
2 鹿児島県 8.9%
3 熊本県 8.6%
4 福岡県 4.4%
5 島根県 4.0%
6 大分県 2.9%
6 佐賀県 2.9%
8 香川県 2.5%
9 京都府 2.1%
9 滋賀県 2.1%
11 広島県 1.5%

※1%未満は省略

一方で、敷金(保証金)・礼金(敷引き)がない、いわゆる「ゼロゼロ物件」の割合が少しずつ増えていることがデータから見て取れる。特に関西の伸び率が高いということも、ひとつの特徴だ。

西日本全体的にみても、敷引きを採用した物件は減少傾向にあるが、“敷引き物件”に出合ったときのためにこのような地域性のある商習慣を覚えておいて損はないだろう。

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取材・文/宮崎 林太郎(ブリーズ) イラスト/Studio CUBE.
公開日 2018年08月08日
最終更新日 2018年08月28日
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