隣や上下の生活音に悩まされたり、反対に迷惑をかけたりすることもなく、騒音トラブルとは無縁の暮らしがしたい……賃貸マンションやアパートに住むうえで「音」への心配は尽きないもの。そこで、賃貸でも防音性の高い物件を探すコツや、入居後の工夫で防音性を少しでも高めることのできるアイデアを紹介します。
防音性の高い賃貸マンションを探すとき、どのような点を見比べてチェックすればよいのだろう。まず、よく言われるのが、建物の構造の違い。
一般的には
木造 < 鉄骨(軽量鉄骨・重量鉄骨) < SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) < RC造(鉄筋コンクリート造)
の順に防音性が高くなるとされている。
ところが「防音性が高いかどうかは、単純に構造の違いだけでは判断できないんです」とミニミニ関東本部管理部部長の永田徹さん。「それだけでなく、どのように施工されているかも重要です。例えば壁と壁の間にしっかり断熱材が入った木造の物件と、コストをかけずに仕上げた鉄骨造の物件では、前者のほうが防音性が高いということもあります」
さらにもうひとつ。実は『隣接する部屋の間取り』がとても重要なのだとか。
「自分の住む部屋と隣接する部屋がどのように接しているのかによっても、防音性能は大きく変わります。例えば、自分の部屋と隣の部屋の間の壁が、互い違いのクローゼットになっているとします(イラスト参照)。この場合、双方の間に分厚い防音壁が入っているようなもので、木造であってもかなり高い防音性を発揮することになる、というわけです」
このほか、寝室の壁の向こうが隣戸のキッチンや浴室であるなど、居室同士が隣り合うことがなければ、暮らす上での音のトラブルは抑えられると言えそうだ。
このような間取りの物件に絞って探すことは難しいが、気に入った部屋があったら「該当する部屋の間取図だけでなく、隣や上下階の間取図を見せてほしいと不動産会社に言ってみましょう」
実際に、音のトラブルになりにくい部屋は、どのように探せばいいのだろう。
「一番いいのは、分譲仕様の賃貸マンションです。分譲マンションは、そもそも賃貸物件よりも厳しい建築基準法のもとに建てられていて、売るために良質な建材が使われているので、防音性能は格段に違います」と永田さん。ただし、分譲仕様の賃貸マンションは物件数そのものが少ないので、一般的な賃貸マンションで探すときのポイントを永田さんに聞いてみた。避けたいトラブル別にまとめたので参考にしよう。
最上階の角部屋にこだわって探してみよう。少なくとも上の階からの音に悩まされることはなく、マンションの形状によっては接する隣の部屋も少ない。
例えば家の中を走り回る小さな子どもがいるファミリーなどは、1階の住戸を検討しよう。子どもが走り回る音を気にしたり、子どもに注意したりするストレスが少なくて済む。また、防音以外の観点でも、1階住戸は階段移動がないため、小さな子どものいるファミリーに向いていると言えそうだ。
線路や幹線道路の近くの物件などは二重サッシになっているなどの防音対策が施された物件も。音の聞こえ方は曜日や時間帯によって違い、同じ建物でも階によって感じ方が違うので、必ず内見をして確認しよう。
生活音の心配とは別に、そもそも「楽器可」の物件を探す必要がある。例えば音大などのあるエリアでは、防音対策のある物件も多いが、防音対策を施さず「楽器の音を出すのはお互い様だからOK」としている物件もある。入居者が部屋の中に簡易防音ルームを組み立てる方法もある。
音のトラブルの少ない部屋を探すことに加え、入居後の暮らし方による工夫でも、音のトラブルは避けられることがある。「やらないよりはやったほうがいい」レベルのこともあるが、そのアイデアをいくつか紹介しよう。
隣の部屋と接する壁にテレビなどのAV機器を置くと、隣からの音は気にならない。また、テレビの音は前に向かって出るので、自分のテレビの音が隣の部屋への迷惑になることも少ない。
子どもの足音、椅子を引く音などが階下に響かないようにするには、厚手の敷物を。何もないよりは音を吸収し、階下に響くのを緩和してくれる。
最近のカーテンにはさまざまな機能がある。厚手の遮光カーテンなどを使うと、強すぎる日差しをシャットアウトしたり、窓の外からの騒音をやわらげたりするのに加え、断熱性もアップし、エアコンの効きがよくなるという効果も期待できる。
極端な話、人里離れた一軒家でもないかぎり、音のトラブルを完全に避けて生活することは難しい。万が一トラブルに発展したときは、管理会社や大家さんに相談するのがベストだが、そうなる前に「お互いに気をつける」ことが大事。音の不安の少ない部屋を探すとともに、マナーを守って生活しよう。