「メゾネット」とは? やめたほうがいい? メゾネットタイプの住み心地やメリット・デメリットを解説

最終更新日 2024年04月01日
「メゾネット」とは? メゾネットタイプの住み心地やメリット・デメリットを解説

メゾネットタイプとは住戸ごとに内階段があり、1階と2階などに分かれているマンション、またはアパートです。一戸建てに近い感覚で住めるので、一人暮らしからファミリー層まで広く人気があります。おしゃれや高級感があるというイメージを持つ人もいるようです。いっぽうでデメリットもいくつかあるので「やめたほうがいい」という評価や、「住んでから後悔した」という方もいるようです。

そこで本記事では、これまで数多くのメゾネット物件を設計してきた、田口知子建築設計事務所代表の田口知子さんに、メゾネットタイプの住み心地やそのメリット・デメリットなどを伺いました。内覧時のチェックポイントも紹介するので、検討している方はぜひ参考にしてください。

メゾネット(メゾネットタイプ)はマンション?正しい意味とは

「メゾネット(maisonnette)」とは、フランス語で「小さな家」という意味です。日本では、一般的に集合住宅ながらひとつの室内に内階段があり、2階以上の階層で構成された物件(マンションまたはアパート)のことを指します。この特徴によって、まるで一戸建てのように利用できます。物件によっては、高層階など一部だけをメゾネットにしている場合もあります。

メゾネット施工例1
※画像提供 田口知子建築設計事務所

メゾネットとテラスハウス、ロフトとの違い

ここで「テラスハウスやロフトとはどこがどう違うの?」という疑問が浮かんだ方もいらっしゃるかもしれません。そこで以下では、テラスハウスやロフトとの違いを解説します。

テラスハウスとは?

テラスハウスは、隣りの住居と壁がつながっている低層住宅のことを指します。いわゆる「現代の長屋」的なイメージです。各住戸には専用のテラスや庭があるのが一般的です。メゾネットと同じく、室内は1階・2階など複層階になっています。しかし、テラスハウスは建物の出入り口やエントランス、階段などをほかの住民と共有していません。そのため、テラスハウスのほうがより一戸建てに近い感覚で住めます。

なお、テラスハウスはタウンハウスとしばしば混同されますが、両者は土地の所有形態に違いがあります。テラスハウスでは、住戸ごとに個別で土地を所有するのが特徴です。いっぽうタウンハウスは、テラスや庭など住戸外の敷地はほかの住民と共有する形です。

ロフトとは?

ロフトは、部屋の一部分に中二階を設けたつくりのことです。いわゆる屋根と天井の間にある「屋根裏部屋」をイメージするとわかりやすいでしょう。

建築基準法では、ロフトは「小屋裏物置等」と定義しています。床面積は、設置する階の居室部分の2分の1未満、高さは最大で1.4m以下と決められています。自治体ごとに異なりますが、原則として窓の設置は認められていません。また、換気目的の開口部も大きさが決まっています。ロフトの主な用途としては、物置や洗濯物を干すスペースなどが考えられます。

これに対して、メゾネットは内階段が設置されています。上階部分は居室扱いとなっているので、天井までの高さや窓には特に制限がありません。そのため、ロフトと比べて広々としたスペースが保てます。吹抜けを利用して広々とした立体空間を演出するなど、デザインの自由度が高い点が特徴です。上記のような小屋裏物置等の条件に当てはまっていないロフトもありますが、多くの場合は「内階段の有無」「2階部分のスペースの高さ」「窓の有無とそのサイズ」などによって、ロフトかメゾネットかを判断できます。

「メゾネットの建物を設計する際は、そこで生活する方の自由度が広がるように立体的な空間の利用を心がけています」(田口さん、以下同)

※メゾネット マンション平面図
※メゾネット マンション平面図
※メゾネット マンション断面図
※メゾネット マンション断面図

メゾネットで生活するメリット

一戸建てと同じような居住空間を実現できる

最大のメリットは、いわゆるワンフロアのマンションやアパートと違い、階層ごとに居住エリアをゾーン分けできることです。例えば、1階をリビングとダイニング、2階を寝室などとして利用すれば、突然の来客でもプライベート空間を見られる心配がなく慌てなくてすみます。また、1階を寝室、2階を仕事部屋や趣味の部屋として活用するなど、工夫次第でオンオフの切り替えがスムーズに行えます。

階下住人との騒音トラブルの可能性が低くなる

フラット住戸と比べて生活音をあまり気にせず過ごせるのも魅力です。例えば、子ども部屋を2階に設定すれば、子どもが室内を元気に走り回っても、足音や騒ぎ声、ドアの開閉音などが階下に伝わりにくいので、階下住人との騒音トラブルの心配が軽減されます。

上下階で異なる雰囲気のインテリアが楽しめる

上下階でインテリアの雰囲気を変えても違和感が少ない、といった点も大きなメリットです。例えば、パブリックスペースとなるリビングはラグジュアリーな北欧家具でまとめ、2階の寝室やプライベートルームを自分好みのアジアンテイストに仕上げたり、子ども部屋を大好きなキャラクターモチーフのインテリアでコーディネートしたり、といった楽しみ方もできます。

メゾネット施工例2
※画像提供 田口知子建築設計事務所

十分な採光や通風を確保できる

メゾネットは吹抜けなどの間取り次第で、採光や通風の面でもメリットが生まれます。フラット住戸に比べて高さが確保でき、上階から降り注ぐ自然光で部屋全体を広く明るく見せられたり、ライフスタイルに応じて明るい部屋と暗い部屋の使い分けもできたりします。また、吹抜けによって十分な通風が確保できるので、雨の多い時期でも湿気がこもってしまう心配を軽減できます。

一人暮らしだと十分な広さがある

特に一人暮らしの場合は、十分に広い生活空間を確保できます。1階と2階で用途ごとにゾーンを明確に分けられるので、生活にメリハリをつけやすくなるのは大きなメリットです。例えば1階を在宅ワークなどの仕事空間として使い、2階をプライベート用の空間として使い分けることも可能です。

二人暮らしでもプライベートな空間を確保できる

恋人や友人との二人暮らしにおいても、メゾネットは有力な選択肢です。1階と2階が分かれているため、それぞれのプライベート空間を確保しやすく、適度な距離感を保つことが可能です。お互いの生活リズムが異なる場合でも、寝室が別々になっていればストレスを感じにくくなります。テレワークでWeb会議をする際も、同居人の姿や物音をあまり気にする必要がありません。

収納スペースが豊富にある

メゾネットの物件は一般的なアパートと比べて、収納スペースを豊富に設けているケースがよく見られます。部屋に付属しているクローゼットなどのほかに、階段下に収納スペースが設けられていることもあります。こうした収納スペースを活用すれば、季節家電やシーズンオフの衣服、普段使わないスーツケースなどの収納に使えます。これにより、室内をすっきりと整理整頓しやすく、生活空間をより広く快適に使えます。

メゾネットで生活するデメリット

家事動線が長くなりがち

一方で、メゾネットのデメリットは、設備や間取り次第では、家事動線が長くなってしまう点です。例えば洗濯物を干す際、フラット住戸は洗濯機からバルコニーまで動線が短いことが多く、また、階段も必要ありません。いっぽうでメゾネットの場合、1階に洗濯機、2階にバルコニーが配置されていることも少なくありません。その場合は家事動線が延びるだけでなく、階段の昇り降りが加わります。また、掃除をする際も、階段のあるメゾネットのほうがフラット住宅より負担がかかります。

部屋として使えるエリアが狭くなりやすい

メゾネットは内階段があるせいで、同じ床面積のフラット住戸と比較すると、部屋として使える空間が狭くなりやすいのがデメリットです。ただし、設計次第では開放感のある空間演出もできるので、内覧の際に内階段の配置や印象を確認しておきましょう。同じ内階段でも、らせん階段であればより空間を確保できます。また、普通の階段でも蹴込み部分がなければより解放感を演出できるなど、デザインによっても印象が大きく異なります。

上下階で冷暖房の効率が異なる

冷暖房の効率についてもフラット住戸といくつかの違いがあります。まず、メゾネットは上下方向に空間の容積が大きいため、冷暖房効率が良くないことが挙げられます。熱い空気は上階に抜けるため夏は上層階は涼しくなりにくく、冬は下層階が暖まりにくく、部屋全体が適温になるまで時間がかかります。ただし、こうした条件は間取りや断熱性能、冷暖房設備の良し悪しなどによって変わってくるので、物件ごとに確認する必要があります。

木造のメゾネットだと音が響きやすい

上下階の騒音問題はそれほど問題にならないメゾネットですが、各住戸が壁でつながっているのは一般の集合住宅と変わりません。そのため、隣りの物音が気になる可能性はあります。特に木造のメゾネット物件は、木材の性質上、通気性は優れている反面、音が響きやすいので注意が必要です。また、部屋数が多い場合は子どもを持つファミリー層に人気があるので、話し声や子どもの泣き声などが気になることがあるかもしれません。そのため内覧時には、遮音性や隣りにどのような方が住んでいるかもチェックしておくのがおすすめです。

メゾネットはやめたほうがいい?おすすめなのはこんな人!

メゾネットを選ぶかどうかで考えるべき点は、ご自身のニーズやライフスタイルに合っているか、ということです。メゾネットは、デメリットが多くやめたほうがいいという方もいらっしゃるかもしれませんが、この点を軸にしっかり考えて物件選びをすれば、納得の住居選びができます。引越してから、「こんなはずじゃなかった」と悔やむこともありません。

「集合住宅のなかでも、メゾネットは戸建て住宅のような住み心地を求めている方に加え、ゾーニングしやすいためプライベートなスペースをしっかりと分けたい方や来客の多い方に最適です。また、フラット住戸と比べて生活音を気にせず過ごせることから、子どものいるファミリー層にも良いでしょう」

メゾネット施工例3
※画像提供 田口知子建築設計事務所
メゾネット施工例4
※画像提供 田口知子建築設計事務所

「そのほか、家事動線が長くなりやすいということは、その分だけ階段の昇降を含めて体を動かすことにもつながります。なかには『階段は危険』というイメージを持っている方もいらっしゃると思いますが、安全面までしっかりと考慮された設計であれば、階段はお年寄りや子どもにとって危険なものではないのです。むしろ、健康のための適度な運動になるというメリットとして捉えることもできると思います」

メゾネットで後悔しないために内覧時にチェックすべきポイント

メゾネットタイプの部屋を見学するときは、どんな点に注意すれば良いのでしょうか。ここまで紹介してきたメリットと注意点を踏まえたうえで、ポイントを確認していきましょう。

ライフスタイルに合う間取りかチェックする

まず行いたいのは、生活動線のチェックです。
特にキッチン、洗面、トイレ、バスなど、毎日使う水まわりが上下階のどちらにあるか、設備の配置と位置関係を見たうえで、家族のライフスタイルに合っているかを確認しましょう。

例えば、帰宅時間や食事時間がずれることの多いご家庭であれば玄関やトイレ、手洗い、リビングと寝室が別フロアにあるとストレスなく暮らせます。また、2階の水まわりの配管近くに寝室があると水流音によって安眠を妨げてしまう可能性があります。上下階の配置、声や生活音の響き方も確かめておきましょう。

階段の幅や高さ・角度をチェックする

階段は、図面や写真だけではわかりくいため、現地でしっかりチェックしましょう。特に足をつく踏み板の素材と幅、蹴上(けあげ)の高さと角度は要チェックです。近年では、階段と階段をつなぐ蹴込み板(けこみいた)がないタイプも増えていますが、高所が怖い人には不向きです。また、お子さまがいらっしゃるのであれば、階段の入り口にチャイルドゲートが設置できるかも確かめておきましょう。

階段の蹴上げや蹴込み板についてのイラスト
蹴上げの高さや蹴込み板の有無を確認しよう(イラスト/あべさん)

省エネルギー性能をチェックする

メゾネットタイプは吹抜けになっていることが多く、建物の省エネ性能が高くないと、冬は寒く、夏は暑くなり、光熱費が高くなってしまいます。窓や玄関などの断熱性能、建物全体の断熱性能について質問して確かめておきましょう。また、暖気と冷気を撹拌(かくはん)するシーリングファンが付いていると室内の温度ムラが解消できて便利です。

まとめ

メゾネットとは住戸ごとに内階段があり、1階・2階がある集合住宅

メゾネットはフラット住戸に比べて一戸建てに近い感覚で暮らせる

メゾネットはファミリー層だけでなく、一人暮らし・二人暮らしにもおすすめ

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取材・文/アウル、嘉屋恭子(内覧時にチェックすべきこと)監修/SUUMO編集部
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