木造アパートは騒音や耐震性が気になるってホント?性能やメリット、注意点とは

木造アパートは騒音や耐震性が気になるってホント?性能やメリット、注意点とは

木造アパートは、「音が響きやすい」とか「地震のときに不安」などといった印象をもっているという声が聞かれる。ところが、そのような印象は築年数の古い建物から連想されているケースが多い。近年の建築技術のものであれば性能面の改善が進んだ物件も増えているようだ。木造アパートの構造や性能について建築家の佐川旭さんに伺い、近年の木造の賃貸住宅事情を住友林業に取材した。

木造アパートの変化とは

木造アパートも築年数によって性能は変化している

「木造アパートとひとことで言っても、その建築された年度と経営している大家さんの考え方によって、大きく個体差があります」と佐川氏。特に耐震性については1981年と2000年にキーポイントがあるようだ。
「まず1981年の改正では新耐震基準が施行され、木造住宅では耐力壁の量、耐力壁の倍率などが見直され、耐震性が大きく向上しました。さらに2000年に木造建築物の耐震基準を見直す法改正が行われています。建築前の地盤調査が事実上義務化、地耐力に合わせた基礎構造や筋交いを土台や梁・柱に固定する金物や壁の配置バランスなども規定されました。木造アパートを探すときは築年数により性能に違いがあることを頭に入れておいたほうがいいと思います」
加えて2000年には「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が制定され、全ての新築住宅に関し10年間の契約不適合責任が義務付けられた。

アパートの大家さんの意識で住み心地は異なる

また賃貸経営をしている大家さんの意識によっても、木造アパートの住み心地は大きく異なる。
「最近は賃貸市場も変化していて、以前のように貸し手市場ではなく借り手市場へと変化しています。競争原理が働くのでより魅力あるアパートをつくる必要があります」。入居希望者のニーズに応じて、断熱や遮音を新築時はもちろん、リフォーム時にも適切に実施している物件が増えてきているようだ。

「集合住宅では音の問題が一番気になるところです。人によって感じ方が異なるため、基準を定めてルール化するのは難しいのかもしれませんが、しっかり断熱材を入れたり、上下階の場合は床を厚くしたり、衝撃音を吸収する素材を使用するなどが効果的です」。また他の部屋との間取りの関係を確認することも大切だ。隣の部屋がリビングでテレビが寝室に接している場合などは音の問題が起こりやすい。また、2階に住むときは足音の問題を解消するために防音マットや簡易畳、厚手のカーペットを利用する。さらにはブラインドよりも厚手のドレープカーテンとレースカーテンの2重掛けにすることで、保温性が高まったり、多少なりとも音が吸収されたりする。簡単な工夫でも住み心地は変わる。

「なかなか難しいかもしれませんが、適度なご近所付き合いも大事です。普段から何気なく会話する習慣ができていれば、お互いの不快感が減ることがあります。また音がどのくらい相手に聞こえているかを確認しやすいので、双方とも騒音で迷惑をかけることが減ります」

アパートの大家さん
アパートの大家さんの意識も重要

木造アパートのメリット・注意点とは

木造アパートのメリット

佐川氏に木造アパートに住むメリットを聞いてみた。

木造は加工性が高いので、間取りの可変性が高い

「加工性が非常に高いことからリフォームがしやすく、材料が軽量のため奥まった土地や狭小地、変形した敷地でも施工しやすいといった特徴があります。間取り変更や間仕切り壁の撤去などが比較的容易なので、生活スタイルの変化にも柔軟に対応することができます。建築にかかるコストが比較的抑えられるので、家賃自体も安くなるのも大きなメリットです」

実際に住む場合にもデッドスペースが少ない

「鉄筋コンクリ-ト造のマンションは、室内の天井に梁(はり)が出っ張っていることが多く、思ったように家具が置けないこともあります。その点、木造アパートは梁が無くすっきりとした空間なので自由に家具を置けるメリットもあります。またメンテナンスやリフォームの際にも、コンクリートの場合は壁や梁が動かせないなどの制約が多いですが、木造の場合は比較的自由にできます」

さらに火災時やメンテナンスについても次のように話す。
「鉄骨を使った建物は火災時に1000℃を超えると曲がってしまいますが、木材は燃えてもカタチが残っていることが多いのです。フライパンの柄に木を使っていることでもわかるように、熱を伝えにくい性質があるので、一概に燃えやすいとはいえません。ただ、仕上げ材等にもよるのでケースバイケースで考えることです」

木造軸組工法(在来工法)は、住宅だけではなく、神社仏閣など歴史的な建築物でも用いられてきた。法隆寺など1300年前の建築物が残っている。
「適切なメンテナンスをしていれば、しっかりした木造建築の寿命は思っているより長いです。また木材は、湿度を調節する機能をもち通気性が高いのが特長です。気候の変化が大きい日本では木材を使った木造在来工法は、適した工法だと思います」

木造アパートのメリット

・材料費や建築コストが低いことから、比較的賃料が安く設定されている
・鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ、通気性が高い
・火災発生時、すぐには燃えないので逃げる時間はある
・吸湿性に優れている
・鉄筋コンクリート造と違い、部屋の角に梁がないぶん広く使える
・間取りの可変性が高い
・建築技術や素材が発展し、近年の建物は耐久性と耐震性に優れた物件も多い

木造アパートのメリットデメリット

木造アパートの注意点

建物のつくりによって異なるが、木造アパートは、鉄筋コンクリート造の物件に比べ、次のような特徴があると一般的には言われている。

・鉄筋コンクリート造の物件に比べ、
-入居者同士の生活音が聞こえやすい
-建物の保温性が低いため冷暖房の効率は落ちる
-気密性が低く冷暖房が効きづらい

木造に限らず、古い建物や配慮を欠いた建物は、より上記のような傾向が出やすいと言われている。
また、古い木造アパートは木材や建材などの一部に燃えやすい材料が使われている場合もあって、火災発生時に火の回りが早いため、注意が必要だ。

高性能でデザイン性に優れた木造賃貸住宅も登場

最近の木造アパートのメリットを保ったまま、戸建て住宅のノウハウを活かした外観のデザイン、設備・仕様、間取りや暮らし方、エクステリアなどにも工夫した物件も出てきているようだ。住友林業に近年の木造賃貸住宅について話を伺った。

最新木造賃貸住宅の音問題や、耐震・耐火性は?

「木は適切な管理を継続すれば、 再生可能な資源です。地球温暖化対策への関心が高まる今、サステナブルな社会の構築や荒廃する森林などの課題の解決のためにも、木材の循環利用への関心が高まっています。建築後も CO2を炭素として固定し続ける木造住宅 は課題解決に役立っていると思います」と住宅・建築事業本部 市場開発部の大木敦史さん。

木を原料とする建材や耐火性・耐候性を追求した新部材の性能について実大実験など、さまざまな研究開発を行い、木造賃貸住宅の開発にも活かしているそうだ。

木造賃貸住宅の遮音性については、独自開発したオリジナル部材「防振ゴム」と「遮音モルタル板」を使用し、上階からの衝撃音を下階へ伝えない防振構造で床への衝撃音を吸収。遮音等級はL値で表している。ちなみに、軽量床衝撃音はLL値、重量床衝撃音はLH値となる。

※LL 値(軽量床衝撃音)…器物の落下や靴での歩行、いすの引きずりなどによる比較的軽い音に対する性能
LH値(重量床衝撃音)…子どもの飛び跳ねや走り回ったり、椅子から飛び降りたりするときの着地などで発生する重たい音に対する性能

遮音等級と一般的な構造の状況
遮音等級と一般的な構造の状況

住友林業の最新の木造賃貸住宅はLL値35、LH値50を達成している。
つまり、最新木造賃貸住宅の遮音性能は大幅な改善以上の進化を遂げているようだ。

デザイン性に優れた高機能の木造賃貸住宅

耐震・耐火などの性能に加えて、デザイン性に配慮した賃貸住宅も開発された。住宅・建築事業本部技術商品開発部の千葉孝浩さんは「安心・安全や高品質に加え、昨今では環境や街との調和、さらにそこに暮らすことがステータスとなる賃貸住宅が求められています。新たにデザイン力を活かしたデザイナーズ賃貸住宅もあります」と話す。街並みに溶け込みながらも、街のデザインリーダーとして、より一層価値を高めていく賃貸住宅といえそうだ。宅配ボックスや無料インターネットなど人気の高い設備を充実させている。デザインや機能にこだわる人に新しい選択肢となりそうだ。 実際の入居者の方からは、木の雰囲気を感じることができ、性能や住み心地にも満足と高評価を得ているそうだ。

木造賃貸住宅「フォレストメゾン・カレ」外観
木造賃貸住宅「Forest Maison CARRÉ(フォレストメゾン・カレ)」外観イメージ

「貸す」から「つなぐ」に付加価値のある集合住宅 

「人々の暮らしに対するプライオリティが『物の豊かさ』から『心の豊かさ』に変化しているというデータがあります(参考:内閣府「国民生活に関する世論調査」)。それに伴い集合住宅に求められる役割も変わってきていると思います」。加えて変化する賃貸住宅へのニーズに配慮した新しい試みを始めているそうだ。

千葉さんは「建物単体だけではなく、街としての『人と人のつながり』にも留意したプロジェクトを提案しています。例えば平塚市で開発しました『グローブガーデン』は自然の土地の地形を活かしながら、単身、ファミリー、子育て世代からリタイア世代までを受け入れる木造賃貸住宅です」。

「グローブガーデン」大山の風薫る見晴らしの杜
「グローブガーデン」 大山の風薫る見晴らしの杜 棟数・戸数は5棟、12戸

「井戸端会議ができるテラスや家庭菜園をつくり、多世代が集まり、適度なコミュニティが生まれるプロジェクトなどを提案しています。大家さんの自宅が敷地内にあることもあって、積極的に樹木の管理をしたりイベントを開催したりと、入居者ともコミュニケーションを取っていました」と話す。

最近の木造アパートには、性能面の変化だけでなく、入居者のコミュニティを考えた物件も増えてきている。現状の木造アパートを住まい選びの選択肢に入れてみてはいかがだろうか。

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取材・文/四宮朱美
公開日 2020年03月30日
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