賃貸住宅のトラブル事例と解決法~隣人トラブル編~

賃貸住宅のトラブル事例と解決法~隣人トラブル編~

細心の注意を払って家探しをしても、「住み始めてから問題が出てきてしまった……」なんてことはよくあるもの。特に、隣人とのトラブルは、未然に防ぐのは難しい場合が少なくない。そこで今回は、隣人トラブルで悩んでいる人に向けて、トラブル事例と解決法を紹介しよう。

お話を伺ったのは
永田徹さん

ミニミニ関東本部管理部部長。賃貸住宅の管理を長年にわたり手がける。宅地建物取引士

森田雅也さん
弁護士。法律事務所オーセンス所属。賃貸住宅をはじめとする不動産や相続にまつわる案件を数多く担当している。著書に「自分でできる『家賃滞納』対策」(中央経済社)がある

よくあるトラブルは騒音、におい、マナー違反

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隣人とのトラブルでよくあるのが、生活音や子どもの走り回る音などの騒音問題、タバコやごみ、ペットなどのにおい問題、それにゴミ出しやあいさつなどのマナー違反などだろう。なかでも「もっとも相談が多いのは騒音トラブルです」と話すのは、賃貸住宅の管理を手がけるミニミニの永田徹さんだ。「友人を呼んで夜中に話し込んでいたら、隣から壁を叩かれたというのはよくある話。なかには下の階の人から天井を棒で叩かれたり、新聞受けにホースを突っ込んで水をまかれたり、といったケースもあります」

音の問題は人によって感じ方が違うこともあるので、トラブルを完全に回避するのが難しい面がある。自分では注意しているつもりでも、隣人や下の階の住人から苦情を言われてしまうこともあり得るのだ。また逆に、他人の出す音に自分が悩まされるケースももちろん考えられる。「上の階の人がいやがらせのようにわざと椅子から飛び降りて音を立てるというケースもありました」と、賃貸住宅のトラブルに詳しい弁護士の森田雅也さんは話してくれた。

ペットをめぐるトラブルは、ペット不可の賃貸住宅でルールを破ってペットを飼う住人がいると発生するケースが多い。「ペット可物件ではお互いさまなのでトラブルはさほど多くはありません。トラブルになりやすいのは、賃借人を確保するために大家さんが途中でペット可に変更してしまうケース。先に入居していた人が動物アレルギーだったりすると、『ペット不可のはずなのにどうして隣の人は飼っているの?』ともめることになりかねません」(永田さん)

マナー違反の代表例はゴミ出しだろう。ゴミ収集の曜日や時間を守らなかったり、分別されていないゴミを出してしまったりするケースは後を絶たない。「集合ポストに置いてあるチラシ用のゴミ箱に、生ゴミが捨てられていたケースがありました。当社に連絡がありましたが、住人が出したのか、近隣の人が置いていったのか、結局は分からずじまいでした」(永田さん)このように、悪質なケースもあるという。

隣人トラブルに遭ったら、大家さんか管理会社に相談するのが先決

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こうした近隣トラブルに遭遇してしまった場合、どうすればよいのか。「まずは大家さんか管理会社に相談するのが先決でしょう」と、森田さんは教えてくれた。「トラブルを起こしたときに、苦情を言われた相手と直接話しをすると、余計に対立が強まり、さらなるトラブルに発展するケースが少なくありません」。もちろん、壁を叩かれたからといって叩き返したりすれば火に油を注ぐことになりかねないので止めたほうがよい。

実際に物件を管理する立場にある永田さんも、同じ意見だという。「例えば隣同士の騒音トラブルなら、当人と管理会社の3者で話し合えば、『お互い気を付けようね』ということで丸く収まるケースがほとんどです。子どもの走る音が原因の上下階のトラブルでは、お互いの部屋を交換して1時間ほど過ごしてもらい、上の階の音がどのくらい響くのかを下の階の人に体感してもらうこともあります」

ただ、大家さんや管理会社を介しても、話し合いが難しいケースもある。例えば若い女性の一人暮らしの場合、相手が男性だと、注意をしたこと自体を知られたくない場合もあるだろう。また集合ポストのゴミ捨てのように、だれがトラブルを起こしているのか特定できない場合もそうだ。

そんなとき、管理会社が使うワザが「貼り紙作戦」だ。「まずはエントランスに『近隣からクレームが来ています』というフワッとした内容の張り紙を出します。それでも収まらなければ『これ以上続くようなら部屋を特定し、厳重注意します』と書いて貼るのです。たいていはこれで収まりますね」(永田さん)

弁護士からの内容証明郵便で収まるケースも

それでもダメなら法的手段に移るのだが、その前にもう一つ、強力な手段があるという。トラブルを起こした本人の親に注意してもらうのだ。「若い人の場合は親が身元保証人になるケースがほとんどなので、親から言ってもらうのが一番です」(永田さん)

さて、いよいよ法的手段となると弁護士に相談することになる。その場合もいきなり訴訟になるわけではない。「まずは弁護士事務所から警告の文書を内容証明郵便で相手に送ります。それだけで解決するケースも少なくないのです」(森田さん)

いざ訴訟となると、被害の有無を証明する資料を作成しなければならない。特に騒音トラブルでは実際に音を出している「現場」を押さえなければならないので、室内に騒音計を持ち込んで計測するといった作業が必要な場合もあるという。「自治体の環境条例で基準を定めているケースが多く、普通の会話程度の50dB~65dBを超える騒音が繰り返し発生していると受忍限度を超え、不法行為として認められる場合が多いようです。損害賠償が認められると、数十万円程度の慰謝料が支払われるのが一般的でしょう」(森田さん)

訴訟ともなると大ごとだが、弁護士に相談したからといってすぐに裁判沙汰になるわけではない。訴訟にならないように解決するアドバイスをしてくれることも多いという。最近は弁護士を検索できるサイトなども増えているので、だれに話せばいいか分からない場合は気軽に相談してみるのもよさそうだ。

隣人トラブルは未然に防げる!? 自主管理物件かどうかで対応に差が出ることも

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ところで隣人とのトラブルは、物件探しの段階である程度は未然に防ぐことができる。例えば騒音については、最上階の部屋を借りれば上からの音に悩まされるリスクはなくなる。また隣り合う部屋の間取りを確認するのもポイントだという。「リビングや浴室など音が出やすい場所と隣の寝室が接していると音が漏れやすいですが、例えば隣の部屋の収納と接していれば聞こえにくくなります」(永田さん)

建物の構造が原因となるケースもある。ワンルームなどコンパクトな部屋の場合は、左右どちらかの壁が鉄筋コンクリートではなく、音が漏れやすいブロック造のケースが多い。その場合はブロック造の壁側に家具を置くなどして、生活空間を少しでも壁から離す工夫をしたい。また施工不良などで音が聞こえやすい建物の場合は、大家さんなどに相談して改善してもらう方法もある。「鉄骨造のアパートで隣の留守電も聞こえてしまうケースがありました。大家さんに相談したところご自分でもびっくりされて、すぐに壁に防音材を設置してくれたことも」(永田さん)

なお、不動産会社に相談する場合、その会社が物件を管理しているかどうかで対応に差が出ることがあるという。「大家さんが自主管理している物件の場合、不動産会社に相談しても大家さんに取り継ぐだけになるので、しっかり対応してくれるかどうかは大家さん次第です。不動産会社や管理会社が管理を受託している物件では、住人からの相談にも会社が直接対応するので、隣人との話し合いなどがスムーズに行われることが期待できるでしょう」(永田さん)。なお、その物件が大家さんの自主管理かどうかは借りるときに不動産会社に聞けば分かるので、確認するとよさそうだ。

ちなみに、隣人とのトラブルを防ぐ究極の対策は、「隣人と仲良くなること」(永田さん)だそう。部屋を借りるときには両隣の住人はもちろん、上下階の住人にもあいさつして顔見知りになっておくことが、リスク回避につながるかもしれない。女性の一人暮らしなど、顔見知りになるのが難しいケースでは、信頼できる不動産会社が管理している物件を選ぶことが最良の対策といえるだろう。

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取材・文/大森広司 イラストレーション/杉崎アチャ
公開日 2017年09月15日
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