アパートとマンションの違いとは? プロが教える希望条件別の部屋選び

最終更新日 2023年06月06日

「アパート」のほうが「マンション」より安いイメージがあるけど、実際はどこが違うの? 防音性や防犯性に差はある? など、その特性や定義が気になる人も多いはず。そこで、賃貸物件の管理・仲介に長年携わってきた賃貸のプロ、ハウスメイトマネジメントの伊部尚子さんに、アパートとマンションの違いや、メリット・デメリット、選ぶ際のポイントなどを伺いました。

「アパート」と「マンション」の違いとは?

日本において集合住宅の代表格といえば、なんといっても「アパート」と「マンション」でしょう。しかし、この2つの具体的な違いを尋ねられると、正確に答えられる方は意外に少ないと思います。

アパートとマンションを明確に区別する定義はない

アパートとマンションにはどのような違いがあるのでしょうか? 結論から言ってしまうと、アパートとマンションの区分についてはそもそも明確に定められた定義がありません。管理会社が建物の調査に使用する登記簿謄本にも、建物の構造や階建て、面積などの記載はありますが、「アパート」「マンション」などの区分はされていません。

驚かれる方も多いと思いますが、これらはあくまでも”呼び方”の一つであって、どのような条件の物件をそう呼ぶかは扱う側の都合によるのです。したがって、不動産登記簿謄本には「鉄筋コンクリート造陸屋根2階建」といった構造に関する表記だけで、アパートやマンションといった区分は記されておらず、法律による規定もないのです。

また、物件名につく「コーポ」「ハイツ」「メゾン」「ヴィラ」「レジデンス」などの呼称にも、定義はありません。「昔の『○○荘』などからのイメージチェンジに使われ始めた呼称で、単純に流行やオーナーさんの好みが反映されたものです」と伊部さん。「一般的には、コーポやハイツなどは低層のアパートのイメージをもつ人が多いと思いますが、マンションでもコーポやハイツを名乗る物件はあります」

アパートかマンションか、物件を取り扱う会社が呼び方を決めて判断

それでは、アパートやマンションという区分はどのように決められているのでしょうか?

実はハウスメーカーや不動産会社、ポータルサイトなど、物件を取り扱う企業のそれぞれの社内規定によって、アパートとマンションが分けられています。指標となるのは建築物の構造や階層、建築材料などで、企業ごとに判断基準が異なっているようです。

「ハウスメイトグループでは何階建てかにかかわらず、物件の構造が『鉄骨/重量鉄骨/鉄筋コンクリート/鉄骨鉄筋コンクリート』の場合は『マンション』、『木造/軽量鉄骨』の場合は『アパート』と表記しています。つまり、あるところでマンションとして販売されている物件が違うところではアパートとして入居募集されている、なんてこともあり得るのです」(伊部さん、以下同)

 「マンション」「アパート」の呼び名の基準例

ハウスメイトグループ 不動産情報サイト事業者連絡協議会 そのほかの事例
マンション 鉄骨造/重量鉄骨造/鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造/その他堅固な造りの建物 3階建て以上
アパート 木造/軽量鉄骨造 木造/軽量鉄骨造 2階建て

なおSUUMOを含む不動産ポータルサイトでは、現在一定の条件を満たした木造集合住宅をマンションと表記しています。

一定の条件とは以下になります。

●建物種別
賃貸共同住宅であること

●階数
3階建て以上であること

●建物性能条件
新築・既築を問わず、「住宅性能表示制度による住宅性能評価書」にて、耐久性において以下1.を満たした上で、耐震・耐火性において、以下2.を満たすもの。
1.「劣化対策等級が等級3」
2.「耐震等級が等級3、または、耐火等級が等級4」もしくは耐火構造

木造アパートの防音性や耐震性を詳しく知りたい方はこちら
木造アパートは騒音や耐震性が気になる?防音性の高い物件の性能やメリット、注意点とは

「アパート」か「マンション」か。どんな人にどちらが向いている?

では、実際に物件を選ぶにあたって、どんな点を確認してアパートとマンションを選べばいいのでしょうか? それぞれのメリットから、どちらがどんな人におすすめかご紹介します!

※アパートとマンションの区分は各社で異なっているため、ここでは「木造もしくは軽量鉄骨造の建物」を「アパート」、「鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの堅固な造りの建物」を「マンション」と定義しています

アパートは「家賃を抑えた家を探したい」&「顔の見えるご近所付き合いが好き」な人におすすめ

イラスト

「同じ築年数や立地、広さなどのスペックで比較すると、一般的にアパートはマンションより家賃が安いことが多いので、望むレベルの物件でなるべく安く住みたいという方はアパートが良いでしょう。また、アパートは1棟の世帯数が少ないことが多く、こじんまりした環境が好きな方や、顔の見えるご近所付き合いが好きな方に向いています」

マンションは「ご近所付き合いの優先度を低く、できるだけ静かに暮らしたい」&「防犯性や充実した住宅設備が気になる」人におすすめ

イラスト

「一般的にマンションはアパートと比べて規模が大きいので、多数の人に紛れて個人の気配をあまり出さずに暮らしたい、という方に向いています。また、マンションのなかでも分譲の区分所有部分が賃貸に出ているものなどは、設備や仕様が賃貸物件と比べてハイグレードです。ハイグレード設備を好む方には、分譲タイプのマンションがおすすめです。エントランスや外観のグレードが高いものを手っ取り早く探したい人にも、分譲タイプのマンションの賃貸しが良いと思います。ただし、転勤留守宅など「定期借家」で出ているものが多いので、自分が住みたい年数住めるかどうかを確認しましょう」

防音性や防犯性は実際の物件をチェック!

防音性はアパートよりもマンションのほうが優れている、というのがこれまでの一般的な認識だと思います。たしかに、築年数が古い木造のアパートと鉄筋コンクリート造の分譲マンションを比べた場合、この認識は正しいといえるでしょう。しかし、マンションでも隣の部屋のテレビの音などが筒抜けの物件はありますし、逆に最近はアパートでも防音性の優れた物件も出てきています。つまり、マンションだから防音性が高そう、アパートだから防音性が低そう、という単純な話ではないのです。

「防音性が気になる方は、鉄筋コンクリート造などのマンションで、隣の住戸との壁がコンクリートになっている構造の物件や、間取図を見てリビングなど比較的長時間いる部屋同士が隣の住戸と隣り合わない物件を選ぶなどすると良いでしょう」

防犯性で見ると、施錠方式がオートロックやダブルロックであることや、高層階でベランダから侵入しにくい、といった面から考えると、マンションに軍配が上がります。ただし、防音性と同様、最近は防犯設備が充実しているアパートも増えたため、築浅やより安い物件で希望条件をかなえようとする場合は、アパートに絞って防犯設備が充実しているアパートをじっくり探していくのも手だと思います。

自分に合うアパートやマンションを見つけるためにすべきこと

このように、一般的に言われているアパートとマンションの違いというのは、あくまでも”そういった傾向がある”という認識でいるのがよいと言えそうです。アパートの中には、断熱性や防犯性、最新の住宅設備を導入した機能性の高い物件や家賃の高い物件も。入居者同士が共助し、コミュニケーションが円滑なマンションもあります。

実際に物件を探すときには、まずは自分が最低限押さえたい条件がなにかを洗い出すことが大切です。その結果、自分の好みの傾向としてアパートとマンションのどちらが良いのかを大まかに決めつつ、検索サイトを駆使して詳細情報を見比べるなどして、徐々に絞り込んでいくのがベストかもしれません。もちろん、条件と設備などが合うようならアパートからマンションへ、マンションからアパートへと、当初の予定を変えるのも有効といえます。

「そのほか最新動向として、DIYが可能な物件や、共用部に入居者が使えるレンタルスペースや畑などがある、一部がシェアハウスや民泊対応になっている、といった一風変わった賃貸住宅も出てきています。立地や間取りやスペックだけでなく、暮らし方をベースにお部屋探しをするのも面白いでしょう」

こだわり条件なども活用して、ぜひ自分にベストマッチする物件を探してみてください。物件を「とにかく探してみる」ことで、自分がどう暮らしたいか?のイメージが湧き、自分にあった条件もよりハッキリするはずです。

まとめ

アパートやマンションなどに定義はなく、区分は物件を取り扱う会社が決めて判断する

基準例として、「鉄骨/重量鉄骨/鉄筋コンクリート/鉄骨鉄筋コンクリートの3階建て以上」はマンション、「木造/軽量鉄骨の2階建て未満」がアパートになる
※一部の木造集合住宅はマンションと表記される場合もあります

一般的にはアパートはマンションよりも家賃が安いことが多い。一方で防犯性や防音性に優れ、住宅設備が充実している物件はマンションに多い

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取材・文/アウル イラスト/伊藤美樹
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