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一人暮らしを考えているけれど、収入が少なく生活に不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。生活保護制度は最低限の生活を保証する制度であり、一人暮らしでも条件が合え利用可能です。この記事では制度の詳細や利用条件のほか、生活保護を受給していても賃貸の部屋は借りられるのか、部屋探しの流れや押さえておきたいポイントなどについて、生活保護対象者が借りられる物件を多く扱う不動産会社・ネクストライフの伊東さんに伺いました。
生活保護とはさまざまな理由で生活に困窮している人に対し、生活保護法に基づいて憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立した生活をできるよう援助する制度です。
厚生労働省の2025年6月の調査によると、生活保護を必要としている人は198万8497人で、前年同月と比べると2万1735人減少し、1.1%減でした。被保護世帯数は164万5202世帯で、そのうち約55.3%が高齢者世帯、それ以外の44.7%のうち母子家庭が3.6%、障害者・疾病者世帯が25.2%、その他の世帯が15.9%でした。
出典:厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和7年6月分概数)」より

生活保護は、世帯収入だけでは国が定める最低生活費に満たない場合に受給することが可能です。
以下の条件を全て満たせば、一人暮らしでも生活保護を申請できます。単にお金が足りていないだけでは生活保護は受給できず、最低限の生活を維持できる資産や能力がある場合も対象外です。

生活保護は、最低生活費に満たない不足分が保護費として支給されます。最低生活費は居住地域や家族構成、障害の有無などを考慮して算出される金額で、住んでいる地域により物価や家賃相場が異なるため金額が変動します。
ここでいう収入は給与や賞与など勤労収入のほか、農業収入、自営業収入、年金、仕送り、贈与、不動産等の財産による収入、国や自治体からの手当、財産を処分して得た収入、保険給付金、その他臨時的収入があります。
生活保護は生活扶助以外に、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、出産扶助、介護扶助、生業扶助、葬祭扶助があります。

持ち家や車などの資産を持っていないことも条件です。持ち家や車などの資産は売却すれば生活費を確保できるため、所有を認められていません。これらを売却しても生活費が確保できない場合、生活保護を受給できます。
ただし、持ち家も車も生活を送る上で必要なら所有を認められます。資産価値がない土地や取り壊しに費用がかかる家、障害などで住居を変えると病状に影響が出る場合、引越した場合の家賃扶助より持ち家に住むほうが扶助金額は低い場合などは住み続けることが認められます。車は公共交通機関を利用できない状況で通勤や通学に必要な場合などは所有してOKです。家のローンを組んでいる場合、生活保護費でローンを支払うことはできません。具体的な内容を知りたい場合は福祉事務所に相談してみましょう。

病気やケガなどで働けない人も生活保護の受給が可能です。また、乳幼児を育てているシングルマザーや介護などの申請者で元気でも働けない理由があるケースも対象です。病気やケガが完治したり、子どもが成長して手が離れた場合には生活保護の対象外になります。
生活保護を利用する前に、生活福祉資金と生活困窮者自立支援制度などの公的融資制度や公的扶助制度を利用できる場合には利用するように指導が入る場合があります。それらを利用しても最低生活費に満たない場合に生活保護が受給可能です。

なお、失業や廃業などによって生計が苦しくなった場合には、「住居確保給付金」という制度も利用できます。これは、生計が激減して家賃が払えないため住む場所を失うおそれのある人に対して、市区町村が家賃額を支給する制度です。支給額は地域の家賃相場等に応じて市区町村ごとに上限額が定められています。単身世帯の場合、地方の町村部では月額3万円台が多く、東京23区では5万円台~7万円弱と幅があります。
3親等以内の親族から経済支援を受けられる場合は、生活保護の対象外とされているため、生活保護法上は扶養照会(経済支援をお願いする)義務があります。
3親等とは以下の親族のことを指します。
1親等:父、母、子ども
2親等:祖父母、兄弟、姉妹、孫
3親等:叔父、叔母、甥、姪、曾祖父母
親が扶養を断った場合でも、受給後仕送りなどの援助を受けていたケースなどは生活保護費の返還義務が生じることがあります。

生活保護の申請は住んでいる地域を管轄する各自治体の福祉事務所または支庁(島しょ部)で可能です。生活保護に関する相談も受け付けているので、分からないことなどがあれば最寄りの福祉事務所に相談しましょう。
福祉事務所について(厚生労働省)はこちら
最低生活費は地域や申請者の条件によって変動します。生活保護受給額は、生活保護申請をする世帯の収入と資産を足した額が最低生活費に満たない場合に、足りない分が保護費として給付されます。最低生活費全額が生活保護費として支給されるわけではないので注意しましょう。
(生活保護受給額)=(最低生活費)-(世帯収入)-(資産)
※世帯収入と家や土地、車や預金通帳など資産の合計額が最低生活費を上回る場合には、生活保護を受けることができません。
※働けるにもかかわらず働かない場合などは、収入が最低生活費を下回っていても生活保護の認定を受けることはできません。
生活保護を受給すると、自治体ごとに決められた住宅扶助額限度内の家賃の住宅で暮らす必要があります。家賃が無料になるわけではありません。東京23区は家賃上限額が5万3,700円(1人世帯の場合・世帯人数によって異なる)で、転居が必要なケースが多いです。
家賃扶助には家賃のほか、敷金・礼金、契約更新料や住宅維持費(畳や建具、水道・配電設備などの修理をする場合に給付される)が含まれます。敷金・礼金は転居の際に一時扶助金として受け取れます。家賃が扶助額をオーバーした場合は、超えた分は自己負担(生活扶助から補うなど)にすれば許可が出る場合があります。オーバーする額が大きいと転居指導をされたり、生活保護を受けることの妥当性が疑われるので注意が必要です。
管理費や共益費(建物の共用部分を維持、管理するための費用)、水道光熱費は対象になりません。生活費から出すのが難しい場合は、管理費・共益費込みの家賃で物件を探しましょう。
生活保護を受給している人も公営住宅に申し込むことは可能ですが、所得以外にも条件があるため(地域によって条件は異なる)、条件を確認した上で申し込みましょう。

転居が必要になった際の生活保護受給者の部屋探しの大まかな流れは以下のとおりです。
(1)担当ケースワーカーに引越しの許可と初期費用が役所から支給されるか確認
(2)不動産会社にて物件探し
(3)物件を内見して入居申し込み。家賃保証会社や大家さんによる審査
(4)審査が通過してから、ケースワーカーに物件情報と初期費用の見積もりを連絡
(5)役所から初期費用が支給され、不動産会社に初期費用を支払い
(6)賃貸の契約・鍵渡し
生活保護受給者だから全ての物件への入居を断わられるということはありません。生活保護受給者向けの物件を多く扱う不動産会社・ネクストライフの伊東さんによると、「生活保護を受給されている方の部屋探しでは、生活保護に関する知識があるスタッフがいる不動産業者を見つけることがポイント。どの業者を選んでも物件の数に差はありませんが、スタッフの対応に差はあるかもしれません。インターネットなどで不動産業者の口コミを見るなどで、知識と経験があるスタッフがいる不動産会社を見つけてほしいです」(株式会社ネクストライフ・伊東さん、以下同)
部屋探しは条件にもよりますが、2~3週間程度で成約となるケースが多いそう。事情により早く引越しをしないといけないケースは1週間程度で新居に移ることができることもあるようです。
次の章で部屋探しのポイントを一つづつ見ていきましょう。

「過去に滞納歴などがある場合、保証会社の審査でNGが出ることがあります。また、申し込み後に貸主から本人に本人確認の電話があった場合に対応が悪いと、「どなたでも歓迎」とされている物件でも断られるケースがあるので注意が必要です。ただし1社NGが出ても、2~3候補を挙げている中で決まることが多いです。審査に関する対応はスタッフや不動産会社の方針などにもよるので、生活保護受給者向けの物件を多く扱っている業者や経験豊富なスタッフに相談するのが適当です」
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「家賃を滞納した場合、一般的に遅延損害金が発生します。それ以外にも更新の際に更新料が増えることがありますが、これらは生活保護対象の方に限ったことではありません」
また、貸主側が家賃を滞納されるのが不安な場合、「代理納付」を条件に出される場合があります。これは生活保護受給者の家賃滞納を防ぐために設けられた制度で、福祉事務所が本人に代わって家賃を納めます。
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“name”:”家賃の滞納をしたときはどうなる?更新はスムーズにできるの?”,
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「世帯分離によって生活保護を受けられるケースとして、長期の入院が見込まれて一人世帯になってしまった場合、シングルマザーと一緒に住んでいたお子さんが進学などで独立する場合などが挙げられます。こうしたケースでは、もともと住んでいる住居の家賃が家賃扶助の対象になる場合があります」
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“name”:”世帯分離で生活保護を受給できるケースは?”,
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生活保護は、世帯収入が国の定める最低生活費を下回っているなど5条件を全て満たせば受給可能
生活保護を受給すると、家賃扶助(家賃、敷金・礼金、契約更新料や住宅維持費が含まれる)を受け取ることができる
部屋選びでは管理費・共益費が少ない、またはゼロの物件を選ぶと生活に支障が出ない